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第68話 答えは全部アッコちゃんが教えてくれるわよ


 気持ちが高ぶっているのか、全然眠れない。

 ただ、最後に病室で寝ているアッコちゃんの姿が浮かんで・・・


 またジンワリと涙が出て来てしまう。

 俺はなんでタイムリープなんて・・・


 他にどうんなやり方があったんだ?

 前の人生で、あそこまで過激なことはしなかったのに。

 なんであんなこと・・・


 そもそも、谷口はアッコちゃんの事が好きなんじゃないのかよ?

 なんで好きな女の子に、あんな事が出来るんだ?

 高橋だって、俺にムカついてるんだったら、なんで俺に来ないだよ。

 なんで、アッコちゃんに・・・


 前の人生での、意地悪なんて、仲間外れにするか、悪口を言うか、靴を隠して困らせたり。

 そんな陰湿なイジメばっかりだったはずだ・・・


 怪我なんて・・・怪我なんて・・・



 怪我・・・?



 イヤ、1度だけ・・・



 放課後、グランドの鉄棒から落ちて怪我をして、左腕を骨折してた。

 ちょうど、いまぐらいの時期に・・・


 ちょうど、サッカー少年団の練習でグラウンドに居て、アッコちゃん達が鉄棒で遊んでたのを横目で見ていた。 練習が終わって、帰ろうとしていたら、木下と溝口がアッコちゃんが落ちたって騒いで、職員室に走って行く姿を見た記憶がある。


 あの時も、溝口達と一緒だったはず。

 でも、あの時は、アッコちゃんが自分で謝って落ちたって・・・


 違うのか? ケガするちょっと前から、急に溝口達と遊ぶようになってたけど。

 ひょっとして、あれもあいつらの仕業だったのか?


 アッコちゃんの事だから、ことを大きくしたくないから。

 自分で間違って落ちたって、言っちゃいそうだもんな・・・


 イヤ・・・でも今となってはそんな事、確認しようがない。

 仮にあれが、あいつらが意図的にやっていたとしても。


 今回のケガや仕打ちに比べたら、まだマシだ・・・

 結局どうしたらよかったんだよ。



 またタイムリープで戻って、やり直して。

 今度は、アッコちゃんをただ助けるだけ・・・


 気持ちは伝えずに、ただただ見守るだけ。

 そうしていれば、今回みたいにイジメがエスカレートしないで済むのか?


 陰で動いて、靴を隠されても、見ているだけで。

 その靴を見つけて、人知れず元に戻すとかやっていれば良かったのか?


 でも、それだけで、アッコちゃんにとって、学校が楽しくなったのか。

 毎日学校に行くのが嫌だったって、そう言ってた彼女の心の傷はどうなる?

 それで彼女を救えるのか?


 そんな状態で、彼女とどうやり直せる?

 俺だって、彼女にとったら、嫌だった学校の記憶の一部でしか無くなっちゃうんじゃないのか?


 じゃあ、どうしたら良いのさ?

 どうしたら良かったんだよ?


 結局、俺は彼女を救うことが出来ないで、ウジウジするだけで終っちゃうんじゃないのか?


 俺、そんなのイヤだよ。

 それに・・・もう失いたくないんだよ。


 アッコちゃんからお礼って言って、ほっぺた()にキスされることも。

 楽しそうなアッコちゃんと、一緒にお部屋でゲームして遊んだことも。

 彼女が、俺を好きって言ってくれたことも。

 彼女から、初めてキスをしてもらったことも。


 短い時間だったけど、彼女との思い出を、いまさら手放したくないよ・・・

 でも、それだと周りから反感を妬みをかっちゃう。


 タイムリープで、今日のことだけ無かった事にしたら良いのか?

 でも、それでこの先、あいつらが何もしてこない保証なんてないじゃん。

 わかんないよ・・・わかんない。


「どうしたの? 眠れないの?」


 姉ちゃん?


「うん・・・」

「アキラが責任感じる必要ないでしょ?」

「わからない、俺のせいかもしれないから・・・」

「どうして・・・そう思うの?」


 どうしてって・・・

 未来の世界から、この時代の自分の中に戻ったせいで起きたことだから。


 そんな未来から来たなんて言えない。

 言っても頭がおかしいって思われるだけ。


「アキラ・・・ずっとがんばってたじゃん」


 俺が?


