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第14話 なんでお前ら俺の部屋に居るの?


「ねえ、佐久間の部屋のテレビ異常にデカくない?」

「デカいよ、リビングにあったテレビのお下がりだもん」

「本当、アキラの部屋のテレビってデカいよな~」


 イヤ、こいつら普通に人のベッドでくつろいで漫画読んでるけど。

 それに、普通にアッコちゃんも、いつもみたいに膝の上に居るし・・・

 なに? この空間・・・


「イイな~ 私も部屋にテレビ欲しいな~」

「アッコちゃんの部屋テレビ無いんだ」

「無いよ~」


「私の部屋にもテレビなんて無いよ~」

「俺んちも無い」


 イヤ、お前らに聞いて無いし。

 なんで、木下と藤さんが普通に俺のベッドで漫画読んでるんだ?


 アッコちゃんと一緒に帰ってたら付いて来て。

 そのまま、俺の部屋までぞろぞろと・・・ 


 暑い・・・もう10月なのに部屋が暑い。

 人が多いのと、テレビの熱で・・・


 リビングのテレビを買い替えたからって、お下がりで貰ったんだっけ。

 この無駄にデカい、28インチの巨大テレビ。

 しっかし無駄にデカいよな、この時代のブラウン管テレビ・・・


 タイムスリップして久しぶりに見たけど、最近の液晶テレビに慣れてたせいで、こいつの存在感のデカさに最初ビビったもんな。 まあ、こいつが部屋にあったおかげで、アッコちゃんとも普通に楽しいカップルライフを送れてるんだけど。


「ねえ? なんで二人いるの?」

「えっ? アッコちゃんが心配だから」


 藤さん? アッコちゃんが心配って何が?

 俺がなんかエッチー事でもするって思ってるのかな?


「心配ってなにが?」

「えっ? 帰りにイジメられないか心配だったんだよ」


 帰りにイジメ?


「なんで、そう思ったの?」

「お前、昼に何があったのか知らないの?」

「イヤ、アッコちゃんから聞いたけど」

「じゃあ、心配するだろ?」


 まあ、川上と溝口達からドッジボールで標的にされたって聞いたけど・・・


「でも、俺も一緒にいるし・・・」

「はぁ? 相手は、高橋に谷口まで仲間になってるんだぞ!」

「えっ?」


 あ~ 俺へのヘイトが、彼女のアッコちゃんにまで向いちゃった系?

 う~ん・・・ それはマズイな・・・


「そうよ、あんたのせいでアッコのイジメ、前よりひどくなったじゃん」

「俺のせいなの?」

「あんたのせいじゃん」


「イヤ、それはゴメンだけど、木下なんで俺の部屋までついてきたの?」

「それは、なんか色々遊ぶものがあって楽しいってアッコが言うから」


 イヤ、確かに俺の部屋、親父とか従妹からのお下がりが沢山あるから、遊ぶものいっぱいあるけどさ・・・ ゲーム機は、古いのいらないからあげるって、初代ファミコンからスーパーファミコンまで全部あるし。 これからの時代プログラミングが出来ないとって言って、親父が使ってたパソコンもらったり。


 まあ新しい機種が出て、親父がそれが欲しいからって、都合の良いこと母さんに言って古いのを俺にくれただけなんだけど・・・ おかげで小学生から色々プログラミングとかやってたお陰で、大学もIT企業に就職した後もそれなりに楽だったけど。


「でもさ~ テレビなんで2台もあるの?」

「そっちはテレビじゃ無くてパソコン」

「パソコンにゲームって付かないの?」

「付くけど、いちいちパソコンを起動しないといけないから、面倒くさいから使わない」

「ふ~ん、よくわかんない・・・」


 まあな、木下、お前にはわからんだろうな。

 俺も最初テレビ付きのパソコンだって喜んでたけど、テレビ見るのに毎回パソコン立ち上げてアプリ立ち上げないと見れないのが面倒くさかったんだよな。

 しかも、1990年代後半のパソコンだから起動するまで時間かかるし・・・

 2022年の感覚で、この時代にくると色々と不便でしょうがないよ。


「あと藤さん・・・ 先週からずっと怒ってたんじゃ~」

「怒ってたよ・・・」

「アッコちゃんが心配なのはわかったけど、別に部屋までついてくることは・・・」

「イヤだよ、俺まだ諦めてないモン」

「諦めて無いって・・・何を?」

「アッコちゃんの事だよ!」

「アッコちゃんの事って?」

「まだ好きだからだよ!」


 えっ!? そんな本人の前で堂々と愛の告白?

 彼氏の俺が居るまえで?


 でも・・・もう遅いもんね!

 アッコちゃんは俺のモノだもん!

