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転生して優しい世界を創る  作者: MASK
第3章:異変
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第三十話:異変

穢れ対策を皆で考え対策していきます。

星に穢れが蔓延してから数年。

浄化の力を持つ光の民とその神官たちの活躍により、

いくつかの地域は回復の兆しを見せ始めていた。

しかし、まだ世界全体から見れば焼け石に水に過ぎない。


無の精霊・ネアンは、星全体に対する光の力の浄化を

進めるためには、光の適合者の数を増やすしかないと

結論づけていた。


「浄化できる者を……もっと必要。」


静かな声でそう呟いたネアンは、

ミドガルド王国を訪れると王へ面会を求めた。

かつて神の怒りを買ったその王国は、今や反省を重ね、

知と協調の拠点として再興していた。王宮の会議室で、

王とその側近たちの前に立つネアンの姿は静かで、

しかし神聖な威圧感を放っていた。


「私はネアン。無の精霊として、そして記録者として、

この星の均衡を見守っている存在。お願いがあります。

この王国に住まう者の中で……光の適性を持つ者を

探し出して欲しい。光の神官として育て、

穢れた地を癒せるように。」


王は重くうなずいた。


「それは……星のため。民のため。王国として

全面的に協力致します。」


その後、ネアンは全精霊たちの元を巡り、

浄化のために光属性の適合者を探す計画に協力を要請した。


光の精霊・ルミナは真っ先にうなずいた。


「私の力を使って、神官候補に選ばれし者たちの

適性を調べる手段を授けましょう。」


火の精霊・エンリオは腕を組みながら言った。


「光に対する適性は、心の清さに近い。俺の祭事で

修練を積ませれば、その心の在り方がよく見えるはずだ。」


水の精霊・シエラは頷いた。


「穢れた水と綺麗な水を判別できる者は、

光に近い存在かもしれない。海の民の中にも

候補がいるかもしれません。」


風の精霊・フロウは微笑みながら舞い上がる。


「心が軽く、風に乗れるような者たちは、

希望の光に近いかも。試してみる価値はあるわ。」


土の精霊・グランは静かに言った。


「道具を用い、民に負担をかけぬ方法で調査しよう。

大地と共にある者の中にも光の因子はあるかもしれん。」


雷の精霊・ライゼは少し浮かない顔をしていたが、

うなずいた。


「……オイラは得意じゃないが、適性を判別する

装置を作れるかもしれない。光を感知する技術なら

応用が利くかも。」


こうして全ての精霊の協力のもと、

適合者を探す取り組みが始まった。


幾つかの候補が見つかり、神官見習いとして

光の民の聖域に集められていった。


だが、ネアンにはもうひとつ気がかりな場所が

あったそれは、「闇の領域」。


かつて闇の民が暮らしていたその地は、

今では濃厚な穢れに飲み込まれ、瘴気が空を覆い、

大地すら呻くような声を上げていた。


「……この地は……異常。重すぎる。」


ネアンは重力を操る力で空間を調整しながら

近づこうとしたが、それでも一定の領域から

先へ進めなかった。空気が濃く、熱く、苦しい。

それほどの穢れ。それはただの環境の変化ではなく、

「意志」に近いものすら感じさせた。


その時、ネアンは一筋の魔力を感じ取った。

柔らかく、それでいて無理をしているような、

張り詰めた力。


「……ノクス兄様……」


闇の精霊・ノクスの気配だった。


本来ならば闇は全てを包み、受け入れる存在。

だが今のノクスは、穢れの奔流の中でそれを吸収し、

浄化はせずに“抱え込んで”いたのだ。


その身一つで闇の民の領域を覆うほどの穢れを引き受け、

星全体への広がりを防ごうとしていた。


「ノクス兄様は……抱えすぎですわ。」


その苦しさは、ネアンにも伝わった。

言葉を超えた共鳴が、精霊同士の間にあった。


遥かに離れた天界で、創造神ダイチは

ノクスの状態に気づいた。


「……ノクス……どうか、穢れに飲まれぬように。

お前が壊れてしまえば、星そのものが闇に堕ちる。」


闇の精霊ノクスは、穢れがわずかに世界に現れ始めた

あの時から、誰にも知られぬように誰にも

悟られぬように、ただ静かにその身に穢れを

受け続けていた。


闇の精霊としての本質は、「包み込むこと」。

だからこそ、ノクスはできた。

誰にも気づかれず、声も上げずに。

ただ黙々と、闇の領域に流れ込んでくる穢れをすべて、

自らに引き受け続けた。

それは自分の役目だと思っていた。

それが自分にできる、唯一の「世界への救い」

だと信じていた。


しかし限界は訪れた。


闇の領域の淀みは飽和し、今や溢れ出す寸前だった。

ノクスの身体にも、精霊とは思えぬほどの異変が現れていた。黒く、重く、濁った闇。本来清らかなはずの闇は、

もはや「呪い」に変わりつつあった。


それでも、ノクスは決意した。


「ならば……いっそ、すべて……

この我の身一つで受け止めれば……」


彼女は深淵の儀式を行い、自身の核と呼ばれる

精霊の核心を開放した。

その瞬間から、星の穢れは一気に吸い寄せられ始めた。

大地から、海から、空から。ゆっくりと、確実に、

世界中の穢れが闇の領域へと集まり始めた。


その引力は、あまりにも強かった。


異変に気づいたのはネアンだった。

異常な魔力の偏りと、闇の波動の高まり。

その異常にダイチもまたすぐに気づいた。


「……ノクス……何をしているんだ……!」


ダイチは天界から次元を超えて急ぎ地上へ降り立ち、

闇の領域の最奥ノクスが最後の力を使い、

祈るように空を見上げているその場所へ辿り着いた。


しかし遅かった。


ノクスの身体は、もう精霊の光を宿していなかった。

その身は虚ろに揺れ、穢れの核そのものとなりつつあった。

もはや、彼は戻れない場所に踏み込んでしまっていた。

ダイチは彼に歩み寄ろうとするが、重すぎる

穢れがその場の空間を歪め、神であるダイチですら

近づくことを拒んだ。


それでも、ダイチは叫んだ。


「どうして……! どうして一人で背負った!

もっと早く気づいていれば……!」


ノクスは静かに笑った。

それは、いつもと変わらぬ、静かな、

寂しさを秘めた笑みだった。


「……あなた様の世界を守りたかった。あなた様の

創った……この、優しくて美しい世界を。」


その声は、風と共に、塵となって消えていった。


ノクスの身体は霧のように闇に溶け、その場には、

深く黒い結晶体のような「闇の核」が残された。

それは世界のすべての穢れを一身に引き受けた、

巨大な呪いの塊であった。


ネアンは、静かにそれを記録しながら、ただ一言を残した。


「闇の精霊、ノクス兄様…が最後まで、

誰にも頼らず、ただ世界のために消えた存在。

……その選択は、正しかったのか。それとも……」


筆を止めると、ネアンは空を見上げた。

かつて穢れの空だった空に、わずかに一筋の

光が差していた。その光は、希望か。

それとも、償いか。そして静かに、

次の決断の時が迫っていることを悟った。

ノクスの運命はいかに

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