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転生して優しい世界を創る  作者: MASK
第1章:始まり
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第十話:雷の精霊ライゼと清の領域

雷の精霊ライゼの領域を見て回ります

風の精霊フロウとの空中散歩は、

光と風のきらめきに包まれながら、

穏やかに終わりを迎えようとしていた。

しかし、突然空の色が変わった。


「えっ、これ……」


雲が黒く染まり、空気が重たくなる。

遠くで雷鳴がとどろき、風向きが変わった。


「ライゼ……!? また勝手に……!」


フロウが不満げに叫んだ直後、雷光が走り、

ダイチの身体がその閃光に包まれた。


「うわっ……!」


視界が真っ白になり、次に気がついた時には、

雲の中だった。


「へへっ! イタズラ大成功〜!」


けたたましい声と共に現れたのは、

雷の精霊・ライゼだった。 金髪を逆立て、

瞳は稲光のように輝き、体全体がエネルギーの

奔流に包まれている。


「やっぱ驚いた顔って最高だね!創造主様!」


「……急に連れ去るのはやめてくれ」


「まあまあ、ちょっと見せたい場所があるんだ!

オイラの領域、すっごいんだぜ!」


そう言って雷光と共に雲を突き抜け、

ライゼはダイチを高空の彼方へと連れて行く。


彼の住処は、雲海のさらに上、天と山が交わる場所。

雷が鳴り響くその土地は、標高の高い天空の台地だった。

常に暗雲が立ち込め、稲妻が縦横無尽に走っている。


巨大な柱のように立ち並ぶ岩山には、

雷によって焦げた痕跡が残り、

ところどころ黒く染まった地面が広がっていた。

それでいて、地表には微細な電気を好む苔や花が

生育しており、雷に照らされるたびにほのかに

発光するような不思議な光景を生み出していた。


稲光が空と地を何度も行き交い、

大地は絶えずうなり声を上げているかのようだった。

音と光が交差するこの世界は、

まさに雷そのものが命を宿したかのような領域であり、

生きているかのように脈動していた。


空には雷を纏った鳥たちが旋回し、

時折電気の光を弾けさせながら滑空する。

岩陰からは帯電した毛並みを持つ獣が姿を現し、

鋭い視線で空を見上げている。

そこは、激しさと美しさが共存する雷の聖域だった。

しかしその中には、驚くほど澄んだ空気と、

独特な命の息吹があった。


「ここ、めっちゃ空気うまいだろ?

オイラの雷でビリビリにしてんだ。

空気のゴミとか菌とか、

ぜんぶキレイにしちゃうんだぜ!」


ライゼは胸を張り、稲光の尾を引きながら宙を舞う。

その後ろを追うように、小型の雷獣や、

帯電した羽を持つ鳥類などが飛び交っていた。


この地に生きる生物たちは種類こそ少ないものの、

どれも筋骨たくましく、雷に適応した強靭な

体を持っていた。 時には皮膚が導電性を帯びていたり、

電気を溜めて攻撃する能力を備えているものもいる。


「オイラの電気で育ったやつらさ。

めちゃくちゃ強くてたくましいんだ!」


「確かに……ここもまた、命の形のひとつだな」


「うん! 俺は派手で元気なのが好きなんだ。

命って、バチバチしてるくらいがいいんだよ!」


そう語るライゼの背後で、またひとつ稲妻が空を裂いた。


遠くでフロウの「かえしてよぉ〜っ!」という声が

風に乗って聞こえたが、もちろんライゼには

届いていなかった。


その時、空を裂くようにひときわ大きな雷鳴が轟いた。

稲妻が雲の海を突き破り、

そこから一体の巨大な存在が姿を現した。


「おっ、来たな! こいつがオイラの相棒……

雷閃龍らいせんりゅうだ!」


空を割るように現れたのは、雷光を纏った竜。

全身は鋼のように輝く鱗に覆われ、

身体の節々から電光が走り続けている。

その瞳は黄金に輝き、見下ろすだけで周囲の空気が

震えるほどの存在感を放っていた。


「雷閃龍は、空に満ちる電気の流れを感じ取り、

制御してくれてるんだ。 電気がたまりすぎれば放電し、

足りなければ雲の海から集める。

バランスが崩れたら世界が大変なことになるからな、

こいつの存在はマジでデカいぜ」


雷閃龍は静かに空を滑空しながら、

地上に向けて雷を落とす。その一撃一撃は

狙いすましたように大地を貫き、

次の雨を呼ぶ準備をしていた。


その姿に見惚れていたダイチに気づいたのか、

雷閃龍はゆっくりと旋回してダイチの目の前に降り立つ。


雷光に包まれながらも、その巨大な瞳は

まっすぐにダイチを見つめていた。

ダイチは雷閃龍に一歩近づき、手を伸ばした。

その鱗に触れた瞬間、微細な電流が流れ、

ダイチの脳裏に無数の“雷の記憶”が一瞬で広がった。

嵐の中で生まれた命、焼かれた木々から

再び芽吹く新しい森、雷によって導かれる水の循環。


「雷は、ただ破壊するものじゃない……命を動かす力だ」


「そそ、それがわかってくれたらオイラたちは嬉しいぜ!」

とライゼが得意げに笑う。


雷閃龍は満足そうに目を細めると、

再び空へと舞い上がった。 その尾が雲を裂き、

周囲に清らかな風が流れ込む。


雷の領域は、暴力的に見えて調和があり、

精密な自然のリズムに従って動いていた。

ただ激しく鳴り響くだけでなく、

命の巡りを繋ぎ、世界に活力を送り続ける

重要な場所だった。

ダイチはこの領域にも、確かな「意思」と

「愛情」が存在していることを理解し、深く頷いた。


「放電で大気を撹拌し、雨を誘発する。

これがオイラたちの雷のサイクルさ。

派手だけど、超重要なんだぜ?」


ダイチは目を細めながら、

その荘厳な姿に圧倒されていた。


「……雷もまた、生命の循環のひとつなんだな」


ライゼはにやりと笑い、肩をすくめた。


「そゆこと!」


その直後、風の音が高くなり、

突風とともにフロウが現れた。


「も〜っ! いきなりダイチ様連れてっちゃうなんて、

ずるいよライゼ!」


頬をふくらませたフロウが、

ぷんぷんと雷雲の中で腕を組む。


「へへ、ごめんごめん。ちょっと見せたかった

だけなんだってば!」

ライゼは頭をかきながら謝り、

どこか気まずそうに笑った。


「ちゃんと許可取ってから連れて

いかなきゃダメなんだからねっ!」


「う、うん……気をつける……」


やりとりを眺めていたダイチは微笑みながら頷いた。

精霊たちの関係はとてもにぎやかで温かく、

どこか家族のようだった。


少し気まずい空気を変えるように、

ライゼがパッと表情を明るくして言った。


「じゃあ、次はグランのところに行こうぜ!

地面の奥底に住んでる、すっごい真面目なやつ!」


フロウも、むすっとしていた表情を和らげながら頷いた。


「うん……グランなら、ちゃんと歓迎してくれるはず」


そうして一行は、次なる大地の領域へ

向かって飛び立っていった。

次回土の精霊の領域を見て回ります。

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