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第62話 ハルちゃん先生は魅了する


「なあ、アキラ~ ハルちゃん先生さ~ めっちゃ可愛いよな~」


こいつは・・・本当に惚れっぽい。

一途という言葉は、こいつだけには当てはまらないのだと思う。


「ねえ・・・アキラ~ ハルちゃん先生のおっぱい・・・めっちゃ気にならない?」

「剛さ~ お前本当に見境ないよな?」

「え~ だってさ~ 独身で彼氏もいないって言ってたよ~」


月曜日に新たに赴任してきた、小泉遥先生。



歳は23歳、身長はたぶん155cmくらい、小柄でとにかくお胸が大きい。

それに、顔だけ見れば、合コンで大学生っと言っても、全然相手を騙せちゃうほどに若い。


童顔に、可愛らしくって、愛嬌があって、とにかくお胸が大きい。

剛に限らず、うちのクラスの男子数名がもう、彼女のおっぱいに魅了されハマってしまっている様子。


それだけならまだしも・・・

なぜか最近、休み時間になると、うちのクラスの人口が増えている気がする。

むさくるしいほどに、男子の数が多い・・・


「ねえアキラ~ ん~」

「もう! お前はうるさいな~! 美姫美姫言ってたと思ったら、アッコちゃんアッコちゃん、んで、次は遥ちゃんかよ?」


あまりにうるさいので、手で剛の顔を押しのける・・・


「なに剛? また誰か好き好き言ってんの?」

「ん? 秀樹か。 こいつ今週きたうちの担任に一目惚れしちゃったんだって」

「ああ~ あの巨乳先生か・・・ スーツの弾けそうな胸ヤバかったな~」


ここにもおっぱい信者がいたか・・・


「そんな、遥ちゃんのおっぱいなんて見ちゃって、るなっちに見られた嫌われるぞ?」

「るなっちは・・・もう良いよ・・・」

「俺さ~ 先週アッコちゃんとハジメと、るなっち達とバーベキュー言ったんだよね~」

「はっ!? 聞いてないけど!?」


そりゃね・・・今初めてご報告しておりますから・・・


「秀樹・・・ 俺とっても秀樹にとって有益な情報を手に入れて来たんだけど・・・ 聞きたい?」

「えっ? るなっちの? ・・・えっと・・・聞きたい・・・かも・・・」

「るなっち本人から聞いたけど・・・ 間接キスを秀樹以外の人ともしてたって言うのは事実らしいんだけど・・・」

「はぁ~ やっぱりそうなんだ・・・」


待て待て、落ち込むのは早い。


「ただ、るなっち曰く、気になる人が沢山いたんだからしょうがないじゃん。だそうだ・・・」

「えっ? 気になる人が沢山いた?」

「そう・・・気になる人が沢山いただけ。 これ・・・どう思う? 秀樹~?」

「えっと・・・それって。 るなっちが、俺の事気になる存在だって言ってたってこと?」

「それをどう受け取るかは秀樹次第なんだけど・・・どうする? 色んなヤツと間接キスしまくるヤバイ女って思うか? 自分の事を気になる存在として見てくれてる魅力的な女と思うか? あとは秀樹次第なんだが・・・」


ふふふっ、悩んでるな~


「えっ? 秀樹、両思いなの!?」

「あ~ 剛は黙ってようね~ 今、おっぱいの話してないから」


ん? どうした秀樹?


「アキラ・・・ゴクリ・・・俺やっぱり明後日、滝野で告白するわ!」

「いいの? あいつ秀樹以外にも気になってるヤツいるみたいだよ? もし付き合っても浮気とかされちゃうかもよ?」

「そうなったら、そうなったでしかたないよ! 俺はるなっちが好きだ!」


オオ・・・死んでた目が復活した。

 

「えええ! 秀樹、女の子に告白するの?」

「剛もする? 遥ちゃんに?」

「バッバカなの! 先生に告白なんて・・・」

「イイじゃん、可愛い遥ちゃんの、そのおっぱいが大好きですって言えば」

「あらっ、ありがとう。 佐久間君、先生のこと可愛いなんて言ってくれて~」


はぁ!? なんで!? ここにいるの!?


