第128話 あなた、ひょっとして・・・他にも女がいるの?
「–––––––帰したくないな」
これで何回目だ?
旭山公園の駐車場を出て、藻岩山麓通を走行中の車内で、さっきから遥ちゃんが口惜しそうに何度も何度もそんな事を繰り返すものだから。
さすがに、僕も可哀そうになってくるというか・・・
この人、どんだけ普段寂しい生活しているんだろうかと、心配になってしまう。
「もう、そうんなこと言われてもさ・・・」
「だって~ まだ18:00よ・・・」
イヤッ、一応僕、まだ小学生なんだけど・・・
一応門限っていうものがありましてね、もう30分はオーバーしているというか・・・
まあ、18時ならまだ怒られはしないと思うけど。
「ねえ? ココス寄ってく?」
「だから、ダメだって。また今度付き合ってあげるからさ」
「そんなこと言って、次いつ会えるかわからないじゃない?」
「まあ、そうだけどさ。高校生くらいだったら、もう少し融通は利くんだろうにね・・・」
「早く高校生になってよ」
「無茶言わないでよ。 てか、その頃には、遥ちゃんだってもう結婚してるかもしれないじゃん?」
そんな会話をしていると、ちょうど北1条・宮の沢通との交差点へたどり付き。
信号で停止しながら、遥ちゃんの目線は恨めしそうに、右前方の宮の森教会へ向いていた。
「イヤ・・・遥ちゃんさ? まだ結婚って早いでしょ?」
「アキラが結婚なんて言うから・・・」
てか、まだ23歳でしょうよ?
そんなに人恋しいのか?
この人、かなり重症だな・・・
「えっと、遥ちゃん疲れてる? 仕事頑張りすぎなんじゃない?」
「そんなこと言ったって、覚えないといけない事は多し、やる事は多いし」
「ひょっとして新人だからって、会議に議事録全部押し付けられてる感じ?」
「よくわかるわね?」
「で~ 嫌味な先生に、議事録を添削されて、あれこれ言われて嫌気がさすって感じ?」
「えっ!? なんでわかるの?」
まぁ、元は社畜社会人ですから・・・
新人が書いた議事録に、くどくどいちゃもんつける先輩なんてどこの会社にもいるわけで。
ただでさえ、大学出たての、新人ホヤホヤの遥ちゃんなのに。
あのいじめの後処理の会議やら報告書作成とかで余計に忙しくなってるんだろうし。
学習発表会でオペラなんてやるって決まってからなんて、音楽の先生の資格持ってるってだけで、
容赦なく楽曲の楽器パートごとの譜割りやら編曲とか押し付けられちゃってさ。
まぁ、あれかな~ ICレコーダー貸して音声録音してくれれば、議事録の作成くらいは手伝えるかもだけど。
でもな~ 音声データ貰うにしても、ネット回線激遅のこの時代じゃ、気軽にネットで送ってくれなんて言えないから、結局物理データで貰わないといけなくなっちゃうから手伝いなんて無理だしな~
親父がノートパソコン買い換えようって言ってたから、おさがりで今のノートパソコン貰ったら遥ちゃんの家に行けば手伝えそうだし。
まあ、週末くらいならお手伝いできるのかな・・・
「資料作りとか、報告書作りが大変だったら、週末とか今度手伝おうか?」
「はぁ? そんなのお願い出来るワケないでしょ? そもそも、あんたパソコンなんて出来るの?」
「まあ、資料作成とかデータ集計に整理とか、そう言ったことなら余裕で出来るよ」
「はぁ? どうして、そんなこと出来るのよ?」
「まぁ、親父のおさがりパソコンで昔から触ってるから。 その程度の仕事なら全然出来ちゃうけど。 なんなら、学校のポスターデザインとかも余裕で出来ちゃうよ」
