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第十七話




 無事に始まったパーティーは、以前同様いくつかの大きなグループに分かれていますね。ペルクシム男爵令嬢の方からいくつか殺意の篭った熱い視線をもらいますが、いらないです。返品できますかね。


「動きますかね」

「さすがに目立つ場では動かないだろうな。ヴェルメリオがそこまでバカとは思えない」

「そうだと良いのだけれど……」


 通常のヴェルメリオ様ならば、ですね。今のヴェルメリオ様がどこまで正常な判断ができるかですね。違法薬物を摂取している以上、思考はかなり鈍っていると思います。それに、正常な判断ができるのであれば、たとえ恋に現を抜かしていてもこのようなことはしないでしょう。こんなことをしておいてお咎めなし、なんてことはありえませんから。ルーチェとの仲が悪いと自覚しているのならなおのこと。皇族と敵対するような行動はヴェルメリオ侯爵家としてもしたくないはず。それでもこうして何も行動していないのは、ヴェルメリオ様の淡い初恋を見守ってやりたいという親としての優しさのようなものなのでしょう。


「……シグニ」

「どうかした?」

「例のやつ、もしかしたらヴェルメリオ様だけじゃないかもしれません」


 ペルクシム男爵令嬢を囲む男子生徒たちから溢れている独特な魔力。間違いありません。違法薬物のものです。ヴェルメリオ様だけではなく、自分の周りの人間に摂取させている……。となれば、目的はヴェルメリオ様ではなさそうですね。侯爵子息であり同じ年だからかと思っていましたが、この様子では場合によってはヴェルメリオ様を切り捨てるでしょう。


「ルシア、目算で良い。何人だ」

「……おそらくですが、ペルクシム男爵令嬢を囲む男子生徒は全員かと」


 かなりの人数に摂取させているようですね。いったいどうやって……。何かに混ぜた? 可能性はあります。最近はお菓子を婚約者や恋人に渡すというのが流行っているそうですから、そうやって摂取させたと十分考えられます。周りの方には、多く作ったからとでも言えばいいでしょうし。ただ、分かったところで確証がありませんし、現場を押さえられるということでもありません。


「厄介だな」

「あの、これだけ話していて、大丈夫なんですか? 人も多いですし」

「魔道具で防音壁を展開している。周りはこちらが何を話しているか分からないようになっている」


 【時詠み】様からの頂き物です。自分には必要ないからとくれました。この魔道具はかなり貴重で、使い切りではなくチャージ型なんです。まだ複製が難しく、持っている方もごく一部。そんな一つをくださった。【時詠み】様からしてみれば、本当にいらないんでしょうね。あの方、一言で表すのなら化け物ですから。


「別の場所からも熱心に見られているわね」

「婚約者のいない令嬢たちかな。皇太子殿下目当てだろうね」


 今回の相手はルーチェですが、次回はルーチェが相手とは限りませんからね。今のうちから相手候補を絞りたいのでしょう。






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