第79話 えっと・・・相撲部屋かここ?
「え~ 初めまして~ 1組の佐久間です。 指揮とピアノを担当します」
「佐久間君! 昨日のピアノすっごいカッコ良かった~!」
えっ!? ああ・・・どうもどうも。
「えっと、君の名は?」
「あっ? わたし、2組の坂下萌です」
「萌ちゃん? えっと、ありがとう・・・」
「え~!? 萌ちゃんだって~♪」
「キャ~」
う~ん、悪い気しないな~
もうこれ、モテ期キチャ~!
「えっと、それぞれ、組通しのペアで、担当の曲割り振っておいたんで~」
「佐久間君? 私・・・まだブルグミューラーやってるんだけど。 だいじょうぶかな?」
「それも考慮して、割り振ったつもりだから、とりあえず練習して見て、それでも弾け無さそうだったら相談して。 フォローするから」
「えっ? 優しい・・・」
えっ? ポーっとしちゃったよ・・・この子・・・
「えっと・・・君の名は?」
「えっ・・・私・・・3組の佐々木真紀です」
真紀ちゃん・・・
ヤバくない? 女の子5人中2人が俺に?
悪くない♪
イタ!?
「オイ!」
「なにデレデレしてんだよ! バカが!」
コイツ~ マジ黙ってれば、可愛いのに・・・
「小沼! お前なんだ!?」
「なんで、私が一番難しい曲を2曲もやるのよ!」
「はぁ? 弾けるだろ?」
「無理よ! あんな早く弾くの!!」
「テンポが速いだけだろ? 譜面的にはそんなに難しくないだろ?」
「あんた基準で考えないでよ!」
「お前と俺とじゃそんなに、レッスンの進度に差なんかないだろ?」
「もう! あっちゃんのバカ!」
アイツ・・・
「えっ? あっちゃん?」
「イヤ、アイツとは、その幼馴染みというか・・・ なんていうか、3~4歳頃からの付き合いだから~ 気にしないで~ てか、あとは皆それぞれ割り当てられたピアノの所行って練習してください。 では解散」
『は~い じゃまたね~ 佐久間君』
「あっ、みんながんばって~」
てか・・・小沼のヤロ~
走って、どこ行きやがった?
皆の前で、あっちゃんなんて・・・
俺の幼名を語りやがって~
許せん!
てか、マジでどこいったアイツ?
廊下見ても見当たらない・・・
もう、イイや。
俺一人で音楽室行こっと。
音楽室って、踊りの練習もしてるんだっけ?
アッコちゃんはどんな感じかな~♪
『イタイ!! イタイ!! イタイ!! 無理!!』
音楽室に近づくにつれて、苦痛に悶える男女の悲鳴のような声が、廊下まで聞こえてくる。
えっ!? なに!? 音楽室で何やってんの?
恐る恐る、音楽室の後ろの扉から中を伺うと・・・
えっ!? なにあれ?
相撲部屋か? 股割?
『イタイ!! イタイ!! イタイ!!』
ウワ~ 痛そう・・・ そんな無理やり。
えっ? アッコちゃんも?
