第43話 優良物件は早い物勝ちだから・・・
「なんか雄太さんって、頼りないっていうか・・・」
「何か、あんな話聞いちゃうと、美姫とアイツがこのまま付き合うのなんかイヤかも・・・」
「ふふふっ、アキラくん、やっぱり美姫ちゃんの事大好きなんじゃん?」
「違うよ、なんかあんなナヨナヨしている男だと、美姫のこと幸せにしてくれなさそうじゃん。 そんな相手に美姫の裸とか見せたくないっていうか・・・」
「ふふふっ、やっぱりお姉ちゃん大好きだったんだ~ ふふふっ、美姫ちゃんの言った通りなんだ・・・」
美姫が言った通り?
あいつ・・・いったい何を言ったんだ?
めっちゃ気になる。
てか、なんだろう、なんかイヤになっちゃったんだよ。
急に美姫の裸見られたくないって。
なんだ俺?
美姫とエッチする夢なんか見ちゃったから?
へんな独占欲でも沸いたって言うの?
俺が美姫を好き?
イヤ、でも・・・美姫が好きって、それは無いよ、無い無い。
今も別に好きっていうか・・・
なんだろう、違うんだよな~
この感情・・・上手く説明できない。
「でも、アキラくん?」
「なに?」
「なんで、あんなに人の考えてることが分かるの?」
「えっ、それはなんというか~ 美姫の性格とか、雄太の性格とか、二人の出会ってから何してたのとか今まで聞いた話から、なんとなくそうなんだろうな~って」
「私は全然わかんないよ~ 告白して貰いたくて誕生日をウソの日教えちゃうとか・・・ 何か相手を騙すみたいで・・・」
「それは、アッコちゃんは、俺みたいに積極的な彼がいるから、好きって言って欲しいとか、告白して欲しいとか、相手がなんかしてくれないって事で、不満や不安は無いとおもうんだけど・・・」
「まあ確かに・・・ でも、自分で言っちゃう? それ?」
「美姫は出会って、3カ月も好きな気持ち隠されて、美姫だって告白されたくて色んなシグナル送ってたはずなのに、それでも告白してくれなくって。 美姫だって、雄太を見て、私のこと好きじゃ無いのかな? っとか不安に思ったりしてたと思うんだよ。 それで最後のチャンスで、自分の誕生日を教えて、それでも告白してくれなかったら、もうこの恋はやめにしようとか思ったんじゃないのかな?」
「そっか~ 確かに・・・ でも、好きなのに、そんなことして。もし告白されなかったらって思うと怖くて私は出来ないよ・・・ 何か大人の恋って感じ・・・」
「そこは、まあ美姫だからな~」
「そっか、さすがお姉ちゃんの事はよくわかるんだね?」
「まあ、美姫の性格を考えれば・・・」
「本当に名探偵だね? でも、さっきのアレって何? 中身は32のオッサンって何よ?」
あっ・・・
『見た目は子供、中身は32のオッサン。名探偵アキラ!』
「えっと・・・ ちょっと前まで、32歳のいとことよく遊んでもらったりしてて、恋愛の話とか、人間関係の難しい話とか色々聞かされてたから、それでちょっと言ってみた・・・」
苦しすぎる・・・
こんな言い訳・・・
「そっか・・・そうなんだ~ それなら、なんとなく納得かな~」
えっ? 意外と・・・
ハッ~ ハッ、ハッ、ハッ。
所詮、相手は小学生。
・・・でも良かった~ 信じてくれたらしい。
「ん? ねえ? あれ・・・」
何? あれって? ん?
「あれは・・・ 藤さんと木下?」
「だよね? なんで、あの二人が・・・」
「何してんだろ・・・ でもこのまま行ったら・・・」
「ねえ、あの二人。映画館の方に行かない?」
「うん、あっち映画館だね」
えっ? 二人って・・・そういう?
嘘? えっ?
ひょっとして、俺がタイムリープでこの世に来たせいで、歪みみたいのが発生しちゃったのか?
他人の人間関係まで影響しちゃうの?
だって、前世じゃ、あの二人仲良くなんてなってないじゃん。
俺がサッカー無い日は、一緒にゲームするか公園で鬼ごっこしてたし。
あっ・・・
俺が、アッコちゃんばっかりで、藤さんと遊んであげ無くなって、寂しくて・・・
それで仕方なく、木下に手を出したのか?
そんな・・・ ごめんよ・・・ 藤さん・・・
俺がちょっと冷たくしたせいで・・・
そんな、好きでも無い相手に手を出すまで寂しかったなんて・・・
でも・・・俺・・・友情より、アッコちゃんを取るって決めちゃたし。
「ねっ? 行こう!?」
「えっ?」
イヤ・・・アッコちゃん?
走って追いかけて、何するの?
