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1.改めまして

 日本の文献に残る、鬼という記録。


 鬼のイメージとしては、角が生えており、虎柄のパンツを履いている。そして強く、恐ろしい妖怪ということ。


 鬼を社会的に表現するならば、悪という理解なのだ。


 しかし鬼とは、朝廷に反発した者たちを揶揄する隠語である。


 鬼以外にも、土蜘蛛や牛鬼など様々な蔑称が存在する。


 僕は、妖怪というものをよく知らない。架空の物語のキャラクターなのだと思っていたからだ。


 春の陽気に当てられて、つい朝寝坊をした。


 今日から僕は、藍王中学の一年生になる。入学式に遅刻して、慌てて近道になりそうな路地に入った。


 方角は合っている筈なのだけど、見たことのない景色が続く。


 どこだここ?迷子になってしまった。


 おかしい、住宅街を走っていたのだが、スラムのような場所へ着いてしまう。


 スマホは圏外だし、どうしたものか?


「近寄るな」


「ぐへへっ、可愛いおなごだ」


 目の前で緑の透明な羽織を纏った少女が、小袖を着流す柄の悪い中年に追い立てられていた。


「何が目的だ?」


 己に向けられる悪意に初めて直面した少女は、後退りをしながらも、男たちに強く問いかける。


「何って?そりゃあナニだ」


 下品に笑う三人の男たちから囲まれた少女は、悔しそうに刀を抜いて牽制する。


 しかし男の一人は、手をワキワキさせながら、恐れた様子がない。


「馬鹿にしているのか?私を誰だと…思っている」


 少女の怒った様子を見て、男たちは大笑いした。


 それを見た少女は、男たちを強く睨み付けて刃を向ける。


「刀の持ち方も知らない貴族の娘みたいだな」


 少女はアッと驚き、男から刀を奪われた。


「この刀値打ちモノだぞ、俺のモノにしよう」


「ズルいそ、俺が先に目を付けてたんだ」


「違うワシのモノだ」


「返せ!その刀はお祖父様から貰った大切な」


 男たちは、刀を奪い返そうとする少女を、羽交い締めにして殴り付ける。


 涙を流す少女は、周りの住民へ助けを求めた。


「誰か助けて、礼なら必ずする。だから誰か…」


 しかし誰もが見て見ぬ振りをして、助けるどころか目を逸らす有り様。


 僕は悪漢に向かって、遠い距離から石を投げてみた。


「痛っ、誰だ。石を投げたのは?」


 その拍子に落とした刀を拾い、少女の手を取って駆けた。


「ぶっ殺してやる」


 怒りに満ちた男たちが追われ、縦横無尽に走り回る。


 ひと気のない場所へ隠れて、何とかやり過ごす。


 ふぅー、もうダメかと思ったけど、もう大丈夫のようだ。


 男たちは、刀やらナイフを普通に持ってたけど、銃刀法違反じゃないのか?


 でも、ここはどこなんだろう?

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