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第153話 すべての女の子の部屋が可愛くって綺麗な部屋ってわけじゅないんだよ


 はぁ~ ゆかりちゃんパパとの夕食緊張した~

 てか、昔よりなんかフレンドリ~な感じなのはなんだろ?


 いっつも黙って黙々ご飯食べて、俺が緊張して何かするとジロって睨む感じだったのに。

 なんか今日の朝のやりとりから、妙に俺のことカマってくるけど。

 あんなに、ベラベラしゃべる人だったんだな?


「なに、どうしたの?」

「イヤ・・・おじさんが」

「あ~ もう・・・パパってバカなんだから!」


「ゆかりが悪いんだろ」

「はぁ? 何でよ幸兄?」

「親父の前で、将来のお嫁さんの実家なんだからリラックスしてね~なんて言うから」

「だって、この子パパの前だと昔っから緊張して、ちゃんとご飯食べれないから!」


 まあ、あの発言の後から、妙におじさんご機嫌っていうか。

 俺のことめっちゃイジリ始めたっていうか・・・


「てか、お前ら自分の部屋に戻れよ~ 明日までにレポート書かないといけないんだから!」

「良いじゃんコレ見終わるまで! 幸兄は、イヤホンで音楽でも聴いてれば良いじゃん!」


「トイストーリーなんていつでも見れるだろ! それに・・・そんな目の前でイチャイチャされたら気が散るだろ・・・」

「なによ~ イチャイチャって~ 昔からアキラと私はこうでしょ?」

「まあ・・・確かに・・・ でも、なんていうか・・・こうなんか、生生しいっていうか・・・」

「なによ~ 幸兄? 羨ましいの? 美姫とこういうことしたいのかな~?」


 えっ!? ゆかりちゃん!? なに!?

 そんな、幸ちゃんの前で・・・


 えっ!? ん~!!!!


 ゆかりちゃん!!! キス・・・


 しかも・・・そんな・・・ん~!!!! あっ・・・・・・


「ふふふっ、もう照れちゃってアキラ可愛い~♪」

「オイ!! ゆかり!! おっ・・・お前! それは・・・ダメだろ!!」

「なによ~ 恋人ならこれくらい普通よ♪」


 ゆかりちゃん・・・キス・・・

 しかも・・・そんな・・・濃厚な・・・

 そんなことされたら、ゆかりちゃん?


「お前え・・・我が妹ながら、なんて恐ろしい・・・」

「幸兄が初心なだけよ」

「違うだろ! 見ろ! アキラが溶けてるだろ!!」

「ん? ありゃ・・・ちょっとやり過ぎた?」


 急な濃厚キスで何か力が・・・

 ゆかりちゃん・・・


「なあ?」

「なに!? 幸兄はちょっと黙ってて! ねえアキラ~? 大丈夫?」


 ううん・・・ダメ。

 ゆかりちゃん・・・そんなされたらしたくなっちゃう。


「もう、そんな目トロンとさせちゃって~♪ 甘えん坊さんね♪」


 やかりちゃん・・・二人っきりになりたい・・・


「ん? なに? したいの?」


 黙って、コクっとする・・・


「ふふふっ、アキラのエッチ♪」


「なあ!?」

「なによ! うるさいな~! アキラと良い感じなのに!」


「美姫ちゃんの家庭教師okだったらさ~ やっぱりあれかな?」

「はぁ!? なによ唐突に? あれって何よ?」


 ん? あれ?

 なんだろう?


「イヤ・・・その、やっぱり。 その・・・」

「なに? 幸兄モジモジしてキモい」


 なんだ?


「イヤ、その。 ねえ?」

「イヤ、ねえじゃわかんないし」


「イヤ、だからその・・・ 俺が美姫ちゃんのその・・・」

「何よ? 美姫の何? はっきり言いなよ?」


 美姫の? なんだろ?


「イヤ、やっぱりほら。 家庭教師だろ? その・・・やっぱり、美姫ちゃんの家に行くんだよね?」

「まあ、そうなるんじゃないの?」


 ん? うち?


「そうだよね? てことはさ~ やっぱり・・・」

「なによ!? モジモジキモイ!」

「イヤ、だから・・・美姫ちゃんのお部屋で二人っきりってことだよね?」


 んぁ? 美姫の部屋で二人っきり。


 そっか、全然考えて無かったけど。

 昔みたいにゆかりちゃんの部屋で3人でお勉強するの想像してたよ。


 そっか~ そうだよね、家庭教師なら美姫の部屋だよな?

 って・・・無理じゃね?


 二人っきりって。


「幸兄・・・エッロ!」

「なんでだよ!?」


「だって~ 美姫の部屋で二人っきりって、美姫のベッドの上で二人っきりってことでしょ?」

「はぁ? ババババっ! バカ! なんで、ベッドの上でなんだよ!?」


 あ~ 確かに・・・


 今俺もゆかりちゃんと全く同じ想像しちゃったよ。


「だって・・・ねえ? アキラ?」

「うん・・・俺も同じ想像しちゃった」

「はぁ? なんで二人揃ってそんな想像なんだよ? てか・・・そんないきなりベッドで二人っきりって・・・」


 イヤ・・・誘うとかじゃ無くって・・・


「イヤ・・・幸兄・・・違くて・・・その・・・」

「なんだよ?」


「イヤ~ 幸兄の夢を壊しちゃいそうだから・・・」

「なんだよ? 夢って?」


 まあ・・・確かに・・・


「イヤ・・・美姫ってその・・・」

「美姫ちゃんが?」

「お部屋の掃除が~ その・・・あんまり得意じゃ無いって言うか~」

「えっ? なにそれ? どういうこと?」


 あ~ やっぱりショックだよね?

