第140話 幸兄! 学食でご飯おごってよ~♪
「ねえ・・・幸兄~?」
「んあ? なに?」
「ゲーム貸してよ?」
「俺もう学校行くから勝手に使えば・・・」
学校?
「幸ちゃんって教育大だっけ?」
「ん? そうだよ」
教育大か~
何気に、行った事無いんだよな~
無駄に遠いから・・・
「ねえ、ゆかりちゃん? 幸ちゃんの学校に遊びに行かない?」
「はぁ? アキラ!? イヤイヤ、遊びにって、俺今日これから講義ね!」
「あ~ イイね~ 私も教育大行った事無いし~ そうだ! 幸兄! 学食でご飯おごってよ~♪」
「学食!?」
「イイじゃん! しょぼい講義で、中学生から搾取してるんでしょ?」
「搾取って、俺は、ちゃんと授業してるのに」
「幸ちゃんの学校行って見たい!」
教育大なんて、遠すぎて普段行く気にもならないけど。
どうせ暇だし、幸ちゃんがいるなら案内してくれそうだし。
「はぁ~ じゃあ、すぐ行くから外行く準備して来いよ~」
「やった~!」
ゆかりちゃんと、外出準備をして玄関まで降りて行くと。
「あら? 幸太郎? どこ行くの?」
「あっ? 二人が学校行きたいっていうから、一緒に連れて行くことにした」
「へ~ じゃあ、帰りに買い物してきてくれる?」
「はぁ? 俺、今日夕方から塾で授業あるんだけど」
「良いじゃない、どうせ二人を家まで送って帰ってくるんでしょ? それに、今日月曜日だから、授業って18:30からでしょ? 余裕じゃない」
「イヤ・・・それほど余裕でも・・・」
「ハイ、これ二人の昼食代と、買い物のお金ね」
おばさんも何気に押し強いよな・・・
「二人とも、じゃあ行くよ」
おばさんに押し切られて、すごすご外に出て行く幸ちゃんの後を追って、ゆかりちゃんと外に出て行ていき、ガレージの脇で待っていると。 ガレージから、幸ちゃんには、まったく似合わない車が顔を出す・・・
えっ? これって、スープラ?
イニシャルなんとかいう漫画に出くてくるヤ~ツ。
なんで、幸ちゃんこんなスポーツカーを?
そんな車好きだったかな?
「ほら、早く乗って!」
そう言われて、後部座席に乗り込むと。
後から、ゆかりちゃんが助手席に乗り込む。
「ねえ? 幸ちゃん?」
「なに?」
二人が乗り込んですぐ車を走らせ始めた幸ちゃんが運転しながら答えてくれる。
「幸ちゃんって、車好きだっけ?」
「なんで?」
「イヤ、こんな走り屋が好きそうな車・・・それに結構高かったんじゃ?」
「あ~ 幸兄ね~ 美姫があの車カッコイイよね~って言ってるの聞いてて、コレ買ったんだよ~ 買ってから美姫となんて一度も会ってないから、買い損だけどね~ 超ウケるよね~」
「・・・うるさい」
美姫・・・お前ってなんでそう罪な女なんだよ。
1回くらいデートしたれよ・・・
勉強だって、ほぼ無償で教えて貰ってた癖してさ~
美姫って、幸ちゃん以外にも、無邪気発言で色々男を惑わしてそうだよな~
本人はいたって無邪気に、その場で思った事口にしているだけだから。
どうせ、言ったって覚えてないんだろうけど。
はぁ~ 我が姉貴ながら罪な女だよ。
めちゃくちゃ可愛いし、童顔フェイスにあの魅惑のエロエロナイスボディが男をそうさせるのか。
まぁ、幸ちゃんは昔から美姫のことが大好きだったからな・・・
「てかさ~ アキラ? 後ろ狭いでしょ?」
「ん? 俺は、体が小さいから平気だよ」
「なんで、こんな車買うかな~ もっと人がいっぱい乗れる車買えばよかったのに~」
「イヤ、でも、ほら! この車カッコイイって言って、乗せてとか言ってくる同級生とかいるんじゃないの?」
「アキラ・・・そんな子はいないよ」
えっ? イヤ・・・でもこれだけ派手なくるまなら。
車は素敵よね~とか言って、言い寄って来る子はいそうだけど・・・
「えっ? でもスープラなら~」
「幸太郎と二人っきりなんて無理って言われて、サークルの女の子は、誰も乗ってくれないよ・・・」
誰もって・・・嘘?
