第161話 でもゆかりちゃんは、アキラにあげたんでしょ?
「もう・・・なんで俺がこんな」
「すいません、何か送って貰って~」
「てか、なんでお前らもついてくるんだよ!?」
「良いじゃん、幸兄1000円貰ったんだから~」
「俺の晩飯だし・・・貰ったの1000円だけだし・・・」
「幸兄だけズルいじゃん! それに、この間の学食代のおつりだって余ってるの知ってるんだから」
ん? 学食? そっか~ 流石だゆかりちゃん。
あの時もおばさんからお金貰ってたっけ。
「はぁ~ 美姫ちゃんみたいな可愛い妹が欲しい」
「分かるよ幸ちゃ~ん 俺も、美姫さんみたいなお姉さんが欲しいっす」
!? コイツらマジか?
あの部屋見て、まだそんなこと?
「それにしても、幸ちゃんの車カッコ良いね?」
「オッ!? 秀樹! だろ~! お前はやっぱり俺の味方だな~」
「うん♪ でも~ 幸ちゃんには、何か似合わないね?」
さすが秀樹・・・上げておいて落とすなよ。
「バカ、秀樹。 これは美姫がカッコイイって言ったのを聞いて一緒にドライブを夢見て無理して買ったヤツだぞ。 なのに夢が実現してない幸ちゃんの気持ちを考えろよ」
「えっ? 美姫さんが? あっ、なるほどね~ 美姫さん好きそうだもんね~ それにしても、幸ちゃん、まだ美姫さんのこと好きだったんだ?」
「お前らうるせ~ぞ!」
「そう言えば、幸兄? 今日美姫のお部屋見に行ったんでしょ? どうだった?」
「イヤ・・・どうだったって。 お前・・・」
それ、今聞くんだ・・・
「えっ!? アレ見たんですか?」
「秀樹は、うるさいぞ!」
まあ、まだ心の整理ついてないよね?
「どうよ? あれが美樹の本性よ」
「別に・・・美姫ちゃんは、美姫ちゃんだし」
「ゆかりちゃん、もうその辺にしておいてあげてよ」
たぶん、あの現実飲み込むのには時間が必要だよ。
「幸ちゃん? パンツ貰った?」
バカ秀樹! お前は何を!?
「秀樹!! うるさいぞ!! てか! アキラ!! お前、秀樹にも!?」
「うるさいな~ 美姫のパンツ見て微妙な顔でジーっと見つめてたじゃん!」
欲しそうにしてたじゃん。
「はぁ~!? なにやってんの? もう、最っ低!! これだから男どもは」
「イヤ! ゆかり! 貰ってないから!!」
「当たり前でしょ! バカなの!!」
「アキラ!!! お前のせいだぞ!!」
はぁ!? なんで俺?
「本当。 お前いっつも俺らの事バカにしすぎな」
秀樹まで。
なんだよ二人して、欲しそうな顔でパンツ見てたクセしてさ~
「アキラ~ アンタもダメでしょ! そんなことしたら!」
「え~ 美姫のだよ? ゆかりちゃんのなら、そんなこと絶対にしないよ」
「当たり前でしょ! それに美姫のでもダメよ~ さすがに可哀そうでしょ・・・」
う~ん、美姫なら平気だと思うけどな~
そもそも、無くなった事すら気づかないと思うんだけどな~
「えっ? でもゆかりちゃんは、アキラにあげたんでしょ?」
ん? こいつ何を?
「あげたって何? お土産?」
「イヤ、その服・・・」
『バシッ!!』
『イタッ!!』
思わず次の瞬間、秀樹の頭をバシッと殴ってしまい。
「イタイだろ! 何すんだよ!」
『バカ! それはダメだろ! トップシークレットだバカ!!」
『えっ!? あっ、そうか・・・』
後部座席で、秀樹の頭を羽交い絞めにして、耳元で声を殺して抗議していると。
幸ちゃんが不思議そうな顔で、ゆかりちゃんに・・・
「なんだ服って?」
「えっ!? イヤ、服でしょ!? 新選組!! そう! お土産の新選組の法被! そうよねアキラ!?」
「えっ!? ああ・・・そう・・・新選組のヤツ!」
法被って・・・ゆかりちゃん。
「へ~ 新選組の法被なんて貰ったのかよ? 良いな~ 俺なんて新選組提灯だけだったのに」
えっ? ゆかりちゃん・・・幸ちゃんへのお土産適当すぎんか?
「うるさいな~ お土産なんだから、文句言わないでよね! てか、秀樹! アキラ!」
『ハイ!!』
「アキラ~ あんた帰ったら話があるから」
「えっと・・・ハイ・・・」
羽交い絞めにしたままの秀樹にそのまま小声で・・・
『お前のせいで怒られるだろ!!』
『だって~』
「なに二人でコソコソしてるのよ!!」
『ハイ!! なんでもありません!!』
「お前ら、本当に昔っから仲良いよな~」
「アハハハ・・・3歳から、ほぼ毎日一緒にいるからね~」
「もう・・・アキラのバカ・・・」
ヤバイ、ゆかりちゃんの服の事、秀樹に話したのバレたじゃん。
もう、コイツは本当にいっつも余計な事をペラペラ。
社内の空気を敏感に察したのか秀樹が。
「あっ! えっと、もうここで大丈夫っす!!」
「ん? ここで良いの? 家の前まで・・・」
「イヤ! もうそこの裏、すぐウチなんで」
「じゃあ、ココで良いの?」
こいつ、逃げやがって。
「じゃあ、アキラ! また明日な!」
「ああ・・・」
ふん、馬鹿め。
逃げようと思ったんだろうけど。
この車が2ドアだという事をお前は忘れてるようだな?
