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森エルフと見習い騎士の模擬戦

花飾りのお礼で、俺を込みで場が和んでいた。姫様とは仲は良いと思うけど、メアリーさんは割と、はじめの頃から俺にあたりが強かった。沢山、叩かれたし、未だあだ名の種類は増え続けているが、和んでいる時のメアリーさんの笑顔は姫様にも負けず劣らずの素敵な表情だと俺は思っている。


全ては森エルフの彼女のおかげなんだけど、メアリーさんや姫様より頭ひとつ分程、小さいから妹に見えなくもない。まるで三姉妹だな。


しっかり者で、気が強い長女メアリーさん。


純粋で世間知らず的なところもあるけど、博識で努力家な面がみえる次女の姫様。


まだ謎だらけだけど、仕草が可愛く二人に癒やし効果がある三女の森エルフの彼女。


そうだ。言葉が理解できなくて名前を聞いていなかった。彼女に名前を聞いてみたが、やはり言葉が理解できなく、姫様の羊皮紙に書いてもらったが文字化けをしてしまった。


「カリンちゃん。」


メアリーさんが突然、彼女の名前はカリンだと言い出した。


「名前がわからないから仮でつけたのよ。仮でカリンね。」


まあ、彼女が耳を動かして小さく飛び跳ねているから、名前はそれで良いと思う。


「まあ気にはなる。」


和んでいたのだが、やはり二棍流のイメージがわかないと、メアリーさんの下僕スル・メを呼び出した。


カリンとの模擬戦。


カリンが本当に俺とともに魔石集めの業務が務まるのか試しにスル・メと模擬戦をして見極めるらしい。


当然、手加減はしてもらう。あくまでもカリンの装備が機能するか確認する名目だ。


場所を露店が並ぶ広場に移した。中央で木剣を構える、

スル・メ。それに対して棍棒を空に翳しているカリン。

流石に通行人や露店店主達の目を引いてしまった。


「皆、好きだな…」


賭け試合。商人達はメアリーさんに内容を確認し、承諾を得ると一気に広場が熱気に満ちた。


「娯楽…これは娯楽よ。」


俺と姫様にそう説明するメアリーさん。そんなものなのか、わからないけど、あの詐欺女神も欲は強かったな。


姫様はスル・メの器用さだけは気を付けてとカリンに助言している。デラーズ流派の剣術でありながら他流派にも精通しているスル・メ。未熟さは器用さでカバーしてくる。


まあ、賭けの倍率にも出てるな。


「スル・メ」 1.8倍

「カリン」  2.9倍



        ……………………


(いきなり呼ばれたから、他の隠し財産がバレたと思ったけど…この子と剣術ごっこか。)


スル・メは騎士見習いモードに即座に切り替え木剣を構える。しかし、さすがのスル・メも二棍棒で構えるカリンに困惑してしまう。


彼女の獲物は果たして機能するのか。悪いが、あの娘の体格で扱えるとは思えない。


「娘の砦で何が悪い砦。がお届けします。騎士対森エルフの模擬戦を開催致します。」


姫様の宣言に狭い広場が更に熱気をました。そんなに顔を赤らめるなら、始めから宣言辞めたらいいのに。


それより…娘の砦で何が悪い。って名前なのか…この砦。


姫様の宣言は観客達と同時に対峙しあう二人にも始まりを告げた。


(攻撃は打撃のみ。しかも抵抗力を感じ取れるほどの面積…間違いなく、彼女の初動は遅れる。)


スル・メは恩恵の【算術】で一気に勝ち筋までを計算する。皆にはどう見えているのだろうか。スル・メの目には大量の数値が具現化されている。


(ふ。身長差からの接近、振り下ろしだと思うだろう。

悪いけど俺は単純計算は昔に捨てたんだ。)


デラーズ流遊撃・地走剣。


スル・メは目線でフェイントを入れて地を這うように低姿勢でカリンめがけて前進した。カリンより低い姿勢。

その手に握る木剣は何を狙う…


「おか、おかしいよ!」


地走剣に対してカリンは動じず、左手の棍棒を地面に叩きつける。


大地の怒りか…はたまた大地のお遊びか。


棍棒に叩きつけられた地面は広場中央に地割れを見せつける。しかし、スル・メは算術済みだった。地割れ攻撃を回避し側面に進路を変えて地走の速度をあげた。


しかし…今度は右手棍棒が地割れで隆起した場所を振り払う。その衝撃に触発された隆起物は無数の石礫となりスル・メに襲いかかる。


「おかしい。」その言葉とともにスル・メは広場の壁際に吹き飛んでしまった。


「ごほっ…おぇ」


口から流れる血を見てスル・メは、なぜ二棍棒を一棍棒で計算してしまったか後悔した。


(二段構えは…基本だろう。)


飛び道具としても機能するカリンの二棍棒術。情報量に過ちがあった。その過去は変えられない。


「だったら、今から漬けてやるよ頭に!」


スル・メの意思表示の叫び。変わる時がきた。俺は新たな計算術式を今この場で身につける。


しかし、無情は誰の意思にも関わらない。スル・メが吹き飛び体制を立て直している時にカリンは既にスル・メめがけて走っていた。二棍棒の先を地面に振り下ろし、その反動を利用し空に高々と飛び上がる。


身長は関係ないの。


そんな言葉を言いたいのではないのだろうか。スル・メめがけて降ってくるのはカリンの……踵。


スル・メは壁に吹き飛んで、今度は地面にめり込んでいた。


(メ、メアリーさん…神聖術ですか。ありがとう……)


意識が朦朧とする中でスル・メは思う。


俺の計算は何処で間違えたのか?と………




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