「はぁ・・・もう、貴方って本当にスーパー小学生ね。 あっ! そう言えば、斎藤先生に聞いたわよ」
「斎藤先生? 聞いたって何を?」
「あの神童君、まだピアノ続けてたんですねって、いきなり話しかけられたから、話聞いてみたら。 小学1年生の時に学級歌の作詞作曲したんですって?」
ん? あぁぁぁ・・・斎藤先生ってあの人か。
そういえば、神童だなんて言われたような記憶があるかも。
「まあ、そんなこともあったかもだけど。 作詞作曲はしたけど、譜面に落としたの美姫っていうか、お姉ちゃんだし。 そんな大層なもんじゃないよ。 たかだか数十小節の小曲でしょあんなの」
「お姉ちゃんに手伝って貰ったのも聞いたわよ。 それでも、主旋律の楽曲構成とかが素晴らしかたって絶賛してたわよ」
「もう、何十年も前の話だよ・・・」
「ん? 何十年? 小1の時の話でしょ?」
「ん? あっ! そうそうね、小1の話。 だけど、ほら、もう僕小5だし。僕の歳からしたら、もう小1なんて、感覚的に数十年前みたいな? アハハハ・・・・」
ヤベ~ もう、遥ちゃんと話していると、ついつい内なる大人の自分が出て来ちゃってボロが出てしまう。
こっちに戻って2か月たって、けっこう小学生に馴染んでたはずなのに。
だめだ、大人と話すときに脊髄会話したらダメだな。
「はぁ・・・まあ、そうよね。子供にとったらそっか・・・」
「そうそう、そうだよ~」
「じゃあ、今度仕事手伝ってもらおうかな。 オペラの事で相談したい事あったし。 あっ! そうだ!」
「どうしたの?」
赤信号を見た瞬間、急に何かを思い出し様子の遥ちゃんが・・・
「そう言えば、学級閉鎖の期間長くなりそうなのよね」
「ん? なんで?」
「金曜日にまた数人のインフルって診断されたって学校に連絡来てね」
「はぁ・・・」
「後で連絡網で、連絡が行くと思うから、アキラも気をつけてね?」
「人ごみに連れ出しておいてそれ言うかね?」
「もう、大人みたいな嫌味言わないでしょ?」
とわいえ、明日からしばらく休みって・・・
じゃあ、しばらくアッコちゃんにも会えないってことか。
寂しいな、アッコちゃん、熱・・・下がったのかな?
「あっ、遥ちゃん?」
「なに?」
「そのまま橋渡ってくれる?」
「どうして? 家遠くなっちゃうわよ?」
「川の反対側なら、ウチの学校の子もいないから。念のため?」
「あぁ、そっか・・・そうね・・・」
そう言って、家からは少し遠くなるが。
橋を渡った反対側の川沿いの道に車と停めて貰うと。
そのまま、助手席から降りて、運転席側へ回り、遥ちゃんに窓を開けて貰う。
「じゃあ、またね?」
「遥ちゃんさ~ そんな寂しそうな顔しないでよ~」
「だって・・・次の約束が無いから、いつまた会えるかわかんないじゃない」
イヤ、もうそんな事言い出したらマジもんの彼女やん?
気持ちは分かるけどさ・・・
とわいえ、学校ですぐ会えるじゃんって言いたい所だけど、明日から休みになるんだったら、それも無理ってなるとアレなのか・・・
「あ~ 遥ちゃんの携帯のメアド教えてよ?」
「アキラ、メアドなんて持ってるの?」
「パソコン持ってるって言ったじゃん」
「ああ、そうだったね。 えっ? じゃあ、メールしても良いってこと?」
えっと・・・なんか鬼のような量のメールが来そうでちょっと怖いけど・・・
「良いけど、俺はパソコンだから。 すぐにリプ出来ないから、返信遅いとかで怒らないでね?」
「もう~ そんなの分かってるよ~ でも、繋がれるってだけでなんか嬉しいな~」
うっ、可愛い・・・
くぅ~ つくづく、何でおれは今大人じゃ無いんだよ!
