第58話 いきなりご両親への挨拶って、心の準備が・・・
『ピンポ~ン ピンポ~ン』
『ガチャ!!』
「アッコちゃん!」
「オハ! アキラくん」
あれ? なんか、今日の恰好・・・
「今日、スカートじゃないんだ?」
「えっ? うん、あのねアキラくん。 今日・・・うちの親がバーベキューするって言ってて・・・」
「えっ? じゃあ、今日って一緒に遊べないの?」
「えっと・・・そうじゃなくて、アキラくんも一緒に行かないって? パパとママが」
パパとママが・・・
なんですと?
パパ・・・ママ・・・?
えッ!? ご両親へのご挨拶ってこと?
えっちょっと・・・ まだそんな心の準備が・・・
「あっ、おはよ~ 何? アキラバーベキュー行くの?」
「えっ? えっ? アッコちゃん? ご両親と一緒って事? 俺も?」
「うん、イヤ?」
「アッコちゃん、ちょっと俺の部屋に行って待っててくれない」
「えっ? うん・・・」
ご両親への挨拶だと?
こうしちゃいられないじゃん!
「えっ!? アキラくん!? どこ行くの?」
「ゴメン、ちょっと待ってて!!」
こうして居られるか・・・
ご両親へのご挨拶だぞ!
手ぶらでなんか、印象悪すぎだろ!
うぉ~ お土産買わなきゃ~!!
◇◇◇
ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・
「もう! どこ行ってたの?」
とりあえず、冷蔵庫に入れて・・・
「ごめん、アッコちゃん。ちょっと待ってて!」
「えっ!? ちょっと! アキラくん!?」
どうしよう・・・何着て行ったら・・・
正装? スーツ?
イヤ、イヤ・・・俺はいま小学生。
えっと・・・えっと・・・
そうだ!! ピアノの発表会の衣装!!
これだ~ じゃ~ん!!
「アッコちゃん・・・ お待たせだぜ! フッ」
「えっ!? どうしたのアキラくん? その名探偵コ〇ンみたいな恰好・・・ 蝶ネクタイ?」
「あら? アキラ、それ去年のピアノの発表会の衣装じゃない。 可愛い~♪」
これで完璧だろ!
あとは、さっき買って来た手土産を持って・・・
「アキラくん・・・ 今日・・・バーベキューだよ?」
「うん、わかってるけど。 でも、初めてのご両親へのご挨拶だよ! 婚約相手のご両親への挨拶なんだよ!」
「アッコちゃん、ごめんね。 頭のイカレた弟で・・・ アッコちゃんの事になると、どうも我を忘れるみたい」
「イエ・・・ なんか、すいません・・・」
「なるほどね、アッコちゃんのご両親と・・・ それで、ご両親への挨拶気分でおめかししちゃったと。 はぁ~ アッコちゃん、剥くよ・・・」
「ハイ!」
えっ? 美姫? アッコちゃん?
イヤ・・・そんな脱がさないで!
アッコちゃん、まで・・・ちょっとノリノリじゃん・・・なんで!?
・・・・・・
なんで・・・
「イヤ! なんでだよ! さっき着てた服じゃないか!!」
「バカね、バーベキューなんでしょ? そっちの服で行かないと、アッコちゃんのご両親も気を使って困るでしょ!」
これじゃ・・・第一印象最悪だよ・・・
礼儀のしらない子になっちゃうよ。
「初めての、ご両親への挨拶なのに!」
「もう、わかったから、さっさと行け! アッコちゃん、よろしくね~」
もし、これで印象悪くなったらどうするんだよ・・・
前世の俺だって、アッコちゃんのご両親なんてあったことも無いのに・・・
しかも・・・アッコちゃんに服剥かれて裸見られた・・・
裸を見られるのは、初めてのエッチの時だと思ってたのに・・・
クソ・・・美姫のヤツ・・・
「アキラくん? アキラくん?」
「えっ?」
「もう・・・ なに、1人でブツブツ言ってるの? もう、アキラくんがモタモタしているから、皆待ってるよ~」
「えっ? 皆?」
「うん、うちと~ 希美とルナとさおりん、あと徳重君のお家で皆で行くって~」
はっ? これって・・・アッコちゃんパパの会社の集まりってヤツ?
