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闇市1

俺はゴザス側から外に出ようと歩いていた。メアリーさんへの悪口が止まらない自分も、どうかと思うが、愚痴りたい。


「あ。カイロ様。どちらへ?。」


メだ。商業関係を任されたメだ。嬉しそうな顔で俺に近づいてくるから俺はメに先程のメアリーさんの態度を愚痴りに愚痴った。


しかし、止まらない俺の愚痴は思いもせぬ方向へ、話が進みだした。


「旦那。それは大役ですぜ。」


旦那?。……それは俺の事を指しているのか。突然、口調が切り変わったスル・メ。本人はスル・メ商人の時はこんな口調になると言うのだが、学がない俺は良くわからなかった。


「この状況で、魔石集めとは大役の大役ですぜ。」


スル・メ商人は、自分達が砦を維持するにはお金と人材が重要だと言う。必ず商売人の往来は行われる。その商人達を足どめし、この砦内でお金をまわしシャバ代を俺達に上納させる。


全然わからないが、それには魔石が必要だと言う。魔石は魔族共の身体強化を著しく向上させる。人間はそれを阻止する為に魔石集めをしギルドの系列の店が買い取る。また武器防具等の錬金にも使用する為、魔石の取り扱いは人類の生活基盤の高い位置にある。


良くわからない。


「旦那〜。魔石集めて、格安で商人に売れば間違いなく商人どもは、この砦を中心に働きやすぜ。ギルド規定の相場はありますが、状況が状況だ。非合法…闇市やっちゃいますか。」


本当に良くわからない。


「こちらの経費なんて旦那が魔物倒すだけで、0経費でやんす。タダでも利益でますぜ。旦那は魔物を倒して、おいらが売りさばく。旦那の報酬は砦に帰ってきても大丈夫。でどうでしょう。悪い話しじゃねえと思いやすが…」


確かに帰れるのは良い話しだ。


「ほ、本当に帰ってきても大丈夫なのか。」


「おいらに任せて下さい。姉御には話し通しておきやす。」


スル・メ商人の話しのあと、俺の愚痴はなくなり晴れ晴れした気分だった。


「やっぱり、塁壁とかあると便利よね。」


メアリーと王女様は見張り塔から森を見ている。

北側のゴザス地帯。南側のデラーズ地帯。その国境に位置する砦。東西には森が地平線まで続いている。


「あ。薬草殺し発見。」


「あれが勇者さまですか。」


東側の森の木が大きく揺れている。そして土埃が高々と舞っている。メアリーは姫様に、薬草殺しはいちいち戦闘が派手だから高台があれば場所くらいわかると説明していた。


その日の晩、俺は森での魔石集めをやめ、砦に帰ってきた。ずっとゴブリンだと思っていたら、ダブルヘッドゴブリンだった。あいつ等、顔が2つあるから沢山いると思わせぶりだけで魔石は1つなんだよな。詐欺ゴブリンだ。


砦内では数人の商人達が暖をとっていた。ゴザス地帯にデラーズ地帯行き来し合う商人達。顔見知りもいるのだろう。木製の皿に干し肉をのせ、お酒の代わりにただの水を飲む。それでも会話は途切れることもなく花が咲いていた。


「旦那。旦那。」


宿舎の物影から俺を手招きする見覚えのある顔。早朝に見たときより、だいぶ目元が緩みだらしない印象なのだが、間違いなくメだ。


「魔石どうでした?。」


俺は集めて来た魔石をメに渡した。手渡された魔石を眺め鼻の下を伸ばすメ。あくまでも早朝時の顔を思い出しながら見ているのだが、何とも信用に足らない表情を見せてくれた。


「これは、稼げますぜ旦那。」


詐欺女神が魔石を売り払っている所を見た事はない。本当に金になるなら、俺の泣け無しの給与を取り上げたり男をたぶらかして部屋に連れ込んだりしないだろう。


魔石が高値で売れるなら、詐欺女神は大量の魔石を保有していたんだ。俺から13年間、むしり取った。


俺はあの狭い宿部屋で魔石を見たことがない…


「兄さん。これは詐欺魔石か?」


メは、俺が渡した魔石を露店跡を改修し夜な夜な魔石売り店を開業した。商人らが素泊まりする砦の広場で、商人相手に商売を始めるメ。実に胡散臭い表情をみせている。


「詐欺魔石?馬鹿言っちゃいけねぇぜ。正真正銘の天然ものでい。」


本当に胡散臭い。15歳の時に、あの街の露店で勇者の剣が売っていた。俺はどうしても欲しくなり、最初で最後の駄々を詐欺女神にこねたんだ。


「私の中には勇者はいない。」


あの言葉。当時の俺は女神様が勇者は居ないと言う事を信じ、あの露店のオヤジに「嘘つき」と文句をたれた。

オヤジは「騙されて買えば良いものを」と愚痴っていたが、あの時のオヤジの胡散臭い表情を既にメは超えていそうな面構えだ。


「兄さん。悪いが俺は【魔石鑑定】のスクロールがある。本物なら使用しても文句はねえよな。」


どうぞ、どうぞ。メは胡散臭い笑顔で魔石を客商人が広げたスクロールに置いた。


ゴブリン・75石。

ダブルヘッドゴブリン・26石。

ケンモドキスネーク・8石。


「…本物か。」


商人達はケンモドキスネークの魔石にくらいついた。


「兄さん。本当にケンモドキスネークが金貨1枚か?それにダブルヘッドゴブリンが銀貨5枚。ゴブリンが5石纏めで銀貨3枚。本当に間違いないのか?」


メが商人達の問に頷いたら、先程まで仲良く食をともにしていた商人達が水しか飲んでいないのに、酒場の酔っぱらいのように暴れ出した。


静かな夜に叫び声が響き出した中、まいど、まいど、とメの嬉しそうな声が聞こえた。


メに後から聞いたのだが、安い相場時期の最低額で計算しても、それの3割ほどの販売額だそうだ。


意味がわからないが、格安と言われて俺は格安の言葉を気に入り喜んだ。翌朝、商人達は北へ、南へと嬉しそうに旅立っていった。不思議な人達だ。仲良くして魔石で喧嘩をし、そして朝に笑顔で旅立っていく。


商人は良くわからない。


「兄さん。やりましたよ。ガッポガッポのガッポリゴブリンですよ。」


昨日から、スル・メも心底わからなくなってきた。



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