聖剣とはなんですか?7
「冒険者よ。助かったぞ。礼をいう。」
散らばった荷を片付けながら味方オーク面さんは、俺達にお礼をしている。
「裏切り…よね。」
メアリーさんの言葉に、味方オーク面さんは頷いた。
他の人達も下を向いている。そして味方オーク面さんは何かを確認するかのように巻髪の女性をみている。
「私から説明するべきです。」
巻髪の女性は姿勢をただし話しを始めた。
「私はデラーズ国第二王女デラーズ・ロロと申します。此度はお助け頂き誠に感謝いたします。」
メアリーさんは目を丸くしている。そしてこのままでは不味いと思ったのか彼女を見ながら片膝を地につけて、
頭を垂れた。
(あんたも…はやく。)
「こちらの騎士はまだ見習いですが、私を想い。旅に同行してくれたスル・メです。」
怪我をしていた男は胸に手を置き、背すじを伸ばしている。
「怪我の回復。誠にありがとうございます。」
「こちらは御者のダイブ・ルです。半世紀以上。デラーズ城で御者をしていますの。」
紹介された黒い帽子の老人は帽子を外し礼をした後に直ぐに王女と名乗る女性の裏側に身を潜めた。
「そして、貴方様が吹き飛ばした男性がデラーズ王国騎士団指南役のクレン・デデです。」
紹介された味方オーク面さんは、頭を垂れている俺の肩を掴んだ。
「久しぶりに強き者に逢えた。お主の剣筋、実に見事な腕前だ。俺の娘を嫁にしてもらいたい気分だ。」
良かった。怒ってない。わかっていたんだ。この人が味方なら仲良くなれると…
俺は味方オーク面さんと先程の戦いの型を互いに説明している。
すごく楽しい。
「さすがに衝撃波には驚いた。ガハハハ!」
「あ、あの二人を外してお話しをしても?」
メアリーさんは俺を見ることもなく答えた。
「是非。」
王女様は俺達を一旦視界から外し話しを進めた。
王女様には直属の騎士団がいた。しかし、今から1年前に王女様が15歳の女神様から授かる恩恵の儀式を執り行うため、デラーズ領の霊長バラガレン山の頂きにある最古の教会へ向かう途中でオークの群れに襲われた。普段ならオークに遅れをとることはない直属の騎士団だったが運悪くオークを率いていたのがオークエンペラーと呼ばれる変異種の魔物だった。
騎士達は果敢に戦い、王女様を逃がして自らは犠牲となりオーク達に餌となってしまった。そして、王女様は運良くデラーズ商会のキャラバンと遭遇し奇跡的に王国まで、帰る事ができた。
恩恵を受けないまま月日は流れ、王族内で恩恵のない王女への政治的立ち場が弱くなり名前ばかりの存在となる。
しかし、王女様は、国での立ち場よりも仲間と共に過ごした時間の証が欲しかった。だから騎士達の遺品が少しでもあればと戦闘があった場所を目指していた。
立ち場的に弱くても民を思う気持ちに賛同してくれた一部の騎士達と非公式の旅に出たが、なぜかデラーズ領から出た所で同行していた騎士達が突然裏切り襲いかかってきた。
「王女様。どうしてデラーズ領…霊長バラガレン山を目指すなかで領地を出たのですか?」
メアリーさんの話しに王女様は「聖剣に守られた街」に寄りたかったと言った。一部の騎士達で噂になっている聖剣のご利益を、ついてきてくれた騎士達に与えたかったそうだ。
しかし、その話しは嘘だったと王女様は付け加えた。裏切り者の騎士に、単純な姫だと言われたそうだ。
「そうすれば、王女様に嘘の噂を流した奴らがいるのですね。」
王女様は小さく頷いた。
「私が目障りな勢力の仕業かと思っています。」
メアリーさんは王女様の話しを聞いて、同行してもよろしいですかと訪ねた。
王女様は、危険な状況に見ず知らずの冒険者さんを巻き込みたくはないというのだが、メアリーさんは笑いながら答えた。
「デラーズ王国の王女様に近づく機会をける無欲な冒険者さんが、いると思いますか?服も買えない冒険者と旅をしている私を助けてください。」
王女様はメアリーさんの言葉を聞いて俺を見ていた。
「確かに、あの方…服を着ていませんわ。」
メアリーさんと王女様は互いに見つめ合い。王女様も笑い出した。少し緊張が解れたのかもしれない。




