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第2話 再会


いつもの通学路を通り、最後の曲がり角を曲がった。

懐かしいけど、見慣れた小学校の正面玄関口が見えて来た。


『おはよう~』


―――学校だ。

秀樹以外にも、思い出の中にある顔が沢山いる。


―――でも、マズイ。


数人、どうしても名前が思い出せないヤツが居る。

こんな20年ぶりに学校に来ても、当時のことなんて限定的な記憶しかないのに・・・


ドキドキしながら、正面玄関の階段を駆け上がった。。

ここで、当然というか、問題が出てくるわけで。

下駄箱なんて最大の難関だぞ!


下駄箱の列はおろか、細かな位置まで覚えてるはずも無い・・・

当時、自分がどんな靴を履いていたのかも、全然覚えて無いのに。


そんな時、少し離れた所で靴を履き替えている秀樹がいたので・・・


「秀樹~?」

「なに?」


「あのさ~? へんな事聞くけどさ~ 俺の下駄箱って、どこだっけ?」

「はっ? どうしたの? 今日ずっと変だぞお前」


イヤ、しょうがないだろ、覚えてないんだから!


「何か、起きた時から、こう記憶が混濁してるっていうか・・・」

「混濁? なに難しい言葉を使ってんだ? ほら1組はココだろ?」

「ああ、そうだ、そうだったね・・・ハハハハ。 でっ、俺の靴って・・・」

「はぁ!? これだろ?」

「アハハハ、ありがとう・・・これね、そうだ、これだったわ・・・」


あっぶね~

秀樹に超不審がられてる・・・


で・・・教室ってどこよ?

たしか、5年は3階だったような気がするけど。

もう、正直あんまり覚えてないんだよな~


秀樹は先に階段を駆け上がって、先に自分の教室へ向かってしまった。

見失わないように。急いで後を追いかけ、秀樹が廊下に走って行った階で、自分の教室を探し始めた。


たしか、このへんが、1組だったような・・・

あった、ここだ。


でも、俺の席どこだっけ?

うぅ~ アッコちゃんとお隣同士になった時の記憶しか残ってないっていうのに・・・

自分の席がわからずに、教室の入口付近でボーっと突っ立っていると。


「おはよう、佐久間くん?」

「えっ?」


!? えっ? ・・・嘘。

それはあまりに突然で・・・


「どうしたの? こんな所で立ち止まって?」

「えっ? あっ、イヤ、その・・・あの俺の席ってどこだっけかなって?」


「ふふっ、どうしたの? 寝ぼけてるの? 私の隣じゃん」

「えっ? 隣・・・」


嘘だろ・・・マジかよ!?


―――アッコちゃん?


「ん? 何か私の顔についてる?」

「えっ? イヤ・・・なんで?」


「だって、なんかオバケでも見たみたいな顔してるから」

「えっ? あっ、ごめん・・・別にそんなじゃないけど・・・」


何この子・・・普通に可愛いんだけど!

幼いは幼いけど・・・明らかに他の子達とは違う・・・


この頃からやっぱり、こんなに可愛かったのか~

笑顔がマジで天使なんだけど・・・


アッコちゃんに手を引かれて、教室の中まで入っていくと。

後ろ側の見慣れた席まで連れて行かれると。


「ほら、こっちが佐久間くんの席で~ こっちがわたし」


そう言って、カバンを自分の机に降ろして、ニコッと微笑みかけくるアッコちゃんに見とれていると。


「どうしたの? 座らないの?」

「えっ? ああ、そうだった。 ごめん・・・ありがとう・・・」


ヤバイ・・・俺はなにをこんなにもドキドキしてるんだ?

相手は小学生なのに・・・

俺・・・ロリコンだっけ?


てか、ここまで来るともう事実を受け入れるしか無いと言うか・・・

俺、マジで小学生に戻ってるんだけど・・・


でも、なんで? 地下鉄のって、家に帰って・・・

変な夢を見てたような気がするけど・・・


夢なのか? イヤ・・・違う・・・

こんなリアルな夢があってたまるか。

じゃあ、なんで? 俺・・・死んじゃったのか?

これってあの世・・・なのか?

それとも夢か?


