第9話 彼女の親友に誤解されたせいで、性教育をする羽目になるなんて・・・
「すいませんでした・・・」
「お前は、ウィングの要だろ? もっと自覚しろ!」
めっちゃ怒るじゃん、この人。
自覚って言ってもな~
昔と違って、モチベ無いし・・・
月曜日にアッコちゃんと付き合い始めたものの、木下と遊ぶ約束があると言われ。
火曜日と木曜日だけ希美には我慢してもらったとアッコちゃんが言うので。
一日置きに木下と俺とでアッコちゃんを奪い合うような形になってしまい。
さらに、金曜日はピアノのレッスンがあるので、元々サッカー少年団は休んでいたから。
なんだかんだで、土曜日までサッカー少年団の練習を全部休んでしまい。
土曜日の今日、久しぶりにというか、俺自身タイムリープしてから初めて練習に参加する事になり。
監督が来た瞬間に、呼び出され、めちゃくちゃ怒られ、今に至るといった感じなんだけど・・・
「罰として、グランドを10週ランニングしてから練習に参加しろ!」
はぁ? オイオイ、それって、パワハラなんじゃ・・・
2000年ってまだパワハラOKな感じ?
こんなスポコンみたいなノリだったっけ?
それにしても、久しぶりで忘れてけど・・・
この監督、相変わらずマジでウッザ!
あぁ~ サッカー辞めようかな~
イヤ、もう辞めたって良い。
半年後にアッコちゃんは転校しちゃうし。
それまで時間は有限だし。
サッカーの練習なんかやってる暇ないし。
仮に、アッコちゃんとダメになったとしても。
その後、聖子が3組に転校してくるだろ?
中学では一緒のクラスになって、聖子はバスケ部で、俺はサッカー部ってなんか微妙だし。
だったらもう、サッカー少年団なんて辞めちゃっても良いよな。
俺、中学でバスケ部に入れば良いわけだし。
聖子は女子バスケ部に入るから、俺もバスケしたらサッカー部より断然お近づきになりやすいし。
よし! サッカー辞めよう!
キック練習をしている皆をよそに、1人でグランドの外周を走りながら、そんな事を考えていると。
「佐久間く~ん、がんばって~」
えっ? アッコちゃん?
校舎からグランドが一段低くなってるので、校舎とグランドの間に、コンクリートで作られた、段々になった階段のような仕切りがあるんだけど。
そこに、見慣れた二人組が何故か座っていて、こちらへ向かって声援を送るもんだから。
当然、女の子が声が聞こえたりしたら、それに敏感に反応する連中がいるわけで。
イヤ、もうすでに、反応しだした連中が・・・
グランドの中にいる、他の連中が一斉にコッチみてるし。
アッコちゃん・・・ダメだよこんな所に来たら・・・
そんな応援なんかにきちゃったら、もうどんどん皆にバレちゃうって~
グランドの皆に気づかれないように、小さくアッコちゃん達の方へ手を振りながら。
口に人差し指を当てて、シーのポーズをして、黙ってろっとサインを送ると。
二人して、うんうんっと頷いてくれはしたんだけど。
どこまで信じて良いのやら。
てか、普段女子なんか見に来ることないから、完全にグランドの中の連中が浮足立ってるのが目に取るように分かるって・・・
ほら~ もう、わざとトラップミスしたフリして、二人の方にボール取りに行く連中が急に増えだした~
てか、アイツ等、いまワザとアッコちゃん達を見に行った連中、試合中絶対殺すからな。
思いっきり削ってやるから覚えてろよ・・・この色ボケ連中がよ。
「―――佐久間~ ランニング終わったのか~!?」
うるせ~な~ ちゃんと走ってんだろうがよ~
練習に集中してない連中が居るからってヤツ当たりすんなよバカ監督がよ。
イラっとしつつも、ハーイっと返事を帰すと。
「じゃあ、急いで練習に合流しろ!」
チッ、一息くらいつかせろっちゅ~の。
朝から妙に湿度高くて、蒸し暑い中バカみたいに走らせやがって。
「は~い! 今行きます!!」
イヤ、俺マジでこの監督嫌いだった記憶あるけど。
久々にあったら、マジでイラつくは。
マジ、この監督キライ。
自分の息子ばっかり、めっちゃ贔屓するクソ監督がよ。
