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【第二話】

『きーちゃん、もう寝た?』

 

 ベッドに入って寝ようと思った時にスマホの画面が明るく光って表示されたその一言。こういう時は涼香が何か不安なことや心配事を考えている時だ。

 

『ベッドに入ったところ。どうした?』

『今日さ、きーちゃんが私と付き合うとか言ってたじゃない?アレって本気なの?』

 

 図書室で話していたことだ。周りからはそう見られているのだから付き合ったって言っても今までと何も変わらないような気がしないでもない。でもそうしたら春日部さんとの関係はフラれてお仕舞い、となってしまう。まぁ復活があるのかどうか分からないけど。いや、ないだろうなぁ

 

『返事は?』

 

 僕がそんなことを考えていたら涼香が答えを急かしてきた。本気で考えているのだろうか。だとしたら気楽に答えて良いものではないと思うし。

 

『うーん。どうだろう。逆に質問で申し訳ないけど、涼香にとっての僕ってどういう存在なの?』

『答えなきゃダメ?』

『いや、無理にとは言わない』

『じゃあ、それで』

『わかった。んで、涼香と付き合うという話なんだけど、それは今までの関係と何か変わってしまうのか?』

『どういうこと?』

『正直僕は今の関係が居心地がいい……』

 ここまで打ち込んで、それは涼香を傷つけるかも知れないと思って文章を消してこう入力して送信した。

 

『大人になるってこと』

『えっち。でもきーちゃんとならそういうのも良いかも知れないわね』

 

 そのメッセージを読んで僕は少し想像して固まってしまった。そして必死に返信内容を考えていたら先に涼香の方からメッセージが飛んできた。

 

『冗談に決まってるでしょ!きーちゃんはそういうのじゃないから』

『だよな。それじゃ、そろそろ寝るぞ』

『うん。おやすみ』

 

 涼香は何が心配だったのか。まさかとは思うけど春日部さんに僕を取られるとでも思ったのだろうか。それなら心配ないくらいにキッパリと断られた訳だけども。今でも耳にこびり付いているその言葉。

 

「私はあなたの憧れ?」

 

 その問いに僕は答えられなかった。憧れ。確かにそうなんだけども憧れが恋に変わる事はないと思ってしまったからだ。そして、それを見透かしたように春日部さんは僕にこう言った。

 

「あなたのそれは恋じゃないわ」

 

 そう言われて僕は黙ってしまった。そして春日部さんはその言葉を僕に贈ってその場を去ってしまった。

 

「憧れは恋じゃない、かぁ」

 僕は何かを掴むかのように天井に手を伸ばして呟く。そしてさっきの涼香とのやりとりを思い出す。僕にとっての涼香は何者なのか。少なくとも憧れではない。だったらなんだ?幼馴染という関係以上のなにか。今の僕にはそれ以上の答えを持ち合わせていなかった。

 

 翌朝。朝ごはんを食べていたらインターホンが鳴ったので出てみたらカメラの先には制服を着た涼香が立っていた。

「どうした?学校に行くにはまだ少し早くないか?」

「早く目が覚めちゃったから。時間まだあるからそっちに行っていい?」

「構わないけど」

 そしてオートロック解除のボタンを押したら、母さんに話しかけられた

「涼香ちゃん?」

「そう」

「ふうん。きーちゃん、昨日何かあったでしょ。涼香ちゃんが気にかける時って何かあった時だから」

 こういう時、母親というのは鋭い。僕はなんでもないよ、と答えてから玄関の方に行って涼香が来るのを待った。

「きーちゃんおはよう」

「おう。おはよう。まだ時間あるから上がっていくか?」

「うん」

 そう言って涼香はリビングのソファに座って朝の情報番組を見始めた。

「あ……」

 僕がそう声を漏らしたのは、テレビに涼香が推している樫野宮が映っていた。今月から始まる連続ドラマに抜擢されて、その番宣に出ているようだった。

「健吾くん、格好いいなぁ」

「あら、涼香ちゃんは樫野宮くんの事知ってるの?」

 母さんが横から口を挟んできた。

「はい。最近の私の推しです!」

「そうなの。サインくらいなら貰って来れるけど欲しい?」

「え?良いんですか!というよりお母さんと健吾くんってどういう関係なんですか⁉︎」

 それは僕も知らない。でも幼稚園の時に一緒にオーディションに出たくらいだから親同士の付き合いはあってもおかしくない。と思っていたら案の定、ママ友同士という事だった。

 

「あー、今朝きーちゃんの家に行って良かったぁ。サインですって。さいこー!」

「そんなに嬉しいのか。ってか、ママ友って言ってたんだから実際に会って直接サインもらって、ついでに握手でもすればいいのに」

「そんな事したら心臓止まっちゃう」

「握手でか?」

「それくらいに憧れてるの!」

「そうか。それじゃ、手を出してみて」

「なに?」

 そう言って僕の言葉に素直に従ってきたので、僕はその手を両手で包み込んでみた。

「なに?」

「僕からのプレゼント」

「はい?」

 そして僕は手に持っていたソレを涼香の手に渡した。

「え?え?なに?何を渡してきたの?」

 今やっている事は僕にとってどんな行動なのか。涼香が喜ぶことがしたかっただけかも知れない。でも涼香の笑顔が見たくてソレを涼香に手渡したんだ。

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