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第151話 幸ちゃんに美姫の家庭教師をしてもらうことにしたから


ん? もう16時か。

ピアノ弾いてるとあっという間だな~


母さんは、いつの間にか昼寝してるし。


ピアノの蓋を閉じて、楽譜をいつもの場所の戻すと。

そのまま、自分の部屋に戻りパソコンを起動する。


パソコンを起動している間に、自分の小さなキャリーケースにまた2~3日分の着替えを詰める。

それからパソコンが起動したので、メールが来ていないかチェックをすると。


ん? 2件も来てる。


『アキラ~ 会いたいよ~ 早く帰るから絶対お家で待ってるんだよ。 もう美姫が1日中返せ返せうるさい・・・』


美姫のヤツ・・・ゆかりちゃんに絡むなよ。

ゆかりちゃん、なんか疲れて帰って来そうだな。


『えっと、何かごめんね。いまから、ゆかりちゃんのお家に帰るところ。気を付けて帰って来てね』


次は、遥ちゃん?

また、なんだろう?


『明日から学校再開しそうだから、体調には気を付けてね。学校でもアキラに会えるって思うとちょっと嬉しくなっちゃうね』


そっか、明日から学校か~

ううう、これでやっとアッコちゃんに会える。

遥ちゃんには申し訳ないけど。


アッコちゃんしか目に入らないかもだよ。

てか・・・遥ちゃん大丈夫かな?

俺がアッコちゃんと仲良くしてても嫉妬とかしないよな?


・・・なんか不安になったきたかも。


『明日から学校再開了解です。先生こそ風邪とか弾かないでね。僕も先生に会えるの楽しみだよ。じゃあまた明日ね。バイバイ』


明日から学校ってことは準備しないとな~

ランドセルに、水曜日から金曜日に使う教科書を詰め込んで、急いで背負う。

パソコンの電源を落として、自分の部屋を出て1階の玄関まで降りていくと。


「ふぁ~ あら、もう行くの?」

「うん、17時前にはゆかりちゃんのお家に帰るって約束だったし。美姫がダッシュで帰って来て捕まるのも怖いし・・・」


「ふふふっ、美姫ならやりかねないわね。タクシーとか使ってるかもよ」


母さん、怖いこと言わないでよ。

てか、美姫ならマジでやりそう。


「あっ、そうだ明日から学校はじまるみたい」

「なんで知ってるのよ?」

「なんか、さっき先生からメール来てた」


「ふ~ん、そう。 先生にメールアドレス教えたんだ」

「えっ? うん、ちょっと劇のことで相談のって貰ったりしてた時に、アドレス交換したんだ」

「ふ~ん」


「えっと、じゃあまた明日ね」

「学校帰りウチ帰ってくるの?」

「うん、たぶんアッコちゃんと一緒にくるかも」

「そう、じゃあお菓子買っておかないとね」


「うん、お願い♪ じゃあまた明日ね~」

「ハイ、いってらっしゃい」


そう言って、家を出てゆかりちゃんの家に向けて歩き出すと、さっき、母さんに言われた事を思い出して怖くなってしまう。


イヤ、でも、さすがに美姫がタクシーで帰って来たってまだ大丈夫だろ。

ゆかりちゃん、学校終わるの16:15って言ってたし。

さっき、家出る時まだ時間16:20だったし。


さすがにタクシーでも、ここまで20分くらいはかかるだろうし。

俺がゆかりちゃんの家に行くまでには、十分な時間があるはずだ。


ううう、しっかし。

風は強いし、雨まで降って、めっちゃ寒い。


ランドセルの重みと、キャリーケースを引っ張って歩いていたせいでいつもより時間がかかってゆかりちゃんのお家に到着する。


―――ピンポ~ン ピンポ~ン


「は~い」


―――ガチャ


「ん? アキラちゃん? なんでベルなんて鳴らすのよ? 勝手に入って来たら良いのに」

「イヤ、おばさん。 一応、よその家に来るのに勝手にって」

「何よそよそしい事言ってるのよ。 もう、ゆかりのお婿さんになるんでしょ」


「そんな~ まだわからないじゃん。 どうせ、ゆかりちゃん、大学生とか社会人になったら違う男の人の所へ行っちゃうよ・・・」


「まあ・・・そうなるかもしれないけど。 今は、ちゃんとアキラちゃんのこと可愛がってくれてるでしょ?  それにしても、相変わらずね。 アキラちゃんはどうしてそう遠慮ガチって言うか諦めガチなのかしら? もっとこう欲しいなら欲しいってちゃんと言わないとダメなのよ」

