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第125話 はぁ~ すさんじまったよ・・・

「遥ちゃんが、また会っても良いって思ってくれるなら、会える・・・」

「本当?」


「うん・・・」

「じゃ、絶対約束ね?」


 そういって、小指を出してくる遥ちゃん。

 そっと、彼女の小指に、自分の小指を重ねてみると・・・


「なんだろうな~ 自分の生徒なのに・・・佐久間君だけは、なんか友達みたいに思っちゃうよ」

「なんだそれ? 気許し過ぎじゃ無いの?」


 でた・・・また良い人。

 佐久間君って、友達にしか思えな~い。


 はぁ~ 前世でもさんざん、イヤって言うほど言われたその言葉・・・

 はいはい、どうせ僕は良い人で、ただただ優しいだけで一緒に居ると落ち着くってだけの存在ですよ。


 なんだ?

 どうしたら良いんだ?


 もっと、危険な男の香りを醸し出せば良いのか?



「ん? どうした? 考えこんじゃって?」

「ううん・・・」


「なに? 私とのデートが終わるの寂しいの?」


 もう・・・またそうやって、おどけて可愛い笑みを振り撒いちゃうし・・・

 この人、本当にめっちゃ可愛いよ~


「名残惜しいのは事実かな・・・俺が大人だったらな・・・ このまま美味しいレストラン行って~ 夜景の綺麗なバーに遥ちゃんを連れて行って~ 遥ちゃんのこと口説いちゃうかもだし」


 本当に、大人だったらな・・・

 もっと、夜遅くまで一緒に居られるのに。


「へ~ 良いね~それ~ なんか、憧れるな~ そんなデート・・・」


 ん? そんな恋する乙女みたいな顔しちゃう?


「カラかって遊ぶなって怒らないんだ?」

「だって、新一なら、本当にそんなデートしてくれそうだなって思っちゃったんだもん♪」


 えっと・・・いつまで新一呼びするのかな~

 一度、決めた設定は、ガチガチに守るのね?


 もう、けっこう普通にホール抜けられそうなんだけど・・・

 周りには、見慣れたヤツもい無さそうだし。


「俺も男の子だから・・・遥ちゃんのこと口説いちゃったら、林先生みたいにホテルに行こうとか、言っちゃうかもよ~?」

「えっ!? ・・・・・・でも、そんな素敵なデートしてくれたら。 わたし・・・心許しちゃうかも・・・」


 はぁ? どこまで本気で言ってる?

 も~う、さっきから想定と違うリアクションしないでよ~


「ちょっと! 遥ちゃん!?」

「ん? へへへ・・・やっぱり、ダメだよね?」

「あたりまえでしょ! もう・・・」


 冗談で言っってみただけなのに、間に受けちゃうもんな~

 どうせ、小学生だからって、軽く見られてるのかな?


 やっぱり、ただの良い人。

 危険を感じない、ただただ都合の良い存在。


 女の子なんていっつもそう。

 俺の部屋まで来ておいて、一緒に寝てキスなんかしちゃって。

 そのまま抱き合て朝まで寝ても・・・


 え~ アキラくんはダメだよ~

 好きになっちゃダメな人だもん。

 やっぱり、私達友達のままが良いと思う・・・


 俺・・・4~5人そういう女の記憶があるんだが・・・

 ヤバイ、思い出したら、また心がズキズキしてきた。


 ん? 考え事してたら、これと言った危機も無く、すんなりホール抜けて来ちゃったけど・・・


「ほら~♪」

「なにが?」


 なにやら、嬉しそうに言う遥ちゃん。


「だから~ バレないって言ったでしょ?」

「えっ・・・でも、本当にバレて無かったのかな~?」

「バレて無いって~ 変装は完璧でしょ?」


 そうなのかな~



「アキラ君!?」



 !? えっ!? って~ 言ってる傍から~!


 誰だよ!? てか、無視、無視・・・俺はいま、新一だぞ・・・



「ちょっと! アキラ君でしょ!?」



 誰だよ~ しつこいな~

 無視してんだから、空気読んでついてくんなって~


 えっ? イヤ、遥ちゃん、そんな目で誰とか聞かれたって知らないよ。

 声の主の顔なんて、見て無いし・・・でも、なんか聞き覚えのある声・・・


 そう思って、遥ちゃんの手を引っ張ってスタスタ早歩きをしていると。

 急に、目の前に男の姿が現れて・・・


 !? ギョッ!? 回り込まれた・・・


 てか誰だよ!? しつこいな!! ん? こいつ・・・


 えっ? てか、誰だよ? その隣にいる、派手な女は?


