第127話 寂しくて一緒に居て欲しいって言う女子はいつだってそうだよ・・・
「遥ちゃん・・・ここ知ってたんだね?」
「うん・・・雑誌で見て、どこなのかなって調べたから」
遥ちゃん・・・雑誌いっぱい読んでそうだよな~
色んなところ行って見たいな~って思ってるんだろうな。
ふふふっ、なんか、雑誌みて行きたいな~って一人つぶやいてる姿が想像つくよ。
旭川から出て来て、おしゃれな生活して見たくて、円山に住んじゃうくらいだもんな。
遥ちゃん・・・
友達や彼氏が出来るまで、遥ちゃんが寂しい時は一緒に居てあげるね。
僕が、札幌で初めての遥ちゃんのお友達だからね。
遥ちゃんが、僕のこと・・・もういらないって言うまで・・・
僕が知ってる札幌を全部案内してあげるね。
「ここね、夕日が綺麗なんだよ」
「へ~ そうなんだ? 来たのは、今日が初めてなんだ~」
初めて? 雑誌で見て調べたのに?
ああ・・・そっか・・・
この子は、寂しがり屋さんなんだろうな。
誰かと一緒じゃないと、色々楽しめないタイプか。
そりゃそうだよな、円山に住んだのに1人でお店行けないとか言ってたしな。
「だって、なんか素敵な場所だったから、好きな人と来たかったの」
「・・・・・・」
好きな人!?
も~う・・・またそうやって、僕を惑わす・・・
どうリアクションして良いの?
また悪戯顔で、からかってるの?
・・・暗闇であんまり見えないし・・・
でも、声色はうっとりした感じだし・・・
本気なの? 遥ちゃん?
「ここ、夕日が綺麗な時にくると。 円山の山の形が札幌の街の上に浮かび上がって、その闇がどんどん奥の方まで進んで行くのを見てるとね。落ち込んでる時とか、少し気持ちが落ち着くんだ」
「へ~ ・・・良く来るの?」
「昔ね・・・」
高校が近くだったから、それでかな・・・
ここに良く来るようになったの。
「昔って・・・おかしい♪ アキラは、まだ小学生でしょ?」
「えっ? えっと・・・まあ・・・」
「また、アキラと一緒に来たいな~」
・・・また。
それって、今日一日彼氏彼女設定の延長?
それとも本気で言ってるの?
僕・・・ちょろいから、そういう言葉すぐ真に受けちゃうんだからね!
わかって言ってる? 遥ちゃん・・・
「ここだけじゃないよ。 もっと、別な所にも遥ちゃんを連れて行ってあげたい。 コレから色々新しい所もできるしね・・・」
「なにそれ? 未来を知ってるみたいな言いかたね? もう、さっきから変なことばっかり言うな~ でも、アキラが色んな所に連れてってくれるなら、急に札幌が楽しくなってきちゃったな~♪」
「それに、お酒が飲めるようになったら、連れて行ってあげたい場所も増えるしね・・・」
「お酒が飲めるようにか~ その頃、わたし・・・もうおばさんだね?」
そんなこと無いもん・・・
まだ33歳じゃん。
遥ちゃんだよ?
全然、そのままの可愛いままだよ。
遥ちゃんなら、40歳になったってず~っと可愛いままだよ・・・
だって、そういう女の子いっぱい知ってるもん。
絶対、遥ちゃんはそういう子だもん・・・
「遥ちゃんはきっと、そのまま変わらず可愛いままだよ」
「ふふふっ、もう・・・嬉しいこと言ってくれるな~ そういうところなんだけどな・・・・・・」
そういうところ?
なに? どういうことよ?
「ん?」
「なに? とぼけちゃって?」
「えっ?」
「ふふふっ、もう・・・」
えっ?
「わからないならイイ♪ 君は、ず~っとそのままで居てね♪ そして、大人になって私のこと覚えていたら、その時はまた一緒にどっか行こうね?」
「大人にならなくたって、また一緒にどっか行こうよ・・・ 僕・・・先生の生徒だけどさ・・・ 学校以外では、先生の友達になってあげるから」
「友達か~ それも良いけど・・・・・・彼氏でも良いんだけどな~」
なんとなく、暗闇でも照れ隠しでニシっと、笑っているのが分かる・・・
「これからも、その・・・一緒にどっか行ってくれるの?」
「遥ちゃんが、望んでくれるなら・・・」
「そんなの、望んじゃうよ・・・」
そう言うと、クイっと引っ張られて、抱きしめられてしまう。
イヤ・・・ちょっと・・・遥ちゃん?