「・・・・・・えっと~ ゆかりちゃん? あの~」
いつもより、ワントーン低い声色でゆかりちゃんが。
「ん? 出たいの?」
「ハイ・・・できれば~」
ゆかりちゃんがいったん、外に出ないとお前は出れないんだから。
ふん、っと言いながら、ゆかりちゃんが、扉を開けて外に出る。
そのまま助手席を前に倒してくれて、そこから秀樹が外に出た瞬間。
『イタイ!!』
ん? ありゃ。
秀樹のヤツ、ゆかりちゃんに捕まってヘッドロックされてる。
てか、何話してるんだろ?
ここからじゃ聞こえないな~
なんか、秀樹のヤツ、ペコペコしてるし。
絶対さっきの事だよな~
なんか秀樹、必死だな~
思いっきり顔横に振ってんな?
てか、ゆかりちゃんにヘッドロックされる秀樹、久しぶりに見たかも・・・
一通り話が終わったのか、苦笑いしながらバイバイと言いながら手を振ってから、逃げるように秀樹が走り去って行くと。
「もう・・・アイツ・・・」
そう言って、助手席に乗り込んで来て、ボフッと腰を下ろす。
「アキラ~?」
「はい!」
・・・なに? その甘え声?
「ふふふふ~」
「・・・なに?」
「後で、お風呂でゆっくり話しようね~?」
「・・・・・・ハイ」
「何だ? アキラ、何したんだ?」
「幸兄! うるさいよ!」
「なんだよ・・・もう・・・」
秀樹を下ろして、なんとなく気まずい雰囲気のまま走りだし。
そのまま、北一条宮の沢通りを手稲方面に右折すると数分でびっくりドンキーに到着。
「てか、本当にびっくりドンキー来たよ」
「はぁ? なんだよ、この時間にやってる所なんてココくらいだろ?」
「イヤ~ ロイホとか、とんでんとか、みよしのの餃子とかあるじゃん?」
まあ、ゆかりちゃんの言いたい事はわかるけど。
俺らもくっついて来て、とんでん、みよしのに行かれてもな~
「はぁ? ドンキ以外全部遠いいじゃん」
「まあそうだけどさ~ 何か、おしゃれなカフェとかさ~」
幸ちゃんにそれを期待するのは無理でしょ?
「なんだよカフェって。 てか良いからさっさと降りろよ! お腹減ってんだよ俺は~!」
そう言われて、ゆかりちゃんがいそいそと車から降りて、助手席を倒してくれたので、そこから降りると。
「イタイ!!」
降りた瞬間に、頬をギュ~ッっとつねられて、びっくりしてゆかりちゃんを見上げると。
「ふふふふ~」
ニコっとした笑顔だけで、何も言わずに手を握られてお店に向かって歩きだしてしまう。
えっ? なにその笑顔。
帰ったら覚えておけ的な?
ちょっと、ドキドキしながら3人でお店に入って行くと、そこそこ混んでるようだ。
入口で、幸ちゃんが順番待ちの機械に入力してしばらく待っていると。
「102番で、3名でお待ちのお客様~」
手際よくメニューをサッと用意すると脇に抱えて、席まで案内するために店員さんが歩きだす。
幸ちゃんが、店員さんに反応して、その後をついてスタスタ着いて行くと。
ん? あれ?
なにやら、見慣れた女性が1人でメニューを眺めてる姿が目に入る。
まだこっちには気づいてないみたいで、一生懸命メニューを見ている。
ゆかりちゃん達と一緒にいる時に会うと色々面倒だよな~
これは、気づかれないように通り過ぎるた方が無難だな。
そう思い、ゆかりちゃんを盾にして、しれっと通り過ぎよとした時。
「佐久間くん?」
うっ・・・
「えっ? あれれれ~ 遥ちゃん? なんで?」
「なんでって、仕事で遅くなったからご飯食べに来ただけよ」
「ひとりで?」
「はぁ? ひとりで悪かったわね?」
うわっ・・・マズった。
「アキラ~ どなた?」
「えっ? えっと・・・担任の先生」
「え~ そうなんだ、いつもアキラがお世話になっています~」
「えっ? あっ、どうも・・・てか、佐久間くんこちらは?」
まあそうなるよね~
また説明がめんどくさいな~
「えっと・・・お姉ちゃんっていうか~」
「お姉ちゃん? この間と違う人? あれ? お姉さんって二人いたっけ? 二人弟妹だったんじゃ~?」
「まあ・・・二人いるっちゃ~ いるっていうか~」
「なによ? その歯切れの悪い感じは~?」
「あの~ お知り合いですか~? お席同席になさいますか?」
先生との会話を聞いていた店員さんが気を利かせたのかそんな事を聞いて来る。
「えっ? まあ・・・」
「まあ、混んでるから良いわよ。 私もいま来たばっかりだし」
「えっと、ゆかりちゃん達も良い?」
「まあ、別にアキラの担任の先生なら。 ね? 幸兄?」
「うっうん。 俺は別に良いよ~」
はぁ~ 出来れば別が良かったな~
絶対これ・・・めんどくさいパターンになるヤツじゃん。
大人しく、ゆかりちゃんと家でお風呂入ってれば良かったかも・・・
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