第93話 ううう、俺の夢の3億円が・・・
ん? なんかくすぐったい・・・
なにこれ? ううん・・・ヤダ・・・
「ふふふ・・・」
ん? もうヤダ・・・ くすぐったいよ・・・
「ムフフフフ・・・」
ん? なんだ!? えっ?
「あっ、起きた」
美姫?
「おはよう」
「なに? えっ? なにやってんの?」
「えっ? 起きないな~って思って」
「・・・・・・うん?」
なに・・・眠い・・・
「寝ぼけてる?」
「う~ん・・・なに?」
「ごはん、食べる?」
「ごはん?」
ん?
「夜ごはん食べる?」
「夜ご飯?」
「うん、もう7:30だよ」
7:30? 電気ついてるし・・・ 夜?
「無理そう?」
「わからない・・・」
「具合は?」
「ん~ 眠い・・・」
「ふふふ、起きたばっかりだから無理かな~」
なんだ? 病人みたいに・・・
そっか、帰って来てそのまま寝ちゃったのか。
寝起きで、ボーっとした頭で、最初美姫が何を言ってるのか、まったく理解できなかったけど・・・
少しずつ、意識がはっきりしていく。
「ムフフフッ・・・」
!? くすぐったい・・・
「ちょっと!」
「ふふふふっ」
「その髪でコショコショするのヤメテ! てか、ずっとそれしてた!?」
「うん、だってずっと起きないから。 でも、ピクピク反応するからおもしろくて♪」
こいつは、俺のこと心配してるのか、おもちゃにしているのかどっちだよ。
「もう・・・止めてよ」
「起きれる?」
「起きる」
「ごはんは?」
「食べる」
はぁ~ マジで夜の7:30じゃん・・・
2時間半も寝てたのか。
下のリビングに行くと、もう親父が帰ってきて、ソファーに座ってテレビを見ている。
そんな姿を横目に、そのまま、ダイニングに行くと、お母さんが夕ご飯の準備をしていた。
すると、お母さんが、まだちょっとボーっとしている俺を見て・・・
「ん? 起きた?」
「うん・・・」
「だいじょうぶそう?」
「うん・・・」
テレビを見てくつろいでいた親父が、その会話を聞いて近寄ってくる・・・
「なんだ? お前・・・今日倒れたってか?」
「そうみたい・・・」
「そうみたいって、自分が倒れたんだろ?」
「だって、倒れたって記憶がないもん」
だって、気づいたら保健室で寝てたんだから。
遅れてリビングに降りて来た美姫が・・・
「なんか、アキラの担任の先生が近くにいたらしくて、倒れる前に抱きかかえてくれたらしいよ」
「それは先生にもなんかお礼しないとだな。 明日は、祝日だから、土曜日にでも病院行って見て貰うか? ねえお母さん?」
「ええ? 病院? そうね・・・ちょっと見て貰う?」
え~ 病院とかイイって~
ただの寝不足だよ・・・
「美姫が迎えに行ってくれたのか?」
「うん、だって、お母さんパートだったし」
「そっか、ありがとうね」
「ううん・・・でも、本当に心配したんだから」
「でも、この子明日デートする約束あるらしんだけど・・・」
「おほっ!? アッコちゃんと?」
「そう・・・」
なんで、俺がデートするって聞いて、親父がテンション上がってんだよ。
「イイじゃん。イイじゃん。どこ行くの?」
「えっ? 円山動物園」
「へ~ 良いな~」
「お父さんん! もう今日倒れたばっかりなんだよ!」
「あ~ 確かにな・・・」
えっ? なに・・・デートいっちゃダメとか言い出すのかよ?
「心配だよ・・・」
「じゃ、美姫が一緒について行けば良いんじゃないのか?」
「えっ!? そっか・・・そうだね・・・」
はぁ? なにをバカなことを・・・
どこの世界に彼女とのデートに姉貴同伴でイクヤツおんねん!!
オイ!!