それって幸ちゃんの顔が怖いから?
中身は、虫も殺せないほど優しいのにな~
にしても、幸太郎と二人っきりなんて無理って。
それはそれで、ひどい言われようだな~
スープラには後部座席はあるけど、狭すぎて座れないから。
まあ、2人乗りみたいなもんだから、誘っても・・・
いきなり、幸ちゃんと2人きりで車か・・・
たしかに、拒否られるかもな~
「てか、幸ちゃん・・・今彼女っていないの?」
「・・・・・・」
「アキラダメよ! 幸兄は、いまだに美姫の事が忘れられ無いんだから」
「えっと・・・幸ちゃん? 昔からだから知ってると思うけど、美姫はその、色々と付き合ったら大変だよ? 無難に他に良い人探したほうが・・・」
う~ん、そりゃ美姫とお付き合い出来るなんて、男からしたら嬉しいに決まってるよな~
あんな、可愛くて良い女なんて、そうそういないもんな。
弟の俺でさえ簡単に魅了される、あのスーパーエロエロボディは文句の付けようが無いんだけど。
まぁ、たまに足が臭いのは置いといて・・・
まぁ、後は性格かなぁ・・・
好意を持った人には優しくて、一応は尽くしてくれるけど。
機嫌が悪い日は俺でもキレられるし、たまに来る生理とかと関係無くやって来る、あの意味不明な暗黒期間なんて、話しかけるだけで怒られるからめっちゃ怖いし、あれを理解して許せる人じゃないとまず始まらないし。
イヤ、まぁ、男なら、一度は抱きたいよな、あんな良い女・・・
執着しちゃうのもわかるけど、相手が相手だからなぁ、ムズイよな~
だからといって、他に探せと言っても、美姫の代わりになるような可愛い女の子か・・・
まあ、いない事は無いだろうけど、なかなかすぐには見つからないだろうな~
「そんなすぐに諦められないよ。 美姫ちゃんは、こんな俺なんかの話も聞いてくれるし、あの笑顔に、スラっとした手足なんてまるで天使じゃないか・・・」
美姫が天使って・・・
まぁ、機嫌が良い時はまぁまぁだけど。
でも、天使ってキャラでは無いと思うんだけどな。
恋のフィルターって、怖いな・・・
あんな、平気に人に噛みつくような女を天使だなんて。
それに、スラっとした手足って・・・
美姫の足は、あの適度にムッチリした適度な肉付きがとっても気持ち良いのに・・・
幸ちゃんにはモデルさんみたいに痩せてみえてるんだろうか。
あぁ、でも中学の時は今よりもう少し痩せてたか?
でも、幸ちゃんさ・・・本当に手足がスラっとした女の子っていうのは、いまあなたの助手席に座っているような女の子の事を言うんであって、美姫はひいき目に観てもアレなんだけどなぁ。
デブではないけど、ポッチャリでムッチリなんだよな~
美姫の魅力は、あの抱きしめた時の安心感だと思うんだけどな~
なんていうかこう・・・守られてるっていうか、母性で包み込まれてるみたいな・・・
「幸ちゃん、そんなに美姫の事が好きなら、また告白したら? いま、アイツ彼氏いないからフリーだよ。 週末とかデートに誘えば、デートくらいなら付き合ってくれるかもよ?」
「えっ!? 美姫ちゃんを!? 俺が!? イヤ、そんな・・・どうやって? イヤッ、無理だろ!?」
「アキラ! 運転中に、幸兄を動揺させるようなこと言っちゃダメよ! 事故るわよ!」
「えっ!? えっと・・・ごめん」
てか・・・幸ちゃんってそんなに美姫の事好きだったの?
