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第78話 剛・・・それはさすがに・・・


『ガラガラガラ! 佐久間君!! 助けて!!』


びっくりした~!? なに? どうしたの、ハルちゃん先生?


「ねえ、知恵貸して!」

「えっ? なんの?」

「パート譜が全然なんだよ~!!」


はっ? いまさら何言ってんだ? この人・・・

今週末に各パートにスコア配る予定では?


「イヤ・・・先生・・・もう放課後なんで。 俺その~ 残業はちょっと」

「はぁ!? 何社会人みたいな事言ってるのよ! ねえ、助けてよ~!」

「え~ 今日はアッコちゃんとくるみ割り人形のバレエのDVDをうちで見る約束してたのに~」

「お願い! 他の先生達全然手伝ってくれないのよ~!」


そりゃ~ 先生が、どうぞどうぞってされて引き受けたんでしょ?

手伝ってくれるわけないんじゃん・・・


「アキラくん? なんか可哀そうだから手伝ってあげたら?」

「え~ でも・・・」

「そういうことなら、岩崎さん! 先生のパソコンで、くるみ割り人形のバレエの映像見せてあげる! そしたら、一緒に居られるわよ~」


なっ!? なんていう・・・強引な・・・


「アキラくん、わたし映像見て待ってるよ」

「え~ ん~ ごめん・・・」

「じゃあ、ほら行こう? 音楽室! 早く!」


先生に半ば強引に連れ出され、先生の後をアッコちゃんと一緒にトボトボとついて行くと・・・


「じゃあ、先生ちょっとパソコン取って来るから、二人は先に音楽室に入ってて」


そう言って、2階の職員室へ走って階段を降りて行く先生・・・


「先生が廊下走っちゃだめだよね?」

「ふふふっ、本当だね? ほら、先に音楽室に行こう?」



『ガラガラガラ・・・』



放課後の、誰もいない音楽室にアッコちゃんと二人っきり。

廊下からは、他の生徒がキャッ、キャッ、する声が聞こえてくる。


なんか、放課後の教室・・・

二人っきりって、なんかエロイ。


「アキラくん! 先に入って、ピアノ弾いてよ~」


えっ? うん・・・


「ん? どうしたの? なんかまたエッチな事考えてたでしょ?」

「なんで? 全然考えてないし!」

「もう・・・ わたし、アキラくんの顔見ただけで、今何考えてるのか何となくわかるんだから!」


イヤ・・・俺そんなにエロイ顔してたかな?


「そうだ! アッコちゃん! 何弾けば良い!?」

「ごまかした・・・ まっ良いけどさ~ 私が踊る曲、もう一回弾いて?」


「金米糖の精役の曲か~」

「金米糖の精って、何か可愛いよね?」

「そうだね、なんかアッコちゃんにぴったりだね?」

「もう、ヤダ~ そうやって・・・ エヘへ」



『あの~ 入っても良いですか~?』



うわ!? びっくりした~ えっ? 先生? 戻ってくるの早くね?



「イヤ・・・良いですよ・・・」

「もう、学校でイチャイチャするのヤメテくれる? 先生的に許可できないんだけど~」


イヤ・・・お前が呼び止めなかったら、お家でイチャイチャしてたんだが?


「じゃあ、岩崎さんはこっちのテーブルで映像見ててね?」

「てか、先生さ~ そっちの大きなテレビに映せないの? RGBケーブルとかあるんでしょ?」

「はぁ!? 何よそれ? そんなケーブル知らないわよ!」


えっ? この時代・・・ イヤッ、イヤ!イヤ!

RGBケーブルなんてアナログテレビにつなぐんだから、逆にこの時代のモノじゃないのか?

最近でこそ、そんなモン見ないけど・・・


会社の倉庫にあった、古いPCにはRGB端子ついてたし。

先生のパソコンだって・・・


ん? 付いてるじゃん!


「イヤ、RGB端子ついてるじゃん!」

「佐久間君! 私、知識ひけらかす人嫌い!」


えっ!? うそだろ? マジ、この人ちょっと・・・

パソコン教えてって聞いて来たのに、詳しく教えると、分からないって言って、不機嫌になる面倒くさい人と一緒じゃん!