僕の身長で抱きしめられると・・・
その~ ちょうど遥ちゃんのおっぱいなんだけど・・・
こんなの、ああ・・・
また、さっき収まったばっかりなのに・・・
「アキラ・・・・・・今日は恋人設定って言ったけどさ・・・」
「うん・・・」
「一緒にいる時だけで良いから、これからも会う時は恋人でいてくれる?」
「恋人風のデートってこと?」
「ふふふっ・・・そう・・・恋人の気持ちにさせてよ。 今日みたいに・・・胸がキュンってする思いさせてよ」
「遥ちゃん、ちょろいからな~ 俺が、そういうこと思って言ったわけじゃないことまで、勝手にキュンキュンしちゃってるみたいだからな~」
「もう・・・この天然のイケメンが! 今日のデート・・・わたし一生忘れられないくらい、素敵なデートって感じてるんだから・・・」
そう言って、ギュッと力いっぱい抱きしめられてしまう。
どっちかというと、怒って締められてる感じで、ちょっと痛い・・・
「じゃあ、先生と学校以外に会う時は・・・その~ 遥ちゃんは・・・僕の恋人ってこと?」
「・・・・・・イケないことだってわかってるけど・・・・・・なんか、いまはアキラが必要みたいなんだもん・・・」
いまは・・・っか・・・
なんか、寂しいって言う女の子には、いっつもそう言われて一緒に居たな。
お家に泊まりに来たし、一緒にも寝たし。
時には、キスだってしたし。
でも、大事な友達だからって、エッチはしてくれなくって。
彼女にもなってくれなくって。
自分の寂しい気持ちだけ満たしてさ・・・ 僕が好きになったら・・・
先生もそいうタイプの女の子なの?
でも・・・良いよそれでも・・・
友達で、僕にはアッコちゃんがいるから。
僕の幸せな気持ちを少しくらい分けてあげるくらいならね。
それで、遥ちゃんが1人でもしばらく頑張れるなら。
「6年生になったら、少し時間が出来るかも・・・」
「? 6年生になったら? どういうこと?」
転校しちゃうから・・・
「いまは、まだわからないけど・・・ たぶん・・・」
「・・・? よくわかないけど・・・」
だって、6年生はアッコちゃんがいなくなって。
なんにも、学校のこと覚えて無い、暗黒期だもん・・・
遥ちゃんが僕のこと必要っていうなら。
寂しくって、毎日泣いちゃう日々を、少し遥ちゃんで埋めさせてよ。
僕のぽっかり出来ちゃう心の隙間を・・・
「6年生になって、時間が会う時は一緒に居てくれる?」
「本当に良いの? 私とデートしてくれるってこと?」
先生が、僕のこと寂しい気持ちを埋める都合の良い男の子みたいにするなら。
僕だって、遥ちゃんのこと・・・
寂しい同士、一緒に居させてよ。
「うん・・・遥ちゃんが良いなら、恋人ごっこする」
「ごっこって・・・」
抱きしめる力がまた強くなった?
なに? ごっこが気にくわなかったの?
だって、そんな本気の恋人なんて・・・
てか、これって、その辺にいるカップルから、どう見られてるのかな?
まだ、SNSも普及してないから、勝手に写真撮られて晒されてバレることも無いけど。
てか、この時代って、そういうところは良い時代なのかもしないけど・・・
「ごっこなんて言っちゃイヤだよ・・・」
「もう・・・わかったよ・・・ごめんね、遥」
「えへへ・・・」
「なに?」
「イイね? それ? 呼び捨て」
「もう・・・遥のバカ・・・」
「えへへ・・・」
もう・・・この子は、本当に知らないからな?
てか、これからも会うんだったら、マジで変装どうにかしないとな~
最悪・・・タイムリープでどうにかしたら良いかもだけど・・・
それにしたって・・・恋人ごっこはイヤって。
本当の恋人になれって事?
そんなこと言われたら、色々したくなっちゃうじゃないかよ。
イイのかよ?
「・・・・・・ねえ?」
「なに?」
「ごっこがイヤだなんて言われたら・・・僕だって、遥ちゃんと色々したくなっちゃうよ・・・」
「・・・・・・えっと・・・うん・・・そうだよね・・・」
ほら、困ったじゃん?
そうやって、僕が本気に好きになったらなんて言ったらすぐ逃げるもんな。
寂しくて一緒に居て欲しいって言う女子はいつだってそうだよ・・・
僕が追いかけ始めると、ちょっとずつ距離とって、いなくなっちゃうんだ・・・
「う~ん・・・アキラはそれでも良いの?」
「どういうこと?」
「だって・・・その・・・不倫って言うの?」
「ズルいな・・・そういうこと言って・・・僕にボール渡すの・・・」
「だって・・・」
「ごっこがイヤって言ったの遥ちゃんじゃん。 僕のこと遊びなの?」
「遊びじゃないよ・・・本当に、なんか一緒にいたいんだもん。 この間も、今日も・・・ずっと一緒に居てお話してると、本当に同年代の子と一緒に居るみたいで楽しかったんだもん。 札幌で初めて、お友達が出来たような感覚になったんだもん・・・」
まっ、そりゃそうだ・・・だって大人だもん僕・・・
てか・・・やっぱり、友達なんじゃん!
「じゃあ、僕ってなにさ?」
「う~ん、友達以上で~ 恋人未満な~ 大好きな男の子?」
デタ! ハイ・・・いただきました。
友達以上・・・恋人未満・・・の~ 大好きな男の子!
はぁ~ もうイヤっていうほど聞かされた、その言葉。
ふん! もう・・・イイよ・・・
イイもん・・・プラトニック彼氏。
遥ちゃんに友達が出来て、彼氏が出来て、もう寂しく無いっていう時まで、一緒に居てあげるよ。
恋人未満な、恋人してあげるよ・・・
どうせ、小学6年生から中学1年生の途中まで、暗黒時代なんだから。
寂しくってどうしようも無い時は、今日みたいにギュッてしてもらうんだから。
それくらいは、してもらうんだからね。
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