第56話 えっ!? 秀樹・・・息してる?
はぁ~ 疲れた~
もう、14時か・・・
雄太にダル絡みして。
その後、話ししようという雄太を、大通りの地下街で振り切り。
ハンズで買い物を済ませて、家に帰って来ると。
もう、美姫は出かけた後らしく、テーブルに置いてあったお金で、近くにスーパーに買いに行ったパンと、ミスドを並べて、むしゃむしゃとお昼ご飯を食べていた。
はぁ、美姫、ごめん・・・
なんか、昨日の泣いている美姫を思い出したら。
気づいたら、雄太の前でワーって、言っちゃってたよ・・・
美姫も今日は遅いのかな・・・
美姫のことを心配しつつ、パンを片手でほ頬張りながら。
さっき買ってきた、サバイバルグッズと足元に、一個ずつ出して、確認をしてた。
とりあえず、サバイバルグッズと防災グッズ的なものは買ったてきたけど。
これで一応、滝野の宿泊学習は様子を見るとして・・・
サー〇スの真空ボトルには、現地で炊事の時間にお湯でも沸かして、暖かい飲み物を入れるとして。
あとは登山用のロープに、アルミ製のクッション、サバイバルシートに、緊急用のフォイッスル・・・
あとはヘッドライトに、懐中電灯・・・
てか、この時代まだLEDって普及してないし・・・
ライトがデカすぎなんだよな~
あ~あ・・・ 2000年ってあらゆることが不便なんだよ。
LEDって今思うと・・・マジ神だなアレ。
はぁ~ ネットのサービスもショボいし・・・
twit〇er、youtu〇eも無い・・・
そもそも、オラの手元にゃ携帯もねえ!
は~あ~ こんな時代イヤダ~ こんな時代イヤだ~
でも、小学5年生のアッコちゃんはここにしかいないし・・・
それに、3月になって、アッコちゃんが居なくなったら、俺生きていけるのか?
はぁ~ アッコちゃん・・・
会いたいよ・・・ぐすっ
誕生日・・・再来週なんだよな~
何が欲しいんだろ?
そういえば、雄太のヤツがさっき見ていたペアウォッチ。
流行ってんのかな?
そうだ! 美姫の買ってる雑誌みたら良くね?
ちょっとアイツの部屋に行って、雑誌を借りて・・・
食べかけのパンを袋の上に置いて。
そのまま、リビングから出て階段を駆け上がり。
美姫の部屋の扉を開けて中に入ったのだが・・・
・・・部屋汚いな~
明るい昼間に見ると、美姫が不在の時にみると。
どうして、ここはこうも汚く見えるんだろう。
また、いつのか分からない下着が脱ぎ捨ててあるし。
でも・・・なんでなん?
この、いま床に落ちている下着を見ても何も感じないのは何故なんだ?
まったくエロイ気持ちにならないというか・・・
むしろ汚いと、拒絶感さえ感じてしまうこの感情はいったい何なんだ。
脱ぎたてのあの良い香りのする、美姫の下着にはあんなにも興奮した自分が。
なぜこの床に落ちている下着には、一切琴線が触れないんだろう?
ていうことはどういうことなんだろう?
俺が普段美姫に甘えてる時に感じるあのドキドキはいったい何なんだろう?
恋心なのかとも思ったけど。
本当に恋しているなら、これにだって反応するだろうし。
そもそも、これを見てもエロイとも思わないのは何故だ?
はぁ~ 止めた・・・
この間も30分考え込んだのに、結局なにも答えなんて出なかったし。
とりあえず、暇だし掃除でもしてやるか。
どう考えても、汚すぎる・・・
ていうか、なんでこんなに使用済み下着がこんなにも眠ってるんだよ?
美姫と一緒にお風呂入る時は、必ずその場で脱いで、選択カゴに入れてるのに。
これは、いったいなんなんだ?
イヤ、でも、想像はつくというか・・・
休み前に家に帰って来て・・・
お風呂に入りなさいよっと母親に言われながらも。
結局、テレビを見てて、そのまま眠くなって寝ちゃって。
次の日、慌てて起きて、ここで着替えて家から出て行くパターンが何度か・・・
で、しばらく放置で、それが数日分って感じなんだろうか。
とわいえ、なんで、選択してない下着が、こんな本の下から出て来るんだよ!
これ、いったいいつのだよ~
もう・・・汚いな・・・
なんか虫とか湧いてないだろうな?
怖いな・・・この部屋・・・
イヤ、美姫・・・この菓子パンいつのだよ?
ううう、エグイ・・・ なにこの変色しちゃった可哀そうなパンは何なの?