俺・・・


この人が彼氏出来ない理由、なんとなくわかってきた気がする。


「イヤ、もう良いっす・・・」

「もう! 時間ないんだから! 早くして! これ見て、今考えてるパート分け」


えっ!? なにこれ? 


「えっ? 先生本気?」

「なにがよ?」

「全曲、全楽器を参加させるの? 8曲も全部?」

「えっ? だって、他の先生達が、皆平等になるようにしないとダメって言うんだモン!」


それは無理だって・・・

最初の序曲だって、行進曲だって、中間部の早いパッセージ部分なんて、どうやってリコーダーで吹くんだよ?


ベルリンフィルのトップの木簡奏者つれて来たって、ムズイんじゃないの?


「てかさ~ 各楽器、最大2曲までだって。 練習期間考えたら8曲なんて絶対に間に合わないよ!」

「じゃあ、どうしたら良いの!?」


イヤ、自分で考えなさいよ~

仮にもあなた音楽の先生でしょ?


「え? 最初の序曲と、葦笛の踊り、それと金平糖の踊りの3曲だけ。 楽器ごとにパート分けすのが良いって。 他の曲は、全部ピアノ2台で演奏で良いじゃん! それに、序曲の最初の方は、クリスマスで雪が降ってるイメージで。 鉄琴の担当の子に、ウィンドチャイム使わせて、雪が降る音をイメージさせるとかさ~ キラキラキラした音で使えると思うけど?」


「えっ!? 天才! そっか・・・そう考えたら、皆平等に2曲くらいには参加できるって事か~」

「そうだよ、ピアノだって、ソロ版を右手と左手のパートで、それぞれ1人ずつ、2人で1曲とか弾けば、ピアノパートの人だって負担少なく平等になるでしょ?」


「でも、ピアノの子達みんなちゃんと弾けるかな?」

「知らないよ、もし早いパッセージの部分がどうしても弾けないってなったら、途中だけ俺が弾いてフォローとかも出来ると思うけど?」

「佐久間君! 天才!」


天才って・・・


「じゃあ、これでほぼ解決したんじゃないの?」

「イヤ・・・待って! まだ不安・・・」


そう言って、楽譜を見ながらどこにどの楽器を割り振ったらベストか。

事細かに相談されてしまい・・・


終わった頃には、時計がもう17時過ぎに・・・


「先生・・・もう良いでしょ? ここまでやったんだからさ~ もう解放してよ~ 2時間30分の残業ですけど? 残業代にして、13,500円です」

「また、どこでそんな残業なんて言葉覚えてきたのよ! それに13,500円ってどんな計算よ!」


「はぁ? 俺のローディングの価値をベースに計算したんです!」

「えっ? ちょっとまちなさいよ・・・ えっ!? 時給5400円ってどんな時給よ!! それにローディングとか意味不明なのよ!!」


だって・・・別に嘘ついてないモン・・・

タイムリープ前の俺のIT技術者としての時給換算がそれだもの・・・


「ねええ? もう帰っても良いでしょ?」

「そうね・・・ ここまで出来たら、何とかなりそう」


もう、勘弁してよ~

ていうか、他の先生もフォローしてやれば良いのに。


「あ~ あとさ~ この学校の体育館って何なのあれ!?」


はぁ? こんどは体育館に文句?


「なにが?」

「舞台袖、なんであんな壁になってるのよ! あれじゃ、劇のモノとか人の出入りがスムーズに出来ないじゃない!」

「えっ? そんなこと・・・知らないっすよ。 それこそ、学校立てた人に文句言ってよ~ テカ、そこは男の先生達に相談したら良いじゃん」

「なるほど、そっか・・・」


だめだ、本気で疲れて来た・・・


「アッコちゃん・・・もう帰ろう?」

「ん? 終わったの?」

「うん・・・ てか、振り付け覚えたの?」

「うん、結構覚えたかも!」


まあ、2時間半も映像見ながらモクモクとびょんびょん跳ねてたら覚えるか。


「でも、足は大丈夫なの? ケガしたところ?」

「ん? 何ともないよ。 全然痛くないもん」


本当に大丈夫かな? ちょっと心配だな・・・



『ガラガラガラ・・・』


「じゃあ、先生僕ら先に帰るからね。 また明日・・・さようなら」

「あっ!? 二人共、ありがとね~♪」


はぁ~ ん? なにやってんだアイツ?


