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転生して優しい世界を創る  作者: MASK
第1章:始まり
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第十二話:火の精霊エンリオと赫の領域

熱い火の精霊エンリオの領域を探索します。

大地の奥深くを一通り巡ったダイチは、

地底という静寂な世界に息づく命の

重さを深く感じていた。


グランは立ち止まり、巨岩の前で目を閉じた。


「……風と雷に伝える。我が役目は果たした。

創造主様を、次なる地へ導いてやってくれ」


言葉を発することなく、ただ思念の波紋を放つ。


その瞬間、大地の空気がふっと揺れた。

間もなくして、渓谷を駆け抜ける風の音と

雷の轟きが重なり、フロウとライゼが姿を現す。


「おっまたせ〜っ! ダイチ様、

お迎えにあがりました〜!」


「へへっ! 今度は熱いとこ行くよ、覚悟してねー!」


ふたりの明るい声に笑いながら、

ダイチは地底の静寂に別れを告げた。


三人が向かったのは、

星の南方に位置する巨大な活火山。


火口に近づくほどに、空気が熱を帯び、

まるで息をするだけで肺が焼けるような熱気が

身体を包んだ。 フロウはうっすらと額に

汗を浮かべながらも、にっこりと笑っていた。


「ここから先はエンリオの領域だから、

わたしはこの辺で失礼するね!」


「おう! オイラもここまでだよ。エンリオの

やつときたら、いつも熱苦しいんだよなぁ~」


ふたりともそれぞれの流れに乗るように、

熱風とともに飛び去っていった。


「じゃあね、ダイチ様~! 火傷しないようにね~!」


「楽しんできてねー! エンリオ、

意外と話すと面白いからさ!」


その声が遠ざかると、ダイチの前に広がるのは、

噴煙を立ち上げる巨大な火口と、

激しく燃え盛るマグマの海だった。

近づくほどに空気が熱を帯び、

地表の岩肌すら赤く焼けている。

大地が脈動し、足元からは時折マグマの音が

ゴウゴウと響いていた。

火口に近づくと、その道中にも様々な

火の領域の特徴が姿を見せ始めた。

岩肌は赤茶けてひび割れ、あちこちから地熱が

噴き上がっていた。地面の裂け目からは赤い光が覗き、

そこには間欠泉が定期的に噴き上がる音が響いていた。

「シュゴォオオオッ!」という音とともに、

熱水の柱が数メートル上空まで吹き上がると、

地面は蒸気に包まれ、辺りは白く霞んだ。

道中には天然の温泉も点在しており、

蒸気の匂いとミネラルを含んだ濁った湯が、

火山地帯独特の湿度を加えていた。

温泉の周辺には耐熱性の草花もわずかに自生し、

赤く小さな花を咲かせている。

マグマの川が流れる火口へ近づくと、

空気は一層重く、焦げた岩の香りが鼻を突いた。

熱気に満ちた空間では、空すら揺らいで見え、

空中に熱の蜃気楼のようなゆらめきが漂っていた。


火山の内部には無数の洞窟が縦横に広がっており、

その中には熔岩が滲み出るように流れ、

岩壁に赤い筋を描いていた。

中にはマグマの湖のような広大な空間もあり、

そこは火の精霊龍たちが好んで住む神域にもなっている。


その灼熱の地に包まれるようにして、

炎の精霊エンリオが姿を現す。


「おおっ! よく来てくれました、創造主様!

待ってたぜ!」


赤く逆立った髪に炎のような瞳、

筋骨隆々とした体格で、陽気な笑顔を浮かべる。

熱気の中でもさらに一段階高いエネルギーを放ち、

空間そのものが揺らいでいるように見えた。


「ここが俺の領域! 見てくれ、

この燃え上がるマグマ、轟く地響き!

命が燃えてるって感じだろ!?」


エンリオが手を広げて指し示した火口の中では、

真紅のマグマが音を立てて流れていた。

その中を泳ぐようにして、熱に適応した

生物たちが動いている。


皮膚が岩のように硬化した巨大なトカゲ、

火花のように飛び跳ねる小型の生物、

火口の縁に巣を作る翼を持った猛禽のようなもの。


この領域は全体的に生物の種類こそ少ないものの、

どれもが圧倒的な生命力と適応力を持ち、

灼熱の世界を生き抜いていた。


「こいつらは俺の炎を浴びて、鍛えられた連中さ。

あっつい魂で燃え続けてんだよ!」


その言葉と同時に、天から巨大な影が現れる。

マグマの中からせり上がるようにして、

焔帝龍えんていりゅうがその姿を現した。


全身を紅蓮の鱗で覆い、角は燃え立つ炎のごとく揺らぎ、

瞳はマグマそのもののように赤く輝いていた。


焔帝龍は、周囲の生き物たちが道を譲るほどの

威厳を放ち、まるでこの領域そのものの

化身のような存在だった。


「焔帝龍は俺の眷属にして、

この火山を支配する王者だ。火山が噴き上がるのも、

こいつの呼吸の一部なんだぜ」


マグマの熱と鼓動が響く中、ダイチはまた一つ、

自分の創った星に宿る“力”の在り方を、

心に刻んでいった。

やがてエンリオの領域を一通り見終え、

火山の火口付近まで戻ってくると、

空はすっかり茜色から群青に変わり始めていた。

太陽は地平線の彼方へと沈みつつあり、

空に浮かぶ雲が赤く燃えるように染まっている。

日が傾き、星々がその存在を微かに輝かせはじめる。

夜の帳が降りるその時、灼熱の大地にもわずかに

静けさが訪れていた。

夜が訪れたらそれは闇の領域

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