こんなの北大の研究室に持って行ったら、めっちゃ喜ばれそうなカビなんだけど。
イヤ、しかし・・・
ゴーグルとマスクしないと、絶対肺に悪そう・・・
マジで、こんな部屋で生活していて、アイツ大丈夫なんか?
それから、延々っと掃除をすること1時間。
2階の廊下の窓も全部開けて、美姫の部屋の空気を全部入れ替え。
最後に、綺麗に掃除を掛けて・・・
はぁ~ なんか、この部屋の床久しぶりに見たかもしれない。
とりあえず、このきちゃない下着は、部屋の隅に・・・
さて、雑誌、雑誌・・・
Popte〇nか・・・
2000年って何が流行ってるんだっけ?
・・・彼と一緒に楽しみたいペアモノ特集。
はぁ・・・ペアウォッチね~
なるほど、雄太が買おうとするだけはあるな。
やっぱり、流行ってんだ。
ペアネックレスにペアリング、ペアブレスレット・・・
ウワ~ 出た~ ドッグタグ・・・
こんなのあったな~
イヤ、こんなの数年先には恥ずかしく付けれないし。
無い、無い、無いわ~
指輪にブレスレットは、小中学生は普段付けれないもんな~
無難に、ペアネックレスとかかな?
あ~ この凹凸を合わせたら、ピッタリハマるってヤツ。
いかにもって感じだけど・・・
こういうの、やっぱり嬉しいのかな?
木下にさりげなく聞いてみるとかかな?
でもな~ 木下俺に協力的じゃ無いしな~
あいつ、絶対あわよくば別れろとか思ってるよな・・・
イヤ、でも小学生がそんなの貰って喜ぶのかな?
無難に、お人形とか可愛い文房具とか、何かそういうモノのほうが・・・
ひとり、美姫の部屋で悩んでいると。
『―――ピンポ~ン ピンポ~ン』
ん? 誰だろ?
急いで、2階から階段を駆け下りて。
玄関のドアスコープから外を確認すると・・・
ん? 秀樹? なにしに来たんだ?
「アキラく~ん!」
イヤ、こいつ。
絶対気配感じて、声かけてきただろ今・・・
来てしまったもんはしょうがないと。
ドアチェーンを外し、鍵を開けて扉を開ける。
『―――ガチャ・・・』
「どうした、秀樹?」
「遊びに来た!」
なんだよ急に・・・
まあどうせ暇だったから良いけど。
秀樹に2階に行ってろっと一言だけつげて。
ダイニングに戻って、食べかけのパンを口いっぱいに頬張り。
冷蔵庫からジュースを出して。
グラスとお菓子を口にくわえて、そのまま2階に上がっていくと。
俺の部屋に行けと言っていたのに。
何故か、美姫の部屋のまで、ボーっと立ち尽くしている秀樹の姿あり。
「なにやってんだお前? そこ美姫の部屋だぞ」
そういうと、信じられ無いモノでも見たような顔をして。
「アキラ!? なにこれ?」
「えっ? ああ・・・美姫の部屋だけど、なんで?」
「めっちゃ綺麗じゃん・・・こんな床が見えてるところ見たこと無いって」
まあ、1時間かかったからな・・・
美姫の部屋の中をジロジロと見渡す秀樹に、ちょっとイラっとしていると。
急に、秀樹のヤツが顔色を変えて、目を丸くして部屋の隅を見ながら固まってしまうと。
「アキラ・・・」
なんだ? また顔真っ赤にして?
ん? ああ、さっき発掘した美姫の下着か・・・
「いる? あれ?」
「バカなの!? そんなの貰えるワケないじゃん!」
「でも、これいつのか分からなんだよねこれ・・・ たぶん、美姫も存在忘れてるヤツだから無くなっても気づかないと思うけど・・・」
ん? 気づかないって言った瞬間、一瞬迷うような表情を浮かべた秀樹だったけど。
目をギュッと閉じて、首を左右にブルブルっとすると、また俺の方を見て来て・・・
「ダメだよ! 俺は、美姫さんの・・・そんなこと出来ない!」
「あっそう・・・じゃあ、サービスタイムおしまいね~」
オイ、如実に残念そうな顔するなよ!
理性と表情があってね~んだよお前は。
それから、秀樹と美樹の部屋からさっさと追い出すと。
自分の部屋に追いやり、適当にゲームでもしてろと伝え。
ジュースとお菓子とグラスを部屋のテーブルに置くと。
美姫の部屋に戻り、さっきの下着の山を抱えて、洗面所まで行くと。
そのまま、まとめて洗濯機へと放り込んだ。
そして、なんか、こう・・・汚い感じがして。
一生懸命手を洗って、2階の自分の部屋に戻ると・・・
「で? どうしたのさ、いきなり?」
「ん? 今日はアッコちゃんいないの?」
「いないね・・・」
「そっか・・・」
はぁ?