「アキラ君だよね?」

「てか、なんだよお前? もう他人だろ?」

「え~ そんなつれないな~」


 なんで、こいつは普通に話しかけてこれるんだよ?


「変わり身の早いことで、新しい女が出来てよかったですな~?」


 派手な女の方をジロっと見て、嫌味を言ってやるのだが。

 言われた本人は、動揺するわけでもなく淡々と話を続けてきやがる・・・


「てか、アキラ君? この綺麗な人は誰?」


 オイ! 俺の質問無視かよ!?

 しかも、なに俺の連れが誰とか聞いて来てんだよ!?


「あっ!? いとこのお姉ちゃんだよ! 何!? お前はもう、いい加減佐久間家に関わるなよ!」

「イヤ・・・知らない仲じゃないじゃん? それになんか勘違いしてない?」


 ハァ~ めっちゃウザい・・・

 なにが勘違いだよ~


「何がだよ!?」

「えっと・・・コイツ・・・ 俺の姉ちゃんなんだけど・・・」

「はぁ? 姉ちゃんだ~? 全然似て無いじゃん! お前みたいなパットしない男に、こんな綺麗な姉貴がいてたまるかっちゅ~の! じゃあ、もう俺忙しいからバイバイ」


 もう! なんだアイツは!

 良く、俺に話かけてこれるよな?


「ねえ? しんいち~ 今の誰?」

「ラン姉ちゃん、もうそれ良いよ~ 周りにもう人もいないし・・・」


「そっか♪ っで? 誰いまの?」

「え? うんと・・・俺の姉ちゃんの元カレだよ。 この間、別れたばっかりだけどね」

「えっ? それで、弟を見かけたからって、あんなフランクに話かけて来たの?」


 そうだよ・・・普通見かけても、声かけないだろ普通・・・


「もう・・・意味不明だよ・・・」

「わたし、変な人に絡まれたのかと思って、ちょっと怖かったよ~」


 ん? 怖かった?


「ドキドキしちゃった?」

「ドキドキしたわよ!」


 へ~ ドキドキ・・・

 さっきの、会話の流れ的にワンチャンあるのかな?



「遥ちゃん・・・好きだよ」



 急に、遥ちゃんの方に向かって、そんなことを言いたくなってしまい・・・



「えっ!? 嘘・・・ えっ・・・でも・・・ダメだよ。 アキラは生徒だし・・・わたしは先生だし・・・でも~」



 急に、もじもじし始める彼女・・・


 えっと・・・


『先生のことからかうんじゃないわよ~』とか。

『もう! ライン越えダゾ!!』って軽く返されるのかと思ったのに・・・


 なんだ? このリアクション?

 遥ちゃん・・・チョロすぎないか?


「ね~え~? 遥ちゃん・・・チョロすぎない?」


 そう言うと、またほっぺをぷくっとして、プンプンポーズをする遥ちゃん・・・


「はぁ~!? だって~ ドキドキしている時に、いきなりそんな事いうから~!」


 イヤ、マジ?


 吊り橋理論って、マジ有効なワケ?

 こんなすんなり、落ちそうになっちゃう?


「イヤ、ちょっと吊り橋理論って、本当に有効か試したくなったというか・・・出来心?」

「もう! ・・・・・・一瞬、本当にドキっとしてたのに~ 乙女の心を弄ばないでよ!」


 イヤ・・・小学生に弄ばれてどうするんだよ。

 この人、飲みに行って仲良くなっただけで、普通にお持ち帰り出来ちゃうんじゃないのか?


