第159話 なんでお前がココにいるんだよ?
買い物に行く母さんの車に乗せて貰い、アッコちゃんを家まで送って。
そのまま母さんの買い物に付き合い、ゆかりちゃんの家の前まで送ってもらった。
母さんを見送った後に、そのままゆかりちゃんの家に入ろうと門を通って玄関に入ろうとした時・・・
「オイ!」
!!?? ビクッ!!
なに!!??
「!? 誰!?」
薄暗い所から、急に男の声がして振り向くと・・・
「やっぱり、ゆかりちゃんの家に居やがった」
「はぁ? ・・・・・・秀樹?」
なんだコイツ? なんでお前がココにいるんだよ?
それにこんな時間になんで?
「ふっ、なんで、俺がこんな時間に、ここに居るんだと不思議がっているような顔だな?」
なんだそのどっかの漫画の悪者の様なセリフは。
しかもメッチャドヤ顔だし。
「簡単な事さ。 さっき、るなっちを送って家に帰る途中に、お前の母さんの車にアッコちゃんとお前が乗ってるのが見えたからな。 ひょっとしたら、ここで張ってたらお前が現れるんじゃないかと思ったまでさ。 ふふふ、飛んで火にいる夏の虫だな?」
イヤ、もう冬だけどな。
てか、な~に、探偵小説の主人公気取ってんだコイツ。
「さぁアキラ観念しろ。 昼間もコソコソ逃げ回りやがって」
「観念ってなんだよ?」
「ゆかりちゃんの家で、何1人で楽しい事してんだよ! イエ!」
でた・・・秀樹の俺だけ除け者って思うとトコトンしつこいヤツ。
楽しい事って・・・まあ・・・う~ん。
秀樹には色々と言えないことばっかりしているけど・・・
言えないな・・・うん、絶対言えない。
「別に楽しいことなんて・・・」
「嘘つけ! 最近急にゆかりちゃん、ゆかりちゃん言い出して。 ゆかりちゃんの服を隠し持ったりして。 お前だけズルいぞ!! ゆかりちゃんと二人っきりでコソコソ何してんだよ!?」
「コソコソって、てかお前な~ 人んちの玄関の前で大きな声で意味不明なことをバカか」
も~う、めんどくせ~
『ガチャ!』
ん?
「あきら~? 帰ったの?」
ゆかりちゃん?
「なに? 何してんの? 誰かいるの?」
「えっ? あっ、えっと・・・ゆかりちゃんが嫌いなヤツ?」
「もう、遅いから美姫に捕まったのかと思ったわよ。 てか嫌いなヤツって誰よ?」
その昔、ゆかりちゃんに暴言履いて、ゆかりちゃんを怒らせたヤロ~です。
「ん? お前は・・・」
「あっ、えっと。 お久しぶりです♪」
あっ、ヤバイ。
機嫌悪い時の顔つきに・・・
「でた、おっぱいバカの美姫の子分2号じゃん」
「えっ? おっぱいバカの美姫の子分2号って。 なんか、すっげ~久しぶりに言われた気が・・・」
くっくっくく。
そうだった、ゆかりちゃんが名付けた美姫の子分1号2号。
おっぱいバカって・・・
幸ちゃんが1号で、2号が秀樹だっけ。
「何しに来たのよ? おっぱいバカが」
「イヤ~ 久しぶりにあって、いきなりそれっすか?」
まあ、それだけの事をお前が言ったからじゃん?
当時のゆかりちゃんがめっちゃ気にしてた事を・・・
「はぁ~? あんたね~ 私が忘れたとでも思ってんの? あんたが言った酷いあの一言・・・」
一言? 実際何言ったのか俺聞いてないんだよな~
「えっと・・・俺なんか言いましたっけ? 酷い事?」
「言ったでしょ! 背中と前とどっちか区別つかないって!!」
「えっ? あっ・・・えっと・・・あれはその~ だって・・・」
秀樹・・・そんな事言ったのかよ。
どうりで、「あの子の事嫌いなのよね」って言うわけだ。
てか、どんなシチュエーションでそんな事?
「てか、そんなヒデー事、なんで言ったんだよ?」
「えっ? だって、後ろから目隠しされてだーれだってされて・・・ その~ 美姫ちゃんならすぐわかるだろ? 逆にゆかりちゃんもすぐわかるっていうか・・・」
背中と前・・・・・・ん?
ああ、確かに・・・
「ふん! このおっぱいバカが! てか、何しに来たのよ? アキラが呼んだの?」
「イヤ、なんか勝手に来た。 待ち伏せされてた」
「勝手に? 待ち伏せ?」
えっと、あれっていつだ?