 藤さんがどんなにアッコちゃんの事好きだろうが渡さない。

 渡さない・・・


「んんっ ・・・アキラ・・・ダメ・・・」

「えっ? なに? アッコちゃん?」

「ダメだよ・・・ギュッてしたら・・・」

「あっ、ごめん。藤さんに取られるの嫌って思ってつい・・・」

「取られないよ・・・」


 えっ? なんかいま色々と・・・

 今、アキラって呼んでくれた?

 それに、ギュッてした時、なんか色っぽい声出てピクってしてたけど・・・

 

「藤澤~ ざんね~ん アッコちゃんはもう佐久間が大好きだって。 アキラとか呼んでるし~」

「うるさいな、木下は黙ってろよ!」

「藤澤怖~い! でも、もう無理だって、二人のあの姿見なよ~」

「うるさいな・・・ 見たくない!」


 見たくないなら、帰れば良いのにな~


「藤澤君ごめんね。わたし、アキラくんの事が好きなんだ」

「・・・・・」

「藤澤フラれた~」


 木下・・・煽ってやるなよ・・・

 アッコちゃんもズバって言うな・・・

 ううう・・この状況、他人事ながら可哀そすぎる。

 ん? てか、やっぱりアキラって呼んでるよね?


「アキラ・・・」

「なに? 藤さん」

「どうするんだよ? このまま放っておくのかよ?」


 う~ん、川上と溝口達の陰湿なイジメ、マジでどうしてくれるかな。

 あの担任に言ったところでな~


 この間も、溝口がアッコちゃんのことをイジメてたんだって説明したって・・・


 『証拠も無いのに、イジメの指導なんて出来ないだろ』


 頭の悪い事、平気な顔してあんな事、言いやがるバカだもん。

 本当に教師としてクズ中のクズだよな、学校のいじめに証拠なんて残るわけ無いじゃん。

 教師の都合の良い、逃げの常套句を・・・面倒事を嫌う本当最底辺のクズ教師。


 あとは、高橋と谷口まで加担しているとか、俺を攻撃しないで、俺の彼女を標的にするとか、卑劣極まりないなあいつら。 マジでクズ中のクズ・・・


「ねえ! 佐久間!!」

「なんだよ・・・ またなに?」

「これ~!!」

「えっ? あっそれは・・・」


 この間、アッコちゃんと雑貨見に行った時、アッコちゃんが欲しがってた香り付きのカラーペン。

 プレゼントしようと思って、買っておいたヤツ。

 勝手に触んなって。


「えっ! ちょうだいよ~」

「ダメだよ、それはアッコちゃんに上げようと思って買って来たやつなんだから!」

「わたしに?」

「うん・・・ はい、これ」

「えっ!? これ、この間・・・ありがとう!!! うわ~嬉しい!!!」


 アハッ、可愛い~


「ずる~い、アッコばっかり!」

「お前も彼氏作って買って貰えば良いじゃん」

「だって・・・彼氏なんていないもん」


 えっ・・・そんなに悲しそうな顔する?

 てか、思いのほかダメージ大きそうだけど?

 木下ちゃん?


「希美~ 藤澤君にお願いして、プロフ帳書いてもらえば?」

「え~ ・・・・そんな、藤澤? いやだよね?」

「えっ? 別に・・・書くだけなら・・・」

「本当!?」


 あれ? 木下って・・・


「希美、このペン貸してあげるよ~ ふふふっ」

「えっ? イイノ?」

「イイよね? アキラくん?」

「えっ? うん」


 あれ? 木下ちゃん? 何急に乙女の顔になっちゃってんの?

 ひょっとして・・・藤さんの事好きだったの?

 え~ イヤ・・・それは気づかなかったぞ。

 木下って、男子が好きとかそういうの当時から全然噂一つなかったのに。


 てか・・・プロフ帳だって・・・

 懐かしい~ あんな恥ずかしいモン書けないよな~

 この時代、プロフィール系流行ったもんな~

 前略なんちゃらとか、まじ黒歴史になるとも知らんで皆やってたな・・・


 そっか、そっか・・・

 木下は藤さんが~

 なるほどな~ じゃあ、この僕が少~し協力してあげよ~かな~

 そこに貼る藤さんの写真が欲しかろう。


「じゃあさ、それ書きおわったらさ~ 皆でプリクラ撮りに行かん?」

「あっ!! 良いね~ アキラナイス!!」

「えっ!? プリクラ!?」

「良いでしょ? 藤さん?」

「別に・・・良いけど・・・」


 うんうん、これで木下と藤さんがくっついてくれれば、アッコちゃんのライバルが減るってもんよ。

 ふふふっ、木下を助け、藤さんの新しい恋をアシストし~ 俺はライバルが減る。

 これこそwin-winで、皆ハッピー 俺って良いヤツ~


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