第65話 アッコちゃん返事して
「ねえ、アコ? あっちのねずみの道に行って見よう」
「うん、そうだね。 あゆみちゃんも行こう?」
「うん」
アキラくんが居なくなると、藤澤くん何も話さなくなるよな?
あれ? 石川君ってどこに行ったの?
「ねえ、石川君は?」
「えっ? ああ、なんかハルちゃん先生のいる方にフラフラって行っちゃったよ~」
「うん、最初私達が滑り台で順番まってたら、なんかいなくなってた」
ハハハ・・・石川君そんな先生の事が好きなのか?
あれ? でも、なんかずっと前、私のこと好きって言ってなかったっけ?
あれ? まあ良いけど・・・
そうだ、アキラくんが水曜日になんか色々あったって言ってたな・・・
なんだろう?
ハルちゃん先生となんかしたのかな?
あとで、絶対に聞きださないと・・・
「ねえ、アキラくんって戻ってこないのかな?」
「わからない。 なんだろうね、呼び出しって」
あ~あ・・・アキラくんと一緒が良かったのに・・・
「あれ!?」
ん? なに?
「無い! あれ!?」
溝口さん? どうしたんだろ?
「どうしたの、溝口さん?」
あゆみちゃんが居て良かった・・・
私と希美じゃ、溝口さんと、そんな口聞けないもんな。
「えっ? 鞄に付けてた帽子がなくなっちゃったの!」
帽子? 被ってたっけ?
「どこで無くなったか分からないの?」
「どうだろ・・・ さっきの森見の塔の所かな?」
「希美、あっこちゃん? どうする?」
どうするって・・・しょうがないな・・・
「え~ じゃあ、皆で戻って帽子探しに行く?」
「そうだね、じゃあ溝口さん、森見の塔まで戻ろうか?」
「え~ 俺行きたくない」
えっ? 藤澤君?
「藤澤君が行かないなら、私も行かない」
希美まで・・・ まあ・・・気持ちはわかるけど・・・
「わかったよ、じゃあ、私とアッコちゃんとで一緒に行くから。二人は先に行ってて」
「ありがとう、あゆみちゃん」
なんだ急に・・・さっきまで悪態ついてたのにさ。
しかも、いまお礼、あゆみちゃんにしか言ってなかったし・・・
もう、なんだろう? この人・・・イヤな感じ。
「えっ? 溝口さん? 帽子ってどんなヤツ?」
「えっ? キャップでつばの付いた帽子なんだけど。 青のストライプ柄の帽子なの・・・」
青のストライプ柄・・・
そんなの、被ってたかな?
ずっと、鞄に付けて、被ってなかったのかな?
じゃあ、森見の塔辺りじゃないかもしれないじゃん・・・
「え~ じゃあ、手分けして探す?」
「う~ん、そうだね・・・」
「あゆみちゃん?」
「なに? 溝口さん?」
「もうそろそろ集合時間だよね? ちょっと遅くなるって先生に言って来てくれない?」
「う~ん・・・良いけど・・・ アッコちゃん1人で大丈夫?」
えっ・・・ちょっとイヤだけど・・・しょうがないか、
「ごめんね~ アッコちゃん」
「イヤ、うん・・・ で、無くしたのってどの辺とか、わからないの?」
「たぶん、あっちの坂の上の方かな? さっき、私1人でプラプラしてたんだけど・・・」
「坂の上・・・?」
う~ん、あの坂の上ってこと?
なんか、日も落ちて来たし・・・
早くしないと・・・暗くなっちゃうよ・・・
「溝口さん? 坂の上のどのへん?」
ん?
「溝口さん?」
あれ・・・いない?
えっ? どういうこと?
どこにいったの?
「オイ・・・」
!? えっ!? なに!?
谷口君? えっ? なに? 怖い・・・
えっ、えっ? 高橋君に・・・川上さん?
えっ? 何これ?
溝口さんは? あれ? なに? 触らないで!
「ちょっと!! 痛い!! 離して!!」
「お前、ムカつくんだよ・・・」
「そうだよ、お前のせいでウチラがどんな目にあってるかわかってんのかよ!」
えっ? どういうこと? なんなのこの人達?
「痛い! ヤダ!! 離して!! ちょっと! どこに連れてくの!! ヤメて!!」
「ふん、お前なんかこうしてヤルよ!!」
えっ!? ウソ!! ちょっ!! 危ない!! 落ちる!!!
「イタイ! イヤ! 落ちる!! 痛い!! ・・・・・・」
ダメ・・・ 私・・・死ぬの? ヤダよ・・・
怖い・・・ アキラくん・・・
◇◇◇
「え~ 先生なんていないじゃん!」
「う~ん・・・ てか、リーダーだけ来いって。アキラと、俺しかいないじゃん・・・」
「どうなってんだこれ? とりあえず先生さがすか?」
マジなんなんだ? 高橋のヤツ・・・
誰もいないじゃん。 なんだよこれ。
ん? あれ、藤さんじゃん。
「あれ? 藤さん。あと木下・・・ 二人だけ?」
「ん~ なんか、あゆみちゃんと、アッコちゃんは、溝口が帽子無くしたって言って、森見の塔の方に探しに行ったよ」
「なんで、お前たちも一緒に行かなかったの?」
「え~ だって、溝口の探しモノの為に、なんで俺らが行かないといけないんだよ」
はぁ~ まあ、この間の件があるから、極力溝口に関わりたく無いのはわかるけどさ~
アッコちゃんと別行動って・・・
「えっ? じゃあ、あいつら森見の塔に向かったの?」
「たぶん」
溝口? 帽子?
