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第3章 未来に届く音
卒業式が近づいたころ、紬がぽつりと言った。
「来年、引っ越すんだ。……ちょっと遠くまで」
陽の足が止まった。
でも、紬は続ける。
「でもね、音ってさ、届くんだよ。言葉よりも、ずっと遠くまで」
あの日と同じように、陽は床を踏む。
タップ、タップ、パララララン。
紬もそれに続いてステップを刻む。
音が、空気を通じて、心に届く。
そしてきっと、未来にも。
「きっとまた、どこかで“この音”に出会える気がするよ」
「うん……きっと、返ってくるよ」
陽はそう言って、少し笑った。
その足元から鳴った音は、静かに、でも確かに未来へと響いていった。