ダメだ、マジで混乱して意味が分かんない・・・


「アキラおはよう」

「・・・藤澤くん?」


「はっ? 何? 藤澤くんって、いっつもあだ名で呼ぶのに・・・どうしたの?」

「えっ、ああそうだね・・・そうだった」

「ねえ? 佐久間くん? 本当に大丈夫?」


こっちの様子をずっつ伺っていたアッコちゃんが心配して話しかけてくれたのだが。

目の前の現実を簡単に受け入れることが出来ずに、混乱しているのだからしょうがない。


「えっ? ちょっと、今日起きてから記憶が混乱してるっていうか・・・昨日変な夢を見ていたような・・・」

「えっ? 何それ? 変な夢って何?」


「イヤ・・・なんか自分がおっさんになった夢っていうか。 なんかあんまりにもリアルで、今が現実なのか夢の中なのかまだハッキリしてないっていうか・・・」

「おっさんになった夢? アハハなにそれ~ キャハハハ」


うわ~ なにその笑顔・・・本気で可愛いんだけど・・・

てか、改めてみても、他の席に座ってる女子に比べても別格というか。

小学5年生にしてすでに完成されているというか、普通に美少女なんだけど・・・


「ちょっと! 朝からうるさいわね! また男子とイチャイチャして、このビッチが・・・」


ん? なんだコイツ?

今、アッコちゃんに向かってビッチって言ったかコイツ?

えっと・・・なんだっけコイツの名前・・・み、みみみみ・・・

確か、幼稚園から一緒で~


えっと・・・なんだっけ~


――― そうだ! 溝口雫(みぞぐちしずく)


こいつマジで・・・昔っから疑問だったけど、アッコちゃんになんの恨みが・・・

幼稚園の時はもっとこう素直な女の子だったような気がするし。

何なら、少し男子から人気があったような気がするのに、いつからこんなに性格ねじ曲がったんだコイツ?


「アッコちゃん、こんなヤツの言う事なんて気にすること無いからね」

「えっ? あっ、うん・・・ありがとう・・・」

「そうだよ、アッコちゃんは全然気にする必要ないよ」


えっ? 藤澤くん? なんで・・・そんな身を乗り出してまで・・・

あっ、そうだった。 藤澤くんもアッコちゃんの事好きだったんだっけ。


「はっ!? キッモ! お前ら何? アッコちゃんのこと好きなのかよ~!?」

「はっ? 好きだが、何か文句あんのか?」


「はっ!? マジ!? え~!! 佐久間がアッコちゃんの好きだって~!!」


『え~!!!』


はっ? なんで、こんな大騒ぎに・・・

あっ、忘れてた。 コイツ等、そういう人種だった・・・

コイツ等、いっつもこんな感じでターゲット見つけてはイジメしてたっけな~

特に、何々ちゃんが誰を好きとか、格好のネタにされてたっけな・・・

まっ、5年生から6年生に掛けては、俺が一身にそのヘイトを買ってたような気がするけど・・・


「はっ!? 俺だって、アッコちゃんが好きだよ! 何か文句あんのか!!」


えっ? 藤澤くん? なんで、自らヘイトを買うような・・・


「はっ!? なんなの? お前らマジでキモイな!」


ん? 溝口のヤツ、藤澤くんがアッコちゃんを好きって言った瞬間、めちゃくちゃ動揺してなかったか?

はっは~んこいつさては・・・


ニンマ~


「あん!? お前さ~藤さんがアッコちゃんの事好きって言った瞬間、妙に動揺してんな~ あ~ん!? お前、さては藤さんのこと好きなんじぇねぇ?」


オッ!? 一瞬で顔色変わるじゃん!


「はっ!? チゲ~し!!」

「アレ~ その割には、動揺しちゃって、顔真っ赤なんですけど~ あれれれ~ 目にちょっと涙浮かんでな~い? ひょっとして、ショック受けちゃった~? 嘘! マジ!? ひょっとして失恋しちゃった!? 可哀そ~う・・・ぷぷぷっ、朝一発目で、いきなり失恋とかマジウケるんだけど! 溝口って藤さんのことそんなに好きだったんだ~ へ~!! 知らなかったな~!!」