そんな、デートに誘うって考えただけで、動揺しちゃうなんて。
でも、前の人生で幸ちゃんと、美姫が会ってるとことなんて見た事ないしな。
そもそも、幸ちゃんの話題がウチで上がる事なんて、ほぼゼロだったし。
いつの間にか、過去の人というか・・・
あの人は今的な存在になってたもんな~
「えっと・・・幸ちゃん? 学校までって30~40分って感じ?」
「えっ!? ああ・・・うん・・・そうだね・・・」
琴似・栄通りを抜けて、創成側通りに出ると、もうその後は延々と代り映えしない北海道の郊外の道って感じで、乗っていると非常に暇なわけで。
昨夜、ゆかりちゃんとの色々で眠たかったのもあり、アッと言う間に睡魔に襲われ、意識が・・・
「アキラ! アキラ!! 着いたぞ!!」
「ふふふっ、もうぐっすり♪ 可愛い~♪」
ん・・・? あれ?
「アキラ起きろ!」
「ん? 着いたの?」
「ほら、早く行くぞ!」
幸ちゃんに急かされて車を降りると、まだ寝起きでフラフラするのを、ゆかりちゃんと幸ちゃんに手を繋がれて、まるで3人兄弟のように並んで校内を歩いて行く。 駐車場を抜けると、そのまま幸ちゃんの後について、レンガ色をした外観の校舎へ入って行く。
校舎へ入り、そのまままた廊下を進むと広いホールへ抜けると、食堂がすぐ目の前に現れる。
そのまま、幸ちゃんがスタスタ歩いていくので、後をついて行くと・・・
「ほれ、好きなの選べ」
「アキラ何にする?」
ふむ・・・メニューはそれほど多くも無いのか・・・
うちの大学と大して変わらないな~
学食なんてどこもこんな感じなのか。
「え~ ハンバーグと~ ライスと~ 味噌ラーメンに今川焼にしようかな~」
「オイ・・・お前そんなに食べられるのか?」
味噌ラーメンはお汁替わりだし~
なんか、甘いんのも食べたいし~
「大丈夫よね~ 食べられ無かったら、幸兄が食べてくれるしね。 じゃあ、私は唐揚げカレーと豚汁と今川焼にしようかな~ 幸兄は?」
「俺は、かけうどんで良いよ」
かけうどん?
「えっ? さっき、ママにお金貰ってたじゃん? もっと好きなの食べれば良いの・・・幸兄? ひょっとして、余ったお金・・・」
なるほど・・・せこいぞ幸ちゃん!
「はぁ? バカか・・・俺はかの有名な増進会の塾の講師だぞ! そんな数百円をちょろまかすような事をするワケないだろ!」
「塾の先生ってそんなに儲るの?」
「そりゃ~ そこら辺の店でバイトするよりは、時給も高いからな」
ふ~ん、そんなドヤ顔するほど給与良んだ。
塾の講師なんて、俺には無縁のバイトだったからな~
「ふ~ん、アキラ~♪ 帰りに、幸兄がサーティ〇ンで、アイス買ってくるって~♪」
「なんでそうなる!?」
「だって~ 儲かってるんでしょ~? それに、アキラに貢いどけば美姫から何かお礼があるかもよ~?」
「美姫ちゃんから・・・お礼だと? そっか、それは確かに・・・」
幸ちゃん・・・ちょろすぎるって。
ゆかりちゃんも、自分の兄貴には容赦ないな。
でも、幸ちゃん。
おばさんから1万円くらい貰ってなかったっけ?
僕らが今頼んだの・・・全部で1300円くらいだろ?
帰りに買い物したって、せいぜい5000円も使えば十分だろうし。
う~ん・・・3000円以上は余裕で余るよな?
ドヤ顔してた割に、幸ちゃんもセコイな・・・
「―――ウェ~イ、幸太郎!」
ん? なんだ、この陽気な集団は?
「幸太郎ちゃ~ん。 何、可愛い子二人も連れて~ 誰よ~?」
おお・・・何気に可愛い子達もいるじゃん?
「イヤ・・・妹と妹の幼馴染の弟だよ」
「幸太郎に、こんな可愛い妹がいたの!? 全然似てね~!」
たしかに、幸ちゃんとゆかりちゃんって全然似て無いからな。
幸ちゃんは、パパさん似だし。
ゆかりちゃんは、ママさん似だもんね。
にしても、幸ちゃん・・・俺、幸ちゃんがボッチだと思てたのに。
それなりに学校に友達いるんじゃないかよ~
しかも可愛らしいJDも数人いるし・・・
なのに、美姫に縛られて、次に進めないなんて。
幸ちゃん、不憫すぎるよ~ 人生もっと楽しめよな~
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