第64話 アキラくんと一緒にいる時間が特別なんだから
「じゃあ、先生はこの班にまぜてもらおうかな~」
ん? ハルちゃん先生?
「ハルちゃん先生! よかったら、僕の隣に!」
オオ・・・剛・・・めっちゃ積極的。
なんだこの世界、ドラマかラノベか?
「ねえ? アキラくん? 石川くんって?」
「えっと・・・水曜日に・・・色々あって」
「え? なに? 色々って?」
「ここじゃ言えない・・・」
「なに? またエッチなこと?」
「またって、失礼ね? アッコちゃん?」
「だって・・・ アキラくん達いっつも、女の子のことばっかり話してるから・・・」
え~ 俺・・・そんなにアッコちゃんから、脳内エロ、一色男子に思われてるのか?
イヤ・・・まあ・・・過去の所業を考えれば、しょうがないけどさ~
それにしても、剛・・・
そんなに、おっぱいが良かったのか?
ハルちゃん先生は10年って言ってたけど・・・
8年後・・・18歳・・・ワンチャンあるかこれ?
その頃なら、ハルちゃん先生もまだ31歳だし。
まだ、可愛らしさはまったくといって失ってないだろう。
その間、ハルちゃん先生に彼氏が出来なければの話だけど・・・
イヤ~ この先の剛ウォッチングがめっちゃ楽しみになってきた~
「アキラ? 剛どうしちゃったの?」
「ん? 藤さんならわかるだろ? 魅了されちまったのさ・・・ あの谷間の秘宝に・・・」
「えっ? ああ・・・なるほど・・・」
そういえば、藤さんは、ハルちゃん先生のこと何も言わないな・・・
「藤さんはハルちゃん先生の事、何とも?」
「えっ? だって、おばさんんんんんん・・・・・・」
藤澤!! こんな至近距離で・・・なんて言う暴言を・・・
ハルちゃん先生に聞こえたらどうする! このバカチンが!!
「ん!? 藤澤君! いま、先生の事おばさんって言った!?」
ヤバっ・・・聞こえてた・・・
止めるの遅かった~
「えっ? イヤ、そんなことは・・・」
「ひっど~い! 先生傷ついちゃった・・・ ぐすん・・・」
ウワッ!? 今、自分でぐすんって言ったよ?
しかも、目の下で泣くポーズまで・・・
あいつ、ピエン女か?
「先生は可愛いから、あんなの気にしなくて良いよ」
「あら・・・石川君・・・優しい・・・」
うわ~ なんか凄いもの見ている気がする・・・
これは、マジでワンチャンあるのでは?
「キモッ・・・」
ん? 今ボソって・・・ 溝口?
なんだアイツ?
ずっと黙ってると思ったら。
こいつ、なんか不気味だな・・・
妙に大人しいけど、何かをため込んでるような感じ。
こいつがこんなに大人しい事なんて、幼稚園の頃から見てるけど、一度も無かったよな?
放課後の面談で、尾崎先生とハルちゃん先生との間でバチバチやってのかな?
『は~い! 食べ終わったら、後片づけ初めて下さいよ~! 片付け終わった班は、先生に確認してもらったら、そのままハイキングに行って良いですからね~』
「アキラくん! ハイキングだ~!」
「うん、そうだね? 一緒に行こうね?」
「え~ 私、あの滑り台早く乗りた~い!」
「行列出来ちゃうかもだから。 後かたずけ頑張って、早くいなかいとね?」
「うん!」
◇◇◇
なんか、楽しいな~ アキラくんと一緒。
でも、可愛い恰好じゃないとイヤって我儘いったせいだな・・・
ショートパンツはちょっと寒かったな・・・
いくらタイツを履いててもちょっと寒いかも。
でも、アキラくんにくっついてたら暖かいし。
全然へいき・・・
「アッコちゃん! おいで!」
「うん!」
「一緒に滑ろう?」
えっ? 一緒って・・・
アキラくんに抱っこされながらって事?
ちょっと・・・恥ずかしいかもだよ・・・
皆に見られているし・・・
「一緒の方がスピード出るよ!」
うう、断れない・・・
「じゃあ、重くない?」
「何をいまさら。 毎日、膝の上にいるくせに~」
まあ、そうだけどさ~
「じゃあ、藤さん? 背中思いっきり押して!」
「行くぞ! せーの!」
えっ? そんな勢いつけるの?
「GO!!!!」
えっ? 速い!
ちょっ・・・ これ、意外と怖いかも・・・
「アハハハ、速い!」
「ちょっ・・・怖いかも・・・」
ん? あっ、途中でスピード落ちるのか。
「ありゃ・・・ 遅くなっちゃった・・・」
ふふふっ、残念そう・・・
到着っと
「二人分の体重ならもっと加速すると思ったんだけどな~」
「それで、わざわざ膝の上にのせて滑ったの?」
「そうだよ。 ちなみに~ 今頃、藤さんも・・・ クッシッシッシ」
ん? 希美?
藤澤君の膝の上に乗ってる・・・
ん? そういうことか。
アキラくんって何気に、希美のことアシストしているよな~
藤澤君と、なんか一生懸命くっつけようとしているような感じ?
この間の映画の時の、ハンカチだって。
あれ絶対、アキラくんのハンカチを藤澤君に貸してあげたでしょ?
なんでわざわざそんな事しているのかな?
なんか、アキラくんって、やっぱりちょっと不思議な所あるよね?
