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終身刑

あたいの名前は七瀬。花も恥じらう16歳の乙女だ。金髪にピアス目つきが悪くて制服の上にスカジャンを羽織るというヤンキー丸出しみたいな風貌をしているが、だんじてヤンキーではない。家が貧乏で病気がちでの妹がいじめられないようにヤンキーのふりをしているだけ。

あいつの姉ちゃんはヤンキーでめちゃくちゃ怖いやつだ!ってウワサが広まれば妹に手出しするやつはいなくなるからな。

万引きもカツアゲもしたことない。ケンカはよくする。

ケンカの理由はカツアゲされてたりいじめられてる子を助けるためだ。あたいは運動神経がいいからケンカはめっぽう強い。空手も柔道もボクシングも習ったことないけど格闘技経験者に負けたこたぁない。目がいいんだ。相手の攻撃を見切って避けるのが上手い。相手にケガをさせることはあるが、こっちもケガするのでおあいこだ。そもそも弱い者いじめするやつが悪りぃんだ。

妹がよくいじめられてたからそれを助けているうちに、ほかのいじめられっ子からも頼られて助けてるうちに番長と呼ばれるようになった。子分は100人ほどいる。いじめやカツアゲを禁じて強きをくじき弱きを助ける精神を教え込んでいる。

あたいは正義感がつえーんだ。そんなあたいがいま人生最大のピンチを迎えている。

季節は冬。12月24日の聖夜。髪を黒く染められピアスを外されスカジャンを没収され制服を着せられたあたいは手錠と腰縄に繋がれ最高裁判所にいた。

真面目を絵に描いたような裁判長がガベルを鳴らす。

「判決をくだす。被告人を終身刑と処する」

あたいは愕然とした。あたいの住む竜の国では死刑はなく終身刑が最高刑だ。年齢に関係なく最高刑は言い渡される。刑務所も年齢関係なくぶち込まれるカオスだ。

「おいふざけんじゃねぇぞ!オラっ!」

柵をぶちける。外野がざわつく。

「あたいは冤罪だって言ってんだろ!」

叫んでも無駄だった。あたいは屈強な法廷警察官どもに取り押さえつけられて強制的に退廷させられた。終わった。すべて終わった。絶望が心を支配する。あたいにはおんぼろアパートで一緒に暮らしている母ちゃんと妹がいるが2人とも病弱だ。母ちゃんの視力は病気のせいで年々弱まっているが治療するためのお金もない。新聞配達や居酒屋のバイトをしているあたいがいなくなったらうちはもうおしまいだ。

生活費を入れる人間がいなくなって妹は風俗に売られるかもしれねぇ。母ちゃんは飢え死にで孤独死だ。聖夜だというの神も仏もねえのかよ。護送車につめ込まれる。網のかかった窓の外は吹雪いていた。あたいの胸中とまったく同じだ。

「ちきしょう・・・」

ガクリとうなだれる。あたいの青春は終わった。


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