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聖剣とはなんですか?9

「これが、俺の末脚だ!」


俺は、街道の坂道の駆け上がり、先に見えた集落に出し惜しみなく末脚の力を解放した。


もちろん、俺がこの勝負を制した。


圧倒的な勝利だ。誰も俺の覇道は止められない。


「スル・メ君だっけ?駄目よ。変な気にあてられたら

身が持たないわよ。」


突然、俺達の勝負に乱入してきた裸の男。名はスル・メと言うのか、あいつは乱入してきた割には…駄馬だったな。


な、なんか上手く走れない。


そう言いながら乱入早々に街道から外れて道端の岩に顔面を強打していた。


駄目だな。まあ盛り上げる演出としては、良かったかもしれないが。


「うん。時間的に今日はこの集落に泊まりましょう。」


メアリーさんはスル・メ君の顔に神聖術を施しながら、

味方オーク面さん達に確認をとっている。


俺はまだ走れる。


そうアピールしたが、メアリーさんは俺に手を上下に動かしながら、こっちに来るなと目を細めていた。


先輩冒険者の指示に従おう。


「人の気配がしないな。この集落。」


味方オーク面さんの言葉にメアリーさんは何か考え込んでいる。


建物自体は前日まで世話になっていた農村と似ている。

集落の規模は見渡すかぎりだと、あの農村より小さく感じるが、井戸周りにはタライ等も置かれている。それに地面には足跡も残っている。


メアリーさんは皆に武器を構えてと言った。味方オーク面さんは既に折れた剣を構えていたが、王女様は異様な静けさに腰に帯刀している剣の柄を掴みながら周りを何度も見回している。


スル・メは顔の傷を癒やしてもらった後に、直ぐ様、王女の近くで剣を構えた。


王女に鎧を着用しなさい。と言われても頑なに拒否していた。


「俺の鎧は俺の高みを、ただ遮るもなり。」


それを聞いた王女様は「まあ」と驚き、メアリーさんは無言で俺を睨んでいた。


メアリーさんは、そんなに俺と仲良くなりたいのだろうか。まあ俺は聖剣のためにも仲良くはしたいと思っている。


「痛い!…やっぱり痛くない。」


俺は背後から突然、農具で殴られた。しかも、知らない老人にだ。


見知らぬ老人は手が震えていた。そして小さな声で、

すまねぇと呟いた。


その老人の背後から村人達が、農具を構えながら

ゆっくりと近づいてくる。まだ幼い男の子も何人かいる。


村人達が俺達を囲んで各々農具を向けている。でも不思議と俺は殺気を感じない。どちらかと言えば恐怖心に近いものを感じる。俺が魔物を観察していた時のように、どうしたら良いか分からない。そんな表情をしている。


「そういう事か…」


味方オーク面さんは何かを察したかのように大きな声で叫んだ。


「ドーガン。お前等の仕業だな。出てこい。」


味方オーク面さんの声は集落中に響き渡る。実に豪快な声量を持っている人だ。


「さすがに、ばれるわな。」


村人達の後ろから王女様達を裏切り襲撃した奴らが現れた。その後ろには縄で縛られた女性達が見える。


「ドーガン。お前…何をしているのかわかっているのか?」


ドーガンと呼ばれ肌に鎧を直に着た大男。背中には両手剣を背負っている。


「ドーガン部隊長。貴方はデラーズ国を裏切るおつもりですか。」


王女様の問にドーガンは唾をはき呆れた表情をしている。その後ろで他の騎士達は縄で縛っている女性達の髪を掴みながら笑っていた。


「裏切る。あ〜裏切るな。裏切るんだが、俺達はお前…

無能な姫様を裏切るんだよ。」


その言葉に王女様は半歩下がり、絶望的な顔に変わる。


「ようやくわかってくれたか。俺達は国には裏切らねぇ。デラーズ領の外で事件に巻き込まれただけの話しだ。まあ死ぬのはお前等だがな。」


「主犯格がぬけぬけと…」


緊迫した現場。さすがの俺も、空気は読める。しかし、

この男の人達はふざけているのだろうか。


「今、緊迫中だからしっかり。」


俺は農具で殴ってきた老人から鍬を取り上げた。


「持ち手、逆です。もう、ベテラン顔なのに農業素人なんですか。」


老人に鍬の握りかたを説明した。逆手だと振り下ろす時に、柄の尾の方が聖剣を直撃してしまう。


「あなたも逆!」


本当に、この農具を持っている人達は農家さんなのだろうか。取り扱い方がまるで素人だ。


まあ、俺もつい先日まで素人だったが、あの農村の人達は優しくて仕事も良く教えてくれたからな。だから俺も優しく教えなければ農家さんに申し訳ない。


皆、震えているな。あまり極限まで緊張したら本来の実力が発揮できなくなるのに。



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