すでにシュート練習が始まっていたので、そのままシュート練習の列の合流すると。
俺のことを待ち構えてたかのように剛が寄って来て。
「アキラ~」
「なんだよ?」
「ねえ! なんでアッコちゃん達が練習見に来てるの? しかもアキラに声かけてなかった?」
木下も居たのに、アッコちゃん達と一括りにする辺りが、剛がアッコちゃんに気があるのバレバレなのだ。
「えっと? 木下もいるし、校庭に遊びに来たんついでに見てるだけじゃね?」
「えっ? じゃあ、俺にも声かけても良くない?」
鬼ごっこの時に、どさくさまぎれてアッコちゃんに抱き着いたりしてたから。
キモイって思われてんだろ・・・
「剛は、ちっこいから見えなかったんじゃ無いの?」
「アキラとそんなに変わらないじゃん!」
「俺の方が1センチ身長高いです~」
ふん、お前が前から2番、俺が3番目。
身長マウントじゃ、お前だけには負けね~
「ねえ! なんでアッコちゃんがお前に声かけるの!?」
「だから、グランドの外周走ってて、近くに行ったからだろ?」
「え~ そうなの?」
列の一番後ろで、剛のしつこい質問攻めにあっていると。
先にシュート練習で1本打ち終わった秀樹が、列の後ろへ戻って来て。
剛がしつこくアッコちゃんのことを聞いて来るのを聞いて・・・
「どうかしたの?」
「秀樹~ 聞いてよ~ こいつ1人だけ、女子に応援されてた!」
「女子? 女子って?」
「ホラ、アソコに居るじゃん! 階段のところ!」
「えっ? 本当だ・・・誰アレ?」
イヤ、秀樹まで食いつかなく良いって。
面倒くさくなるからさ~
「えっ? 俺らと同じクラスのアッコちゃんと木下」
「アッコちゃんって?」
「なんか、最近アキラと怪しい関係の子!」
怪しい関係ってなんだよ!
「剛お前うるさいぞ! 自分がアッコちゃんから相手にされないからって、僻んでんじゃね~」
「はぁ? 僻んでなんかないし!」
「お前がアッコちゃんに気があることぐらい、見てたらすぐわかるんだからな!」
「ああ、アッコちゃんって、鬼ごっこの時に来てた子か。 何、剛あの子の事好きなの?」
「違うよ! あんな子別に好きじゃないし・・・」
ほ~う、言い切ったなお前。
「へ~ じゃあ、俺がアッコちゃんと付き合って、彼女にしてもお前文句言うなよ」
「えっ? 何それ!? どういうこと!?」
「あと、お前鬼ごっこの時、今度からアッコちゃんに抱き着いたりしたら、ぶっ殺すから覚えてろよ」
「なんでアキラにそんなこと言われないとダメなんだよ!」
「あぁ!? アッコちゃんが抱き着かれるの嫌だって言ってたからだよ! 全部バレてんだよお前!」
「えっ!? 嘘!?」
わざと抱き着いて、ぶつかったフリしているのがバレてないと思ってた剛の狼狽振りは半場無く。
何度見するんだってくらいに、アッコちゃんと俺達の双方の間をキョロキョロと視線を移動する姿があまりにアホすぎて。
「アハハハ、それ俺も見た事ある! てか剛、バレてんじゃん! お前痴漢で捕まるんじゃねぇ!?」
「秀樹はうるさいぞ! それにあんなので痴漢で捕まるわけないだろ! それに、お前らだって!」
「はぁ? 俺も秀樹も、アッコちゃん達に抱き着いたことなんて無いし!」
「そうだよお前と一緒にすんな、この犯罪者!」
最後は秀樹も俺に同調して、剛に釘をさす。
ここまで言えば、剛も少しは反省するだろう。
てか、付き合い始めてから、アッコちゃんと会話している内に、普段、男子と一緒に遊んでる時に、抱き着かれるのが嫌で、本当は悩んでるというのを聞かされたのは本当だし。
アッコちゃんからしたら、剛と斎藤に好かれているなんて夢にも思わず。
私、石川君とか斎藤君に嫌われてるのかなって、ガチ悩みしてたけし・・・
『コラー練習に集中しろ~』
んあ? へいへい・・・
シュート練習中に、アッコちゃん達以外にも、他にも数人ギャラリーの女子が増えていて。
こんなこと、今までに無かったので、皆完全にフワフワした感じになって、良い所見せようと恰好をつけ始めたから、監督が怒るのも無理もないけどさ。
ていうか、今日は何でこんなにギャラリーが多いんだ?
