第81話 アキラくんのお家が一番落ち着くよ
てか、希美・・・いっつもこんな所で漫画読んでるの?
まあ、なんか部屋っぽいと言えば、部屋っぽいけど。
こんな押し入りの中でさ~・
「ねえ? 希美~ 本だけ持って、希美の部屋に言ったら良いんじゃないの?」
「え~ 面倒くさいじゃん。 本重いし~」
「だからって・・・ なんか私まで、お兄ちゃんの部屋に入ちゃって良いの?」
「良いって~ どうせバレないし~」
もう・・・何か私が気まずいんだけどな。
「てか、アコ。 劇の練習めっちゃ楽しそうだよね?」
「うん、ルナとかめっちゃ厳しいけど、アキラくんがソバにいるからね~ えへへ~」
「良いな~ 藤澤君が人形役になるなんてな・・・ 私も、何かの役に立候補したら良かった」
「でも、不思議だよね? なんで、私とか藤澤君がオーディションに合格したのかな?」
「う~ん・・・言われてみれば。 2組の三枝さんだっけ? あの子の方がアコより、ダンス上手かったような気がするけどね・・・」
そうなんだよな・・・
アキラくんは、私が可愛いからだ~とか言ってくれたけど。
ううん、アキラくんは、私の事となるとなんでも可愛いって言っちゃうんだから。
他の女の子との公平な目で判断ってなると、疑わしいからな~
ん? なんか玄関・・・音する?
『ガチャガチャ・・・ ギーーーーーバッタン!』
希美のお母さんかな?
『ねえ・・・妹さんいるんじゃないの?』
『う~ん・・・でも部屋に居ないから、大丈夫だよ』
えっ? 誰? お兄ちゃん? それに・・・
「希美?」
「シー!」
えっ? シーって・・・
ちょっとヤバくない?
『適当にベッドに座ってよ』
『うん、ありがとう・・・』
えっ、お兄さん帰って来たし。
それに、まずいよ~ これ・・・
どうするのよ? 希美?
えっ? 口に人差し指充てて、そんな静かにって。
ちょっと・・・出て行った方が良いって。
指で、出て行こうよって合図をしても。
ダメだと、首を横に振る希美・・・
え~ どうするのよ・・・
『ハイジュース』
『あっ、ありがとう・・・』
ゴクリ・・・うわ~めっちゃ緊張する。
なにこれ・・・どうしたら良いの?
てか、希美のお兄ちゃん彼女さんと別れたって言ってなかった?
えっ? ちょっと、希美? 何か顔怖いんだけど・・・
でも、どうしたんだろう?
二人とも全然話しないじゃん・・・
『ゆかり・・・この間は、そのゴメン』
『うん・・・』
『俺・・・ゆかりの事が大好きで。 それで・・・』
『・・・・・・』
えっ? なに・・・この会話?
聞くのマズくない?
『その、無理やりしちゃったのは悪いと思ってるよ』
『本当に・・・そう思ってる?』
『思ってる・・・』
『話ってそれだけ? じゃあ、マックでも良かったじゃん。別に家まで来なくても・・・』
『イヤ、そのもう一度やり直したくて。 マックじゃこんな話出来ないじゃん』
うわ~ 何この会話?
無理やりしちゃったって?
えっ? エッチのこと話してる?
『止めてって言ったのに・・・』
『でも、ゆかり・・・俺の事好きって告白してくれたじゃん?』
『好きだったけど・・・でも・・・あんな・・・』
『ゆかり。 俺、ゆかりが大好きなんだよ!』
『えっ!? ちょっと・・・やめて・・・イヤッ。 うん! あっ!? イヤ・・・触らないで・・・』
『だって、今日だって家に来てくれじゃん。 俺のこと好きってことじゃないの?』
『わからない・・・ 好きだったけど・・・』
『じゃあ、良いじゃん。 なんでダメなんだよ』
ちょっと、ちょっと・・・何!?
希美!? ちょと!?
また、シーってジェスチャーで!?
えっ? 静かにしろ!? だって・・・なんか初めてる!?
希美!?
『イヤ、んっ! あんっ・・・ヤダ・・・』
えっ? 何やってんの希美? ちょっと覗くの?
バカ、やめなって!
えっ? 私も覗いてみろって?
え~ う~ん・・・興味・・・無くはないけど。
えっ・・・イヤ・・・でも・・・
『ヤダ・・・ イヤッ! そんな所さらわないで・・・』
えっ? ウワッ!? あんな風に・・・ゴクリ。
『ゆかり、大好きなんだよ! ゆかり・・・』
『イヤ、イヤ、イヤ・・・ヤダ! ヤメて!』
えっ!? ちょっと、彼女さんすっごい嫌がってる。
涙ながしてるよ? ヤメてあげてよ・・・
なんで、そんな嫌がってるのに。
可哀そうだよ・・・
『だって、こんなになってるじゃん。俺のこと好きなんだろ?』
『違う! バカ! ヤメて! イヤ! ヤダ~!』
そんな力づく? えっ・・・
『ヤダ! 痛い! ヤダ! ヤダ!』
ヤダ・・・もう見てられない・・・
もう可哀そう・・・
『イヤダ!! ヤメて!! もう!!』
『ドカ!! イッテ~』
えっ? どうしたの?