「だって・・・」


「昔から遠慮がちで大人しい子だったけど。 何も言わないで、察してよなんて考えてたら、誰かに大事なモノを取られちゃうわよ」

「そんなのはわかってますよ。 でも、ゆかりちゃんが望んでくれるかなんて僕にはわからないし。 いまはまだ、ゆかりちゃんとに甘えて、ゆっくり時間を過ごしたいって言うか」

「難しいこと考えちゃって、思春期だったかしら? その割に、ゆかりには甘えたいとか、本当に甘えん坊さんね~」


うぐっ・・・おばさん・・・


「ほら、いつまでも玄関に居ないで、荷物もってゆかりの部屋に行きなさい。もうそろそろゆかりも帰ってくるし。幸太郎も部屋にいるわよ」


幸ちゃん部屋にいるの?


「じゃあ幸ちゃんの部屋に行ってみる」


おばさんがリビングに戻って行き。

僕は、2階のゆかりちゃんの部屋に自分の荷物を置くと、そのまま幸ちゃんの部屋の前まで行くと、扉を開ける寸前で立ち止まった。


待てよ・・・


前みたいに、いきなりバーン!って無邪気に扉開けたらマズイよな。

なんか、妙に静かだし・・・


美姫似のAVをお楽しみ中だとマズイしな~


そう思い、幸ちゃんの部屋にすぐ入らず、扉をノックした―――


・・・反応がない。


いないのかな? それとも・・・


さっきより強めにドアをノックすると。


「ん? 誰だ?」


なんだ、いるんじゃん。


―――ガチャ


「ん? アキラか? 今帰って来たのか?」

「うん、ゆかりちゃんが帰ってくるまで、幸ちゃんと遊ぼうと思って~」

「ん~ まあ良いけど、入りな」


そう言われて、幸ちゃんの部屋に入る。


「スンスンスン・・・」


ん? なんだコノ匂い?


「ん? なにお前、俺の部屋の匂いなんて嗅いでるんだよ」

「イヤ~ 幸ちゃん、なんか良い匂いしない?」

「ん? ああ、ルームフレグランスってヤツをな・・・」


へ~ 幸ちゃんがルームフレグランス。

でも、なんで? 昨日はこんな香りしなかったのに。


ん? 勉強中だったのか? さすが幸ちゃん・・・


「なんで、いきなりルームフレグランス? 今日買って来たの?」

「ん? ああ・・・塾の生徒に、女の子を呼ぶなら部屋は良い香りがした方が良いっていうから・・・」


イヤ、幸ちゃん・・・

恋愛相談を塾の中学生にしてるのか?

まあ、幸ちゃんの恋愛偏差値からしたら、相談相手は中学生が丁度よいのかもだけど。


「えっと・・・これって、美姫のため?」

「えっ!? イヤ! 別に、そんなつもりでは・・・」


美姫と会えるかもって言っただけなのに。

まさかお家デートでもするつもりだったのか?

いきなりハードル高いこと考えるな~


「時に幸ちゃん、美姫のことなんだけどさ~ 会ってすぐ告白とかはヤメてね?」

「はっ? そっ、そんなことは・・・わかってるよ・・・」


本当かな~


「なんか、ルームフレグランスとか、色々と妄想激しくなってるみたいだけど。 幸ちゃんが思ってるよりも、アイツ繊細っていうか、結構傷つきやすい性格してるからさ」

「なにが言いたいんだよ?」


「だから、単純に良い人だと思ってた幸ちゃんにさ。 急に勉強教えた代わりに付きあえって言われたの、結構ショックだったんだと思うんだよね。 昔はあそこまで幸ちゃんのこと毛嫌いして無かったじゃん。 アイツさ自信過剰で、言葉も結構強いところあって、性格も強気で負けず嫌いだから勘違いされがちだけど。 美姫って、とっても打たれ弱い性格っていうか、恋愛とか異性のことになると、全然ダメダメでさ。 カラダ触れるのが嫌だったのに、相手に嫌われたくないって思って、我慢しちゃうような可愛いヤツなんだよね」


