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第92話 Re:2000年11月2日 木曜日 13:30-17:00


「ねえ~え! 佐久間~!」

「う~ん・・・」

「ね~えったら!」

「う~ん・・・」


 あ~ 今日はもうヤル気が出ない・・・


「ね~え! そんなアコに膝枕されてないでさ~ うちらの練習付き合ってよ~!」

「イヤだ・・・ アッコちゃんに頭なでなでしてもらっていたいの」

「ちょと! アコ!」

「う~ん・・・ 朝からずっと変なのよ・・・」

「ねえ! さおりんに多目的教室に移動してもらったんだからピアノ空いてるよ!」


 グランドピアノが良いとか我儘言ったら。

 こいら、本当に小沼のこと追い出しちゃったんだ・・・


 『ガラガラガラ・・・』


 ん? 遥ちゃん・・・


「どうしたの?」

「先生! 佐久間が練習付き合ってくれないの!」

「佐久間君どうしたの? 具合悪いの?」

「う~ん・・・ あんまり調子よくない・・・」


「・・・本当ね・・・なにその目の下のクマ? 保健室行く?」

「う~ん、軽い貧血みたいな感じだから大丈夫・・・」

「でも、こんなところでイチャイチャされてもね~」


 う~ ピアノの陰でこっそりしてたのに・・・

 でも、遥ちゃんのこの感じ・・・


 俺を捕まえに来たって感じでもないな~


「先生・・・時になんで音楽室に?」

「ん? 小沼さんが、佐久間君がサボってるって言うから来たのよ」


 アイツか・・・

 マジチクり魔だな。


 でもそれだけ?


「えっと・・・それだけ?」

「そうよ、なんで?」


 なんかマジっぽいな。

 ということは、写真の遥ちゃんバレイベントは回避したってことで良いのか?


「えっと、先生・・・大丈夫、いま立ちますから・・・」


 そう言って、立った瞬間・・・


 あれ? なんか、視界が・・・


 狭まって。


 あれ?


 目の前が暗くなる・・・


 えっ? 俺倒れる?


 ・・・・・・・・・


 ・・・・・・


 ・・・・


 ・・


 ・


 『・・・なんか昨日眠れないって言ってたけど・・・』 


 『そうなんだ・・・ なんでだろう?』


 『えっと・・・ なんか色々考え事をしちゃったとか言ってたような・・・』


 誰? なんか夢の中で誰かが会話している・・・


 『私のせいかな・・・』


 『イヤ~ アッコちゃんのせいじゃないと思うけど~』


 アッコちゃん・・・


 『なんで? 清水君なんか知ってるの?』


 『えっと・・・年上のお姉さんがらみの悩みらしくって・・・』


 年上のお姉さん・・・


 『どういう悩み? 誰?』


 『悩みが何なのかまでは聞いてないけど・・・ 美姫ちゃんの友達で・・・』


 ん? 美姫?


 『美姫ちゃんの友達?』


 『うん、ゆかりさんって言って・・・』


 ゆかりさん!? なっ!?


 !? ガバッ!!


「うわっ!!」


「えっ!? なに?」

「!? びっくりした~ ・・・・・・アキラくん?」


「なに? ココ? どこ?」

「えっ? えっと・・・ここは保健室だよ。 アキラくん、今日音楽室で倒れちゃって・・・」

「倒れた?」

「うん、でも。 ちょうど遥ちゃんが近くにいたから、倒れる前に受け止めてくれたけど・・・ そのまま目をさまさないから・・・」


 ああ・・・そう言えば、なんか倒れる直前までの記憶はなんとなくあるかも・・・

 立った瞬間、なんかプツッって切れたような感覚で、目の前の視野がドンドン狭まって。


「もう! この間の遊園地からずっとじゃん! もう! 目を覚まさないからすっごい心配したんだから!」


 え~ この間のは、例のタイムリープが中途半端な時の事象だし・・・


 今日のとはなんか違うんだよな。


「俺、先生呼んで来るよ。 アキラが起きたって伝えてくる」


 秀樹? なんで秀樹が・・・


「もう・・・すごい心配したんだからね。 ぐすっ」

「あ~ えっと・・・ごめね」


 倒れるって、マジか?

 う~ん・・・ 昨日全然眠れなかったせいか?


 イヤ、それだけで倒れるかな?

 小学生だから体力無いから?


 『ガラガラガラ・・・』


 保健室の扉が開くと、遥ちゃんと、秀樹が入って来た。


「もう平気? 今、お姉さんが迎えに来るから、それまで休んでなさい」

「えっ? イヤ、もうだいじょうぶっ」

「何言ってるの! 急に倒れて! 聞いたら、最近よく倒れてるらしいじゃないの!」


 えっ? 最近よく倒れてる? ああ・・・アッコちゃんか。

 イヤ、それは違うんだけどな~


 てか、母さんじゃ無くて、何で美姫が迎えに?