 大好きだった、アッコちゃんに出会って。

 付き合えて、浮かれてただイチャイチャしてただけじゃん・・・


「アッコちゃんと付き合い始めてからのアキラは別人みたいだったよ。 アッコちゃんも、アキラに守って貰えて学校行くのが楽しいって言ってたし」


 アッコちゃんが?

 そっか・・・この間、美姫と二人で買い物に行った時、そんな話を・・・


「ずっと学校行くの嫌だったんだって。 でも、アキラが居るから、安心して学校に行けるって。 嬉しそうに話してたよ」


 アッコちゃん・・・

 でも・・・守れなかった・・・


「もうアキラが居ない生活なんて考えられないって。 将来、アキラのお嫁さんになるのが夢なんだって。 ちょっと、それは私的にムムって思ったけどさ・・・ 嬉しそうに話すアッコちゃん、可愛かったな」


 アッコちゃん・・・

 俺だって、アッコちゃんのことお嫁さんにしたいよ。


 でも、今日のことがあってもそんな風に思ってくれるの?

 俺と一緒にいるせいで、あんな・・・


「今日だって、アキラが助けに来てくれた時は、どんなに嬉しかっただろうね? きっと、涙がでるほど嬉しかったと思うよ・・・」


 そんなの・・・なんか違うよ。

 俺がこの世界に来て、勝手にみんなの人間関係グチャグチャにかき混ぜちゃって。

 それで、アッコちゃんに妬みや恨みが全部集まって、あんな事になったのに・・・

 それを俺が助けて喜んでもらうなんて・・・


 そんなの、自作自演みたいで・・・ただ頭のおかしいヤツじゃん・・・


「それなのに、せっかく助けてもらったのに、元気になったらあんたが居なかったら、アッコちゃんの気持ちはどうなるの?」

「えっ・・・?」

「あんた、全部自分の責任だと思ってるんでしょ? それで、アッコちゃんのソバに居たらいけないんだ、とか思っちゃってるんじゃないの?」

「そんなこと・・・」


 ちょっと思ったし・・・

 そもそも、アッコちゃんとの関係そのもの、タイムリープで無かった事にしようか迷ってるよ。


「ここまで女の子の気持ち、がっちり掴んじゃってる癖して、ちょっとダメな事があったらすぐ捨てるの?」

「そんなこと!」

「アッコちゃんにとって、あんたはもう何にも代えられない存在なんだよ? あんた以外の人なんて考えられないくらいあんたのこと好きなのよ? その好きな人が急にいなくなったらアッコちゃんはどうしたら良いのよ!」

「・・・・・・」


 でも、今日の恐怖や心の傷はずっと彼女に残っちゃうじゃんか・・・

 顔の擦り傷だって、跡が残るかもしれない。


 仮に、今日の出来事だけ、タイムリープで無かった事にしたって。

 これから、また今日みたいな嫌がらせをされちゃうかもしれない。

 タイムリープだって、有限かどうかわかない、助けられる回数だって制限があるかもしれない。

 俺の決断ひとつで、今日みたいに命の危険だって・・・


「ねえ、アキラ? こんなに人のこと好きになるのって、そんなあることじゃないのよ。 アッコちゃんの気持ち・・・それを一番に考えて。 アキラが今考えてることは、ただ自分を責めてアッコちゃんとの関係から逃げようとしているだけだよ。 大好きな女を自分に惚れるくらい骨抜きにしたんでしょ? ちゃんと責任とりなさいよ、男でしょ?」

「そんな、もうアッコちゃんはそんな風に思ってないかもしれないじゃん・・・」

「じゃあ、アッコちゃんが目を覚まして話せるようになったら、会いに行きなさい。 答えは全部アッコちゃんが教えてくれるわよ」


 なんだよそれ・・・どっかの漫画で聞いたようなセリフ・・・

 もしそれで、アッコちゃんに俺が居てくれて良かったとか言われたら。

 そんなのアッコちゃんの口から直接聞いたら、ただただその言葉に縋って、甘えちゃうじゃんかよ。


「それに、アキラ自身がアッコちゃんとどうなりたいの? 余計な事考えないで、ただただ純粋に彼女を思う気持ちだけで答えだしなよ」


 そんなの・・・愛してるに決まってるだろ。

 何にも代えられない、かけがえのない存在だよ。


 そんなの、タイムリープする前から知ってたよ。

 彼女の事を思って、12年も後悔し続けたバカなんだぞ俺は。


 アッコちゃんが、大好きだし、ずっとソバに居たいに決まってるじゃんか。

 姉ちゃんのバカ・・・バカ美姫・・・いっつも余計なことばっかり・・・


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