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第167話 私の負けです・・・許して・・・返して・・・

 ファ~ 眠い・・・

 1時間目自習で助かった~


 ちょっと、寝よう・・・


「どうしたのゆかり?」

「えっ? イヤ~ ちょっと寝不足で~」


「なんで?」

「ん? ん~ 彼氏のね~ 夜泣きが凄くて・・・」


「えっと・・・彼氏が夜泣きって・・・あきら君の事言ってるの?」

「ん? そうよ、ヒナにも話したじゃない」


「あんたね~ まだそんな事言ってるの? てか夜泣きって、あの子いくつよ? 結構もう大きいよね?」

「うん、小学5年生だよ」


「で夜泣きってなんだよ?」

「何かあの子って、夜寝てるとさ~ 結構寝言をしゃべる子なのよね~」


「で?」

「ふふふっ、普段はそんな事言わないのに。 寝てる時は、私の事呼び捨てにして、好きだよとか綺麗だよ、可愛いよ~って、何の夢見てるかしらないけど、キュンキュンすること沢山耳元でしゃべってくれるんだ~」


「なんだその新手なプレイは・・・でも、好きな男にそんな耳元で言われたらちょっとヤバイわね」

「でしょ~ それにこいつどんなけ私の事好きなんだってくらい、次から次とそんな嬉しい事言うからさ~ 私夜一人でキュン死しちゃいそうで、目を覚まして求めてくれたらって毎日待ってるんだけど。あの子朝までそのまま寝ちゃうのよね~」

「てか、何言ってんだお前は・・・前にも言ったけど犯罪だぞそれ」

「分かってるわよ、だからギュッて抱きしめるだけで我慢してるもん」


「まったく、お前やってる事、美姫とそう変わらんぞ」

「へへへ~ そうなんだよね~ でもアキラとまた一緒に暮らし始めて、嬉しすぎちゃって~ 何かもう気持ちが止まらないんだもん」

「この間まで彼氏の事どうしたら本気で好きになれるのか分からないとか意味不明な事で悩んでたヤツが何言ってんだか」

「だって・・・ヒナがアキラを忘れるには他に男を作れって言うから」


「言ったけどさ~ 無理して興味も無いヤツと付き合うとは思わないじゃん」

「だって、駅でばったり会って。 皆でマックに行ったら、木下君が私の事好きだって言い出して。 そしたら美姫とか、大輔とか周りの皆が付き合っちゃえとかいうから」


「だからって木下で手を打たんでも・・・お前安売りしすぎだろ?」

「だってヒナが思うよりも、思われた方が幸せになれるとか言うから」


「イヤ、それも言ったけど」

「この人が好きって自分に言い聞かせてれば、そのうちアキラの事も忘れられるかもって思って」


「お前さ~ 考え方めっちゃ極端ていうか・・・マジバカだよな?」

「だって~ ヒナが彼氏とめっちゃ仲良くしてるの見てたら、すっごい羨ましかったし。 それに美姫まで彼氏出来たとか言い出してさ、何か私だけひとりボッチになった気分だったんだモン」