こんな可愛い女の子、もし今俺が大人なら、このまま連れて帰ってしまうのに。
そんな事を考えていると、さっき旭山公園での遥ちゃんとのアレを思い出してしまい。
賢者タイムのクールタイム明けのアイツが、『やあ!』って言って、またパンツの中でムクっと顔を上げ始めやがるもんだから、目の前のこの可愛い女の子を帰したくないな~ なんて欲求を抱いてしまうところを断腸の思い出断ち切り。
遥ちゃんに書いてもらった、電話番号とメアドのメモを貰い。
お返しに遥ちゃんの携帯を借りるて、自分のメアドを入力して手渡してあげると。
でも、リプが遅いと言ったけど、俺の現状を知らない遥ちゃんが、想定以上に長く感じるかもしれないから。
メンヘラ要素が若干見え隠れする遥ちゃんには、より慎重に、念を押しておいた方が良いと思い。
「えっと、ひとつ注意点が・・・」
「なに?」
「あの~ですね。 俺の行動を逐一監視する女がウチにいてですね。 そいつの目を盗まないとメールのチェックが出来なくて~」
「監視って、お姉さん?」
「そう! で、信じられ無いと思うんだけど、ウチの姉ちゃんってその、異常なほどに僕に執着していて」
「はぁ、ブラコンなんだ?」
「まぁ、常識の範囲のアレなら良いだけど。 その、なんていうか、病的なレベルでヤバくてあの人」
「えっと、それって、この間迎えに来てくれた優しそうなお姉さんのことよね?」
「まあ、外面だけは良いから、優しそうにみえるんだけど。 その、嫉妬とか僻みで末期症状になると、かなりヤバくてあの人」
「はぁ、そんなに好きなんだアキラのこと」
「まぁ、最近もお風呂も強要されて、寝るのもほぼ一緒で、常に僕の部屋に居座ってですね」
「えっ? ねえ、嘘でしょ? まだ、お姉さんと一緒のお風呂入ってるの? えっ? 高校生でしょ?」
「まあ、信じられ無いかもだけど。 僕に彼女が出来てから、監視が強化されちゃって。 今僕かなり自由を制限されてましてですね」
「はぁ・・・なんか、そんなんだと、岩崎さんも大変ね」
「まぁ、だから、その・・・もし春ちゃんにメール貰っても、想像以上にリプが遅くなると思うから、そこだけは事前に十分に理解しておいて欲しくて。 返信遅くても、心配したり、変な考えしなくて良いからね。シンプル邪魔されて、返信できないだけだと思って欲しくて」
「なるほど・・・了解。 ありがとう教えてくれて。 それを知らなかったら、わたし寂しくなって、おかしくなってかもしれないから聞けて良かったかも」
って、やっぱり・・・
そうなんじゃないかとは思ったけど、今の会話でメンヘラ属性持ち確定だなこれは。
「じゃあ、まあ、そう言うことなんでよろしくです」
「うん、わかった・・・」
会話の流れから、別れの雰囲気を察したのか、また少し寂しそうな表情をする遥ちゃんだったが。
さらに、そのさ寂しそうな表情のまま、運転席から上目使いで、僕を見て来る遥ちゃんに胸がキュンとしてしまい。
「あの~ 遥ちゃん?」
「・・・なに?」
「ごめん、その、ちょっと目・・・瞑ってくれない?」
そう言うと、僕に向かって少し顎を上げて顔を向けてくれる遥ちゃんの左頬に手をそえると。
そのまま、目を瞑った遥ちゃんの、右のほっぺに少し長めのキスをすると。
えっ!? っといった表情で遥ちゃんが僕を見て・・・
「えっ!? もう・・・ほっぺなの?」
何を期待していたのか想像はついたけど、流石に彼女でも無い相手の唇をいきなり奪うワケにも行かず。
残念そうにする遥ちゃんの表情を見て、う~ん、口にしてもよかったかもと思いつつも・・・
「楽しみは先に取って置いた方が良いでしょ?」
「ム~ そうだけど・・・目瞑ってなんていうから、ちょっとドキドキして損した気持ちなんだけど」
「ほっぺじゃイヤだった?」
「ん? イヤじゃないよ! これは、その・・・これで嬉しかったし、ドキドキしちゃったから」
「ごめんね、でも、僕遥ちゃんの事好きだよ」
