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転生して優しい世界を創る  作者: MASK
第1章:始まり
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第三話:自然の管理者を創る

一人で管理し続けるのは無理なため、自然の管理者を創ります

「……やっぱり、ひとりでは無理があるな」


静かな星を見下ろしながら、ダイチはぽつりと呟いた。

海の流れ、風の巡り、山の隆起、森の成長。

そのすべてが美しく整い始めていた。 だが、

その調整を担っているのはダイチひとり。

少しでも手を抜けばすぐにバランスは崩れ、

星の秩序が乱れる。目を離すことすらできない。


「自然ってのは……こんなに気まぐれだったのか」


目の前に広がる景色は理想に近い。

だが、その理想を維持するにはあまりにも

膨大な労力がかかっていた。


ふと、昔読んだファンタジー小説の

一節が脳裏をよぎる。


世界には、自然を司る精霊たちがいる。


「そうだ……精霊を創ればいい」


火、水、風、土、雷、光、闇—— この世界に存在する

七つの自然の力。それらを理解し、

調和させる存在を、ダイチは創り出すことを決意した。


彼の手がゆっくりと星の中心へと伸びる。


「火よ、灯れ」

「水よ、流れろ」

「風よ、囁け」

「土よ、育め」

「雷よ、走れ」

「光よ、照らせ」

「闇よ、包め」


言霊に込められた力が、空間を震わせた。


ダイチの全身から、創造の力が溢れ出す。

星の空、海、大地、雲、稲妻、光と影へと

その力が放たれ、七つの輝きとなった。

それぞれの輝きが、やがて姿を成し始めた。


赤き炎の中からは、燃えるような瞳を持つ

青年姿の火の精霊——エンリオが立ち上がった。


「……俺は、エンリオ。炎を灯し、照らし、育てる者」


深海の底からは、水の精霊——シエラが現れる。

彼女の姿は優雅な女性のようで、青く輝き、

流れるように柔らかく、静かで力強い。


「……私はシエラ。潤し、流れ、包む者」


空の高みに浮かび上がったのは、風の精霊——フロウ。

彼女は白銀の羽根を持つ少女の姿で、軽やかに宙を舞う。


「風は言葉。風は旅。風は歌……私はフロウ」


山の奥深く、大地と一体となって目覚めたのは、

老年姿の土の精霊——グラン。

その姿は岩のように屈強で、

どこか温かさを感じさせた。


「……我輩はグラン……支え、育み、根を張る者」


雷雲の中心で紫電が弾け、

少年のような姿の雷の精霊——ライゼが現れた。


「……オイラはライゼ!叫び、走り、閃く者だ!」


太陽のように輝く光の精霊——ルミナは、

白金の衣をまとった大人の女性の姿で、

優しく微笑んでいた。


「……わたくしはルミナ。導き、温め、照らす者」


そして、影の中からひそやかに現れた

成熟した大人の男性姿の闇の精霊——ノクス。

その姿はどこか神秘的で、

すべてを優しく包み込むようだった。


「我はノクス。眠りと癒し、包容と沈黙を与える者」


七つの精霊たちは、それぞれが星の特定の領域に根付き、

役割を持って動き始めた。


世界は、静かに、しかし確かに、

自らの意思を持ち始める。


ダイチはその光景を見届けながら、

足元がぐらりと揺れるのを感じた。


「……あれ……?」


力を使い果たし、全身の力が抜けていく。

視界が暗転し、意識が遠ざかる。


「思ったより……消耗が……」


最後に見たのは、精霊たちが

彼を見上げるまなざしだった。

エンリオが、そっと呟く。


「俺達を生み出した創造主よ。

あなた様が眠る間、この星は俺達が守りましょう」


精霊たちは空に浮かぶ主の眠る場を見上げ、

静かに頭を垂れる。

こうして、ダイチが創った星は七つの精霊によって

守られながら、独り立ちを始めた。


ダイチは眠る——自らが創った世界を、

初めて誰かに託しながら。

次回精霊達中心で話が進みます。

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