「そうね~ 美姫が一緒に行ってくれるなら安心かもね?」
えっ? お母さんまで・・・
「もう、明日ゆかりと修学旅行の買い物に行こうと思ってたのに~ 土曜日に予定変えてもらうよ・・・」
なに? 何を勝手に色々決めてるんだこの人達は・・・
「じゃあ、動物園までお父さんが送っていってやるよ」
「えっ? 本当?」
「うん、アッコちゃんにまた会いたいしな~♪」
イヤ・・・何かそれ言われちゃうと、ちょっと断りたくなるんだけど・・・
「何時?」
「明日、10時前に秀樹が迎えにくる予定」
「秀樹君?」
「秀樹と、俺らでダブルデートなの!」
「ダブルデート!? 青春だな~♪」
だから、なんで親父がテンション上がってんだよ・・・
「じゃあ、10時だな。わかった」
まあ、良いか・・・
バス亭まで歩いて行くのかったるいし。
そんな会話をしていると、テレビからロト6のCMが流れて来て・・・
『・・・息子は1億円持っている。 毎週誰かに1億円のチャンス! ロト6! キャリーオーバー発生中!!』
そのCMを見て、親父が何かを思い出したように・・・
「ん? ロト6? そうだ! ロト6キャリーオーバーなんだってさ。来週最高4億円だって!」
「へ~ じゃあ、来週ちょっと買ってみようかしらね~」
ロト6・・・ !? ヤバイ!
今日買う予定だったの完全に忘れてた・・・
っていうか、寝てる間に時間過ぎてたじゃん!!
え~ マジかよ~
ここまで完璧にタスクこなして来たのに。
最後の最後で・・・
くそ~ 俺の3億円・・・
ちょっと待ってよ~
え~ どうしよう・・・
またタイムリープ?
もう・・・何気にあのタイムリープ、怠いんだよな~
手順多いし・・・女神もなんか変な人だし・・・
てか、どうしよう~ 戻る?
イヤ・・・いつに戻るんだよ?
ゆかりちゃんイベントなんて、流れ的に絶対不可避じゃん・・・
それに、ゆかりちゃんとの一晩を無くすなんてイヤだし。
あのドキドキと、ゆかりちゃんの温もりに、あのおっぱいの感触は手放したくないもん。
まさか、ゆかりちゃんが、寝る時はブラしない派だったなんて初めて知ったし。
胸の上に、手を置いてるだけで感じたあの・・・
ううう、あれをなかったことになんてしたくない。
それに、おっきくなったらデートしようねって、約束してくれたし。
また高校生になったら、デートしてくれるかもだし。
う~ どうしよう・・・
今日の夕方に戻った所で、保健室で寝ちゃってるし・・・
それより前に戻ったところで、また倒れてオワリになりそうだし。
ダメだ・・・詰んどる・・・
え~ もう・・・来週まで持ち越す?
はぁ~ キャリーオーバー発生中か~
来週は美姫とゆかりちゃんは修学旅行でいないから、昨日みたいなあんな危険なイベントは起きないはずだし。
来週なら、確実にロト6行けるかもだよな・・・
そうするか・・・
あ~あ・・・ ゆかりちゃんとあんな一晩を過ごすなんて想定外すぎたよ。
前世では触れることが出来なかった彼女の体に温もり・・・
もう一生の思い出じゃないかよ。
「アキラ? どうしたの?」
「えっ? なにが?」
「なんか、またぼ~っとしちゃって」
「イヤ、だいじょうぶ。 ちょっと考え事」
「あっ、そうだ。 お母さん? 明日夜、またゆかり、ウチに泊めても良い?」
えっ? なんですと?
「良いわよ」
「本当!? じゃあ、明日の夜もゆかりウチに泊まるからよろしくね~♪」
「わかったわよ」
えっ!? ゆかりちゃん・・・
明日もうちに泊まる?
マジ? えっ?
うそ・・・やばい、なんかドキドキしてきちゃった・・・
えっ? なに、この気持ち・・・
これって恋? イヤ・・・俺にはアッコちゃんがいるし・・・
違う違う・・・あれは、ただ前世で憧れていたお姉さんと、まさかの一晩を経験しちゃったから。
そう、それで思い出が再燃しちゃっただけ・・・
憧れだよ、憧れ・・・
どうせ叶わない恋だったわけだし・・・
でも、明日もまた一緒にってなったら。
ゴクリ・・・どうしよう・・・
俺・・・一晩耐えられるんだろうか?
ああ・・・神様・・・
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