「本当かな? どうせごっこなんでしょ?」
「今はまだね、でも、もし僕が大人だったら、遥ちゃんにすぐ告白しちゃってるかもしれないよ?」
「えっ!? もう、そうやって揶揄わないでよ。 嬉しいけど、なんかもう、ダメよそんなこと言ったら」
「ふふふっ、もう暗いから帰りの運転気をつけてね遥ちゃん」
「うぅぅ、帰りたくないな」
「じゃあ、またキスする?」
「どうせほっぺたにでしょ?」
そう言って、プイっと目を閉じて斜めを向いた遥ちゃんのほっぺに軽くキスをしてあげると。
そっぽを向いたまま、目をまるまると開けて、顔を赤くする遥ちゃんを見て。
はぁ~ やっぱり、この人は本気で可愛いなぁと思ってしまう。
「これで、帰れる?」
「もう! 何で君はそう・・・もう、もう、もう! うぅぅぅ、帰る・・・」
そう言うと、遥ちゃんは、口をムーっとさせながら、じゃあねっと一言残して、ゆっくりと車が走りすと。
僕は、遥ちゃんの車が見えなくなるまで見送ると、そのまま小走りで橋を渡りはじめて、自分の家へと向かった。
富茂登橋を渡り終わって、1人真っ暗な川沿いの道を歩いると、外を歩いて冷えたのか、パンツの中の冷たく濡れて気持ち悪い感触を思い出してしまい。
早く家に帰って着替えようと、真っ暗の川沿い道から、自分の家に向かってい走っていると。
遠目に自分の家が見えてきて、まだ窓に明かりは無く、誰も帰ってない事に少し安堵しながら、家路を急いだ。 そして、だいぶ家が近づいて来ると、家の玄関の前、しゃがみこんでいる人影を見つけて。
ん? 誰かいる?
すると、向こうも、僕が走って来ることに気づいたらしく、スクっと立ち上がると。
「ん? もう! 遅い! どこ行ってたのよ~!」
えっ? ゆかりちゃん?
そのまま、ゆかりちゃんの傍に近づいていくと、ゆかりちゃんが、いきなりバッと両手を僕の方へ伸ばしてきて、そのまま、頬にその手をグニグニ当て来られると・・・
「もう! ほら! こんなに手冷たくなっちゃったじゃない! どこ行ってたの!?」
頬に押し当てられたゆかりちゃんの手は本当に冷たく、寒さのせいで、少し体をガクガクさせているゆかりちゃんを見て、相当長い時間、ここで待っていいたんだろうと思い、急いで玄関を開けて、家の中へと招き入れた。
「えっと・・・いつから待ってたの?」
そう聞くと、少し食い気味で怒った口調で・・・
「––––––30分前からよ! おばさんから電話来て遅くなるからって、アキラのことお願いって言われたから急いで来たのに!」
イヤ、それは本当にゴメンだよ。
今日は最高気温でさえ7度くらいしか行かなくて、日が落ちてさらに寒くなってるから、そんな中で30分近くも外にいたら、そりゃ、仏のゆかりちゃんでも怒るよな。
「だって、ゆかりちゃんが待ってるなんて知らなかったからさ~ 本当にごめんって」
「ふんっだ。 もう、こうしてヤル!」
「ヒィヤ! ちょっ! なにするの! ヤメテヨ!」
玄関に上がって、着ていたコートを脱いだ瞬間、 僕の上着をガバっと掴まれて。
そのまま、ひえっひえの氷のようなゆかりちゃんの手を、背中に突っ込まれてしまい。
マジで心臓が止まりそうになるくらいびっくりして、背中に手を突っ込まれたままリビングまで逃げてソファへ逃げるように飛び込むと、ゆかりちゃんも覆いかぶさるように倒れ込んで来た。
「はぁ~ 極楽・・・あったか~い」
「ちょっと! あったか~いじゃないよ!! ちょっ! ゆかりちゃん!! どこに手回してるの!?」
「良いじゃん、減るもんじゃないし~」
ソファーに倒れ込んだまま、背中に入れていた手を、そのまま僕の胸辺りにまで回してこられ。
背中に顔を押しつてたままのゆかりちゃんに、胸元をエッチな手つきでサワサワされてしまう。
そして、ソファーに押し付けられたまま、ゆかりちゃんがさっきから僕の首筋から背中に掛けてスンスンと匂いを嗅でいる。
なんか自分・・・臭いんだろうか?
