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帰り道、襲われる

作者: WAIai
掲載日:2026/07/28

「美味しいね」


彼女がジュースを飲みながら言ってくる。


今は下校途中だった。

陽が長いので、太陽は見守るように輝いている。


俺もジュースを一口飲んでから「ああ」と短く返す。


彼女はいちごミルクを可愛く飲み、俺はサイダーをごくごく飲んでいく。


まったりとした2人の空間。


ジュースを持っているので、手は繋げなかったが、俺が彼女に合わせて歩いていく。


しかし公園にさしかかった時、いきなり前から男達が現れた。

歳は10代後半から20代だろうか。


気配が全くしなかったので、俺は驚く。


突然、戦闘態勢に入ると、彼女を後ろに守る。


「…何の用ですか?」


ジュースを彼女に渡し、俺は構える。

相手は3人。

倒せるかどうか分からなかった。


「何か気に食わねえ」

「は? 何が?」

「うるせえ!! いちゃいちゃするんじゃねえよ!!」


いきなり鉄パイプが振るわれ、俺はやばいと察する。


偶然出会ったのだが、相手は誰か来るのを待っていたようだった。


アンラッキーかと心の中で舌打ちし、俺は彼女に言う。「お前、走って逃げろ!!」

「え!! そんなことはできないよ!!」

「いいから!!」

「嫌だ!!」


強情な彼女。

多分、自分がいなくなると、俺が囲まれて倒されると思っているのかもしれない。


目つきを鋭くすると、ライオンの本能を発揮する。


「俺が相手します」


丁寧に言うと、3人組はケラケラと笑う。


「俺達を誰だと思っているんだ? やれ」


命令がくだり、俺は左右を素早く見る。


「悪いな。今、俺達、機嫌が悪いんだよ」

「そうそう。仲良くデートなんて許せねえ」


じりじりと近づいて来る。

俺は怪我するのを覚悟して、立ち向かう。


「おりゃ!!」


手を出したのは、向こうからだった。

気配は今するが、足音が全くしない。


特殊な人間かと思い、こちらもやられないように、避けたりする。


「えい!!」


拳を食らわすと、相手の肩に当たった。

よし、と思い、また距離をはかる。


彼女は黙って見守っており、ジュースを抱きしめているようだった。


「痛っ!!」


すばしっこい相手に頭を殴られ、俺はよろける。

その隙に、もう1人が身体を狙ってきて、「う」と言葉を漏らす。


俺自身、弱いわけではないのだが、数が多すぎる。

やばいと思って、彼女を逃がそうと手を広げると、突然、スポーツカーが停まった。


「何している?」


声は低く、威圧感のあるものだった。

俺は「え」と思い、声の主を見る。


運転席から出て来て、仲間なのか、他の人達も降りてくる。

声の主は30代くらいだろうか。

男の色気とはこういうものかというモデルになりそうな感じで、堂々と一歩、一歩、進んでくる。


やはり足音がしないが、放つオーラが真っ黒で、巨大なものだった。

まるで存在自体が夜みたいな印象で、この人に逆らったらまずいと本能が教えてくれる。


「数が違うじゃねえか」


男性は俺と相手を見比べると、ペッと唾液を出す。

それから指を鳴らすと、首をこきこきと動かす。


「不公平だから俺らが相手になってやる。…お前は女の子を守れ」


指示され、俺は彼女の元に痛みをこらえながら、近づく。

すると彼女は離さまいと、服を引っ張ってくる。


俺はうなずくと、戦いに集中する。

男性達のほうがオーラを抑えているようだが、喧嘩の相手を飲み込みそうだった。


「よし、やるか」


その言葉を合図に、仲間が動き出す。

俊敏な動きに、俺は熱中する。


鉄パイプの連中も弱くはないのだろうが、あっという間におされ、片付いたのだった。


「く、くそ…!!」


連中は吐き捨てると、肩を抱きながら去っていく。


男性はばんぱんと手を払うと、俺と彼女を見てくる。


「大丈夫か?」

「は、はい…!!」


お礼を言わなければと思うのだが、口が乾いて上手くいかない。


「彼女を守ろうとしたのは褒めてやるが、ちゃんと相手を確認してから喧嘩しろ。そうじゃないと、後悔するぞ」

「すみません」


俺は先輩に怒られたように、しゅんと身体を縮める。

男性は彼女を見ると、少しだけ穏やかに言ってくる。


「彼氏の勇気に感謝しろよ。分かったか?」

「は、はい!! ありがとうございました」

「どういたしまして」


男性は手を上げると、仲間に車に乗れと命じ、自分が最後に車に乗り込む。


かっこいい人だなと見惚れていると、窓ガラスが開き、男性が言ってくる。


「お前が悪いわけじゃないからな。思いつめるなよ」

「も、もちろんです…!!」

「それならいい。暑くて頭のおかしな連中が山程いるから気をつけろ」


男性は忠告してくると、車が走り去っていく。

まるで映画のワンシーンのようだと、俺は感動した。


「大丈夫?」


彼女の言葉に、俺は平気なふりをしてうなずく。


「助けてもらって、お礼が何もできなかった」

「そうだね。何か龍みたいな、尊い存在のような人達だったね」

「そうだな。龍か…」


俺は走り去ったほうを見送り、頭を下げたのだった。

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