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聖剣とはなんですか?5

「ありがとうございます。ゴブリン勇者様。」


俺とメアリーさんは、村長さん達に見送られながら村を出た。あの魔石を全て村に置いていくと言ったら、村人達が泣きながら


「貴方様はこの村の守り神だ。」


と言われた。本当に大げさな人達だ。三日三晩、宴会するんだから。さすがに、ただ飯が続くと都合が悪い。


「本当に魔石…良かったの村人に渡して?」


「ん。魔石は誰かに渡す物だろう。」


メアリーさんの呆れ顔もだいぶ慣れたな。彼女の呆れ顔には悪がない。あの詐欺女神の呆れ顔は恐怖しかなかった。


「あとさ…貴方が魔石を包んでいた布だけど、あれデラーズ国の国章の旗よ。おそらく騎士団だと思うけど。」


「あれは、オークの集落で拾っただけだ。」


「オークね…だからオークの魔石があったのね。」


「でかい魔石は家畜にされていた人達の路銀の為に渡してきた。」


「ふ~ん。デラーズ国ってかなりの大国よ。この大陸なら一番の国力ね。そんな国の国章旗がオークの集落にあるなんて、何だか腑に落ちないのよね。」


「気になるなら、いつか行こう。俺とメアリーさんは楽しい旅をする約束だろ。」


初めてあった時と比べて俺とメアリーさんの会話から、探り合いがだいぶ薄まったと思う。


警戒心が弱まったと言っても大丈夫だ。


「え?私の二つ名。」


マイク教官は閃光剣士と皆に呼ばれていたのだろう。同じ【A】ランクの彼女にも何か有るに違いない。俺は新人冒険者だ。憧れは持ちたい。


「二つ名なんてただのあだ名よ。貴方にも沢山あるでしょ。」


知らなかった。俺は既に二つ名を得ていたのか!


「貴方…街道で泣くの好きね。街道泣きも追加したら?それに泣くくらいなら初めから聞かないの。」


あんまりだ。何が二つ名だ。こんなの悪口じゃないか。


鈍感28歳。薬草殺し。マグレシアンの怪人。自己中新人。初日追放。ゴブリン勇者。品性のない聖剣持ち。

裸。獣臭。


たぶん蛮族の勇者も悪口なのだろう。あの女性の唇の柔らかさだけは信じたい。


「ちなみに、私の二つ名は【風の霊姫】よ。」


メアリーさんに俺は【そよ風の股姫】じゃないのかと言い返した。


2人の隙間は人ひとり通れない幅間だ。しかし動作もなく風の刃で首を狙うなんて凄い練度だ。俺の斬撃にそんな精度はない。


さすが【A】ランク。でも全然、痛くない。


数時間は歩いただろうか。本当は走りたいが、メアリーさんに怒られるから今は徒歩を移動手段にしている。


まあゴブリン退治中に走り回っていたから走れないストレスはない。


「カイロ。人を殺した経験は?」


唐突にメアリーさんは何を言っているのだ。そんな野蛮な行為するわけ無いだろう。


「あるわけないだろ。物騒だ。」


メアリーさんは、少し笑みを浮かべたが直ぐに冷たい目線を前に向けた。そして俺の手を引き街道から逸れ、草むらの中に身を潜めた。


(カイロ。あいつ等なんに見える)


メアリーさんが草陰から指差す先に馬車が見える。馬が暴れているのだろう。土埃で視界は少し遮られているが中に人影も見えた。


(たぶん。強盗の類よ。)


メアリーさんは俺の顔を見て呆れている。既に密着状態だが、彼女は耳元で囁いた。


(強盗もしらないの?そんなお馬鹿さん。本当にまた詐欺られるよ。)


悔しそうな俺の表情を見たメアリーさん話しを続ける。

馬車で移動するのは、富裕層が多い。当然、旅路で魔物や強盗に襲われることは想定する。だから冒険者や自分達の警備隊を同行させるのが通例だけど、あの馬の暴れかたを見たら既に襲われている側に被害が出ている可能性がある。


(どうしたら良い?)


(私は助けに行く。だから貴方は自分で決めなさい。)


助けに行く以上、敵は倒す。倒した相手が死亡したら、敵側には憎しみしか生まれない。だから自分が選んだ正義は最期まで貫く。


(カイロは自分で決めないと、先輩の言う通りにして、人を殺したら貴方は納得できる?)


     だから、自分で決めなさい。


メアリーさんはそう行って馬車に向かい飛び出して行った。



          …………



「加勢します。」


鉄製の鎧を纏う男の側で杖を構えるメアリー。瞬時に敵側の戦略を確認する。


(1…2…6人。)


荷馬車に寄りかかり苦しんでいる男。腹部から出血が見られるが、私の神聖術なら…まだ間に合う。

そして荷台の隅で怯えている女の子。彼女が目的か。


「冒険者か…ランクは?」


「Aだよ。不服かい。おじさん。」


「いや、女神様もまだ見捨ててくれていないと思った所だ。助かる。」


即席で並んだ2人の攻撃が始まる。


(シルフィちゃん…お願い。)


メアリーは出し惜しみはしなかった。瞬時に精霊憑依で

風の鎧を纏う。


(敵の装備も、こちら側と変わらない。おそらく裏切り。それ以外の理由なら…警備が少なすぎる。)


おじさんは体格の良い男に斬りかかる。互いに刃をぶつけながら会話をしている。


(こいつらのリーダー格か…)


「はぁぁ!翔べシルフィちゃん。」


メアリーの杖から放たれる緑色の刃。杖の動きに合わせ軌道を変化させる。


          …………



メアリーさんは俺に決めなさいと言うけど…

ずるい女性だな。

一緒に冒険を楽しむと約束したくせに。メアリーさんだけ苦しんだら楽しくないだろう。


だから決めたんだ。俺は冒険者のメアリーさんの背中を見る。


今、行きます!メアリーさん。








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