第46話 小学5年のお守りなんてウンザリなんだよ
「アキラくん?」
「なに?」
「お昼ごはんは、私が払ってあげる」
「なんで?」
「今日ね? 映画見に行くんだ~って言ったら、お母さんがお小遣いくれたんだ~」
「へ~ 良かったね~ でも、せっかくのお小遣いなんだから、そのまま取って置けば良いのに」
「え~ だって、映画もジュースもポップコーンも全部払って貰ったし、ダメだよ~」
「う~ん・・・ じゃあ、お昼はご馳走になろうかな~」
「うん、へへへ」
俺・・・数週間後にロト6で、数億円手にする予定だから別に大丈夫なんだけどな~
でも、ここで断ったら逆に感じ悪いだろうし・・・
数億円手に入ったら~
アッコちゃんに何買ってあげようかな~
全身俺の好みの服でコーディネートしちゃおうかな~
着せ替えアッコちゃん
うわ~ 何か響きエッロ・・・
とわいえ・・・
美姫姉のお陰で、何気にすでにアッコちゃんの服装俺好みになっちゃってるからな~
さすがに、姉貴なだけあるな~
ていうか、なんでアイツ俺の女の子の好みなんて分かったんだろう?
そんな、洋服の好みの話なんて一度もしたこと無かったのに・・・
なんでだろう? 不思議だな~
「ねえ? ごはん・・・どこが良いかな? マック?」
まあ・・・小学生だからな・・・
ファーストフードくらいしかないか。
ん? でも・・・
「びっくりドンキーは?」
「ああ! ハンバーグ! 食べたい! ねえ希美! びっくりドンキー行く?」
「藤澤君は♪?」
「俺、何でも良いよ」
「じゃあ、うちらもドンキーでだいじょうぶ・・・」
デタ! 何でも良い・・・
ホラ、木下の顔・・・一気に曇った・・・
藤さん・・・木下と会話する気あんのかな?
ん? まさかとは思うけど・・・
照れて、何話して良いのか分からなくなってるパターンか?
マッズイな~ これは付き合う前に、来週までに木下の気持ちが冷めるぞ。
まっ、木下が傷つかなければそれで良いけど・・・
「ねえねえ、アキラくんは何食べたい?」
「アッコちゃんは?」
「う~ん・・・ 私はレギュラーバーグにしようかな・・・」
一番安いヤツね・・・
お小遣い貰ったとはイエね。
だいじょうぶ、まかせて。
「じゃあ、俺もレギュラーバーグ」
「え~! もっと好きなの頼めば良いのに~ 値段とか気にしてる?」
「ううん、俺、アッコちゃんと同じ物が食べたい」
「なんで?」
「だって、アッコちゃんと同じもの食べて、同じ物見たりして、楽しさも感動も思い出を全部共有したいから」
えっと・・・さすがにキモかったかな?
「アキラくん・・・ へへへっ、なんか嬉しいかも~」
あ~腕組んでスリスリしてきた~♪
とりあえず、難問ひとつクリアー
「佐久間・・・キモっ」
うるせ~ 木下・・・
「藤澤君は何食べたいの♪?」
「俺もレギュラーバーグで良いや」
「じゃあ、私もレギュラーバーグ食べよっと・・・」
藤さん・・・ツンデレかコイツは?
イヤ・・・ツンしかね~
会話する気ないだろ・・・おまえ・・・
「そういえば、アコもうすぐ誕生日だね?」
「もうすぐって、まだ2週間後だよ~」
「佐久間なんかプレゼントあげないの?」
木下・・・こいつノンデリか?
今日は、それをどうしようか探るためのデートなのに!
「そんなの秘密だし・・・」
「ふ~ん、誕生日は知ってたんだ~」
「彼女の誕生日なんて知ってて当たり前だし」
「ふふふっ、一昨日まで知らなかったクセに~」
アッコちゃん・・・
それは今言わないの!
「イイな~ 私も素敵な彼氏からプレゼント欲しいな~」
はっ・・・それが言いたいがために、俺を使ったのかよ?
でも、無駄だ木下。
藤さんにそんな回りくどい言い方は通じね~よ。
「アキラ、アッコちゃんに何あげるの?」
ここにもノンデリが居た・・・
なんだこいつら、ノンデリカップルか?
