第16話 2週間前から彼の様子がちょっと変・・・
『うわっ!? 懐かし~ これシルビアのS14の前期型?』
『さっきから懐かしいとか連呼しているけど、一応まだ4年しかたってないんだけど・・・』
また始まった・・・
この間から、懐かしいとか、この時代にはとか・・・
なんか、ずっとそんな事言ってるな~
先週も・・・
『この時代には、まだ草生えて無かったんだね~ ワロタ~』
とか意味不明な事いってたし。
なんだろう?
ワロタって?
テレビ見てても、『ウワ~ なつっ・・・』まで言いかけてたけど。
あれも絶対懐かしいとかだよね~
マックでも、オレオの砕いたのが入ったソフトクリームとか意味不明な事いってたし。
なんだろう? 2週間前に頭でも打ったのかな?
妙に男の子らしくなったのとなんか関係あるのかな?
「あの~ アキラくんのお姉さん?」
「何~ アッコちゃん? 美姫お姉ちゃんで良いわよ~」
美姫お姉ちゃん・・・言いづらい・・・
「あの、アキラくんって、その・・・2週間前とか頭打ったりとか、なんか記憶がおかしくなるようなことってありました?」
「2週間前? う~ん 特にそんなことはなかったけどな~ しいて変だった日と言えば、先週の月曜日かな、朝から1人でブツブツ独り言を」
先週の月曜日・・・ あの日か!
そうだよ、あの告白してくれた日から何か妙に変なんだよこの子・・・
「なんか、最近懐かしいとか、この時代にはとか、そんな変なこと話してたりしませんでした?」
「ん? う~ん・・・ 先週は、何か隣の部屋で妙にテンション上げて、懐かしい~とかワイワイ1人で騒いでた気はするけど」
やっぱり先週からなんだ。
ぜったい変なんだよな・・・
一昨日貰った香りペンも、欲しいなって言ったら。
『これ、流行ってたよね~』
流行ってるよね~じゃ無くって。
流行ってたよね~って。
なんか昔のことみたいに言うし・・
プリクラ撮りに行った帰りも、藤澤君とサッカーのゲームやりはじめて。
ボッコボコにしてた時も『イヤ~ 昔やり込んだから~』とか。
藤澤君から、昔ってこのゲーム出たの去年じゃんって言われてたしな~
なんなんだろう?
「アッコちゃん?」
「はい?」
「なにボーっとしてるの?」
「イエ・・・ちょっと・・・」
う~ん気になる・・・
「ほら! ボーっとしてないで早く車に乗って」
「えっ!? あっはい・・・ アッコちゃん、こっち」
「うん、ありがとう!」
ん? なに? なんか出してる・・
えっ、なにそれ・・・カメラ?
「ちょと! 何撮ってるの?」
「えっ? 思い出~」
「それどうしたの?」
「これ? 親父から借りて来ちゃった」
「もう・・・いきなり撮らないでよ~」
「だって・・・思いでを出来るだけ残しておきたいんだモン・・・」
ん? アキラくん?
どうしたんだろう?
なんでそんな寂しそうな顔するの?
思い出残しておきたいって。
なんか、別れが近いみたいな・・・
「アキラさ~?」
「なにねーちゃん?」
「お父さんの事、いつからオヤジって言うようになったの?」
「えっ? なんで、ずっと前からオヤジじゃなかった?」
「えっ? イヤ、お父さんってずっと呼んでたじゃん」
「え~ そうだっけ? イヤ・・・なんていうか、男の子だしオヤジって言われた方が嬉しいかなって。ほら従妹のターちゃも、叔父さんの事オヤジって言ってるじゃん」
「なんだ、ターちゃんのマネか・・・」
・・・
「どうしたの、アッコちゃん? 難しい顔して」
「えっ? イヤ・・・なんでも無いよ」
やっぱり、何かこの2週間であったんだ・・・
なんだろう? 気になるな。
未来から来たとか?