ゆかりちゃんに匂いを嗅がれるのが、何か恥ずかしいのと、その間もずっと僕の胸の辺りをサワサワとエッチな手つきで触ってくるもんだから。
「ゆかりちゃん、もうダメ・・・エッチな事したくなっちゃう」
「もう、アキラはすぐにエッチな事考えるんだから~ じゃあ、や~めた」
そう言うと、僕の背中からゆかりちゃんが降りると、そのままソファの下にペタンを座り、寝そべっている僕に顔を近づけてきて。
「もう体冷えちゃったよ・・・ねえ一緒にお風呂入ろ? ねっ? アキラ?」
「えっ? はっ?」
「ダメ? この間一緒に入ったじゃん?」
「イヤ、この間は・・・だって・・・」
「おばさんに、アキラをお風呂に入れてって言われちゃったんだけどな~」
えっ? はぁ? 今なんて?
「母さんが? 嘘でしょ?」
「嘘じゃないもん。 今日帰って来るの遅くなるから、アキラのことお風呂に入れてねってお願いされちゃったんだもん」
イヤ、母さん!? 何てお願いしちゃってるんだよ!?
もう子供の時とは違うんだから、ゆかりちゃんに美姫と同じ感覚で変なお願いするなよ!
確かのこの間は一緒に入ったって言うか・・・
アレはだって、ほら、美姫が無理やりっていうか。
しかも、美姫も一緒で三人で入ったから。
でっ、ででで、でも・・・ゆかりちゃんと二人っきりなんて。
まだ、そんな・・・心の準備が・・・
イヤ、そりゃ、入れるものなら入りたいし。
また、あの綺麗な裸を見たいって思うけど・・・
イヤ、そもそも、ゆかりちゃんとお風呂って・・・じゃあ、賢者効果の付与の儀式はどうするんだよ~!
ゆっ、ゆかりちゃんの下着を・・・また、下着を・・・・
「イヤ! でも、ほら! ゆかりちゃん、この間は、ゆっくり距離を詰めようねって・・・」
「だからじゃない・・・一緒にお風呂入って、その・・・ゆっくりお話しして。 それに、アキラにもその、私の裸に慣れて欲しいっていうか。 それに、私だって、もっとその・・・アキラと一緒にって思うから」
「でっ、でも・・・ほら! 美姫が帰って来てバレたら凄いことになっちゃうから・・・」
「美姫なら20時まで帰ってこないって聞いたよ?」
イヤ、そうなんだけど・・・でも・・・
ゆかりちゃんだぞ。 あの、ゆかりちゃんだぞ!
前の人生でも、一度も裸を見た事無かったんだぞ!
仮にも俺たちは付き合ってたんだぞ、それなのに、裸なんて一度も見た事なかったのに。
再会して、そんな・・・イヤ、イヤ、イヤ、距離がちぢまるペースが早いよ~
「ほら、うだうだ言ってないでお風呂の準備しよ?」
「え~ 本気で言ってるの?」
ソファーから起き上がると、ゆかりちゃんにそのままソファからひぃっと持ち上げられると、後ろからギュッと抱きしめられ。
背中にポヨンポヨンとおっぱいを押し付けられて、そのままグイグイっと押され始めると、ムカデ競争の様にトコトコ歩かされてしまう。
そして、そのままトコトコ二人で歩いて、お風呂場まで連れていかれると。
ゆかりちゃんが1人でお風呂場に入って、お湯を張る準備を始めて、湯沸かし器のスイッチを操作し終わって、また脱衣所まで戻ってきた。
こんなのダメだと思いつつも、ゆかりちゃんと二人っきりで一緒にお風呂入れるかもしれないという期待と嬉しさで胸は高鳴ってドキドキし始めるてしまい。
抑えきれないエッチな気持ちもどんどんと増して行ってしまうというか・・・
ただ、その半面、恥ずかしさと、気まずさと、背徳感も感じてしまい、色んな感情が入り乱れてし複雑な気持ちになっていると。
「––––––ん? どうしたの、なんかマズイことでもあるの?」
マズイこと? マズイ・・・こと・・・ はっ!?