誰の親か知らんけど、大人も数人見に来てるし、何でだ?
『よ~し、紅白戦するから、集まれ!』
えっ? 紅白戦?
「剛? 紅白戦って月曜日にしたんじゃないの?」
「イヤ、今週レギュラー組が中々そろわなくて、ずっと出来なかったんだよ」
はぁ? それって、俺以外にも他に休んでた連中がいっぱいいたってことかよ?
えぇ!? じゃあ、なんで俺だけ走らされたんだよ!?
「えっ? なにそれ? なんで、俺だけ走らされたんだ?」
「そんなの、一週間ずっと来なかったのが、アキラだけだからだろ?」
はぁ? なんだそれ・・・
クソっ、納得いかね~
◇◇◇
・・・やっと終わった。
紅白戦して、メンバー決めた後。
14時から、他の学校の少年団と練習試合とか、マジ聞いてね~し。
どうりで、ギャラリーがいつもより多かったわけだよ。
てか、グランド10周に紅白戦含めて2試合・・・
まじで疲れた・・・
「佐久間く~ん」
アッコちゃん・・・
試合が終わって、帰る準備をしていたら。
アッコちゃんと木下の二人が駆け寄ってきた。
「練習終わった?」
「うん、今日は終わりだよ」
「じゃあ、この後自由?」
「自由だけど」
「じゃあ、この後一緒に遊べる?」
「ん? 良いけど・・・木下も一緒の遊ぶの?」
「うん、希美も・・・ダメ?」
「イヤ、良いけど・・・」
『アキラ!!??』
ウゲッ・・・隠れて帰る準備してたのに見つかった・・・
「アレ? 石川君と、えっと・・・前一緒に遊んだことあるよね?」
「あ~ そっちのは3組の清水秀樹。 前に一緒に鬼ごっこしたでしょ?」
「あ~! したした! サッカー少年団だったんだ?」
「いっつも遊んでる連中で他の組のヤツ等は、だいたい皆サッカー少年団かな」
「へ~ そうなんだ、皆仲良いんだね?」
イ~ヤ! サッカー少年団なんて、人間関係ドロドロです。
キャプテンと監督の息子派閥とそれ以外とで、完全にチームが2分化されてるからな。
「アキラ・・・なんで二人と?」
剛・・・そんなこの世の終りのような顔をするなよ。
「ん? アッコちゃんと遊ぶ約束してたからだけど」
「なんで!?」
「何でって言われても、約束したんだからしょうがないじゃん」
「石川まだ知らないんだ。 こいつ等、付き合い始めたらしいよ」
はっ!? オイ!! 木下!?
何さらっと、剛と秀樹の居る前でバラしちゃってくれてんだよ!
アッコちゃんの親友だったら、秘密にしておく所じゃないのか?
『はぁ~!? 付き合ってる!!』
秀樹と剛が、それを聞いて声を揃えて騒ぎはじめ。
あ~ うるせ~ うるせ~
「ちょっちょっ、どういうことだよアキラ!?」
特にコイツが面倒くさい・・・
まあショックなのはわかるけど、そんな涙目になられても。
そもそも、お前はアッコちゃんに嫌われてるし。
文句を言われる筋合いは無いんだけど。
「アキラ!?」
「分かった、落ち着け剛。 悪い、アッコちゃんとは、5日前に付き合い始めた。 よって、アッコちゃんはいま俺の彼女だ! 報告は以上!」
「5日前って・・・今週の月曜日ってこと? えっ、ひょっとして体育館から手繋いで二人でいなくなった日!?」
鬼ごっこに集中して、見てないと思ってたけど。
ちゃっかり見てたんかい。
「5日前? アキラ・・・ひょっとして、それで今週の練習、全部休んだの?」
秀樹く~ん、勘が鋭い子供は嫌いなんだが?