「イヤッ、だからと言って木下となんてさ~」

「もう! そういう事は付き合う前に言ってよ! ヒナが言ったんじゃん、一緒にいたら好きになる恋もあるって」


「ああぁぁぁ・・・言ったな~ 言ったかも。 でもさ~ ちゃんと相手がお前の事大事にしてくれるか確かめろって言ったじゃんって・・・いまさら言ってもだよね~」

「そうだよ・・・おかげで好きでも無いヤツに処女奪われそうになったんだから」


「奪われたんでしょ?」


「だから!! もう! ちょっと耳貸して」


『なによ?』

『だから~ 襲われそうになっただけで、されてはいないの!!』

『でもあんた泣いてたじゃん?』

『だって・・・変な所には、ちょっと入っちゃったんだモン』


『変なとこ?』

『うん・・・』


『えっ? えっと・・・それってその~ケツってこと?』

『ちょっとヒナ! ケツって・・・下品だよ~』


『な~に、純ぶってんだお前は。 清楚系淫乱女の癖してさ~』

『なんで淫乱なのよ?』


『エッチの意味も分からないような幼児捕まえてエッチな事させてたお前は、清楚の皮をかぶった淫乱女だろ?』

『エッチな事じゃないモン。 ちょっと、協力してもらってただけだモン』


『あっそう、てかさ~ 木下がいくら超絶バカだからってさ~ 入れる所ミスるヤツとかいるのか?』

『童貞だったんでしょ? それに私もかなり抵抗して暴れたから、狙いがずれたのかも・・・』


『お前さ~ でもそれある意味、処女喪失だよな?』

『うるさいな・・・違うもん・・・』


『ていうか、夜泣きの話してたのに何でこんな話になるんだよ?』

『はぁ? ヒナが・・・あれ? 何でだっけ?』


 ??? なんでアイツの話に? アレ?


『で夜泣きってなに?』


 ん? あっ、そっか・・・


『昨日さ~ 夜な夜な泣きながらあの子、ゆかりちゃんゴメンねって何度も何度もゴメンねって言ってシクシク泣いてるから。私すっごい心配でさ~』

『なに? あの子、情緒不安定な子なの?』

『うううん。 いっつも明るくて、優しい子よ』


『心当たりは?』

『あるっちゃ~ あるんだよね~』

『何したのよ?』

『昨日ちょっと、違う女関係であの子にちょっときつく当たっちゃったっていうか~ ちょっと意地悪し過ぎたかもって』


『違う女?』

『うん・・・ショックだったんだよ。 私の知らない女の存在が発覚して・・・すごいショックで・・・』

『あの子あんな可愛い顔して、そんなモテるの?』

『モテるに決まってるじゃん。優しいし、あんな綺麗で可愛らしい顔してるんだもん。大人の女だって放っておかないわよ』


『はぁ? 女って年上だったの?』

『・・・・・・』


『マジか・・・やるわねあの子、将来ホストか?』

『バカ言ってんじゃ無いわよ。あの子は、私の旦那様になるんだから』


『小学生の頃から自分の母乳で育てた弟を旦那にね~』

『だから~ 母乳なんて上げてないし』

『でも、乳揉ませてたんでしょ?』

『ねぇ~ 乳揉むとか言わないでよ~ マッサージを協力してもらってただけだモン』


『はぁ~ なにがモンっだ可愛い子ぶんなって。 っで、その愛のマッサージの成果が、そのギリギリのDカップって事?』

『うるさいな~ DはDだもん・・・ヒナも美姫も巨乳すぎるのよ』


『でもさ~ 寝てる時に見てる夢って、毎日ゆかりとの夢なわけ? 他の女の名前呼ばないの?』

『ん? そうだね、何か寝言はいっつも私のことばっかりなんだよね~ へへへ~ だから~ あの子は私の事が大好きなんだよ~ 他の女の名前なんて聞いたことないモン』


「しあせ・・・そうだなぁ・・・」


 !? 人の気配と同時に死にそうな声で後ろから話かけられてビックリしてヒナと二人で振りむくと。

 目の下にクマを作って、完全に目が死んでる美樹が立っていて・・・


「ちょっ! 美姫・・・やめてよ、完全ホラーなんだけど」

「美姫、もうお前ヤバいぞ。 意地張ってないで、全面降伏しろよ。 アキラ君欠乏症で完全に目が行ってるじゃん」


 ヒナにそう言われた瞬間。

 ペタッと床に座り込む美姫。


 さすがにダメージ蓄積が凄いな・・・

 過去一消耗してんなコイツ。

 ほぼ1週間アキラ成分を補充しないとこんなになるのか?