不意にゆかりちゃんに出会てから一連の流れで忘れてしまっていたけんだけど・・・
股間からジワ~っと感じる気持ち悪さを思い出してしまい、咄嗟にこのままではマズイと思いゆかりちゃんの顔を一瞬見てしまい。
その瞬間、ゆかりちゃんと目が合ってしまい、動揺していると。
すると、ゆかりちゃんが、どうしたのっと聞いてくるような表情をして、首を斜めにコテっと傾けてくるので。
このままじゃ、色々バレてしまうと思い、そのまま後ずさるようにゆかりちゃんから距離を取ると。
「えっと・・・ちょっと、コートとか荷物を部屋に置いて来ないとだし、お風呂入るなら着替えも取ってこないとだから」
「ん? そっか、じゃあ先に行って準備してて」
そう言わるとすぐに、玄関側の扉から出ると。
そのまま、さっき玄関に脱ぎ捨てたコートと鞄を拾うと、そのまま階段を駆け上って自分の部屋へ飛び込むと。
コートと鞄を乱暴にベッドの方へ投げ捨てて、冷たくジメジメで気持ち悪いパンツをズボンごと脱ぎくと、そのまま床にポイっと放り投げ。
下半身を丸出しのまま、クローゼットを開いて、洋服ケースから新しいパンツにパジャマを取り出そうとしていると。
「––––––アキラ? 何しているの?」
急に背後からゆかりちゃんに声を掛けられてビクッとしてしまう。
扉をあけっぱなしにしていたせいで、ゆかりちゃんが部屋に入って来ていた事なんか全然気づいて居なかったので、不意に声を掛けられてビックリしてしまい固まっていると。
「もう、こんなに脱ぎ捨てて~」
そう言いながら、ゆかりちゃんが、僕が脱ぎ散らかしたズボンとパンツを拾いあげ。
そのまま、ズボンに絡まったパンツを丁寧に解いて、パンツを手に持ったままズボンを折り畳むと、丁寧にベッドの上に置かれて。
そして、片方の手に持った、僕のパンツをゆかりちゃんが見た瞬間、何か気づかれてしまったようで・・・
・・・ゴクリ。
「・・・ねえ? アキラ?」
ヤバイ・・・気づかれた? 誤魔化さないと!
「あっ! あの・・・えっと、その・・・ちょっと漏らしちゃったっていうか」
「漏らした? でも・・・この感じ・・・」
明らかに疑念を持った表情を浮かべ、僕のパンツの濡れた部分の感触を指で確かめるように触って、何かを確かめるゆかりちゃんを見ながら、僕は完全に固まってしまい。
僕のパンツをジロジロ注意深くチェックする、ゆかりちゃんを見て、めちゃくちゃく恥ずかしい気持ちと、気づかれてるというか焦りで、動揺しまくっていると。
「ねえ? この濡れ方って、この間と一緒よね?」
ぐぐぅ! やっぱり・・・気づかれた!
「ねえアキラ? 今日は、そんなお洒落して、今までどこで何をしていたの?」
「イヤ・・・そんなお洒落なんてしてないし。 てか、どこで何してたって、そんなの友達の家で遊んでただけだけど・・・どうして?」
「じゃあ、どうして、パンツ・・・こんなことになってるの?」
「イヤ、それは、そのなんていうか・・・」
どうしよう、どうしよう・・・
絶対に出しちゃったって確信持たれてる~!
