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詐欺女神2

初めて魔物倒した時の事は忘れない。

真夜中…しかも雨が強かった。視界が悪すぎるなか俺は街から少し離れたゴロタ場で一匹のゴブリンに遭遇した。


1年間観察したんだ。俺は冒険者ではなく、ただの街人だ。鍛冶屋の下働きをし夜な夜な街の外で魔物を1年間観察していたんだ。理由は怖いからだ。暗闇も初めは怖かった。視界が遮られる。静寂の中から突然、物音がするときは背筋が寒くなる。しかし、1年間夜な夜な街の外へ出ていたら暗闇の恐怖は無くなった。他の人がどうかは知らないが俺の夜の視界は日中とあまり変わらなくなっていた。


しかし、それで魔物に勝てるかといえば、そうでもない。恩恵がないからだ。だから待った。そうチャンスをだ。おそらく魔物も天候で身体能力を左右される事が有るだろう。実際目の前に現れたゴブリンは群れではなく単体だ。普段、こいつ等は団体で行動している。この大雨で、このゴブリンは群れから逸れた可能性がある。

そして細い。ゴブリンの群れに序列があるのはわかっている。群れの長は太く、装飾をする。自分が偉いのだと周囲に見せつけたいのだろう。

しかも、大雨でゴブリンの嗅覚が機能していないようだ。以前、ゴブリンの群れを観察していた時は突然、全ゴブリンが俺が隠れていた岩を見たんだ。暗闇に光る紅の眼光が一斉にだ。死にものぐるいで逃げた。一匹のゴブリンが逃げる俺へ弓を放ったんだ。左肩をかすめただけなのに、その日から1週間程、発熱が続いた。意識朦朧とする中で詐欺女神に神聖治癒を頼んだら、教会に行けと言われた時は驚いた。


逸れたゴブリンは何か叫んでいたが大雨のせいで掻き消されていた。これなら俺の足音も誤魔化せると思い。

一か八か斬り込んだ。

大雨が俺の足りない経験を上手くフォローしてくれた。

倉庫から持ち出した剣を振りあげた時に柄が濡れていて俺の手から離れてしまった。しかし奇跡的に俺からは離れた剣の刀身はゴブリンの腹部に刺さった。しかも刺さったあとも勢いは止まらずゴブリンごと背後の岩に突き刺さった。


結局俺は、斬り込んだだけで雨で滑って手元から離れた剣が奇跡的にゴブリンの腹部に刺さり吹き飛ばした。

雨と下働きしている頑固者の店主の目に叶わなかった倉庫の剣が助けてくれた。


魔物ごと岩に突き刺さる程の強度と切れ味なのに、店頭に並べないなんて、この剣も可哀想な境遇だな。


俺はゴブリンが俺を認識できるほどの距離まで近づいた。岩を背に腹に刺さる剣で身動きが取れないゴブリン。人間に襲われた。悔しかったのだろう。剣のせいで自身の身体は浮き上がっている地につかない脚を必死に動かしていたが、数分後にその動きはとまった。


そして暗闇の中で紅に光る目の輝きも消えていた。


ゴブリンが息絶えると彼の身体は塵となり消えた。雨粒にも負けぬように空に向かい塵が舞いあがった気がしたが、もしかしたらゴブリンの最期の抵抗だったのかもしれない。


魔石を見たのはこれが初めてだった。指先でつまめる程の小さな結晶。少し指先に温もりを感じるた。


俺は嬉しかった。この魔石の結晶があれば俺の恩恵の文字化けとやらが解除されると思った。だから俺は街の宿にいる、あの詐欺女神のところまで走ったんだ。


俺の借りている宿部屋に俺は入るのを躊躇った。おそらく詐欺女神が護衛の者と相談しているからだ。女神にも事情があるのだろう。女神は恩恵を授けた後に天界へ帰るものだが、彼女は俺の為に地上に残り俺をフォローしてくれる。だから事情説明の為に色々な護衛の男達が代るがわる女神の前に現れている。


そう、当時の俺は思っていたんだ…


男を騙し金を摂っていたなんて…俺は知らなかったんだ!


思い出すだけで腸が煮えくり返る。


あの詐欺女神だけは本当に許さない。

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