『え~!!!!』


モノ申す系ユーチューバーのようなわざとらしい煽りをかました瞬間。

俺に向いていた、悪いヘイトは一気に溝口側へ向いて、クラス中の人間が口を揃えて、俺の煽りに同調して来た。


ふっ、小学生ちょろっ。


「ねぇねぇねぇ、溝口~ ねぇねぇねぇ、人が誰を好きとか言いふらして嫌がらせしてたけど、いざ自分が言われちゃったらどんな気持ち? ねぇねぇねぇ教えてよ~ しかも溝口が藤さんを好きって事がバレた瞬間に失恋しちゃったけど、だいじょ~ぶ? ねぇねぇねぇねぇ、今どんな気持ち~? 教えてよ~?」


俺の煽りに何も言い返せなくなって、顔を真っ赤にしてその場に立ち尽くす溝口。

一度火をつけると、周りの連中が俺の口調をまねて、どんどん溝口に同じ事を聞き始めて。

もう、そうなると、俺のお役目はもう終わりで。

周りの連中が、溝口をおもしろおかしくイジリ倒して、この場は終了だな・・・


ふん、ざま~みろ。

この時代にはまだ、この斬新な煽りは無いだろ!

ふん、極大ブーメランを喰らえってんだ。


てか、いま完全に思い出したぞ・・・

コイツさぁ、いっつも、アッコちゃんのこと集団でイジメてたウチの1人じゃん。


「ちょっと佐久間!!」


ん? 誰だコイツ?


えっと・・・コイツも、溝口と一緒にアッコちゃんいじめてたヤツだっけ。

イジメっ子集団のボスみたいなヤツで・・・川上菜奈(かわかみなな)


確かこいつも藤澤君のことが好きだったような・・・

それで、小6の時、それが皆にバレて、逆に皆から弄られ倒して、良く泣いてたっけな~


「オイ! 無視すんなって! 雫が泣いてんだろ?」

「はあ? ギャーギャーピーピーうるせ~な~ 何だよ!? 文句あんなのかゴラッ!!!!」


少しびっくりさせるのに、席を立ってすぐ、目の前に座ってた溝口の席を思いっきり蹴り飛ばして。

『ガタン!!』っと大きな音を立てた後に、大声でまくしたててやった瞬間。


それまでの勢いが一瞬で消えて、俺を見る目が次第に恐怖心に染まって行き。

俺はそのまま川上の近くまでいくと、椅子に座ったまま蹴られて机に押し付けられて、顔色が真っ青になっている溝口に向かってまず捲し立てていく。


「はぁ!? なにビビってんだよ!! ていうかよ~ 溝口~ 自分がされた事と同じことやり返されて泣くとか卑怯な事してんじゃね~ぞコラ!!」


そんな姿を近くで見ていたビビりながら、溝口に加勢すべく川上が・・・


「しっ、雫が泣いてるじゃん!!」


もう明らかに戦意喪失しているのはあきらかだけど、この手の害悪連中は叩ける時叩いておかないと、すぐに増長して同じような嫌がらせをしてくるのだ。

やる時は徹底的にやってやる・・・


「はぁ~!? 泣けば全て許されるのかって!! お前らそうやって陰湿なイジメばっかりしやがってよ~! 逆に言い返されたら泣いて逃げるとか卑怯極まりないだろ!! 泣いた方が正義なのかって!? ああん!? マジ卑怯モンで草なんだが!」

「はっ? なんだ草って!?」


あれ?まだ草って浸透してない?

あれ・・・草生えるっていつ頃から流行った?

ヤバっ・・・この時代はまだ草が生えてない時代かも・・・


「とっとにかく! 金輪際、テメ~らが誰かイジメてる所を見たら、俺はマジで黙ってないって言ってんの!! この卑怯者どもがよ!!」


『そうだ! そうだ! 川上黙れ! 溝口も泣いてんじゃね~よ!!』


はぃデタ~ 小学生の手の平返しエッグ・・・

グリングリンしちゃってるじゃん・・・


でも、こいつらは少し痛い目にあったほうが良いんだよ。

前も人生でのこと忘れてないからな、ずっと、アッコちゃんのこと転校するまでイジメ続けて、俺にもバカみたいに絡んで来やがってよ・・・


「わかったら、ギャーギャーピーピーうるせ~から、自分の席に戻れや!! 戻れコラ!!」

「ぐっ・・・」


一通り言い終わると、さっさと自分の席に戻ってドカっと座り込んで腕組みをして、前にいる二人を睨みつけていると。

そいつらの取り巻き数人がよってきて、だいじょうぶ? 気にしなく良いよ~なんて、女子特有の定型文のような慰め合いを始めるが。

クラスの皆からの冷たい視線に、さっきまでの勢いはなく。

ただ、蹴られた拍子に、とんでもない方向を向いている溝口を元の場所に戻して、机を戻すとワザとこっちに聞こえるように、何なの、酷い、信じんらんないっといった事を延々とブツブツ言い続けていた。


