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聖剣とはなんですか?8

「メアリーさん。あの…裸の方は、何をされているのでしょうか?」


王女様は馬車の荷台から俺を不思議そうに見ている。

俺達はデラーズ王国の王女様一行と壊滅した騎士団の遺品を探す旅に同行することとなった。内容は味方オーク面さんと遊んでいたから、正直良くわからないが、メアリーさんが決めた事だ。


だから俺は反対はしない。


「たぶん…馬と馬の気持ちで勝負したいだけよ。見ていると疲れますよ王女様。私は出会って2日目に疲労で数日間寝込みましたから。」


メアリーさんの予想は正解だ。俺は正直、馬より速い。しかし馬をこんなに間近で見ることはなかった。

だから知らなかった。馬が4足の歩法だと。俺は2足だ。これはフェアな勝負ではない。だから俺は今、両手を地面につき4足のつもりになり勝負している。互角だとは思うが、この馬は知らないだろう。俺の全力の末脚の爆発力を。


(ふん。鼻息が荒いぞ馬よ。俺はまだ本気をだしていないんだぞ。)


馬との勝負は荷台のメアリーさん達が見守ってくれるだろう。


「指南役。あ、あの間違えていたらすみません。あの変な裸の方は…複数の流派に通じているのでしょうか?」


俺の勝負を一行の最後尾で見守っている。味方オーク面さんと…見習い騎士のスル・メさん。2人は流派について語りだした。


「ほう。気がついていたかスル・メ。目が良いじゃねぇか」


味方オーク面さんに褒められた見習い騎士のスル・メさんは嬉しそうな顔をしている。


「最初に、彼が構えた型は間違いなく。デラーズ王国式剣術の星の構えだ。だから俺は裏切ったあいつらの増援かと思った。」


スル・メは頷いた。


「でも、突きまでの動きはデラーズ王国式剣術の型にはありませんでした。」


味方オーク面さんは良く見ていた見習い騎士のスル・メを見て嬉しそうにしている。


「確かにないな。あれは何方かと言えばレイチェル槍術の型に近い。昔、手合わせした槍使いの動きににている。まあ獲物が剣だから正解かはわからねぇ。」


「剣術に槍術を組み合わせる事は可能なのでしょうか?」


「普通はやらん。だが、彼の脚力は間合いに錯覚を生み出す事が出来ると俺は判断した。」


「脚力の錯覚ですか?もしかして。幻影脚。でもあれは

東国にある島国の幻影一族の口伝技と言われています。」


「ああ、俺も王国の歴史書で読んだだけだが、あの間合いの詰め方は初めて見た。」


見習い騎士スル・メは前で4足で歩く変な裸を見て汗が止まらなかった。自分はデラーズ王国式剣術の稽古で手一杯なのに…どれだけの高みにいるのだと思うと変な裸がとても大きく見えた。


「でも、最後の突きの軌道はデラーズ王国式剣術に戻してましたよね?」


「ああ、あれはデラーズ王国式剣術の一般的な突き技

スタークだ。だから俺は反応できたんだ。」


「しかし、対処後に指南役を襲った衝撃波はなんですか?一点突破型のスタークからあの衝撃波はうまれせん。もし出来る可能性があったとしても突きに対してあの範囲は広すぎます。」


「陽炎流奥義、蜃気楼【絶景】。彼は笑っていたが、これ以外、思いつかん。俺達は初めから陽炎流のテリトリーで戦っていたんだ。突き技までの一連の動きは全て幻だったが俺の仮説だ。スル・メ。お前はどう導き出す。」


スル・メは意識が飛びそうになった。陽炎流…200年前に後継者が自らの幻に取り込まれた。禁流だ。それを扱える者がいる事が既に現代剣術の特異点だ。


「指南役の仮説を…指示します。」


変な裸の本質が分からない。腹の傷は癒えたのに全てを否定されたこの感覚は何なのだろう。


変な裸は何故服を着ない。これも陽炎流のマインドコントロールなのか。とらわれるな。自分を失えば喰われる。


たぶん俺達は試されているのだ。眼の前に突然、常識を打ち破る者が現れたら、お前ならどう対処すると…


「指南役。俺は俺を信じます。」


味方オーク面は、高みへ登る標を見つけた見習いもスル・メの表情を見て喜んだ。


「ガハハハ。行ってこいスル・メ」


「姫様。失礼致します。」


王女が座る馬車の荷台の一部のスペースに置かれた。

スル・メの鎧。先程の戦いで付着した彼の血がまだ真新しく残っている。


「まあ。」


王女様はスル・メの行動に驚き、メアリーは冷たい目線をスル・メへ向ける。


「バカは一人で良いのよ。」


「変な裸殿。途中からで公平ではないが、私も混ぜてほしい。」


俺の横に突然現れた裸の男は俺と馬の勝負に乱入してきた。


(乱入かよ。…でもルールに乱入禁止の文字はない。)


「おい。馬よ。ここからは三つ巴戦だ。気合い入れろよ!」


俺の末脚はまだ眠らせている。この勝負、最後に笑うのは俺だ。




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