 でも、私なんて約2年もの間、ほぼアキラ無しで生きたんだから。

 たった、1週間で大袈裟な・・・


「もう・・・私の負けです・・・許して・・・返して・・・アキラ・・・」


「ゆかり・・・コイツもう死ぬぞ」

「イヤ~ まだ演技って線も・・・コイツの図太さ甘く見てると~」


「ゆかり~!! ゴメンなさい!! もう本当にアキラを返して~!!」

「ちょっと! 授業中なんだから静かにしなさいよ!!」


 って言っても、自習が始まってから皆一斉に話始めたせいで、もうちょっとした騒音並みにうるさいのよね。

 だから、コイツが多少喚こうが、皆全然気にも留めてないし。


「じゃあ、全部条件飲むのね?」


「うん・・・」


「えっとなんだっけ・・・」


 携帯のメモメモっと・・・


「えっと~ もう噛みつかない事!」

「ハイ・・・」


「夜勝手にパジャマ脱がさない事! あと、勝手にエッチしようとしないこと!」

「ハイ・・・」


「はぁ~ アキラ君の貞操・・・もはや風前の灯火ね。 信じてる姉二人共マジで一番ヤバいヤツだったなんて悲劇だよ」

「私はアキラの事襲ったりしてないモン!」


 ちょっと・・・パジャマは脱がしちゃったけど・・・


「でも、お前はお前でアキラ君にエッチ求められたら受け入れちゃうんだろ? 変態!」

「だって・・・・・・あの子に求められたら、嬉しすぎて抵抗なんて出来ないよ」


「はぁ~ お前らマジで終わってんな。 ・・・で? アキラ君が出した条件って他に何があるのよ?」


「えっと・・・コレ・・・」

「ん? ゆかりちゃんがお泊りに来た時に、仲良くしててもうるさく言わない事って・・・」

「エヘヘヘ~♪」

「これ・・・お前が言わせたろ?」


「はぁ~! 違うもん! アキラが自分で言ってくれた条件だもん!」

「本当かよ。 じゃあ、何? アキラ君って、本当にゆかりの事が大好きって事なの?」

「だから~ そうだって言ってるじゃない♪」


「てか、美姫? あんたコレ許せるの?」

「ハイ・・・」


「えっ? アキラ君とゆかりがエッチしてても?」

「・・・だって~ アキラがそうしろって言うなら、そうするしかないじゃ~ん!! ぐすっ・・・」

「イヤ・・・泣くなよ」

「だって~ ヒナのバカ~」


 おぉぉぉ~ 久しぶりにコイツが泣いた所みたな。

 まあ、さすがに演技では無いって事か・・・


「で? まだあるの?」

「うん、後は、アッコちゃんと二人でいる時に、必要以上に邪魔しないこと」


「アッコちゃんって?」

「ん? あの子の彼女よ」


「彼女いるんかい!?」


「そうなのよ・・・あの浮気者・・・」

「イヤ・・・彼女がいるなら、お前との関係の方が浮気だろ?」

「もう! ヒナまでアキラみたいな事言わないで!!」


 なんで、私とアキラの関係は浮気なのよ。

 失礼しちゃう!


「何か今の聞いて、アキラ君はまだまともな精神持った子だって理解した気がするよ・・・で? まだあんの?」

「えっと、後は幸兄とデートすることが最初条件だったけど、なんか大学受験までずっと家庭教師として幸兄を受け入れる事に変わったみたい」


「はぁ~ で美姫はそれも受け入れるの?」


「うん・・・だからアキラの事返して~!! もう無理!! 一緒にお風呂入りたい! 抱っこして一緒に寝たいよ~ うっうぅぅぅ・・・」


 日曜日からだから、今日で6日目か~

 まあ、過去4日が最長だったから。


 さすがに今回は応えたか?

 見た目の衰えようが凄いものね・・・


「じゃあ、今日でアキラ君の家出は、一旦おしまいなワケ?」

「う~ん、とりあえず帰ってアキラに伝えて~ それからじゃない?」


「はぁ~!? 条件飲んだら返してくれるっていったじゃん!!」


「そもそも、最終的に謝る相手は私じゃないでしょ?」

「そんな~ でも・・・アキラ・・・会ってくれる?」


「まあ条件飲んで謝るって言えば会ってくれるんじゃない? てか、今日ピアノ教室の日でしょ? その時に謝れば良いでしょ?」

「そっか・・・そうだね・・・じゃあ、今日はあの子の好きなミートソーススパゲティ作って上げようかな」


「まだ今日帰るって言われてないじゃん」

「ちょっと!! 約束と違うじゃない!!」


「即日帰るとは言ってないじゃん」

「嘘つき!! 鬼!! 悪魔!!」


 うるさいな~ 今日すぐ帰るかどうかはアキラ次第でしょ?


「てか、すべてはアキラ次第でしょ?」

「そっか・・・そうだよね・・・」


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