『もう! 最低! 変なことしないっていったのに!! バカ! 大っ嫌い!!』
『ゆかり!! ちょと、待って!!』
えっ!? なに・・・
『ギーーーーー バッタン!』
『ゆかり・・・待って・・・』
『ギーーーーー バッタン!』
行っちゃったの?
「ちょっと・・・希美? いまの・・・」
「前に来た彼女・・・」
「えっ? いまの何? めちゃくちゃ嫌がってたよ? しかも痛がってた・・・」
「前もあんな感じだった・・・」
「ていうか、希美の部屋に戻ろうよ~ 早く~」
「え~ うん・・・」
ヤダ・・・何かまだドキドキしてる・・・
なんだったの? あれがエッチなの?
あんな乱暴にするの?
でも、お姉さん嫌がって・・・泣いてた・・・
「ねえ希美? 何かすごいイヤな気分なんだけど・・・」
「うん・・・私も・・・」
「前に来た彼女って・・・あの人なの? 前に話してた人?」
「うん。 この間も、なんか、イイだろ? イイだろって言って、何か無理ヤリしてた・・・」
「希美のお兄さん、ちょっと・・・大丈夫? あんなのイジメじゃん!」
「う~ん・・・だね・・・」
なんだろう、希美もショック受けてるのかな?
たしかに、あんなの見たらショックだよ。
ヤダ、あんなの・・・
う~ アキラくん・・・会いたいよ。
もう何だよ~ 今日はサッカー少年団終わった後も用事あるって。
「希美・・・わたし・・・今日もう帰る」
「え~ うん・・・」
「ごめん・・・じゃあまた明日ね?」
「うん・・・ バイバイ・・・」
はぁ~ なんか気持ちがモヤモヤする。
このまま帰りたくない。
アキラくん・・・
家に行ったら、もう帰ってるかな?
行ってみようかな・・・
なんか、だめ・・・気持ちが・・・落ち着かない。
アキラくんにギュッとしてもらわないと。
月曜日は先生に捕まって全然遊べなかったし。
今日は、なんか隠してる感じで予定あるとか言うしさ。
もう、せっかく退院したのに、全然会え無いじゃん!
なんか、ちょっと腹立ってきたかも・・・
ちょっとでも会って、文句言ってヤル。
フンス!
◇◇◇
家の前まで来ちゃった・・・
けど、もう・・・時間遅いしな~
いっつもは、帰る時間って言われて。
う~ん・・・でも・・・会いたいな。
どうしよう・・・
「アレ? アッコちゃん? どうしたの?」
「ん!? アキラくん?」
ん? なんで、学校と反対方向から帰ってくるの?
「何やってたの?」
「えっ? ちょっと、サッカー少年団の皆で、公園で次の試合の作戦会議って言うか~」
怪しい・・・絶対なんか隠してる・・・
「えっと、アッコちゃん。会いに来てくれたの?」
「だって・・・昨日も遊べ無かったし・・・今日も遊べなくてさ」
「あ~ ごめん・・・ えっと・・・ウチ入る?」
「うん・・・行く・・・」
もう・・・アキラくんのバカ。
公園に行くなら、私と遊んでよ!
そしたら、あんな嫌な思いしなくて済んだのに。
「えっと、アッコちゃん、もう17時過ぎだけど・・・」
「だいじょうぶ! ちょっとだけ!」
もう! ギュッとして欲しいだけなのに・・・
「じゃあ、部屋に先に行ってて」
「うん・・・ありがとう・・・」
もう・・・ジュースとか入らないから。
一緒に居たい・・・
ガチャ・・・
アキラくんの香りがする。
なんか、この部屋にくるの久しぶりだな。
なんだろう、すっごい懐かしく感じちゃう。
どうしよう・・・なんか、涙出て来ちゃった。
ぐすっ・・・ 止まらないよ・・・
『タッ、タッ、タッ、タッ・・・』
「アッコちゃん、お待たせ~ ジュース・・・ ん? どうしたの?」
「ぐすっ・・・ アキラくん・・・」
「えっ!? なんで泣いてるの? えっ? どうしたの?」
ギュッとして・・・いつもみたいにギュッてしてよ。
いきなり家に来て、泣いてるせいで。
彼も、びっくりしてる・・・
でも、何か伝わったのか・・・テーブルにジュースを置くと。
私の手を引いて、先にアキラくんがベッドに腰を下ろすと、グッっと引き寄せられて、いつもみたいに膝の上に座らされると、ギュ~っと抱きしめてくれた・・・
ぐすっ・・・イヤな気持ちでいっぱいだったけど。
やっぱり、こうしてもらうと落ち着く。
希美のお兄ちゃんみたいに、無理やり変なことしないし。
優しく、頭を撫でてくれて・・・
ふふっ、私の頭にスリスリしてる。
いっつもなら・・・すぐに・・・
ふふっ、エッチ。
もう、なんかおっきくなっちゃってるし・・・
でも、それだけだもんね。
やっぱり、ここは一番落ち着くな。
アキラくんのお部屋の匂いと、彼の体温を感じてるだけで、気持ちがどんどん落ち着いて行く。
ん? ふふっ、アキラくんのお家は今日はカレーなのかな?