「ふふふっ、びっくりするかな?」
えっ? ヤメようよ~
絶対、二人バレたくないと思うんだけど。
ダメだ、アッコちゃんの顔。
しょうがない・・・付き合うか・・・
ゴメン・・・木下、藤さん・・・
「「ワァッ!!!!」」
『ワア~ッ!!!! えっ? 何?』
「へへへ~ 何してんの~ 希美~?」
「・・・・・・アコ?」
ごめん・・・藤さん・・・
「アキラ・・・アッコちゃん? どうして?」
「イヤ~ 俺ら今日、映画観る予定だったから・・・ えっと・・・二人はなんで?」
なんで、いきなり二人?
学校でもそんな仲良くしてたかな?
俺の知らない所で、コショコショしてたのか~?
「違うの、違うの! お兄ちゃんから映画のチケット貰っちゃって・・・ アコは三連休予定あるって聞いてたから、たまたま藤澤くんに会って、映画行くって聞いたらOKしてくれたから・・・」
「へ~ 藤さんが・・・ へ~」
「なんだよ?」
「えっ? イヤッ、木下とね・・・へ~」
「べっ、別に困ってるって言うから、可哀そうだし・・・ なんて言うか・・・」
ふ~ん この反応・・・
まんざらでもない感じだな。
まあ木下も、まあまあ可愛い方ではあるし~
映画に誘われちゃったら、へんな下心もでちゃうかもな?
しかも、この間二人っきりでプリクラ撮って~
意識とかしちゃってたかもしれないし。
プププっ、だとしたら、俺ナイスアシストじゃね?
木下、俺に感謝しろよ~
「そうなんだ~ てっきり二人ってそういう関係なのかと思った~」
「ちょっと!! アコ!! 何言ってるの?」
「え~ だって~ 希美、藤さわンンンンン!!!!」
「ちょっと・・・アコ!! こっちに来て!!」
あ~ アッコちゃん・・・
それは言っちゃダメよ。
木下・・・たぶんまだ気持ち隠して、藤さんと一緒にいるんだから。
「なんだろうね? あの二人・・・」
「そうだね、まあ二人仲良しだし。 二人にしか分からない何かがあるんじゃない。 それより藤さん?」
「なに?」
「木下のことどう思ってるの? この間も二人でプリ撮ってまんざらでも無さそうだったけど?」
「別に・・・木下は友達だよ・・・」
「木下の事なんとも思って無いの? 女の子として? 俺、木下も結構可愛いと思うんだけどな~」
「オイ! お前はアッコちゃんなんじゃ無いのか!?」
「何怒ってるのさ~ 木下のことはタダの友達なんだろ?」
「イヤ・・・別にそうだけど・・・」
分かりヤスッ。
これは~ もう結構木下のこと好きになってね?
そうか、そうか~
よかったね~ 木下~
「木下今日の服、すっごい可愛いな~?」
「うん・・・ 可愛い・・・」
ウワッ! もうコレ・・・
恋が生まれる瞬間じゃね?
俺・・・キューピットじゃん。
木下、任せろ。
俺が初心で、モジモジな藤さんの背中グイグイしてやるから。
さて・・・でも露骨にやっても、反抗しちゃうからな~
基本、藤さん・・・逆張りおじさんだからな~
「あんな服持ってたんだな~ 可愛いな・・・」
「オイ! だから、お前はアッコちゃんなんだろ!?」
「アッコちゃんも可愛いけど、木下も可愛いよな~?」
「お前・・・どっちなんだよ?」
「まあ、俺はアッコちゃんだけど。 あんな可愛くなるなら、木下ってこれから結構モテるようになるんじゃ・・・」
「モテる・・・?」
「ほら? 剛とか惚れっぽいじゃん? アッコちゃんが俺に取られたって思ったら、他に好きな子できちゃうかもしれないじゃん」
「えっ? そんな・・・ でも剛にかぎって、そんな。 仮にそうでも、剛に告白なんて出来ないだろ?」
「イヤ、それがさ~ 今、サッカー少年団で、女の子に告白するの流行りそうなんだよね~」
「えっ? そうなの?」
「秀樹が~ 小菅瑠奈のこと好きらしくてさ~ 今告白するかどうかって話をつい昨日しちゃってて~ 剛もその場にいて、興味深々だったからさ~」
「マジで・・・」
クッ、クッ、クッ。
いい顔するね~ 藤さん。
そう、優良物件は早い物勝ちなんだよ! 藤さん!
後悔したって、他の男のモノになった後だと、もうどんなに後悔したって遅いんだよ!
噂話しで、キスしたらしいとか、エッチすましちゃったらしいとか聞かされて。
体全身、焼かれそうなくらい苦しい思いすることになっちゃうんだぜ~
行くの? 行かないの? どっちなの? 藤さん!?
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