「まあ、そうはそう・・・」
「なるほどね~ アキラに彼女ね~ あのアキラに・・・」
「なんだよ秀樹?」
「まっ、分かった。 そう言う事なら、剛のお守りは俺にまかせろ。 お前はアッコちゃんと行け」
秀樹君!? さっすが俺の幼馴染!!
マイソウルフレンドよ!!
「秀樹ありがとう! 剛のこと頼んだ。 ごめん剛、許せ!」
「―――わたしは、お前のこと認めてないからな!」
イヤ、食い気味にカットインして来やがって、木下はなんなん?
やけに突っかかってくるっていうか、なんでコイツずっと俺の事睨んでんだよ?
「えっと、木下は、なんでそんなに怒ってるの?」
「だって、私のアコを誑かして!」
「誑かしてなんて無いし・・・」
「家に連れ込んで、アコの体べたべた触ったらしいじゃん!!」
オイ! 言い方!!
なんだよ、その誤解を生む表現は!!
「ごめんね佐久間君・・・何か希美に追及されて、昨日隠しきれずに話しちゃったら、こうなっちゃって・・・」
「えっと・・・どんな話したの?」
「えっ? この間、佐久間君に告白されて、付き合い始めて。 お家で抱き合って、キスしたって」
えっと、アッコちゃん? 色々説明、端折り過ぎじゃね?
そんな説明されたら、木下に勘違いされても・・・
「佐久間のエッチ! スケベ! 変態! 私のアコなのに!」
「イヤ、お前。 ちょっと誤解してるから・・・」
「誤解ってなによ!? 抱き合ったんでしょ? エッチ!」
「アッコちゃんが安心するように、抱っこして、軽く抱きしめただけで、何も変なことは一切してないって」
「抱っこして、抱きしめただけで犯罪だよ!!」
あ~ めんどくせ~
ダメだ、コイツ・・・
「もう、希美ヤメて! 私が、抱っこしてってお願いしたの!」
「アコがしたの? 嘘、アコ、騙されてるんだって!」
「そんな事ないもん。 佐久間君はとっても優しいんだよ」
「ふん、アコがイジメられて、弱った所に付け込んだんでしょ!? この卑怯モノ!! アコ騙されたらダメ! 男なんて皆獣で、エッチな事しか考えてないんだから!!」
「希美さ~ お兄ちゃんが女の子連れ込んで変なことしてたからって、佐久間君に八つ当たりしないでよ~」
あ~ この間言ってた、鬼畜兄のことか・・・
てか、なんで鬼畜兄のことで、俺がコイツにこんなこと言われないとイケないんだ?