まあ、でもちょっとやり過ぎたかなとは思いつつも。

まっ、良いさ。どうせこいつ等となんて、高校生になったら別の学校に行っちゃうし・・・

生活圏が変わっちゃえば、もう街で見かけることだって無くなるし~


「ナイス、アキラ!」


席に戻る直前は、びっくりして固まっていた藤澤君がグッジョブっと言わんばかりに、親指を立てながらこっちを見てニカッと笑っていた。


「えっ? ああ」


そう言えば、俺とっさに藤さんってあだ名で呼んでたっけ。

なんかちょっとずつだけど記憶が戻って来る感じだ・・・


「佐久間くん・・・」

「なに?」

「ありがとう・・・」


アッコちゃん?

ひと悶着が終わっても、気まずさが残るようで、俯きながら落ち込んでる感じで。

それでも、僕の方をチラっと見ながら、カラ元気のような弱々しい笑顔を浮かべて、ありがとうなんて言われて。

彼女にこんな表情をさせたきっかけを作った、前でブツブツ言っている連中に改めて殺意を覚えていた。


「でも、アキラ?」

「なに?」

「今日どうしたの? なんか雰囲気違くない?」

「えっ? そう?」


良い年のおっさんにまでなった俺は、小学生の時と違って、大人の世界の不条理にもある程度耐えられる程度には成長したわけで。

そんな僕がついさっき急に小学生に戻ってしまったわけだから、どうしたって雰囲気が違うのはしょうがないことで。

だからといって、当時の自分を思い出して同じリアクションをしろと言われても、当時の自分がどうだったのか雰囲気を覚えてるけど。

考え方も判断力も、もう色々揉まれたせいで、カラダは小学生に戻っても、基本的なところは元に戻せないのだ。


「いっつも、そんな怒鳴ったり、言い争ったりしないじゃん」

「あ~そうだっけ? 好きな女の子を目の前でイジメられて、ちょっとイラっとしちゃったかも」

「てか、やっぱり・・・アキラも好きだったの?」

「えっ? アッコちゃんこと? うん、ずっと前から・・・」


――― コツ!