あいつ、今日帽子なんて被ってたか?
なんか怪しい・・・ 高橋に呼ばれて・・・
なんだよそれ、イヤな予感しかしないんだけど・・・
「ちょと、ハジメ君。 俺、森見の塔まで戻る。 もし先生達がいたら伝えといてくれない?」
「了解。 でも、もうちょっとで集合時間だから、急げよ!」
「わかった!」
マジかよ・・・ もう完全に嫌な予感しかしないだけど・・・
でも、だいじょうぶだ。
まだ、あゆみちゃんが一緒にいる。
とにかく、急がないと・・・
そうだよ、リーダー呼ばれて俺らしかいないのだって不自然だ。
クソ・・・ハメられたのか・・・
でも・・・ ん?
「あゆみちゃん? えっ? なんで?」
「あっ、佐久間君!」
「あれ? なんで一人? アッコちゃんは?」
「えっ? まだ溝口さんと帽子さがしてる」
「なんで、アッコちゃん1人にしたの!?」
「えっ? だって、帽子探すのまだ時間かかりそうだから、先に戻って先生に伝えてくれって言われて」
クソ! 完全にハメられた!
「えっ? 森見の塔にいたの溝口とアッコちゃんダケ?」
「うん、私が居た時はそうだったよ」
「あゆみちゃん。 俺、いまから森見の塔にアッコちゃん探しにいくから、集合時間過ぎて30分たっても俺らが戻らなかったら、先生に言って森見の塔付近でアッコちゃんを探すように伝えてくれないか!」
「えっ? どういうこと?」
「ハメられたんだよ! たぶん、溝口と高橋に! リーダー呼ばれてるって言われたけど、全然集合してなかったんだから!」
「えっ? そんな・・・」
クソ! やられた!
「佐久間君はどうするの?」
「俺は、懐中電灯とか色々持って来ているから、アッコちゃんを探す!」
「わかった、わたし戻って、先生に伝えるよ」
「ごめんだけど、頼む! じゃあ、また後で!」
「うん、佐久間君も気を付けてね」
クソ、日が落ちて来たし・・・
気温も下がってきてる。
アッコちゃん・・・今日の服装・・・
クソ! もう何もかもが最悪じゃん!
急がないと!
溝口・・・高橋・・・ あいつら、絶対に許さなんぞ!
アッコちゃんにもしもの事があったら・・・
クソ!!!!
森見の塔だ!
「アッコちゃ~ん!!!!!!」
ダメだ・・・ 全然返事が無い。
どこに行ったんだ?
溝口の姿も無い・・・
クソ!!!!
「アッコちゃ~ん!!!!!!」
マジかよ・・・頼むよ返事してよ・・・
どこに行ったんだよ・・・
誘拐? イヤ、そんなの無理だろ!
それに返事が無いって・・・
いくら、ここが森のなかだって言っても。
園内までなら、声も届くだろう。
それに、あゆみちゃんと会ったのがあの位置だろ?
まだ、そんなに遠くに行ってるワケないもん。
ヤバイ・・・ 顔から血の気が・・・
なんだ、この感覚・・・
ウソだろ、
返事してくれよ!
「アッコちゃ~ん!!!!!! 返事して!!!!!!」
どっかに連れてかれたのか?
どこだよ!! クソ!!
通路は、上か下かしか無いけど・・・
どっちだよ。
ん? そういえば・・・さっき高橋が俺ら呼びに来た時。
上の坂から、溝口が1人で歩いて降りて来てたよな?
上か!? とりえあえず坂の上を探すか?
「アッコちゃ~ん!!!!!! 返事して~!!!!」
ダメだ・・・全然声がしない。
こんな時のために笛を渡して置いたのに。
ひょっとして、気を失ってるとか?
縛られて、口をふさがれてる?
そこまでするか?
犯罪だぞそんなの!
「アッコちゃ~ん!!!!!!」
どこだよ! 頼むから返事してくれよ・・・
『佐久間~!! 岩崎~!! どこだ!!』
ん? 先生達の声!?
「先生!!!! 佐久間ここにいま~す!!!!」
そう叫んで、懐中電灯を光が動いている方へ振る
『佐久間か~!! 戻って来い!!』
戻れって・・・ そんな、まだアッコちゃんが!
「まだ岩崎さんが見つかってないんです!!!!」
『イイからお前は戻れ~!!!!』
チッ!! 戻れるかよ・・・
クソ・・・ 俺が一緒に居なかったせいだ・・・
「佐久間! もう良い、お前はもう戻れ」
「アッコちゃんがまだなんです! たぶん、溝口と高橋にどっかに連れてかれたんです!!」
「溝口と高橋に?」
「最悪の事を考えて、アッコちゃんには、フォイッスルに懐中電灯も渡しておいたはずなのに・・・ 全然反応がないんですよ!! アッコちゃん・・・が・・・ 俺・・・」
「分かった、泣くな! 岩崎の捜索は先生達が引き続きやるから、お前はとりあえず戻れ!」
「アッコちゃん・・・ アッコちゃんが・・・」
「佐久間!! 聞け!! わかった!! 俺達が責任もって探す!! だからお前は戻れ!! 男だろ!! 泣くな!! しっかりしろ!!」
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