「あの・・・あっ! さっき! さっき、ゆかりちゃんに背中に冷たい手を突っ込まれて、ソファーでゆかりちゃん僕の胸をサワサワされた時にエッチな気持ちになちゃってそれで・・・その、出ちゃったというか・・・」
「さっき? ソファーで? ふ~ん・・・で? 誰と一緒だったの?」
「イヤ、誰と一緒だったって、そんなの、友達の家で遊んでただけだけど」
「そんなのはもう良いからさ~ ―――で? 誰と一緒にいたの? 彼女は風邪で寝込んでるって聞いたけど、他にそういう人が居るの?」
てか、なんでアッコちゃんの事が出てくるんだ?
てか、他にもそういう人って、何を疑ってるんだ?
まさか、遥ちゃんのこと気づかれた?
「ねえ? アキラさぁ、ひょっとして、彼女以外にも別に付き合ってる人いるんじゃないの?」
「―――なんで、そう、思うの?」
「良いから答えて、他に付き合ってる女の人いるの? ひょっとして、年上の女の人?」
「はぁ? どうしてそうなるの? 意味がわかんないんだけど?」
どうして、他の女って・・・
しかも、年上の女って、どういうこと?
なに、プロファイリング?
どうして、いきなりそんなこと・・・
「てか、そんなのゆかりちゃんには関係ないじゃん? 友達の家に行ってただけなのに・・・」
「関係無い? 関係無くなんて無いわよ、私の裸見て、私にあんなことしておいて、それはないでしょ?」
「あれは・・・だって、美姫と一緒に入って来たのはゆかりちゃんでしょ?」
「一緒に寝てる時だって、私のおっぱい触って来たし。それに、敏感な部分も、触ったじゃない。 それに、私、色々初めてだsったんだけど、あんな事しておいて、関係無いなんて言わせないから」
えっ!?
・・・・・・おっぱい?
「私が寝てると思って、おっぱい触って来たでしょ? それに乳〇も触ったじゃない」
「・・・おっ、起きてたの!?」
そう聞くと、顔を真っ赤にして俯きながら、小さく頷くゆかりちゃんを見て。
眠っていてバレてないと思っていたのに、全部バレていたと知って、全身の毛穴から汗が噴き出しそうになるほど焦り始めてしまう。
「私のこと弄んでその気になるようなこと言ってさ。 エッチしたいとか、さんざん私のこと口説いてその気にさせたクセに。 それなのに、私には関係無いとか言っちゃうんだ?」
弄んでって・・・だって、寝てると思ってたし。
でも・・・今思えば、何かピクピク動いたり、色っぽい声も出てたような・・・
うぅぅぅ、起きてたのかよ~
そんなの、だまし討ちじゃないか~
「・・・浮気者」
えっ? 浮気者って?
「イヤ・・・えっ? だから、その友達の家に行ってただけでした・・・その・・・」
「どうして友達の家に行ってただけで、こんな風になっちゃうのよ?」
イヤ、そんなパンツをこれ見よがしに僕に見せつけてこなくても・・・
てか、どうして女性って・・・
しかも年上の女性ってどうして?
「てか、どうして女の人と一緒に居たって思うワケ?」
「―――香水。 ―――なにその、甘い香りは?」
甘い香り?
・・・香水?
―――!? うぐぅ、そう言えば、遥ちゃん!?
確かに、香水付けてた・・・
イヤ、待て待て、香水の移り香だけでそんな・・・
「てか、香水なんて男の人でも使うじゃん?」
「じゃあ、さっき服についてた長い髪は誰の? 美姫のでもないし、おばさんのとも違う、私のとも違ったもん」
髪!? どこからそんな?
「イヤ、そんな長い髪なんて、どっかで着いたかもだし・・・それに彼女のかもだし」
「彼女の髪型は?」
「・・・えっと、ショートボブ?」
「ショート? へ~ ショート?」
イヤ、何本当のこと答えてるんだ俺?
バカなのか、もし遥ちゃんの髪が本当についてたなら。
遥ちゃんは、ミディアムボブだぞ、
イヤ、でも、そんなの比較しないと分かるわけないし。
ココは押し通すしかない!
