第十六話:文明開化
数千年の時を超えてさらに文明が進みます
それから幾星霜、この星に文明が芽生えてから、
約数千年の歳月が流れた。
精霊たちの導きにより生まれた多様な種族たちは、
それぞれの地で独自の進化と文化を築き上げていった。
火の民たちは火山地帯に拠点を築き、
「ヴァルガルド」と呼ばれる国を作り上げた。
彼らは火に耐性を持ち、熱と炎を扱う技術に
長けた戦闘種族として発展し、鍛冶や武術が栄えた。
水の民たちは海中や水辺に都市を築き、
「アクアレイア」と呼ばれる国家を築く。
彼らは水中での生活を完全に適応し、舞踊や歌、
流れるような文化が息づいていた。
風の民たちは渓谷の断崖や浮遊島を拠点にし、
「シルフィード」と呼ばれる国を築く。
空を自由に飛び交う彼らは、風を読む力と
音楽・詩を尊ぶ民族であり、
優雅で自由な暮らしを楽しんでいた。
雷の民たちは高地に都市を築き、
「エルクライム」という国を作った。
雷の閃きを応用し、発明や機巧に熱中していたが、
時には失敗を重ねながらも、技術的進歩を重ねていた。
土の民たちは地底や山岳に居を構え、
「グランディア」と呼ばれる王国を築く。
鉱物や魔石の扱いに秀で、堅牢な都市を形成し、
鍛冶・建築など物作りの分野において
他の民を圧倒していた。
光の民たちは高原や清らかな大地に神殿都市を築き、
「セレスティア」と称される聖都を中心に文明を築いた。
彼らはダイチを最高神と仰ぎ、最も信仰深い民として、
神殿文化と儀式の体系を築いていた。
闇の民たちは影の濃い谷や地底の奥深くに潜み、
「ノクテリア」と呼ばれる隠された国を作っていた。
彼らは闇夜に溶け込み、魔力と静寂の中で生活し、
狩猟や秘術に長けた民だった。
そして、どの属性にも属さない無属性の人間たちは、
草原に集落を築き、「ミドガルド」と呼ばれる
自由な国を形成していった。
彼らは精霊の加護を持たないがゆえに、
最も脆弱でありながら、最も繁殖力に優れていた。
また、他の種族との交わりによって、
多様な能力を獲得し、魔法や技術を取り入れて
発展していった。
ミドガルドの民たちは、協力しながらも時に争い、
独自の文化と暮らしを築いていく。
そして、それぞれの国は時を経るごとに都市を拡大し、
王族や指導者を中心に制度を整え、
国家という形を帯びていった。
この頃になると、森には獣と人の特徴を併せ持つ
獣人たちが現れ、「アルネリア」と呼ばれる
森林の民として暮らし始めた。
沼地には蜥蜴のような姿をした民が住み着き、
湿地と毒草に囲まれた「ルードラ」という国を築いた。
また、魔力を過剰に取り込んでしまい変異した存在、
魔物たちも徐々に現れ、文明の周辺で人々とときに
敵対し、ときに共存するという新たな局面を迎えていた。
こうして、文明は原始の混沌から抜け出し、
多様な種族と国家がせめぎ合いながら、
この星に新たな歴史を刻み始めたのである。
次回人間の国「ミドガルド」に焦点を当てて物語を勧めます