俺・・・完全アウエーじゃん・・・
「えっ? アッコちゃん? ご両親はどちらに?」
「ん? アソコに居る二人が、パパとママだよ」
あれか・・・
「あっ! アキラくん!?」
「あの、はじめまして、佐久間晃と言います。 今日は、お誘い頂きありがとうございます! 亜希子さんのご学友をさせて頂いております!」
「はっ? ご学友って・・・アハハハ! おもしろい子だね~ はじめまして、亜希子の父です。 急に誘ってごめんね」
「ふふっ、おもしろい子ね? ねっ? アコ?」
「イヤ・・・ちょっと・・・今日、彼緊張してるっていうか・・・」
えっ? 笑われた・・・
まずい、挽回しないと・・・
「あの! すいません、こちらお口に会うと良いのですが・・・」
「あら~ お土産? ごめんね~ なんか気を使わせちゃったわね~」
「へ~ 良かったなアコ? これ駅前のケーキだろ?」
アッコちゃんパパにママ・・・
ヤバイ・・・めっちゃ緊張する。
「えっ!? さっき、駅前まで行ったの? どうりで・・・あんなに時間かかって・・・」
「だって・・・初めてのご挨拶なのに、手ぶらでなんて来れないでしょ?」
「ハハハ♪ ご挨拶って、そんな畏まらなくても。 『嫁にくれなんて挨拶なら話は別だが・・・』 イヤ~♪ 今日はバーベキューだからそんな緊張しないで♪」
えっ!? 今・・・一瞬・・・めちゃくちゃ凍るような声に・・・
「もう、お父さん・・・ そんな怖い声だしちゃダメでしょ? 将来の・・・ね~?」
やっぱり・・・アッコちゃんパパ・・・
これって・・・第一印象的にどうなのよ?
嫁にくれなら話は別・・・?
ヤバイ・・・この人怖い人かもしれん・・・
「アキラくん? アキラくん?」
「えっ?」
「もう、行くから、車に乗って」
「あっ、すいません。 おじゃまします・・・」
ヤバイ・・・ド緊張・・・
「アキラ君はバーベキューとか良くするの?」
「えっと、よくうちの庭でジンギスカンはします」
「庭か~ 良いな~ 一軒家は・・・うちは転勤が多いから・・・」
知ってます・・・
転勤・・・
「転勤の予定とか・・・あるんですか?」
「ん? 今の所は、まだそんな話は聞いてないな~」
そうだよな・・・
内示なんて通常1ヵ月前とか・・・
内々に話があっても、2~3カ月前とかだよな・・・
「イヤ~ アキラ君? なんか、色々、アコの事守ってくれたって。この間の件も含めてお礼を言いたくてね」
「イヤ・・・お礼なんて・・・ 結局、僕の詰めが甘くて、アッコちゃんを傷つけちゃったし・・・」
「リコーダーの事かい? あれは君のせいじゃないだろ? 休みの学校に忍び込んで、いじめっ子を突き止めるとか、それだけでも凄いのに・・・」
「イエ、僕は・・・アッコちゃんを守るって約束したから・・・ だから・・・ アッコちゃんが泣いちゃったら、僕の負けなんです・・・」
結局・・・泣かせちゃったし・・・
それに、これからだって、まだ何かされるかもしれない。
「あら、アコ~ 良い彼氏ね~」
「もう! ママ! ヤメてよ~」
「彼氏ね・・・」
また・・・アッコちゃんパパ・・・
なんか、彼氏とか・・・嫁とか、それっぽいキーワードの時、声怖くないっすか?
「もう! お父さん!」
「友達なら良い、友達なら・・・」
・・・やっぱ・・・父親のハードル高しか・・・
「またそんな事言って・・・ アコに嫌われるわよ」
「結婚はダメだ・・・結婚は・・・」
「もう! 何言ってるの・・・気が早いわね・・・」
一人娘の父親って、皆こんな人ばっかりなのか?
前世の会社の課長も・・・ひどかった・・・
『娘に彼氏なんて許さん! ディズ〇ーランドに彼氏と良くと言いやがって! 絶対にゆるさない!』
『イヤ、そんなことしたら、娘さんに嫌われますよ?』
『ディズ〇ーランドなんて、俺が連れて行ってヤル。 俺なら、毎週だって連れてってヤル! この間も、XX君達と焼肉に~なんて。 そんなこと言ったら、うちは毎日焼肉だ!!』
『イヤ・・・そういう問題じゃ~ないと思うんですけど・・・』
『ダメだ! 俺の目の黒いうちは、娘に彼氏なんて許さん! まだ小学生だぞ!!』
目が黒いうちにって・・・
そんな、いつになったら娘は結婚出来るんだよ、婚期逃すレベルじゃねっつ~のって、マジで課長の娘可哀そうって思ったもんね。
アッコちゃんパパも、あの課長と同じ香りを感じる・・・
「アキラくん、ごめんね・・・パパが変なこと言って・・・」
「えっ? ううん・・・」
アッコちゃんパパ・・・ 彼氏って言葉にも反応したな?
え~ 友達は良いけど・・・交際は認めね~ってことなのかな?
イヤ、彼女の父親攻略・・・これは思った以上にハードル高そうだな・・・
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