まさかな~
ドラえもんじゃ無いし~
「アッコちゃん、朝ごはん食べて来た?」
「う~ん、朝早かったからおにぎり握ってもらった~」
「じゃあ、サンドイッチ食べる? おにぎりと交換する?」
「え~ じゃあ交換する~ サンドイッチか~」
「アッコちゃんと、車の中で食べて行きなさいって、母さんが作ってくれたんだ~」
「そうなんだ~ へへへ嬉しいサンドイッチ~」
「アッコちゃん、ハイこれ」
「なに? それ?」
「アイスレモンティー アッコちゃんこれ好きでしょ?」
「うん! ありがとう」
ふふふっ、優しい。
アキラくんの家で、初めて飲んだんだよな~
アイスレモンティー 美味しいな~♪
「アキラ~ 私も飲みたいレモンティー」
「ダメ! これはアッコちゃんのヤツだから!」
「何よ! ケチ!!」
「うるせ~ 黙れ!!」
「美姫ちゃん! コンビニ寄るから、そんな弟君の大事な物奪ったら可哀そうでしょ?」
「ふん、アキラのケチ! バカ!」
ウワ~兄弟喧嘩するんだ・・・
でも、『アッコちゃんのヤツだから』って。
そんなことで喧嘩しなくても良いのに・・・
可愛いな~アキラくん。
あ~サンドイッチもレモンティーも美味しいな~
ルンルン♪
ん?
「カメラ私に向けてない?」
「そんなことないけど・・・」
「絶対撮ってるよね?」
「撮ってないよ・・・」
「ウソついてたら?」
「えっと・・・ついてたら?」
「・・・全部消してもらう」
「えっ!? ダメ、ダメ、ダメ。ウソ撮ってました」
「もう! 黙ってとらないでよ~」
「だって、モグモグしてるアッコちゃんが可愛かったんだもん・・・」
「もう! ・・・見せて、いまの写真」
「イヤ・・・写真じゃ無くて・・・」
「写真じゃ無いってどういうこと?」
「イヤ~ これ・・・」
「えっ? 動いてる・・・」
「動画で撮ってたんだ~」
「動画!? こんなカメラで動画なんて取れるの?」
「凄いでしょ~! 今年出たばっかりの動画も撮れるデジカメ~」
「へ~ 動画も撮れちゃうんだ~ 凄いね・・・」
「いっぱい溜まったら、編集してあげるね」
「いっぱい溜まったらって、これからもこんなの撮る気なの?」
「うん、普段のアッコちゃんの姿を、ずっと記録に残しておきたいから」
「もう! ダメだよ・・・恥ずかしいじゃん・・・」
「でも、これがあれば、離れててもいつでもアッコちゃんの事見れるから・・・」
また、さみしそうな顔して~
なによ? 離れててもって・・・
絶対離れないんだから・・・
「ん? どうしたの? ギュッとしてきて」
「だって、離れててもとか言うから・・・」
「あっ、ごめん。そうだよね、ずっと一緒だよね・・・」
「そうだよ・・・アキラのバカ・・・」
「えっと・・・」
「なに?」
「アキラって呼んだり、アキラくんって呼んだり・・・」
あっ・・・
だって・・・
何かまだ違和感あるんだもん名前呼び・・・
「あのさ~ 無理してる?」
「そんなことないモン、彼氏だもん名前で呼ぶのが普通なんだから・・・」
「アキラと、アキラくんならどっちが呼びやすいの?」
う~ん・・・
アキラ・・・
アキラくん・・・
「アキラ・・・くんかな・・・」
「アハハ、俺はどっちでも良いよ。佐久間君でも、アキラくんでも」
「うん・・・でも、アキラくんが良い・・・」
「なんか、呼ばれ慣れしてないから恥ずかしいね?」
「わたしも、呼びなれてないから恥ずかしいかも、えへへへ」
「なんか、二人の会話可愛いね~ 何か初々しくってさ」
「なに? 雄太? わたしはもう初々しく無いってこと?」
「えっ? 美姫? なんでそうなるの?」
「なによ! 4つも下のピチピチの高校生なのに!!」
「ごっ・・・ごめんって。 そんな怒ること無いじゃん。美姫は綺麗だし、本当に可愛いよ。肌もピチピチで白くて綺麗だし・・・」
「本当?」
「うん・・・世界で一番可愛い。大好きだよ」
うわ~ 4つも年齢違う人と付き合ってるんだ~
大好きだよって・・・
でも、こんな会話アキラくんが聞いたらショック受けたりしないのかな?
お姉ちゃんの事、好き・・・ って・・えっ?
「何・・・やってんの?」
「えっ? あっ・・・アッコちゃんのこと撮ってた・・・」
「今のお姉さん達の会話は?」
「えっ? 会話? 全然聞いてなかった・・・」
あっそう。
心配する必要なかったみたい・・・
「そんなに私を撮りたいの?」
「うん・・・出来ることなら一緒に居る所、誰かにずっと撮っててほしいくらい」
ふふふっ、でも。
そっか、本当にわたしのこと大好きなんだね。
なんか、こういうバカな事するけど、好きだからなんだって思うと怒れないよ・・・
アキラくんのバ~カ・・・ もう・・・好き・・・
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