「美姫ちゃんが、打たれ弱い?」

「姉ちゃん、ああ見えてメンタルよわよわさんだから。 ちょっとでも歯車が狂い出したら、私ダメかもとか言って、とことん落ちてっちゃう人なんだよ。 だから、これから大学受験じゃん? あの人、模試の結果とか全然気にしてない風だけで、かなり焦ってると思うんだよな」


「そうなの?」

「一応、日曜日と月曜日も、何か寝落ちするまで勉強してた痕跡はあったからな。 まぁ、まだゲームで気分転換するだけ余裕はあるっぽいけど」


「なんで、そんな話を俺にするんだよ?」

「う~ん、だからさ~ 美姫が大学受験成功するように、幸ちゃんに支えて欲しいな~って。 下心出さずに献身的な所みせてたら、美姫だって幸ちゃんへの印象変わるかもだし。 アイツが大学受験成功するまで、なんとかお願いできないかなって」


「アキラ! 家庭教師で毎週美姫ちゃんに会えるなら、俺家庭教師代なんていらないぞ!!」

「マジで? 本当に良いの幸ちゃん?」

「だって、美姫ちゃんに毎週会えるだろ!? しかも、3年生までずっと・・・」


この感じなら、美姫にあってすぐ告白するなんてことはなさそかな。

これなら、美姫のこと預けても多少は安心なのかな。

美姫が大学現役で合格したら、あんなに性格歪むこともないのかな・・・


そうしたら、美姫とも大人になっても一緒に居られるのかな。

どうせ、僕がどう頑張っても美姫のことを幸せには出来ないから。

せめて、前の人生とは違って、美姫にも幸せになって貰いたいっていうか。


ん? なんだろう、玄関が騒がしいけど。

誰か玄関フードで言い争ってる?


気になって、幸ちゃんと一緒に階段を降りて行くと。


―――ガチャ 


「もう! お前はついてくるなよ!」

「うるさいわね! アキラを返しなさいよ!」

「ちょっと! 不法侵入よ!」

「うるさい、この誘拐犯!」


・・・はぁ? なにやってんだろう、この人達は?


「美姫ちゃんだ!?」


はぁ・・・幸ちゃん・・・

2年ぶりの再会、嬉しいですか?

どうですか?

AV女優の仮想美姫さんより、本物はムッチリしてますけど・・・


てか、美姫のヤツ何やってんだよ。

ゆかりちゃんと言い争いながら玄関に入って来て。


先に玄関に入ったゆかりちゃんに、顔を思いっきり押されてるのに。

無理やり玄関に入ろうと、カラダ半分扉に挟まれて、押し合いしている醜い姉の姿が・・・ 


「姉ちゃん・・・何やってんの?」

「ん? アキラ!? もう! 帰るわよ!」

「だから~ 帰らないって言ってるじゃん。 俺が出した条件全て飲んでくれないとさ~」

「あんな条件酷すぎよ!」


「どこがだよ、模試の結果も悪かったクセしてさ。 だから、幸ちゃんに美姫の家庭教師をしてもらうことにしたから」


「はぁ!? なんで家庭教師なのよ! 間に合ってるわよ!」


嘘つけ、お前の部屋の掃除した時に、成績とか全部見たからな・・・

このまま放っておけば、お前また大学受験失敗するぞ?

俺は全て知っているんだから。


「姉ちゃ~ん? お前、このまま行ったら、小樽商大落ちるよ?」

「はぁ? なんで、あんたが私の志望校知ってるのよ!?」


まあ・・・それはそれ・・・


「えっと・・・姉ちゃんの部屋を掃除した時に、模試の結果とか成績とか見ちゃったから?」

「はぁ? てか・・・落ちるって何よ!」


「美姫姉さ~ この時期のC判定はマズイんじゃないの~ 幸ちゃんに勉強教えてもらったら、また成績上がって、志望校にも現役合格できるかもよ?」

「・・・C判定って。 勝手に人の秘密見てんじゃないわよ! その時は調子が悪かっただけよ!」

「うるさいな~ 寝落ちばっかりで、学校の課題も全然自分でやってないクセにさ」


「それって、家庭教師だけなのよね?」

「ん? どういうこと?」

「勉強教えたんだから、カラダで払え見たいなこと言わないわよね?」


はっ?