 きっと、綺麗で可愛らしい部屋を想像してたんだろうな~


「イヤ~ その・・・なんていうの? 座れる場所がベッドの上しかないっていうの?」

「座れる場所がベッドの上? なにそれ? どういう状況? 部屋狭いの?」

「イヤ、美姫の部屋は7畳あって、僕の部屋より全然広いけど・・・」


 そう、広いんだよ。

 広いのに・・・


 この間掃除してあげたのに、数週間でもう元の状態だもんな~

 てかさ~ アイツ、無駄に服多すぎなんだよな。


 下着だって、昨日母さんに洗濯モノ美姫の部屋に持ってけって言われたしまおうとしたけど。

 引き出し全部丸ごと下着棚って・・・


 女の子ってあんなに下着大量に持っているもんなのか?

 絶対、数日洗濯しなくても平気な用に大量に確保してるとかしか思えないんだけど・・・


「なんでベッドの上しか座れないんだよ? 美姫ちゃんの部屋って・・・ん? そっか! あれか? ピアノが部屋にあるとか?」


 イヤ・・・ピアノはリビングだが。


「イヤ・・・違くて・・・」

「なんだよ? なんで、そんな気まずそうなんだよ?」

「幸兄・・・女の子の部屋ってね。 その~ すべての女の子の部屋が可愛くって綺麗な部屋ってわけじゃないんよ・・・」

「どういうことだよ?」


 ゆかりちゃん・・・そんな俺の顔みられても・・・

 俺は無理!


 そんな、幸ちゃんの夢を破壊するような事、俺からは言えない。


「だから・・・美姫の部屋って・・・その・・・」

「なんだよ? はっきり言えよ?」

「絶対ショック受けない?」

「はぁ? 俺は美姫ちゃんの事なら、なんでも受け入れるぞ!」


 本当かな?


「美姫の部屋ってね。 そのめっちゃ汚いのよ・・・」

「汚い? 美姫ちゃんの部屋が?」

「そう・・・もう、床に座るなんて無理ってくらい」


 あ~ 幸ちゃん・・・

 そんな、えっ!? みたいにな顔しちゃって。


「えっ? でも、ほら! あれだろ! 女の子って、持ち物が色々多いから、化粧品とか服とか色々あるからだろ?」


 イヤ・・・違うだよ・・・


 深夜に食っただろう、数日前のカップ麺の入れ物 カッコスープ入りのゴミとか・・・

 菓子パンの食い残しとか・・・飲み掛けのペットボトルとか・・・


 それはもう・・・想像を絶する光景なのですが・・・

 俺も、この間掃除した時、スキーのゴーグルに、マスク付けて掃除したんだから。


「イヤ~ そんな可愛いもんじゃ~」

「・・・・・・イヤっ、でも大丈夫だよ。 美姫ちゃんの部屋が多少汚くたって、俺は全然気にしないから」


 本当かな?


 カビの生えた、菓子パンが雑誌の下から出て来てもかな?

 俺はさすがに、全身鳥肌立ったけどね!


「アキラ?」

「イヤ・・・まあ・・・なんていうの? 現実見てないから・・・」

「でも~」

「てか・・・家庭教師するなら、そうだよね? 美姫の部屋でってなるよね? 俺、完全にそこ頭から抜けてたよ」


 あ~ 幸ちゃん・・・そんな不安そうな顔して。

 ごめんな・・・完全失念してたよ。


「それなら私もよ・・・」

「昔みたいに、ゆかりちゃんのお部屋で3人でお勉強する姿想像してたから・・・」


 てかさ~ 美姫のヤツ、幸ちゃんのこと汚いモノ扱いするけど。

 お前の部屋だって負けずのパンチ力なのに。


 幸ちゃんが部屋に来るなんて、生理的に無理とか言ってたかアイツ?


 それいうなら、幸ちゃんだってあんな部屋生理的に無理だろ?


「ねえ? 幸ちゃん?」

「なに?」


「明日って学校あるの?」

「明日? 明日は、夕方には家に帰ってるけど」

「何時くらい?」

「ん? 3時くらいに帰ってるんじゃないかな」


 そっか・・・それじゃ。


「アキラ、まさか?」

「イヤ、1回現実見せた方が良いって」

「・・・・・・」

「なに? なに!?」


「幸ちゃん? 明日、16時にウチ来れる?」

「アキラの家に? 行けるよ」

「じゃあさ~ 16時にウチ来てよ。 ちょっと見せたいものがあるから・・・」

「えっと・・・それって、美姫ちゃんの?」


 幸ちゃんの問いに、黙って首だけコクっとして頷くと・・・

 幸ちゃんがゴクリと唾を飲み込む。


「えっ、でも・・・そんな勝手に女の子部屋見るなんてダメだろ?」

「イヤ・・・あれは、見ないと想像できないから・・・」


「そうよ、幸兄。 あれは、実物見ないと想像なんて無理よ。 美姫の事美化している幸兄ならなおさらね」

「そんなに?」


 まあ、信じたい気持ちはわかるけど。


「幸兄、ショックだと思うけど・・・ 現実受け入れるのも大事だから」

「・・・・・・イヤ、俺はショックなんて」


 まあ、見ればわかるよ。

 ショックで立ち直れなかったら美姫のパンツお土産であげるから・・・

 美姫には悪いけど、これも一人の青年を大人にするには必要なことだから。


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