なんでアッコちゃんが居ないって聞いて、そんなに残念そうな顔するんだコイツ?
「お前まさか!? アッコちゃんのこと!?」
「えっ? 違うよ! ちょっと、その・・・女の子の意見っていうか、話も聞いてみたいかなって思っただけだよ」
なんだ、こいつ、回りくどいな・・・
全然話が見えないぞ・・・
なんなんだコイツ?
今日なんか変だぞ。
「なに? どうしたの?」
「イヤ、21日の滝野で・・・俺『るなっち』と同じ班になったんだ」
「はあ・・・で?」
「イヤ、冷たいな。 だから、その・・・夜のナイトハイクの時に・・・告白しようかと・・・」
あ~ そういうことか。
ようやく告白する気になったのか。
「良いんじゃない、ナイトハイクの時にこっそり告白。 良いじゃん、がんばりなよ」
「イヤ、軽いな・・・」
「がんばりなよ以外、なに言えば良いのさ?」
「イヤ、なんていうの? その・・・アキラはアッコちゃんにどんな告白したのかなって」
また・・・そうやって・・・
自分で考えなろよ。
「別に特別な事してないよ。 好きだよって伝えて、それでラブレター渡して(不可抗力だったけど)。 マックに拉致って、なかば洗脳に近い感じで俺の事好きって思わせて付き合った感じ?」
「えっ? 拉致? 洗脳?」
だって・・・好きって良くわからないとか言うからさ。
ドキドキするってことは、好きってことでしょ?
とか、めっちゃ強引な流れで納得させて、俺のこと好きって思わせたんだから。
「なにか? 問題でも?」
「イヤ、だって、拉致と洗脳って・・・」
『―――ピンポ~ン ピンポ~ン』
えっ? なんだ、今日は色んな人が来るな。
イジイジと面倒くさい秀樹を部屋に残して。
階段を駆け下りると、ドアスコープから外を確認すると・・・
えっ!?
アッコちゃん!?
『―――ガチャ!!』
アッコちゃんの姿をドアスコープ越しにみた瞬間。
テンションが上がって、そのまま急いでドアを憩いよく開けると同時に。
「アッコちゃん!」
「ウワ!! びっくりした~!!」
いきなり俺が出て来ると思ってなかったのか。
急に現れた俺にびっくりして、一歩後ろ引かれてしまい。
「エヘヘヘ、ごめん。 嬉しくてつい・・・」
「もう! びっくりした~って!」
イヤ、ごめんだよ~
それよりも、なに?
はぅ!? なんなの今日のその恰好?
可愛いミニスカートに、可愛いニット・・・
めちゃくちゃお嬢様みたいや~
しかもなんだよ~
その不思議の国のアリスみたいな可愛いリボンは。
もう・・・思いっきり、可愛いすぎるって~
はぁ~ 天使が来たみたいだよ~
「アキラくん?」
「あっ・・・ごめん。 あまりに可愛くて、つい見とれちゃって・・・」
すると、少し顔を赤らめてアッコちゃんが、小さくグーを作り。
「もう・・・バカ・・・」
っと言いながら、僕の胸を、ポカポカ叩いて来るので。
ちょっと怒った表情も可愛いなっと思いながら。
「どうしたの? 遊びに来てくれたの?」
「うん、ちょっと早く帰って来たから~ 来ちゃった」
来ちゃったって、くぅ~ つくづく可愛すぎる・・・
「いま、秀樹も来てるけど良い?」
「えっと・・・迷惑なら帰るけど・・・」
「ダメ!ダメ!ダメ! アッコちゃんが帰るくらいなら、秀樹を追い返すから」
「もう、またそうんな酷い事しちゃダメでしょ?」
アッコちゃんは優しいなぁ。
それから、アッコちゃんを招き入れると。
そのままアッコちゃんを連れて、2階へ上がると。
「秀樹~ アッコちゃん来たよ~」
すると、僕の背中にぴったりとくっついて。
僕の顔のよこから、ひょいっと顔をのぞかせたアッコちゃんが。
「ヤッホー 久しぶり~」
っと秀樹に声を掛けた。
すると、明らかに秀樹が挙動不審な動作を始めて。
アッコちゃんを直視出来ないのか、ゲームを止めて急にモジモジしてはじてめ。
モゴモゴと小さい声で・・・
「あっ・・・ 久しぶり・・・」
なんだ? こいつ・・・
アッコちゃん見て照れてるのか。
男みたいとかディスってかクセに・・・
「なんでアッコちゃん見て照れてるんだよ?」
「イヤ、なんか今日のその恰好凄い可愛いね?」
はぁ!? いきなり何いってんだコイツは?