「幸ちゃん? まさか・・・2年前にカラダで払えって言ったの? 何か聞いてる話とちょっと違うけど」

「言って無い! 付きあって欲しいとは言ったけど・・・」

「嘘! キスくらいしてくれたって良いだろって、私の方グイって押させて、幸ちゃん言ったもん!」


「えっと・・・幸ちゃん? マジ?」

「イヤ、だって・・・その、美姫ちゃんがあんまりに酷いこと言うから。 カッとなって、でも、本心じゃなかったし・・・その、ごめん! あの時は、美姫ちゃんが好きで好きで、だから・・・」


幸ちゃん・・・何か怖いよ・・・

片思い拗らせ過ぎっていうか。

それに、美姫・・・どんな酷い事いったんだよ。

幸ちゃんがカッなるって結構アレだよ?


「はぁ・・・じゃあ、もう同じようなことは美姫にはしないってこと?」

「しない! 約束する! 無理やりキスしろとか、そんな事は絶対に言わないから!」


「えっと、姉ちゃん・・・幸ちゃんも反省してるみたいだし。 そういう危険は無いと思から、家庭教師の件受け入れてくれませんかね?」

「なんでよ! アキラは平気なの!? 私が、見ず知らずの男と密室で二人っきりって、本当に平気なの!?」


見ず知らずの男って・・・


「もう襲ったりしないよね? 裸にしてお尻叩いたり。 紐で縛って痛い事するとかないよね、幸ちゃん?」

「するわけないだろ! ん? えっ、ちょっと、まて。 アキラ、まさか、お前・・・それ?」


「とりあえずさ、姉ちゃんさ~  家庭教師の件は受け入れて貰わないとさ、このまま正式下がって、姉ちゃんのメンタルがおかしくなる方が僕的には困るからさ」


「もうなんなの? お母さんになんか言われたんでしょ!? 絶対そうだ! この間の三者面談で先生に・・・」


なんか、言われたんだ。

はぁ・・・志望校ヤバイとか言われたんだろどうせ。


「とりあえずさ~ 幸ちゃんに、家庭教師してもらってさ、成績を上げようよ」

「うぅぅぅ・・・もう、なんで私ばっかりそんな」


「美姫!? アキラのこと返して欲しくないの!?」

「うぐぐ・・・ちょっと、考えさせて」


「わかったんだったら、さっさと帰りなさいよ美姫!」

「うぐぐ、ゆかり! これで勝ったと思うなよ!」


なんだかな、その捨て台詞・・・


「ふん、じゃあまた明日ね美姫! バイバイ! ホラ、出てけよ・・・」

「もう! アキラのバカ!」


なんで、俺がバカなんだ。

まったく・・・押しかけて来るとか、人迷惑なヤツだな。


「アキラ、ゴメンね~ 変なヤツ連れてきちゃって」

「ううん、ゆかりちゃんも大変だったね?」

「本当よ! 今日1日中ずっとあんな感じで絡んできやがって」


えっと・・・ゆかりちゃん。

俺のほっぺで普通に手を暖めるのヤメテ、冷たい・・・


「美姫ちゃん・・・」


ん? 幸ちゃん?


「幸兄? あっ、そうか美姫を見るの2年ぶりか?」

「うん・・・美姫ちゃん・・・動いてた」


イヤ、そりゃ動くだろ。

てか、今の美姫見ても大丈夫だったのかな?


「幸ちゃん、リアル美姫を見て何か感じなかったの?」

「ん? イヤ・・・やっぱり可愛い・・・天使だ・・・」


はぁ?


イヤ、そうか・・・いま半身扉に挟まれて、ちゃんとカラダとか全部見れなかったから。


まっ良いか。

可愛いくて、天使に見えたなら・・・

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