「オイ!」

「えっ!?」


「アキラくん? どうしたの?」

「イヤ・・・アレ・・・」

「ん? 石川君? 何やってんの? そんなところに座りこんで・・・」

「イヤ・・・ 何か、先生と二人で何してるのかな~って気になっちゃって~」


こいつ・・・2時間半ずっと、そこで覗いてたのか?

暇人かよ・・・ マジでしょうも無いよな~


ん? てか・・・ あっちの扉からって・・・


今先生が座ってる位置・・・ ん?


「ちょっとアッコちゃん。ここで待ってて」

「うん? どうしたの?」

「イヤ、ちょっと確認したいことが・・・」


そう言って、教室前方の扉付近で座り込んでる剛の元にすたすた寄って行くと。


「えっ? 何? アキラ? どうしたの?」

「イヤ、ちょっと、確認しないと・・・」

「何を? そんな確認することなんてないじゃん!」


ここの隙間から見てたのか・・・


!? ・・・はぁ~


ダメだこいつ・・・

マジ引くわ~


「剛・・・」

「・・・なに? ごくり・・・」

「お前・・・これはヤバイよ。 さすがにマズいって・・・」

「イヤ! なんていうか、その。 出来心っていうか・・・」

「ん? どうしたの? なんか見えるの? また私ばっかり仲間はずれにして~」

「あ~!! アッコちゃんは来たらダメ!!」


剛・・・詰んだな・・・もう諦めろ。


「もう! 何が見えるの?」


うわ~ アッコちゃん・・・見ちゃった~


「!? 石川君? 先生のこと好きだからって・・・これはダメだと思うな」

「えっ・・・イヤ・・・その、たまたま・・・」

「たまたまって!」

「ちょ! ちょ! ちょ! アッコちゃん!! 先生に聞こえちゃう!!」



『ガラガラガラ・・・』



「廊下で何騒いでるの!? ん? 石川君? なんでまだ残ってるの?」

「あ~ なんか、俺と先生が二人っきりで、怪しいことしないか心配だったんだって」

「えっ? 佐久間君と? 何言ってるの? 岩崎さんだって、一緒にいたじゃない!」


てか、アッコちゃん・・・チクらないな~


「ごめんなさい。 今剛も連れて帰るんで~ 先生さようなら~」

「ハイ、さようなら~ 気を付けてね~」


そういって、剛の首根っこを掴んで、アッコちゃんといったん教室にカバンを取るに戻り。

それから、1階の玄関に向かって、3人で並んで階段を下りていると・・・


「ねえ? 男子ってみんなそうなの?」

「イヤ、あれはさすがに剛だけ・・・」

「でも、アキラくんだって、私のパンツ見たよね?」


イヤ、それは遊園地で不可抗力でしょ? 覗きとは違うじゃない・・・


「えっ!? アキラ!? アッコちゃんのパンツ見たの!?」

「うるせ~ お前の覗きと一緒にするな! 遊園地で、たまたま! たまたま見えちゃったの!」

「たまたま、アトラクションが止まるまで、ず~っと見てたクセして~」


えっ? アッコちゃん? こいつと俺を同類にするのヤメてくれない?

あれは事故じゃん? こいつのは、のぞき!


「イヤ・・・あれは事故だよね?」

「どっちも、どっちよ! 二人ともスケベ! エッチ! それで石川君は変態!」


えっと・・・最後だけ、なんか差別化してくれたっぽいけど・・・

ん? 剛? 顔・・・青いよ?


「どうした剛? 息? してる?」

「・・・・・・」


アッコちゃんに変態って言われたのがショックだったのかな?

まあ、でも・・・先生にバレなかっただけマシだろ・・・


変態か・・・でも・・・俺もそれなりに~なんだよな~

それで、アッコちゃん達の票を調達したと言っても過言ではないから・・・

ちょっと、あれだけはアッコちゃんにはバレない様にしないとな~


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