表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

正義マンズ

困っちゃうー。

ピラミッドの奥には、誰にも知られていない秘密の部屋があった。


その扉がバゴンと開いたとき、わたしたちは思わず声を上げた。


「うわぁ……なにこれ、めっちゃ映え……!」


そこはまるで、古代と未来が融合したような——巨大なコスプレ更衣室だった。


天井まで届くラックには、あらゆる時代と次元の衣装たちがずらり。

ギラギラのアーマー、セクシーなチャイナドレス、修道服、戦闘用ビキニ……。

武器の棚には、鞭、三節混、魔導ライフル、金色の算盤……。


それはまさに、聖女たちの魂をお色直しするための、異界のドレッサールームだった。



「やっば……これ、ぜったい着るしかないやつじゃん……」


先に飛びついたのは郁子だった。彼女は迷わず、

あの伝説のくのいち「不知火舞」の衣装を手に取った。


深紅の紐を胸の谷間にからませながら、彼女は言った。


「ふふっ。わたし、いまから“鬼丸おにまる秘密子ひみこ”だから。」ボヨーン☆


その目は、完全に“目覚めた”女子のそれだった。



「ま、郁子がそれなら……わたしはこれ、いくわ」


薬子はすっと棚から、白いタンクトップと黒のミニスカ。

FF7が誇る伝説の格闘娘の衣装。そしてゴツい三節混を引き抜いた。


「ティファよ、ティファ。……いや、いまのわたしは

京極きょうごく理趣子りすこ”ってことでよろしく。」バイーン♥


たしかに、そのむっちりボディはティファを超えていた。

まさに“戦う理趣経”そのものだった。



そして最後に現れたのが、紅葉先生。


「わたしは……これでいこうかな」


そう言って彼女が選んだのは、目隠しをした聖女

——ゴブリンスレイヤーの“剣の乙女”の衣装だった。


そのまま、白くひらひらした布地に身を包み、銀色の聖なるライフルを構えた。


「ふふ……いまのわたしは、“電通でんつう起信子きしこ”よ。」アハーン♡


その声は、かつて魂を焼かれたことのあるすべての者を癒す、慈愛の音だった。



三人は、それぞれ異なる時空の“聖女兵装”をまとい——


ゆっくりと、光の差しこむピラミッドの廊下を進み出した。


その背中に、砂嵐がさざめきながらこう囁く。


——これは、時に悪役であることもいとわない聖女たちの物語。


悪役聖女、爆誕である。



更衣室を抜けた先に広がっていたのは、信じられないほど巨大な闘技場——。


そこはまるで古代ローマのコロッセオと、

古典が並ぶ本棚がフュージョンしたような異空間だった。


「なにここ……エモすぎてヤバ……」


理趣子りすこが呆然とつぶやく。


その中央に、三人の屈強な男たちが立ちふさがっていた。


筋肉、スーツ、哲学、理性。……いずれもパンチの効いた“おじさん”たちである。


「こいつらを倒さないと、先に進めないってわけね」


秘密子ひみこが、赤い鞭をぺしぺし鳴らしながら不敵に笑う。



そのとき、一人目の男がうなり声をあげて突進してきた。


ロールズ「我が正義を食らうがいい! 無知のヴェール!」


そう叫びながら、男は分厚い布のようなものをばさっと振りかざしてくる。


「ちょ、なにそれ!? 布プレイとか自称正義マンのくせに変態じゃん!」


秘密子ひみこはムチムチの太ももでくるりと回転し、鞭をピシィィィンと叩きつけた。


「ムチムチの愛の鞭ですわ!」


布は空を切り、ロールズはそのまま鞭でグルグル巻きにされて地面に沈んだ。



「次っ!」


二人目の男が前へ出る。


サンデル「負荷なき自我ァァァァァ!!」


叫びと同時に、透明な鎖のような概念が空間を縛りつけてくる。


「自我を固定しろ……選好は正義の中でのみ実現される……!」


「うっざ! 何もかも制限してくるの、マジ昭和って感じ!」


理趣子りすこは、黒光りする三節混を構えた。


「この! この! このハゲー!」


バキィッ! ガシィィィンッ!!


透明な鎖はすべて叩き斬られ、サンデルはショックのあまりその場でハゲた。



「最後の一人……なんかバフってない?」


三人目の男は、筋肉がモリモリと膨れ上がりながら叫んだ。


ノージック「自由最高!アナーキー! 国家! ユートピアぁぁぁぁぁ!!」


オーラが爆裂し、筋繊維がズドドドドッと震えだす。


「全然自由じゃないし!てか、なにこの脳筋マッチョ!?」


起信子きしこは、目隠しをしたまま静かにライフルを構えた。


「あなたの自由、ちゃんと愛に向いてますか?」


バンッ。


ライフルから放たれた一発の光は、ノージックの巨大な胸板を貫き

——その中心の、小さな小さなハートを撃ち抜いた。


静寂。


男たちは倒れ、コロシアムには風が吹いた。



「勝った……?」


「うん。悪役聖女って……最強じゃん」


ボヨヨーン。


聖女たちはしなやかに髪をなびかせながら、勝利のポーズを決めた。


——次のステージは、もっとジャスティスな何かが待っているかもしれない。

イメージソング。

乃紫 (noa) 「全方向美少女」。

https://youtu.be/1qxsgGso_sE?si=MySc3kSPG2qasG0c

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