なんか、カレーの匂いがしてきたな。
もう帰らないと怒られるのに・・・
でも帰りたくない。
『あれ~ お母さん? アッコちゃん来てるの?』
『うん、そうなの・・・』
ん? 美姫ちゃんが帰って来た。
なんか、アキラくんのお家は平和だな。
のんびりしてる。
ん? アキラくん? そんな心配そうな顔で覗いて・・・ゴメンね?
いきなり来て、泣いちゃったら心配するよね?
ごめんね。
「アッコちゃん・・・落ち着いた?」
「うん・・・」
「そっか・・・よかった。俺・・・汗くさく無い?」
「ううん・・・平気。 ここが一番落ち着く・・・」
ちょっと、砂埃の香りがするな・・・
サッカーはちゃんとしてきたみたいだな。
じゃあ、公園でなにやってたんだろう?
ん? アキラくん?
「ほら、もう。 涙拭いて・・・」
「うん・・・ありがとう」
アキラくん・・・
キス・・・したい。
彼と目が合って・・・
もう、ファーストキスも、この間もいっつも私からなんだよな。
たまには・・・えっ?
抱き寄せられて・・・・顔・・・近い・・・
えっ? ん? ん・・・
うそっ? してくるの?
遊園地で無理やりしたキス以外、してくれたこと無いのに。
なによ・・・しかもめちゃくちゃ優しくキスしてくれちゃって。
もう・・・バカ・・・また涙出て来ちゃったじゃん。
「えっ!? アッコちゃん!? えっ!? イヤだった?」
「違うよ・・・バカ・・・嬉しかったの・・・」
「嬉しかった? 本当?」
もう・・・心配症だな?
嬉しいに決まってるじゃないか。
お部屋で二人っきりで、誰も見てないのに。
しかも、キスして欲しいって思ってたら、してくれたんだモン。
嬉しいよ・・・嬉しいに決まってるじゃない。
あ~あ、やっぱりアキラくんは優しい。
希美のお兄ちゃんとは大違いだ・・・
『ガチャ!』
「ん? ちょっと! 何エッチなことしてるの!?』
「あっ!? 美姫姉! ノックもしないで部屋に入って来るなよ!」
美姫ちゃん? えっ? キスしてたの見られた?
えへへ・・・ごめんさない・・・
でも・・・ふふふっ、この二人いっつもこうだな。
仲良いんだか、悪いんだか。
「もう! アッコちゃんばっかりズルいわよ!」
「はぁ!? 意味不明なこと言ってんじゃね~ぞ、お前は! てか何しに来たんだよ!」
「えっ? ああ・・・お母さんが、もう遅いから、アッコちゃんもうちで夕飯食べてくか聞いて来いだって?」
えっ? アキラくんのお家で夕飯?
でも・・・怒られちゃう・・・
「えっ? 良いの?」
「お母さんが、アッコちゃんのお母さんに電話してくれるって。 帰りはちゃんと送ってくからって」
うそ! 嬉しい!! アキラくんのお家で夜ごはん!
「アッコちゃん? どうする?」
「えっと・・・迷惑じゃなかったら・・・」
「アッコちゃんが迷惑なわけないじゃん! えへへ、てか・・・そうなるとあれだな・・・」
「なに?」
「えっ? 親父にちゃんと、紹介しないと・・・」
そっか・・・土曜日もアキラくんのお父さん来てたけど。
うちの、ママとパパと話してたから、全然ご挨拶出来なかったんだ。
なんか、ちょっと緊張しちゃうかも・・・
あ~ この間、バーベキューの時は、アキラくんってこんな気持ちだったのか・・・
ふふふっ、そっか・・・そうだよね?
そりゃ、おめかしもしたくなっちゃうよね。
でも、なんだろう。 アキラくんが居て、美姫ちゃんが居てくれるからかな?
自分の家みたいに感じちゃうな・・・
やっぱり、ここが一番好きな場所かも。
アキラくんの家族は皆優しいから。
今日は・・・来て良かったな・・・
アキラくん・・・大好きだよ。
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