って、雨降って来たし・・・
「えっと、とりあえず、場所変えよう? 雨も降って来たし、ウチ来る?」
「あ~ 良いね~ 佐久間君の部屋なら、遊ぶもの沢山あるから」
アッコちゃんと木下の喧嘩をいったんやめさせて。
とりあえず、雨が降って来たので、ウチを目指して自転車に乗って走り出したモノの・・・
アッコちゃんも木下も何もしゃべらず、めちゃくちゃ空気が重くて、耐えらなくなり。
「アッコちゃん? 八つ当たりって・・・木下のヤツ、俺とアッコちゃんの事で怒ってるっていうか、兄貴の事で怒ってるってこと?」
「そうなんだよ~ お兄ちゃんが部屋でエッチなことしてたって言って、先週からずっと機嫌悪かったんだけど。 昨日も同じような事があったらしくて、夕方にウチに泣きながら来て。 その時に佐久間君のこと話しちゃって、それからずっと機嫌悪くて」
先週って中々ホットな話題だったんだ・・・
だから、月曜日アッコちゃんに告白した時も、『エッチな事しない?』なんて聞いて来たのか。
まったく、迷惑というか邪魔くさいことしてくるよまったく。
ハァ~ それにしても、木下のヤツ一切口きかないし、マジで機嫌悪いじゃん。
しっかし、昨日もって・・・
妹が家にいるのに、そんな頻繁に女を連れ込んでエッチなことするって。
木下の兄貴ってかなりの鬼畜ヤローなんじゃ・・・
「てか、マジ雨降って来たから急ごう?」
「うん! 希美行くよ!」
◇◇◇
とりあえず、アッコちゃんと木下を家に招いて。
自分の部屋に二人が入って来きて、部屋を見た木下の反応が・・・
「なんか、佐久間の部屋って、女の子の部屋みたいじゃない?」
「なんでだよ?」
「だってさ、可愛いぬいぐるみを、ベッドに綺麗に並べちゃってさ~」
「色身も、なんか白色の家具で統一されてて、何かおしゃれだし・・・」
「家具は、母さんと姉ちゃんの趣味だし。 ぬいぐるみも、母さんと姉ちゃんが子供の頃に買ってくれたヤツだし」
「はっ? なにそれ? 母さんと、姉ちゃんって・・・」
てか、なんでそこで、ドン引きしてんだよ?
なんだよ? なんで、俺こんなに木下に白い目で見られないといけないんだ?
「ひょっとして、佐久間ってさ。 シスコンとマザコンのハイブリッド?」
「なんでそうなるんだよ!?」
「佐久間君のお姉さんスッゴイ可愛いんだよ~」
「へ~ そうなんだ?」
「この間チラと見ただけだけど、佐久間君とそっくりでびっくりしちゃった」
「まあ、佐久間ってなんか、男にしてはなよッてるもんね」
「木下、お前・・・俺へのディスが酷すぎないか?」
「ディスってなに?」
「相手を否定したり、侮辱したりバカにするって意味だ!」
「へ~ 佐久間君って頭良いよね?」
「ちょっと! アコ!? アンタ何なの! 付きあった瞬間に、佐久間のことべた褒めじゃん! 先週まで話題にも出した事無かったくせに!」
話題にも出て無かったんだ・・・
それはそれで、ちょっとへこむというか、聞きたく無かったというか。
「だって! カッコ良いじゃん! 佐久間君頭良いし、足だって速いし、今日だってサッカーでめちゃくちゃ上手かったでしょ? それにピアノだって弾けちゃうんし、すっごい優しいんだよ! それに、一緒にいるとね、女の子と話してるみたいで、すごい楽しいんだもん」
「はぁ~ オイ! 佐久間!! お前、アコに何したんだよ! 私のアコを盗りやがって!!」
ちょっ! ヤメロバカ! 馬乗りになってマウント取って来るなよ!
バカ! そんな格好で、股間の上に跨るな・・・パンツが見えるだろバカ!
うぅぅ、アッコちゃんにしか興味ないのに・・・
そんなにグリグリされたら~
「ちょっと! 希美!! 離れて!! 佐久間君に触らないでよ!!」
「なんで、そんなに佐久間のこと庇うのよ!」
「木下待て! てか、お前、やってることお前の兄貴と変わらんぞ!!」
「なんでよ!?」
「だってそうだろ! 異性の相手を押し倒して、そんな・・・上に跨ったりして・・・」
「えっ? 上に跨るって。 ――――――バカ! エッチ! 何考えてるの!!」
ようやく自分が超絶卑猥な体勢になってることに気づいて。
顔を真っ赤にしながら、俺の上から飛ぶようにして、横に逃げてくれたまでは良かったんだけど。
アッコちゃんと良い、木下と良い、二人してミニスカートでウチに来てるのを忘れてるんだろうか?