アッコちゃんい色目使ってんじゃね~ぞ!
「オイ! 秀樹! お前、この間、あんな男みたいな女って言ってなかったか?」
「イヤ・・・だって、こんな女の子らしい服装見たの初めてだから。 可愛くてびっくりしたっていうか・・・」
「アッコちゃんは俺のだぞ! 分かってるよな? 変な目で見たらぶっ飛ばすぞ!」
「分かった・・・分かったって。 変な目で見ないから~」
「ねえ・・・そういう話は私がいない所でしてよ~ 恥ずかしいことばっかり言うなら帰っちゃうよ」
「えっ? イヤ、ごめん、違うんだって。 秀樹がアッコちゃんの事エロイ目で見てたから、注意してただけだし・・・」
「アキラ!!」
なんだよ? 本当じゃん?
アッコちゃんが僕の背中に恥ずかしそうに顔をつけたままモジモジしているので。
そのまま、背中にくっついたまま、部屋に入り。
秀樹から少し離れた、ベッドの上にアッコちゃんを座らせると。
いそいで、1階から新しいグラスに氷を入れて持って来て。
それにジュースを注ぐと、ベッドに座っているアッコちゃんに手渡しながら。
「なんか、こいつね来週、小菅瑠奈に告白するんだって」
「えっ? ルナに?」
アッコちゃんも木下も小菅もお父さんは皆同じ会社で。
皆、同じ社宅のアパートに住んでいるので親同士の交流もあり。
そこそこ仲が良いらしく、ルナっと下の名前で呼んでるらしい。
「そう・・・あの性悪女のるなっちに」
「性悪女ってなんだおまえ!」
知らないって・・・幸せだよね・・・
「アッコちゃんに、告白のアドバイスして欲しいって言ってたよ」
「え~ ルナに告白するのにアドバイス? そんなこと言われてもな~ ルナとはそんなに話さないから・・・」
「だそうです、秀樹。 もう相談終わりな。 お前帰れ」
アッコちゃんと二人っきりが良いのに!
「ちょっ! ちょっと待って・・・えっ? るなっちって誰か好きな人とかいないのかな?」
「え~ ルナの? う~ん・・・あ~でも、クラスの男子と関節キスしたって言ってたな」
あっ・・・それ・・・
「えっ!? それで!? るなっち何か言ってた!?」
「なんか、めっちゃ意識してるの見て、おかしかったとか笑ってたけどな~」
うわ~ エゲツね~ でたよ性悪女の本性・・・
って・・・秀樹・・・今の聞いて大丈夫か?
「笑ってた? 嬉しいとかじゃなくて?」
「嬉しいとかは言ってなかったな~ 何か数人に同じことしたって言ってたよ~」
ありゃりゃりゃ・・・ 女の子の会話エッグ・・・
秀樹? 生きてる?
「数人に同じこと? えっ? 他のヤツにも関節キスしたってこと?」
「えっ? 関節キスの相手って、清水君だったの? えっ? ごめん・・・えっ?」
イヤ・・・アッコちゃんは悪く無いから。
だいじょうぶ、告る前に知れてよかったと思うよ。
このまま突き進むかは辞めるかは、あとはコイツ次第だから。
で!? どうしちゃうの!? ひ~できくん?
「で? 告白すんの? 秀樹? あれ? 息してる?」
ハッ・・・死んだ・・・?
「俺・・・帰るわ・・・」
「ひでき?」
「ごめん・・・ちょっと一人で考える・・・」
「えっと・・・ひでき? パンツ持って帰る?」
「いらない・・・」
うわ~ さすがに・・・ちょっと・・・可哀そうかもだけど。
でも、あいつの本性知るのが、ちょっと早くなっただけだから。
「清水君・・・なんか・・・ごめん・・・」
「イヤ・・・あっこちゃん・・・ありがとう・・・何か話し聞いてよかったよ・・・」
あ~ 行ってしまわれた~
「ねえ? 私ダメだった? あんな事話したら?」
「イヤ、小菅瑠奈の本性を、ちゃんと知れて良かったと思うよ。気持ちが整理出来れあば、また前に進めると思うから」
「う~ん、だと良いんだけど・・・」
がんばれ・・・秀樹・・・明けない夜は無いから・・・
今日は存分に泣くと良いよ・・・ うんうん。
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