 ん? ああ・・・今日木曜日って、母さんパートの日か・・・


「えっと、最近のって・・・たぶん、それはただ立ち眩みだと思うから」

「いずれにしても、ちょっと病院で見てもらった方が良いと思うけど・・・」


 病院? そんな大袈裟な・・・


「お姉さんが来たら、また呼びにくるわね」


 そう言って、遥ちゃんが保健室から出て行くと・・・


「えっと、なんで秀樹がいるの?」

「えっ? ああ、ダブルデートの約束伝えないとッて思って」


 えっ? ダブルデート?


「えっ? 誘ったの?」

「うん・・・」

「でっ?」

「行っても良いって・・・」

「マジ?」


 へ~ マジでワンチャンあったって感じ?

 正直、断られるかな~とか思ってたんだけどな~


「それで、明日なら良いって、朝10時にアパートの前に迎えに行く約束したから。それを伝えようと思って」

「あっ、そうか・・・ ごめん・・・」

「イヤ、お前が言ってくれたから、デートに誘えたから・・・」

「ふ~ん、じゃあ明日10時に、アキラくんも迎えに来てくれるの?」

「えっ? うん、そうだね」


 『ガラガラガラ』


 ん? 先生?


「アキラ!?」


 げっ・・・美姫・・・


「大丈夫!? 頭とかは打って無いの?」

「あ~ お姉さん、倒れるまえに受け止めたから、それは大丈夫ですよ」

「えっ? そう・・・ですか・・・」


 そんな、心配しなくても・・・


「もう・・・心配したんだから・・・」

「イヤ・・・そこまで。 ていうか平気だよ」

「倒れといて平気もないでしょう!?」

「ほら、帰るわよ」


 えっ? ホラって・・・何? それ・・・


「ほら!」

「えっ・・・イヤ、歩けますけど・・・」

「ダメよ! また倒れたらどうするのよ!」

「そうだよ! アキラくん!」


 イヤ、アッコちゃんまで・・・


「ほら! 早く!」

「イヤ・・・じゃあ、すいません・・・」

「美姫ちゃん、俺アキラのカバン持ちます」

「あっ、ありがとう」

「じゃあ、わたし、アキラくんの靴持って行く~」


 えっと・・・マジ恥ずい・・・


 美姫におんぶされて、保健室を出ると、そのまま正面玄関へ向かうと。


「じゃあ、先生本当にご迷惑おかけしました」

「いいえ、お大事になさってください」


 『先生さよ~なら~』


「うん、二人もありがとう。気を付けて帰ってね」


 そして、そのまま美姫におんぶされながら、学校をあとにするのだが・・・

 イヤ・・・姉貴におんぶされて家に帰るって。


 何気に恥ずかしいんだけど・・・


「ねえ~ 俺本当に一人で歩けるんだけど・・・」

「ダメよ・・・」

「でも~ 恥ずかしいし~」

「ふふふっ、アキラくん、赤ちゃんみたい」

「本当、アキラ~ 美姫お姉ちゃんに抱っこされて良かったでちゅね~」


 くっ・・・二人して・・・

 マジで・・・恥ずかしい。


「ねえ、美姫~ もう重たいでしょ?」

「全然平気よ」


 もう、これは家まで絶対降ろしてくれないヤツだ。

 ずっと隣ではニヤニヤしながら、アッコちゃんと秀樹がこっちを見ながら歩いている。


 もう絶対これ今後もバカにされるヤツだよ。

 もう恥ずかしさでいっぱいで、その後はもうひたすら美姫の髪の中に顔をうずめて、ぴったりしがみつくと・・・ 横から、クスクスっという笑い声が聞こえ来たが、それを一切無視して、ひたすら美姫にぴったりしがみついていた。


「アッコちゃんも秀樹くんもありがとうね」

「イヤ、だいじょうぶっす」

「ううん、へいき」


「ごめんね、送っていけないけど、気を付けて帰ってね」

「ハイ」

「は~い」


 ん? うちについたのか・・・

 そう思って、顔をあげると。


「アキラくん! また明日ね?」

「アキラ明日迎えにくるから!」

「えっ、ああ・・・」


 『バイバ~イ』


「うん・・・バイバイ・・・」


 そう言って、元気に走って家に帰って行く二人を見送り。

 美姫に連れられて、部屋までくると。


「ハイ、脱いで」

「えっ? 脱ぐって?」

「もう、パジャマに着替えるのよ」

「えっ? だいじょうぶだよ」

「ダメよ! もう今日は寝てないと」


 美姫に言われるがまま、パジャマに着替えさせられて。

 ベッドに強制的に寝かされてしまう・・・


 はぁ~ たぶん、ただの寝不足なんだけどな・・・

 ゆかりちゃんのせいで、一睡も出来なかったから。


 1人安静に寝かされるのかと思ったら。

 美姫が俺の部屋で、一人でゲームを始めるみたい・・・


 美姫の背中に抱っこされて、帰ってきたせいで、なんとなくまた眠くねってなっていた。

 そのせいで、ゲーム音を聞きながらも、そのまま意識が遠のいて、また眠りに入ってしまっていた。


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