藤さんと二人でそんな会話をしていると、唐突に目の前に折りたたまれて手紙が飛んできて。

手紙が飛んできた方向からして、差出人アッコちゃんで・・・


藤さんには見つかってない様子だったので、机の中に隠して手紙を開けると・・・


『もう! 好きとか・・・隣の席で話さ無いでよ。 恥ずかしい・・・』


それを見た瞬間、すぐ隣のアッコちゃんを見ると。

もう顔全体は真っ赤で、耳まで真っ赤にしたアッコちゃんが、恥ずかしそうに下をジーっと見つめている姿があり。


「えっ? あっ・・・ごめん・・・」

「ううん・・・」


ヤバイ・・・可愛いすぎる・・・

イヤ、相手は小学生なのは十分わかってるけど・・・

隣で普通に話して動いている、めちゃくちゃリアルなアッコちゃんの姿を見ていると、なんだか妙な気持ちになって来てしまい。

彼女のはにかんだ笑顔見ただけで、下半身がムズムズしてしまっているのに気づくのだが。


相手は小学5年生ってわかっているのに、アッコちゃんだけは何故か自分と同年代の女性に見えてしまう。

イヤ、でも良く考えたらそんなことは当たり前と言うか・・・


他のクラスの連中は、少なくとも中学生までの姿を知ってるわけで、それと比べるとただのクソガキ連中にしか見えないけど。

アッコちゃんだけは別なのだ・・・


小5の終わりに転校して、それから定期的に同じ夢を大人になるまで何度も何度も見て来てたわけで。

その中のアッコちゃんはずっと成長もせず、夢の中のままの姿でずっと僕の中にあって。

僕が、大人になるまで何十年もその姿のアッコちゃんに片思いをし続けていたわけで、そんな子が夢の中そのままの姿で目の前に現れたわけで。

特にアッコちゃんはもう小学5年生の時点で完成された美少女だったわけで・・・

そんな彼女を見てしまったら、相手が小学5年生とかそんな時間軸なんて凌駕してしまうのは当然なわけで・・・


それに、俺が初めて女の子カラダに興味を持って、性に目覚めてしまったのも。

きっかけはアッコちゃんというか・・・


夢でアッコちゃんと裸で抱き合うような夢を見てから、何度も何度も同じような夢を見るようになって。

アッコちゃんを想像して、布団股に挟んでモゾモゾしていたら、自然と気落ち良くなってしまい。

その・・・無意識になんていうか・・・そういう状態になってしまったというか・・・

それからは、毎晩アッコちゃんの顔を想像しては、我慢が出来なくなり、布団を丸めてギュッと抱きしめながらまあ気持ちを満たしていたわけで。

当然、いまもその時の記憶は結構鮮明に覚えているというか・・・


逆をいうなら、僕の小学5年生の時の記憶なんて8割から9割はアッコちゃんとの記憶しか残ってないわけで。

そんな僕が、リアルアッコちゃんの隣で、アッコちゃんと会話なんてしてしまったら。

色々と敏感に反応してしまうのもしょうがないというか・・・


でも、まだこの世界で生活を始めて、まだ数時間しかたっていないわけで。

ひょっとしたら、いつぞやにみた超絶リアルな夢をまた見ている可能性だってあるわけで。

いつこの夢がさめて、またあの社畜生活に戻るのかもわからないけど・・・


でも、せっかくこの時代に戻って来たのなら、僕はもう一度この時代でやり直したいと思ってしまう。

前の人生で後悔を残した、あの数々の思い出の一つ一つをやり直したい・・・


その結果、アッコちゃんと将来結婚出来る未来だって作れるかもしれない。

アッコちゃんがダメでも、小学6年生で出会う聖子に気持ちを伝えて、ひょっとしたら上手く行って聖子とどうこうなるかもしれないわけで。


まあ、実際・・・大人になったアッコちゃんには、当時君の事が好きだったなんて伝えはしたけど。

大人になった僕が、大人になったアッコちゃんに再会して、まだお互いパートナーがいなかったら、僕が絶対猛チャージしていたし。

めちゃくちゃ頑張って彼女に心を開いてもらうように頑張れたと思うけど。


小学校時代に僕はそんなバイタリティーは無く。

ただただ、好きな人を遠くから眺める程度しか出来ない、ただの陰キャヤローだった。

けど、この時代をやり直せるなら、大人の僕のバイタリティーを生かして、二人に積極的にアプローチすることだって出来るはずなんだ。


今は、まだアッコちゃんなのか、聖子なのかなんて選べないし、選ぶ資格すらないけど。

1人ずつ、誠実にお付き合いしていけば、必ず未来には何かが繋がるはずだ。


このままもう一度人生をやり直せるんだったら、もう後悔するようなことはしない。

二人のためなら、どんな困難だって闘えるはずだ・・・


まずは、この時代を全力で生きて、それで全力で彼女たちに気持ちを伝えて・・・


そうだ! さっきの返事をアッコちゃんへ書いて。

そこから、関係を少しずつ・・・

よし、そうと決まればノートを小さく破いてっと・・・


それにしてもこの俺が女子と手紙のやり取りなんて。


「ん? アキラなにしてんの?」

「うるさい・・・秘密だ・・・」


隠れてコソコソ手紙を書いていると、隣に座っている藤澤君に見られて。

一瞬ビクッとなり、すぐ机に隠してしまった・・・


てか・・・手紙を書いたとして、手紙ってどうやって折るんだよ?


良く考えたら、俺自分から手紙なんて出したこと無いじゃん。

中学の時、女子からからかわれて良く授業中に手紙貰ったけど・・・

碌な思い出無いし。


ん~どうやって折るんだ!

わからん!!

あ~止めた・・・


「ん? なに? やめたの?」

「志は高かったんだけど・・・障害が大きかったみたい・・・」

「はっ? なに言ってるの?」

「・・・はぁ~」


手紙ひとつ、俺は出せないのか・・・

オワタ・・・

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