 でも、こういうフワフワした女の子って、マジでお持ち帰りされちゃうからな~

 マジで、気を付けて欲しい・・・


 ううう・・・なんか、遥ちゃん見てたら、就職して遠距離になった元カノ思い出しちゃったよ。

 飲みに行って、家まで送るとか言われて、そのままお持ち帰りされたとか言いやがってさ~


 ひとり、会社近くの公園で夕日を見ながら泣いた記憶。


 もう、そのせいだよ・・・


 社外研修で知り合った、アイツに優しくされて。

 それで、とんとん拍子で結婚まで行っちゃったのは・・・


「岩崎さんにもそんなことしたの?」


 え? アッコちゃんに?

 ん? どういうこと?


「そんなことってなに?」

「一緒に居て、ドキドキさせちゃって・・・それで・・・軽い気持ちで好きって言って付き合ったの?」


 そんなワケないじゃん・・・

 アッコちゃんに、どんなけ必死だったと思ってるんだよ。


 好きって分からないとか言うし・・・

 もう、めっちゃ必死だったんだから。


「アッコちゃんには・・・もっと真摯に純粋に向き合ったし・・・」


 ん? なに? そんな今にも泣きそうな顔しちゃってさ~


「ううう・・・所詮、私は遊びの女ってこと? 酷い・・・やっぱり、弄んで・・・ 私には真摯な対応してくれないんだ・・・」


「もう、それ本気で言ってるの?」


 イヤ、遊びの女って・・・

 しかも、別にそんな弄ぶって何よ?


 この間、カフェに行って、今日、デートしただけじゃん・・・


「ふん、仕返してしてやろうかとか思ったけだよ! 女の子が泣きそうになってるんだから、もう少し慌てなさいよね!」


 えっと・・・本当に泣きそうになってたの?

 ごめん、そんなショック受けるなんて思ないじゃん。


 生徒と先生だし・・・俺小学生なんだよ?


「もう・・・遥ちゃん、演技下手・・・」

「うるさいな~」


 また、そうやって、ぷくって膨れて可愛い顔しちゃうしな~

 あ~ マジで・・・可愛いじゃん。


 本当に、彼女にしたくなっちゃうよ。


 話題変えよ・・・


「はぁ~ でも・・・今、俺バレたと思って、マジで焦ったんだけど・・・」

「それは私だって同じだよ~」


「もう、分かってる? バレたら、先生だって、立場ヤバくなるんだよ?」

「まあ・・・そうだけどさ~ ・・・・・・でも~」


「でもなに?」

「しょがないじゃん・・・楽しかったんだもん」


 もう・・・先生、本当に良い子だな。

 めっちゃ素直じゃん・・・


「もう・・・先生可愛すぎ・・・またデートしたくなっちゃうじゃんか」

「え~ 本当?」


「もう・・・そんな可愛い仕草とか。 今日のそんなめっちゃ可愛い恰好とか反則なんだけど・・・」

「ん? そんなに今日可愛い?」


 いつものナチュラルメイクも可愛いけど、今日のはなんだよそれ?

 髪も巻き巻きで・・・めっちゃ盛れてて可愛すぎだっちゅ~の。


「もう・・・モデルさんみたいだし・・・」

「えっ~? もうヤダ~ 最後の最後でそんな褒めないでよ~ 何も出ないんだからね」


「何も出ないの?」

「えっ・・・ダメだよ・・・」


 ・・・? 暗闇でもわかるんだけど・・・今、めっちゃ赤面してるだろ?

 いったい、何を想像してるんだか。


 もう、とことん可愛いなこの人は・・・

 そんなの見せられたら、遥ちゃんのことまで独占したくなっちゃうじゃないかよ。

 あ~ なんで、こうも俺の周りの年上のお姉さん達は俺を惑わすんだろう。


 中身が32歳のおっさんには、そんなの耐えられないっす・・・

 甘いも、辛いも色々経験しちゃって、純粋さを失ってしまった大人だもん。

 こんな、可愛らし人が周りにうじゃうじゃしてたら、惑わされるよ~


 今日だってお家に、帰ったら帰ったで・・・きっと、彼女がいるだろうし。

 これって、なんなの? 試練か何かなの? 煩悩に耐えろって修行か?


 俺・・・これ以上、この人達に誘われたら、マジで煩悩に流されまくるかもしれないよ~

 ううう・・・弱い・・・俺ってトコトン弱いかも・・・


 おかしいな~ 前世の俺って、めっちゃ一途だったはずなのにな~

 はぁ~ すさんじまったよ・・・



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