第二十九話
ルーチェたちが魔塔に来てから早や四日。今日はもう最終日です。三人に手伝ってもらっていましたが、当然のことながら写しが終わるはずもなく。
「計画性、バツ」
「せめてもう少し早くから始めていればねぇ」
「なんで皆さんは私の部屋でお茶会をしているんですかね?」
ルーチェたちと会いたいと【時詠み】様と【深淵】様、【氷華】様が訪ねてきて、そのままお茶会を始めました。部屋の主である私は論文が終わるまで参加できないのに……。
【氷華】様が持ってきてくれたクッキーが食べたい。……いや、そんなことを考えている暇はないんですよ。早く論文を終わらせて混ざりたいんです。
「なんか、私たちだけ悪いわね」
「まぁ、仕方ないよね。終わらせてないのはルシアだし」
「ここについさっき出したのもいるからね」
【深淵】様と私は、いつもギリギリで提出していますからね。やりたいことが多すぎて、つい「まだ時間がある」と先延ばしにしてしまうんですよね……。そのせいで毎回怒られて反省してはいるのですが、繰り返してしまうんですよね。とほほ……。
「その論文はいつまでなんですか?」
「明日だな」
「……ルシア?」
そんな目で見ないでください。いつもはもっと遅いのでこれでも早い方なんです。私なりに頑張って期限に間に合わせているんです。趣味との両立が少し難しいだけで今まで期限を過ぎたこともありませんし……。
「終わった! 終わりました!」
なんとか論文が終わりました。本当に、今までで一番頑張った気がします。
論文は【時詠み】様にお渡しして、クッキーです。クッキーを食べたくてこんなに頑張ったんですから。【氷華】様のクッキーはそれはもう絶品です。バターをたっぷりと使ったもので美味しくないはずがありません。【氷華】様の故郷のとある果実を入れているらしく、ここでしか食べられないクッキーなのです。
「たくさんあるから、ゆっくり食べなさいな」
ホットミルクもほしいですね。クッキーにとっても合いますから。わざわざ淹れに行くのも面倒なので、魔法でやります。こういうときにとても便利です。基礎中の基礎の物を浮かす魔法ですが、使い方次第でかなり化けますからね。
「やっぱり二人に一ヶ月前の期限を伝えといてよかったね~」
「……は?」
【深淵】様と声が重なりましたね。仲良しです。……いや、そんなの今はどうでもよくて。期限の一ヶ月前? じゃあ本来の期限は一ヶ月後なんですか!? あんなに頑張って書いたのに!?
「……フクシア」
「聞かれてないもの」
もっとゆっくり書けたじゃないですかぁ。あんなに、あんなに必死に書いたのに……。まだ一ヶ月も先って……。そんな……。あんまりです……。
「頑張ったのにぃ……」
「いつもギリギリに出すからでしょうに。これに懲りたら、今後は余裕を持って出しなさいな」
「はい……」