「だから秘密だって言ってんだろ、バカが・・・」
「アコ前に3丁目〇タマのぬいぐるみ欲しいって言ってなかったっけ?」
なんで、木下俺の方見て、ドヤ顔ってんだ?
3丁目〇タマ?
それって、俺が前世で小5の時に、最後転校前にアッコちゃんに渡そうとしていたキーホルダーのぬいぐるみじゃん。
てか、アッコちゃんが3丁目〇タマ好きなのは知ってるっちゅ~の。
もしかして、木下・・・お前、アシストしたつもりなのか?
もしそうなら、ありがとうだけど、それはもう知ってるって。
あれだけ、グッズ持ってたら誰だってわかるだろ・・・
だって、前世の俺でさえ、それに気づいてプレゼントしようとしてたんだぜ?
もう、もっと無いのかよ~?
使えね~な~ この友人A・・・
「アキラくん? わたしプレゼントなんて、そんな良いからね?」
「えっ? う~ん・・・まあ・・・ でも誕生日の昼間は俺に時間頂戴ね?」
「約束ってこと?」
「うん、夜はお家で誕生日お祝いするでしょ? だから、せめて昼の時間は俺と一緒に居てくれない?」
「うん、イイよ!」
イヤ・・・まじでプレゼントどうしよう。
それよりも、このノンデリカップル、いつまで俺らにくっついてくる気なんだろう?
俺はこれから、アコちゃんを色々誘導して、欲しい物をさぐるっていうミッションがあるのに・・・
「えっと・・・俺とアッコちゃんは、これからちょっと二人っきりでデートする予定なんだけど・・・」
あえて、二人っきりでと断ってアピールしてやる。
頼む・・・二人っきりにさせてくれて。
「え~ せっかく会ったのに~? アコ~?」
「う~ん・・・ でも・・・アキラくんが二人っきりが良いみたいだけど・・・」
「え~ 寂しいよ・・・アコ・・・ 3連休の最後の日なのに・・・」
木下----!! オーーーーイ!
「藤さんも、もう疲れたんじゃない?」
「えっ? 俺は全然・・・アキラ~ この後、ゲーセン行かない?」
なんだコイツ・・・
人の話聞いてたか!?
それとも、ワザとか!?
「木下だって、藤さんと二人っきりでどっか行きたいんじゃないの?」
「藤澤君? ゲーセンまた一緒に行く?」
「う~ん・・・良いけど・・・ アキラとアッコちゃんはどこ行くの?」
わかった、わかった、わかった・・・
オオオオウ・・・ そういうことね。
OK! OK! OK!
とことん、俺とアッコちゃんを二人っきりにするのを邪魔する気ってことか・・・
「木下も、藤さんと二人っきりでどっか行きたかったんじゃないの?」
「えっ!? 二人っきり?」
オイ・・・なんで、いまさら二人っきりに躊躇してんだよ。
俺らに会う前、二人っきりで一緒にいたろ? おまら・・・
なんで、アッコちゃんと俺に遭遇した瞬間に、二人でいるの気まずくなってんだよ?
「えっ、イヤ、もともと二人でデートする予定だったんでしょ?」
「う~ん、そうだけど・・・ 映画観る以外何も決めてなかったし・・・ 藤澤君もなんか佐久間と一緒に居たいみたいだし」
「イヤ、イヤ、イヤ、二人でどっか遊びに行けよ。 大通り公園で、二人で焼きトウモロコシ買って、ベンチに座って、美味しいね~ アハハハ~ ウフフフ~ってしたら良いじゃん!」
「アキラくん? それ良いね~ わたし、とうもろこし食べたい!」
「うん! 佐久間~ 私もトウモロコシ食べたい!」
「うん、俺も焼きトウモロコシ食べたいかも」
ハッ・・・ なんだこいつら? しかも、アッコちゃんまで。
もう! なんで、この二人は、俺の邪魔ばっかりするんだよ・・・
もうタイムリープで戻って、違う映画館行こうかな・・・
もうやだ、小学5年生のお守りなんてウンザリだ・・・
もし気に入っていただけたり、少しでもおもしろいなと思ったら
ブックマークや目次下の☆☆☆☆☆を★★★★★へ評価していただけると励みになります。