「希美~ よかったね~?」
「なに? やめてよ・・・ちょっと恥ずかしかったし」
「あれから、藤澤君とはどうなの?」
「どうなのって・・・ 何にもないよ・・・」
ありゃ・・・
「誘ったりしてないの?」
「誘えないよ。 なんか私の事どう思ってるのかいまいち分からないんだもん」
「え~ でも、この間の映画の時は、少し良い感じだったんじゃないの? ハンカチ貸してくれたんでしょ?」
「そうだけど・・・ どうなんだろう? 藤澤君って、何かこう掴みどころが無いって言うか~」
まあ、確かに・・・ でも、私にははっきり好きって言ってくれてたな。
ひょっとして、まだ私のこと・・・
だとしたら、何か希美に悪い気がしてきたな・・・
私が、告白しちゃいなよなんて言うのは、ちょっとあれだよな。
「ふん、良いわね。楽しそうで!」
溝口さん? えっ? なんなの?
楽しそうって・・・
なによ・・・全部あなた達が悪いんじゃない。
なんで、うちらが敵視されなきゃいけないんだろう。
「アコ、気にする必要無いよ、あんなヤツ」
「えっ? うん・・・ そうだけど・・・」
なんかヤダな・・・
この間、さおりんにあんな話聞いた後に、あんな態度とられたら。
やっぱり、何かされちゃうのかなって不安に思っちゃうよ・・・
「アッコちゃん? どうしたの? あっちに行こう?」
「えっ? うん・・・」
ふふっ、そうだ。
私のソバには彼がいるもん。
何があっても守ってくれるんだから。
平気だもん・・・
「あっちの山の上に面白い物があるんだよ」
「面白い物? なに?」
「見たら、ちょっとワクワクしちゃうようなヤツ」
ワクワク?
でも、アキラくん凄いな。
全然、迷いなく進んで行くな?
「アキラくんってココに来た事あるの?」
「うん、昔小学生・・・ って、そうじゃなくて。 昔来たことあるよ」
ん? 昔小学生?
また変なこと言ってる・・・
本当に、この人たまに変なこと言うよな。
「アッコちゃん、あれだよ」
「えっ? 凄~い! 何あれ~ ジ〇リの建物みたい!!」
「森見の塔って言って、中に入れて、一番上まで登れるんだよ!」
「え~! 行きたい!」
すごい! こんな森の中に急に、砦みたいな建物!
おとぎの国に来たみたい!
えっ? なに、これ~ おっきい木をくり貫いた感じになってるんだ~
「え~ 凄い、なにこれ? 中もなんか迷路みたい!」
「一番上まで行こうよ! めっちゃ景色良いんだよ」
「うん」
外階段があるのか~
「なんか、ここグルグル登ってるの目が回るね?」
「もうちょっとで頂上だよ」
「うわ~ すごい! 360°見渡せるんだ~ へ~ うわ~ 紅葉きれい・・・」
「アッコちゃんって本当に嬉しそうにするよね?」
「え~ だって~ 純粋に凄いんじゃんこれ~ 北海道って感じ~」
「そっか、そうだよね。 東京都とかじゃ、こういう景色少ないもんね」
「そうだよ、ビルとか建物ばっかりだモン」
そうだよ、こんな景色北海道にしか無いんだから・・・
それも、大好きな彼と一緒になんて。
アキラくんと一緒に居る、この時間が特別なんだから。
また・・・来年3月に転勤なのかな?
なんか、パパとママのあの感じ・・・
はっきり、転勤は無いよって言ってくれなかった。
ヤダな・・・アキラくんと離れ離れになりたくないのに・・・
この手・・・放したくないのに・・・
「ちょっと、寒くなって来たね?」
「えっ? うん・・・そうだね・・・ 私、今日ちょっと薄着で来ちゃったから、ちょと寒い」
「え~ そうなの?」
「うん、ショートパンツにタイツだと、ちょっと寒い・・・」
「あ~確かに寒そうだね・・・ でも、その恰好、スッゴイ可愛いから俺好きだよ」
「本当!? へへへ、嬉しい・・・」
もう・・・アキラくんは、いっつもちゃんと可愛いって言ってくれるな~
表情みてたら、本当にそう思ってくれてるのが分かるから。
すっごい嬉しい・・・ 我慢してこの恰好で来て良かった♪
「じゃあ、降りようか?」
「うん」
えっ? ええええ?
「アキラくん・・・」
「ん?」
「帰り・・・エレベーター?」
「そう、外見は何かジ〇リのお城っぽいのに、中はエレベータって超現代風ってね」
「え~ なんか、ちょっと夢が壊れる・・・」
「まあ、こればっかりはね」
エレベーターを降りて外に出ると。
他の班の人達もわらわら集まっていた。
「徳重~ 佐久間~」
「あっ? なに?」
高橋君・・・なんだろう・・・
また、何か嫌がらせ?
「何か、先生が各班のリーダーだけ、先に集まれだって。森の交流館前に集合って言ってたよ」
「えっ? リーダーだけ集合? なんだそれ? ハジメ君なんか聞いてる?」
「イヤ、知らない・・・ でも、先生が呼んでるなら、行かないとだよね?」
「え~ もう・・・ アッコちゃん。ごめん、なんかリーダーだけ呼ばれたみたい」
「ううん、だいじょうぶだよ。 希美もあゆみちゃん達もいるし」
「ごめんね。 じゃあ、ハジメ君行く?」
「うん、行こうぜ」
あ~あ・・・ 行っちゃった。
こんなことなら、リーダーの欄にアキラくんって書かなければ良かったな~
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