ゆかりちゃんが、中学1年生? 2年生だったか?
あの頃のゆかりちゃんって・・・全然無かったからな~
確かに、だ~れだってされたら、すぐ判別可能だったわ~
何か、思い出して来た。
でも、秀樹さ~ それ本人に言ったのかよ?
俺も気づいてはいたけど、ワザと間違えてあげてたのに。
お前・・・マジで、そういう所だぞ。
しっかし、当時からコイツはノンデリヤロ~だったんだな~
俺が見て無い所で、ゆかりちゃんから怒り買ってたとは。
「だって! アキラがコソコソなんか楽しそうな事してるから!」
「何が楽しそうよ! アキラは美姫にイジメられて今大変なのよ! だから、ウチで保護してるの! ガキは家に帰る時間よ、さっさと帰りなさい!」
「え~!」
「え~ってなによ!? あんたは美姫派閥でしょ!? 帰れスパイか!?」
「スパイって何すか? 美姫ちゃんにアキラがイジメられるなんて日常茶飯事でしょ?」
「アキラ!」
「ハイ!」
「見せてオヤリ!」
「ハイ!」
そう言って、秀樹に美姫に噛まれた歯形を見せる。
「はっ? なにこれ? 歯型?」
「そうだ」
「まさか、美姫ちゃんの?」
「あいつ以外に、人を平気で噛むような狂気なヤツいないだろ?」
「相変わらずだな~ 美姫ちゃん。 てか、噛むって・・・マジ?」
マジだ・・・
「分かった? アキラは美姫に虐待されてるの! だから今ウチで保護してるのよ!」
「はぁ~ 保護? でも、虐待って~ どうせ、またアキラがなんかしたんでしょ?」
あん? なんだお前?
「はぁ!? バカ、今回は俺は何も悪くないぞ! あいつが一方的に嫉妬の闇に負けて、ガブってしやがったんだ!」
「嫉妬? じゃあ、やっぱりお前が原因じゃん」
何言ってんだコイツ?
わかったような事言いやがって。
「なんでだよ?」
「なんか最近急にゆかりちゃん、ゆかりちゃんって。 急に、ゆかりちゃん騒ぎ始めて。 どうせ、美姫ちゃんの目の前で、ゆかりちゃんに赤ちゃんみたいにベッタリくっ付いて、甘えてたんだろ?」
はぁ? なんだコイツ、まるで見てたかの様な事を言うじゃんか。
てかコイツ・・・マジで今日やたら冴えてないか?
「あ~ うるさい! てか何しに来たのよ!? 美姫の指図!? スパイ!?」
「イヤ! 美姫ちゃんになんて、しばらく会ってないっすよ」
俺を見かけて探偵ごっこノリでテンション上がって。
勢いでここまで来ちゃっただけだろコイツ。
「もう帰りなさいよ! 18時過ぎよ! 怒られるわよあんた!」
「えっ!? もう18時過ぎてるの!? ヤバ!」
俺を見かけて、後先考えずにココに来たのか。
バカだな~ こいつ。
てか・・・はぁ~
『ハクション!!』
はひぃ~ 何か、鼻がムズムズする~
「アキラ? 大丈夫? 風邪引いちゃった? もう! バカ秀樹! アンタが無駄話してるせいで、アキラが風邪引いちゃったでしょ!」
「え~ あいわからずの不条理・・・ てか、アキラへの過保護っぷり加速してない?」
『ガチャ』
「ちょっと、玄関先で何大声出してるのよ? ・・・ん? あら~久しぶりね~ えっと、秀樹くんだっけ?」
「あっ♪ お久しぶりです♪」
「もう、そんな所でなにやってるのよ! 寒いんだから、さっさと家に入りない!」
「はぁ? でもママ? こいつが勝手に来たんだよ!」
「もう、勝手だろうかなんだろうが、来ちゃったらしょうがないでしょ? さっ、とりあえず家に入りなさい! もうご飯よ」
おばさんもスゲ~な。
なんだこの許容範囲の広さというか・・・懐の深さは?
来ちゃったもんはしょうがないって、そんなスンナリ受け入れるかね?
「で? どうするんだよ秀樹?」
「えっ? とりあえず・・・あの・・・電話を借りたいかもです」
はぁ~ 俺に一緒に電話させて、帰るの遅くなった言い訳しろってか?
まったく、勝手に押しかけておいてこれだモンな~
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