「えっ・・・先生・・・なんで!?」

「ん~ サッカー少年団の練習見て見たいな~って思って来てみたら、佐久間君と石川君が見えたから来ちゃった♪」


来ちゃったって・・・

確かにこの子めっちゃ可愛いかも・・・


「あっ、なるほど・・・あのハルちゃん先生の事好きって言ってるの、コイツなんで!」


そういって、生贄に剛を差し出す・・・

慌てふためく剛を、そのままハルちゃん先生の方へ突き飛ばす。


「ウワ~!!」

「キャっ!? イヤッ!」


オオ・・・剛・・・やったな!


「もう! 石川君!」

「ごめんなさい! てか、オイ!! アキラ!!」


そんな・・・俺を攻めるなよ・・・

全然感謝してくれて良いんだから。


恥じらう顔・・・めっちゃ可愛いっす・・・ハルちゃん先生。


剛が顔を真っ赤にして怒ってこっちを見てやがる。

イヤ、その顔をするのはおかしいだろ、剛・・・



(こそこそ)

「剛・・・」

「なんだよ!」


「俺に対して怒りの表情はおかしいぞ」

「だって! お前が突き飛ばすから!」

「ラッキースケベ・・・ゲットできたじゃん?」

「えっ? ・・・それは」

「しかも・・・お前ぶつかった瞬間・・・モミモミしてたよな? 俺の目はごまかされないよ?」

「えっ!? イヤ・・・そんな・・・」



「二人とも~ 何話してるの! もう!! 石川君!!」

「はい!」


「・・・女の子に・・・あんなことしちゃダメなんだからね?」

「・・・は・・・い」


ダメなんだからね? って・・・

オイ、オイ・・・そんな乙女の恥じらいいっぱいの顔して、説教って・・・

もう、剛骨抜きじゃんかよ・・・


「先生ごめんなさい! 剛、先生のことが本気で女性として好きみたいなんで、許してやってください!」

「もう! 佐久間君も先生のこと、からかってばっかり! 許さないぞ!」


イヤ、その両腕の、手首と腕を自分の体の前で構えて。

許さないぞ! プンプンって・・・


この人・・・アイドルか?


王道のぶりっ子アイドルのようなその仕草。

なかなか・・・ヤバいっす・・・

 

「もう・・・石川君の気持ちは嬉しいけど・・・あと十年して、それでも先生の事好きなら。 その時また告白して?」

「えっ? はっ・・・ハイ・・・」


イヤ・・・あざとさ全開か?

でも、剛に限って言えば・・・10年恋し続けるは、無理よ。

それに10年先って、あなたその時何歳っすか?

 

「そういえば、ハルちゃん先生? あいつらの面談に付き合ってたんじゃないの?」

「あいつらって・・・ 高橋君達?」

「はい、そうです・・・」

「なんか、まだまだ時間かかりそうね・・・」

「そうですか・・・ 何か着任早々に、厄介なクラス担当させちゃってすいません・・・」

「はっ? 佐久間君にそんなこと・・・ 大丈夫よ、事情も知ってて来たんだから。 やっと貰った担任だもん! 頑張るから!」


大学卒業してから、ずっと非常勤でしか働き口が無かったって言ってたからな・・・

今回のチャンスを何としてでもって思いでいっぱいなんだろうな~

でも、遥ちゃんが来て、クラスのなかがドピンク色に染まってるけど、あのどんよりした空気が無くなったのは感謝かな~


おかげで、誰も俺とアッコちゃんにダル絡みしてくるヤツは居なくなったから・・・


「じゃあ、練習の邪魔してごめんね? 私帰るから、みんな頑張ってね~」

「お疲れさまです!」

「ぷっ! 佐久間君って・・・変な子ね? お疲れ様って大人みたい。 ふふっ、じゃあまた明日、バイバイ」


・・・ついクセで・・・言っちゃうな~ お疲れ様。

こういう場合、普通の小学生は何て言うんだっけ?


先生バイバイ? サッカ少年団なら、あっざーす? イヤ、でもあっざーすは中学に入ってからの部活の挨拶だったし・・・ なにが正解かわからない?


「ちょっと~ アキラ! 何勝手に告白してるのさ~!」

「ん? なんだよ剛。 良かったじゃん10年待ってくれるって。 10年後には、あのおっぱいはお前のモノだぞ!」

「あ~ ハルちゃん先生のおっぱい・・・ ふわふわだった・・・」

「イヤ、すごいなあの先生・・・ 間近で見ると、おっぱい・・・ヤバイ・・・」


あ~ この調子じゃ、俺ら卒業するころには、6年生の男子の半分はハルちゃん先生に魅了されてしまうんじゃ・・・


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