あっ!? あいつ・・・
『ガラガラガラ』
「オイ! 小菅! アッコちゃんイジメんな!」
「あっ? うるさいな~ ケガしないためよ!」
「アッコちゃんは、ケガが治ってから間もないんだぞ! 手加減しろ!」
「あっ・・・アコそういえば、大丈夫?」
「イヤ、あんまり大丈夫じゃない・・・ 股裂ける・・・」
えっと~ 股裂けるって・・・
なんか、アッコちゃんの口から聞くと。
エッチだ・・・
「ん? アキラくん!?」
「あっ? 何これ? 柔軟ってこと?」
「そうよ、股関節に足首全体を柔らかくしないとケガしちゃうし、しなやかに踊れないのよ!」
「もうわかったから、アッコちゃんの柔軟は俺がヤルから、お前は・・・ お前は・・・あっちだ。 秀樹のところ手伝ってヤレ」
「ハッ? なんで私が清水と?」
「お前と同じクラスで、お前のダンスペアだろ!? 手取足取り教えてやれよ!」
「ハッ? キッモ!」
そうだ、大人しくお前は秀樹の所に行ってしまえ。
「だいじょうぶ? アッコちゃん?」
「もう・・・無理~」
「じゃあ、一緒に柔軟付き合うよ」
「一緒に? どうやって?」
「お互い座って、足広げて向かえあって~ 俺がアッコちゃんの足を支えて~ 手を繋いで引っ張ってあげる」
「あ~ なるほど・・・ アキラくんに腕を引っ張って貰えば良いのか~」
「そうそう」
「ん? なんでアキラくん、靴脱ぐの?」
「えっ? だって、アッコちゃんの足が狭まらない様に支えてあげないとだから~」
「あっ、そっか・・・ じゃあお願い」
「うん・・・」
ゴクリ・・・ これって・・・股広げ合って向かえ会うのって。
なんか、めちゃくちゃエロイかも・・・
「それじゃ~ ひっぱるよ~?」
「うん、お願い・・・ んんっ! んくっ! あっ・・・」
えっと~ なんかエロイかも。
「だいじょうぶ? 痛くない?」
「ルナにされてたよりは、全然痛くない、これなら何かちょっとずつ出来そうだね?」
はぁ~ アッコちゃんっと柔軟、めっちゃ幸せや~
「じゃあ、もう一回行くよ?」
「うん、お願い・・・ ん~ あっ! んっ! あっ! 痛いっ、ん~」
ヤバイ、やっぱりエロイ・・・エロ過ぎるコレ。
アッコちゃんの声聞いてるだけで、へんな想像しちゃうよ~
ヤバイ・・・ちょっと、ギンギンになって来た。
「はぁ~ キツイ・・・ ん?」
「えっ? なに?」
「アキラくん!?」
「えっ・・・なに?」
「なんで!? ちょっとヤダ・・・皆の前だよ!?」
えっ? ん? なんでそんな顔真っ赤に?
ん? ギョッ!?
ヤバイ、ギンギンになってるのが見た目でバレちゃう。
どうしよう。 えっと、カットソーの裾を伸ばして隠しちゃえば・・・
「もう! なんで!?」
「えっ? イヤ、その・・・ なんでだろう?」
「本当にエッチなこと、ばっかり考えて。 バカ・・・」
え~ だって、アッコちゃんがちょっと悩ましい声を出すから。
俺じゃ無くたって、こうなっちゃうよ~
「はぁ~ てか・・・いったん休憩・・・」
そう言って、くたっとなり、俺の足の上に頭を乗っけって、床に寝てしまうアッコちゃんを見ながら、周りを見渡すと。 踊り役を射止めて、バレエ未経験者の人達が、小菅瑠奈と坂下美樹のバレエガチコンビから、柔軟の指導を受け、悶絶し苦しむ声を上げていた。
その中に、第一幕の少女クララ役の坂下美樹と、くるみ割り人形役(王子様)の藤さん、第二幕の少女クララ役の小菅瑠奈と王子役の秀樹がペアになって、秀樹と藤さんの二人がそろって、相撲の股割りの様なことをさせられて、顔を真っ赤にする姿を見つける。
滝野の宿泊学習中に、小菅瑠奈に告白すると言ってた秀樹だったけど。
俺達が巻き込まれたゴタゴタのせいで、結局告白できずに今日まで来てしまってるのだけど。 るなっち事、小菅瑠奈に今度いつ告白をするつもりなのか、全然聞けてなかったなと思いながら、しばらくボ~っと眺めていると。
「清水君が気になるの?」
「えっ? うん、この間告白出来なかったみたいだから」
「あ~ 何か・・・申し訳ないかもだね・・・」
「えっ? イヤ、アッコちゃんがそんな気にしないで大丈夫」
さっきまで、エッチ~ことを考えて、イチャイチャ気分だったのが、一気にしんみりとしてしまう。 そんな中、過酷な柔軟に耐えかねたのか、おもちゃの兵隊役の剛が俺たちの所へ倒れ込むように逃げてくる。
「はぁ~ 辛すぎる・・・めっちゃ痛い。 男同士で柔軟辛すぎる・・・」
俺とアッコちゃん、秀樹たちが女の子とイチャイチャ柔軟している姿に耐えかねたのか?