特に、木下・・・お前、パンツ見せすぎ・・・
「何考えてるのって・・・俺の上に跨ってきたのお前だけどな」
「もう! バカ! 妊娠しちゃったらどうするのよ!!」
「はぁ? 今のでなんで妊娠するんだよ? 意味不明すぎるぞお前!」
「だって、お兄ちゃんが昨日・・・先週とは別な女の子部屋に連れてきて、無理やり押し倒してそれで・・・」
「はぁ? それで?」
「相手の女の人が・・・妊娠しちゃうとか、痛いヤメてとか、ヤダヤダって言いながら泣いてて・・・」
ウワ~ グロっ・・・なにそれ?
ん? てか、妙に描写がリアルっていうか・・・
「木下? お前、それどこで聞いてたんだよ?」
「お兄ちゃんの押し入れから見てた・・・」
お兄ちゃんの押し入れからって。
お前、なんでそんな所にいたんだよ・・・
てか、アッコちゃんに、こんな会話を聞かせて良いのかと思い、アッコちゃんの方を見ると。
さっきからの衝撃過ぎる内容に、顔を真っ赤にして口抑えて固まっていた。
「ていうか良く聞け木下。 お互い服を着たままで体が接触しても妊娠なんかしないから安心しろ」
「そうなの?」
「そうだよ。 昨日お前が見たっていう相手は、女子高生だったのか? 制服着てたか?」
「えっ? う~ん、昨日の女子高生は、チェックのスカートの制服を着てた」
昨日の女子高生はって・・・
そんな、何人も連れ込んでるのかよ。
「じゃあ、その女子高生は兄貴に押し倒された後、何されてた? お前の兄貴は、その女子高生に何をした? 服を脱がせたか?」
「お兄ちゃんが・・・その、相手の両手を押さえ込んで動けなくして、スカートの中からパンツを取ってポケットにしまってた。 で、お兄ちゃん慌てて服脱いで・・・それからぴったり、女の子にくっついて」
エグ~ ぞんな無理やりって・・・
そんなの、もう犯罪じゃね~か? 木下兄マジでヤバイヤツなんじゃ・・・
「くっついて?」
「女の子が泣きながらイヤイヤって言いだして。 妊娠しちゃうからダメとか、痛い、やめてって、何度も何度も・・・」
うわっ、エグッ・・・
マジで鬼畜ヤローじゃん。
「えっと・・・それは妊娠するかもだな・・・」
「そうなの? さっきの佐久間と私と何が違うの?」
「お前も、中々の事を聞いて来るよな・・・そんなに興味あるのかよ?」
「だって、あんなの見ちゃったからやっぱり・・・」
「お前、自分のカラダを理解してる?」
「理解って?」
「その・・・おしっこする所と、そうじゃない所とか理解してるかってこと?」
「はぁ!? 何言ってんのエッチ!」
「お前が興味あるって言ったんだろ!? そんな事言ったら、お前がエッチだろ! バカかお前!」
「ぶぅ~ エッチじゃないもん!」
「可愛い子ブンな。 エッチに興味深々なガキのクセしてよ」
「はぁ~!? 佐久間だけにはガキって言われたくありませ~ん。 私よりもチビのクセして、このガキが!」
背はガキとは関係ないだろ・・・
身長小さい=ガキとか言ってるテメーがガキだろ、このクソガキが。
「で!? 理解してるのか? 自分で自分のソコ、じっくり見た事ことあるのかって聞いてんの?」
「――――――ある」
あるんだよ・・・
「えっ!? 嘘! 希美・・・見た事あるの!?」
こっちは無いんだよ・・・
てか、アッコちゃん顔ヤバいって。
めちゃくちゃ顔を真っ赤にしてるじゃん。
「あ~と・・・おしっこが出るところがココ。 その下にあるのが・・・その子供作る為に必要なアレで。 そこで男の子とその・・・繋がっちゃうと子供が出来ちゃうかもしれないってこと」
「えっ!? 嘘!? ここに・・・」
「希美・・・分かるの?」
アッコちゃんは、まだわかんなくて良いから・・・
「えっ! ねえ・・・二人ともさ。 さっきから何の話をしてるの? なんで、それだけで二人とも納得してるの? 今の説明でなんでわかるの? ねぇ、どういうこと?」
俺が手と指を使った説明で木下理解したみたいだけど、どうやらアッコちゃんは理解が出来なかったらしい。
それまで、顔を真っ赤にして固まっていたアッコちゃんが急にしゃべりだして、素朴な疑問をストレートにぶつけて来るものだから・・・
俺は近くにあったメモ帳に、簡単に絵をかいて・・・そのまあ、分かりやすくアッコちゃんに説明をしたんだけど。
「なんで佐久間君も希美もそんなこと知ってるの!? どこで知ったワケ!? 佐久間君・・・まさか、お姉ちゃんとそういう事してるの!?」
なんでそうなるんだよ!?
