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【ショートショート/SF】 誤算

作者: 里瀬

 地球では温暖化が進行し、動植物はこの変化に対応するべく徐々に進化していた。それとは裏腹に、エアコンに依存している人類は、暑さへの耐性が徐々に退化していた。


 その頃、とある宇宙船が、とある青い星の近くにワープしてきた。乗組員らは、高性能の船外カメラに映ったその星に興味津々だった。

「凄い。とても小さな星だけれど、多くの生物が生息している」

「これなんて、とても緻密な巣だ。銀色の直方体が集まっている。巣まで続く道も整えられている。すばらしい」

「はっきりと姿を見せてくれるわけじゃないが、どうやらその巣の住人が星を支配しているみたいだね」

「試しに何匹か連れて帰って育てよう。我らの宇宙生物園で、きっと人気になるぞ」

 宇宙船は星に接近し、銀色の直方体が集合している部分を根元からくり抜き、振動させないよう静かに採集ケースの中に入れた。

 宇宙船は、ワープして星に帰る。乗組員たちは、持ち帰った宇宙生物を飼育員に引き渡した。

 飼育員らは、銀色の巣をピンセットで慎重に分解していった。巣の中に入られると、展示にならないからだ。巣を破壊した衝撃で動かないもののほうが多かったが、500匹ほどは生きているようだ。その生物は実にカラフルな色見をしていたが、四肢の先端だけはどの個体も類似していた。

 次の日、多くの個体が死んでいた。飼育員たちには、原因が何なのか見当もつかなかった。宇宙船は、再び銀色の巣を採取してきた。しかしまた、三日後には全滅した。

「なぜだ。水も餌もあげた。環境も限りなく現地に近づけたはずだ。温度47度、湿度60%に」


 その頃、地球では大騒ぎが起きていた。高層ビルが丸ごと消え去り、その周囲が停電、熱中症で死亡する人が多発しているという事態を、各国のメディアは大きく取り上げていた。

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