「てかそれだけの理由? この間、美姫のおさがりの服をアッコちゃんに上げるのに、ここで色々着せ替えしてたから、その時クローゼットにアッコちゃんの髪が落ちたかもだし。それ以外にも、ほぼ毎日遊びに来てたから、そこら中に髪なんて落ちてるだろうし・・・」
「―――で?」
・・・ゴクリ。 でっ・・・だけ?
それがどうしたと言わんばかりの鋭い目をしたゆかりちゃんに睨みつけられ。
ひとこと・・・で? だけ言われる、この恐怖、
てか、美人さんが怒るとこんなにも怖いのかよ!?
生まれてからいままで、ゆかりちゃんにこんな鋭い目で睨まれた事なんか無いのに!!
「イヤ、だから・・・今日は友達の家に遊びに行ってただけで。 香水も・・・その、その時だと思うし。 髪は、きっとアッコちゃんのだと思うし」
「ふ~ん、友達? じゃあ、このパンツはどう説明するのよ?」
イヤ、だから・・・そんな濡れた所、指でイジイジワザと触って、僕に見せつけなくても。
なにこれ? なんなのこの取り調べは・・・
部屋で下半身丸出しにしたまま、こんな超絶美人に詰められてるとか、なんなのこれ!?
「だから、その・・・DVD! 秀樹が、兄貴の部屋でエッチなDVD見つけたから一緒に見様って言われて・・・それで、その・・・興奮しちゃってそれで」
「DVD? 秀樹? ―――あ~ アイツか」
「それに、DVD観てたら・・・その、ゆかりちゃんの裸とかおっぱいの感触とか全部思い出しちゃって、それで我慢できなくなって・・・気づいたら出ちゃってて」
「私の裸を思い出しちゃった?」
何これ・・・もう止めて・・・情けなすぎる・。
下半身丸出しで、正座してゆかりちゃんに冷たい視線で見下されてしまうとか。
あぁぁぁ・・・せっかくゆかりちゃんと再会したばっかりだっていうのに、なんでこんな修羅場になるんだよ!
これでまた会えなくなっちゃうの?
そんなの、イヤだよ・・・
「はぁ~ もう良いわよ・・・お風呂入るわよ。 もう着替えもって行ってあげるから、先にお風呂場に行ってなさい」
ゆかりちゃんが、まるで飽きられたような表情で、僕にそう言うと。
余りの気まずさに逃げるように部屋を出て、そのまま下半身を丸出しのまま、1人で階段を降りていると。
僕の部屋の方から、ゴソゴソとクローゼットから服を取り出す音がして、気になってゆっくりと階段を降りていると。
クローゼットの扉を締める音がしてから、しばらく無音になり、さらに気になって様子を伺っていると。
急に僕の部屋電気がパッと消えて、ゆかりちゃんが部屋から出てくるのが見えて、急いで最後の数段を駆け下りると、逃げ込む様に脱衣所に入ってモジモジしていると。
少し遅れて、同じ扉からゆかりちゃんが入って来ると、僕の着替えとゆかりちゃんの着替えを一緒に洗濯機の無言で置くと。
何も言わずに、僕の目の前でスカートを脱ぎだすゆかりちゃんにびっくりして、すぐ背を向けてしまったんだけど。
振りむいた方には洗面所の鏡があり、鏡越しにしっかりとゆかりちゃんの着替え姿が見えてしまい。
ダメだと思ってしまうのに、悲しいかな・・・エロには抗う事が出来ず。
鏡越しで、ゆかりちゃんが少しずつ裸になって行く姿に、普通に目を奪われて固まっていると・・・
完全にすっぽんぽんになったゆかりちゃんが背後から近づいて来て、僕の上着の裾を掴むと乱暴にズルっと上へ引き上げられて、強制的にバンザイ状態にさせられて脱がされてしまうと。
そのまま、手を引かれて強制的に、お風呂場へと連れ込まれてしまった。
もし気に入っていただけたり、少しでもおもしろいなと思ったら
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