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見習い騎士の激闘話し1

「スクロール残量0。隊長…指示を!」


初めて見た。デラーズ王国の兵器か。それとも大陸全土に普及しているものだろうか。塁壁の上から殺気と共に高速で岩の塊が俺を直撃した。


まあ、避ける程の脅威を感じなかったからだ。俺に直撃後に巻き起こった土埃。その埃が晴れた時、兵士達は更に殺気を強めた。


結果、塁壁の上からの石礫の攻撃が数分間続いた。

まあ避ける程の脅威ではない。


「スクロール砲が効かんだと…」


頭部を守る兜に何の意味があるのか分からない、鶏のトサカみたいな飾りを兜につけている男は、手をかざし兵士達に指示を出している。


「この間者は、防御特化型の恩恵タイプだ。攻め続けろ!既に砲撃で恩恵力の消費は激しいはずだ。」


「はっ!」


何を言っているのだ。今、俺は兵士達に袋叩きにされている。しかし、槍や剣が俺に触れているだけで正解には

袋触りだ。


(対人戦は、やはり魔物戦とは勝手が違うな…)


「はぁはぁ…こいつは底無しの恩恵力か」


攻め疲れた兵士達は俺の前で膝をつき息切れを起こしている。魔物にも偶にいるが、他が機能しなくなった時にひとり立ち上がり、無駄に抵抗してくる者が…


そういうのが人気あるのかな?


「俺達の故郷に踏み入る事は俺が許さない!」


う〜ん。ひとりで頑張って、ひとりで斬りかかるのは良いのだが、折れた剣を見ながら絶望感を出すなら、無駄に立ち上がるのは、辞めてもらいたい。


「これじゃあ…内部偵察できないよ。」


俺が反撃しないから、兵士達は砦内に戻り関所入口の扉を閉め、塁壁の上や見張り塔の上に松明をともし、外の俺を見ている。


すっかり、辺りは暗くなってしまった。


          …………


痛い。痛くない!


暗闇が支配する時間。俺は砦を観察していた。そして、背後から殴られたのだが、この優しい叩き方はメアリーさんだ。


「こっちにきなさい。薬草殺しの獣臭。」


小さな焚き火を囲むように、王女様達が木を背に座っている。周りを見ると複数の焚き火と人の気配がする。

どうやら夜間の関所通過は無理らしく早朝まで砦近くで野宿するらしい。


スル・メは既に寝ていた。どうやら移動中に、ゴブリンの群れに遭遇したらしく、味方オーク面さんは王女様から剣を拝借しメアリーさんと共に戦ったそうだ。群れの規模は十数匹。2人で余裕があったらしい。しかし、王女様を護衛していたスル・メは王女様の守りに全力だった。


ここからは王女様がスル・メの頑張りを教えてくれた。

あくまでもスル・メの話しが元になっていると前置きをして語りだした。


2人が前線でゴブリン達を蹴散らしていた時に後衛で、私を守るスル・メは運悪く一匹のゴブリンと対峙してしまった。しかも、ゴブリンは素手だった。大半は石斧や棍棒を持ち歩いているのに対峙したゴブリンは素手だったそうだ。


スル・メの恩恵は【算術】。彼は元々、王国の街商人の次男。商人として大成していくのが一般的な考えなのだけど、幼い頃に騎士団の凱旋パレードを見た時から、憧れを持ち。騎士の道を選んだ。


たとえ見習いでも騎士になることは簡単ではない。彼は努力してした。


(スル・メは努力家なのか。)


戦闘系の恩恵ではない彼は努力のみで剣術を学んだ。しかし、騎士達は基本、恩恵は戦闘向きだ。だから彼は戦闘面ではどうしても遅れをとる。


そんなハンディキャップをスル・メは恩恵の算術で自分と相手の行動や考えを計算した。


そして、その算術は今回のゴブリン戦でも活かされた。


(スル・メは俺と違って賢いのだな。)


メアリーさんは、本当に話す気なのかと王女様に質問した。王女様は勿論ですと笑顔で答え、それを聞いたメアリーさんは、頭が痛いから先に寝ると木を背にし瞳を閉じてしまった。


「姫様。お下がりください。このゴブリンは素手です。危険です。」


この素手ゴブリンは恐らく、魔拳の使い手だ。俺の剣技は素手に対して有利と思われている。しかし、それは普通の事で誰もがわかる事だ。


剣対素手…普通なら剣。しかし俺は思う。剣を構える人間に対して素手で現れたということは…


魔拳は武器に対してなんらかの効果がある。魔力による武器干渉…もしくは腐食効果。


「武器は、使えないな!」


そんな感じでスル・メは自身の剣を私に預けた。


「万が一の時は、この剣で御身を御守りください。」


スル・メは素手で素手ゴブリンと対峙する。最初に動いたのはゴブリンだった。


人間の徒歩と変わらない速さでスル・メに向かっていくゴブリンに対してスル・メは無刀流断罪の構えに入った。


「俺も前線から見たがスル・メがまさか、無刀流を習得しているとは思わなかった。こいつは陰でも努力しているんだ。」


味方オーク面さんの言葉に王女様は微笑み。再び話しを始めた。


あくまでもスル・メの話しが前提で…






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