どうして、俺が美姫が・・・
はぁ~ まあ良いや・・・もう、アッコちゃん、ちょっとパニックになりすぎ。
「イヤ、アッコちゃん、落ち着いて。 俺はその・・・たまたま姉貴の雑誌でそういう知識を知っちゃっただけだから。 お年頃の女の子の雑誌で、たまにそういう特集してるからさ・・・」
「えっ? お姉ちゃんって、この間玄関で挨拶した人だよね? お姉ちゃんって凄いその・・・進んだ人なの?」
「はぁ!? イヤ、知らんけど・・・てか、姉ちゃんがそんな所してる姿なんて想像したくないし」
「やっぱり、お姉さんがそういうことしてたら、佐久間君はショック受けたりするの?」
「そんなのわかんないけど。 とりあえずなんかヤダかも・・・」
まあ、ここの時間ではまだだと思うけど・・・
前の人生では、トラウマっていうか、嫌な記憶はあるには、あるっていうか・・・
うぅぅ、前の人生のあの意地悪ばっかりしてきた姉ちゃんなんて知らないよ。
でも、なんか、タイムリープしてきてから、美姫のヤツ、なんかめっちゃ優しくて。
記憶の中の美姫と、いま一緒に生活している美姫の姿がこう、なんていうか、ギャップがありすぎてしっくり来てないんだよ。
「希美はその・・・お兄さんが、そういうことしてたの見ちゃったんだよね?」
「・・・うん」
「そっか、だったらショックだったんだね。 ごめんね。 でも、佐久間君とはそんな事してないから安心して」
「うん・・・なんか、わたしの方こそごめん・・・八つ当たりみたいなことして」
「ていうかさ、ちょっと気になったんだけど。 そもそも、木下? なんでお前、兄貴の部屋の押し入れ何かにいたんだよ?」
「だって、お兄ちゃん漫画いっぱい持ってるから。 漫画読むときは、いっつも押し入れに入って読んでたから」
「希美がブラコンだから、いっつもお兄ちゃんの部屋で遊んでるんだよ。 たまに、一緒に寝たりするんだって」
はぁ? 嘘だろ、そんな鬼畜兄と一緒に寝て、平気なのかよ?
「お前、そんな鬼畜ヤローと一緒に寝て、夜何もされたりしてないのか!?」
「え~ されたことなんてないけど。 でも、アレ見ちゃってからは、もう怖くてちょっと・・・」
「まぁ、そっか・・・そうだよな・・・ごめん、木下」
はぁ~ 何か、もう、色々と気まずい。
女の子二人と、ド下ネタの会話しちゃったし。
そして、このなんとも言えない重い空気、無理だって!
「えっと・・・二人さ、何かゲームでもしてなよ。 それとも、何かDVDでも見る? ちょっと気分転換したら?」
「ん~ じゃあ、ゲームする!」
ハァ~ せっかくアッコちゃんが家に来てるのに。
やっぱり、木下を俺にとって鬼門みたいな存在なんだろうか?
まあ、でも、色々と誤解は解けたみたいだし、よかったけどさ。
しかし、俺も小学生の女の子相手に、なんの説明してるんだか・・・
ゲームに熱中して体を激しく動かす二人のパンチラを見ながら、そんなことをずっと考えていた。
もし気に入っていただけたり、少しでもおもしろいなと思ったら
ブックマークや目次下の☆☆☆☆☆を★★★★★へ評価していただけると励みになります。