またアホっぽい愚痴を言いながら、俺を構えと言わんばかりに会話に入って来る。
「ねえ? 藤さん、顔真っ赤! なんか、あの坂下ってヤツとイイ感じじゃない?」
「う~ん、イヤ、ただの人見知り発揮して、照れてるだけだろ?」
「そうかな~ どう見てもデレデレしているように見えるんだけど・・・」
そんな会話をしつつ、剛が俺の耳元に近づいてコソコソと話しかけてる。
「ねえ、そう言えばさ~ サッカー少年団の票集めの見返りなんだけど・・・」
「ん? ああ、準備してきたよ」
「マジ? いつ渡すの?」
「えっ? 今日の練習の後に、とりあえず近くの公園に集合してそこで渡そうかなって思てたけど」
「え~もう・・・早く見たいな~」
「お前は、昨日2時間半も、先生のパンツ眺めて堪能してたんだろ?」
「でも~あれは残らないから・・・」
はぁ~ 近くに来て何を話すのかと思ったら、またしょうも無い話をしてくる。
しかも、アッコちゃんが近くにいるというのに・・・
票集めの返礼品の話は、バレちゃうとダメなのに・・・
滝野でアッコちゃんの写真を撮りたくて、隠れてデジカメを持って行ってたんだけど。
剛が喜ぶかなっと思って、実はハルちゃん先生の写真も何枚か撮影していたんだよね。
サッカー少年団で、票集めをする際、協力者にはその時の、ハルちゃん先生の写真6枚組セットをプレゼントっというのを約束していたのだ。 もちろん、パンチラ写真とかそういったものではないのだが。
小学生にとっては、胸と顔が写った写真だけでも、十分刺激的なワケで。 滝野で鬼ごっこに参加していた時の、無防備で無邪気なハルちゃん先生を光学3倍ズームで102mmの望遠で撮影した、貴重ショットが今回の目玉なのだ。
「ねえ! またそうやって、男子だけで内緒話して~! どうせまたエッチな話なんでしょ? てか、石川君さ~ もう変態すぎるからアキラくんに近寄らないで!」
昨日の今日で、またデレデレ顔でコソコソ話をする剛に、イライラしたのか。
アッコちゃんから、容赦ない言葉を浴びてしまい、またショックで死にそうな顔になる剛・・・
「えっと・・・剛? 息・・・してる?」
「アキラ・・・後でね・・・」
あ~ 可哀そうに・・・以前好きだった女の子に痛烈な言葉を浴びせられて、トボトボとおもちゃの兵隊とネズミ役の集団に戻っていく剛・・・ まあでも、さすがに、2時間半ず~っと、廊下からハルちゃん先生のパンツを覗き見していたのはちょっとね。
イタ!? いきなり背中を誰かに蹴られて振り返ると・・・
「はぁ!? 小沼! お前どこ逃げてたんだよ!?」
「はっ? うるさい! テカ、なにアコとイチャイチャしてんのよ! ドスケベ!」
ドスケベって・・・なんだコイツ?
練習サボって逃げてた癖してよ~
「練習サボってる小沼には言われたくありません~」
「あんただって、練習してないじゃん!」
「俺は、アッコちゃんの練習パートナーとしての大事な役割があるんです!」
「ふん! バッカじゃないの! アコとイチャイチャしたいだけじゃん!」
「テカ、憎まれ口は良いから、お前さっさと練習して弾いてみろよ。 今なら、特別にレッスンしてやっても良いぞ~」
「ふん! あんたのレッスンなんて受けないわよ! ふんだ・・・」
そういって、小沼がピアノの前に座り、ピアノの練習を始めると。
音楽室の中は、ピアノの音と、男女の悲鳴のような声がまざって、なんともカオスな空間になっていく。 とてもじゃないけど、踊りの練習しているようにはまったく見えない惨状が広がっていた。
「アキラくんは練習しないの?」
「ん? 俺は家で練習するから良いよ。それに、小沼がまだ合わせて弾けるレベルじゃないからね。だから、しばらくの間はアッコちゃんの専属パートナーしてあげるね?」
「えっ? 良いの?」
「うん」
「へへへ、じゃあよろしくお願いします!」
「こちらこそ~」
そして、なんとな~く、小沼の視線が刺さるのを感じつつ。
アッコちゃんと合法的に学校でイチャイチャしちゃうのだ・・・
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