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第124話 じゃあ、新一は?


「へ~ 小ホールなのにめっちゃ立派じゃん!」

「楽しそうで良かったよ~」


「だって~ わたしkitaraに来たの初めてだもん」

「えっと・・・小ホールでゴメンね・・・」


「何言ってるのよ~ 小ホールなのに、こんな素敵なホールだなんて・・・ 旭川の文化会館とは大違い・・・」

「えっ? でも、なんだっけ? なんか、立派な音楽堂なかったっけ?」

「だって・・・kitaraみたいに、毎週コンサートなんてやらないもん・・・」


 そうなんだ・・・もったいないな~


「やっぱり、ホールのこの独特な響き良いな~」


 音楽の先生だけあって、やっぱり好きなんだな~

 てか・・・俺さっきから、イヤ予感というか。


 なんか、ちらほろ知ってる顔みるんだけど・・・

 気のせい?


 最近、劇の練習で他の組の女子と絡むことが多いから。

 なんか、無駄に顔覚えちゃってるんだけど・・・


 てか、2組も今学級閉鎖だろ?

 あそこに座ってるのって、2組のピアノの子じゃないのか?


 お母さんと一緒に来てるのかな?


「ねえ・・・」

「なに?」


「あのさ・・・ちょっと、いまから偽名で呼び合わない?」

「なんでよ?」

「良く回り見て見てよ~」


 そう言うと、遥ちゃんが、キョロキョロと周りを確認しはじめると・・・


「えっ? ちょっと・・・なんで?」

「イヤ、知らんがな・・・」


 それにしても、4~5人いるよな?

 なんで? うちの学校って、そんな文化教養の偏差値高い人多かったの?


「えっと・・・ハルちゃん?」

「えっ? ああ・・・偽名?」

「そう・・・ハルちゃんは、俺のお姉ちゃん」


「うっうん・・・ じゃあ・・・あっちゃん?」

「なんでそうなる!?」

「だって・・・小沼さんが良くそう呼んでるから・・・ ちょっと、可愛いなって思ってのに・・・」


 もう・・・それは美姫とゆかりちゃんが呼んでた、俺の幼名だから・・・

 それに、最近小沼のせいで、ちょっと周りに認知され初めてるからダメだよ。


「じゃあ、としあきで」

「なんで? としあき?」

「俺の親父の名前・・・」

「え~ イヤよ・・・可愛くない・・・」


 イヤ、偽名で、可愛いもくそ無いだろ?


「あっ! じゃあ、新一は?」

「・・・イヤ・・・コナンにひっぱられすぎだから・・・」

「え~ 良いじゃん。 しんいち~」


 はぁ・・・もう良いや・・・

 バレても知らないからな。


「でも、普通にしてたら大丈夫よ。 思ってるより、人って周りジロジロ見ないから」


 本当か?

 楽観的なだな~ 


「あっ♪ しんいち~ はじまるよ~♪」


 ・・・・・・もう良いです。

 てか、日曜日にちょうど時間的に良いからって買ったチケットだったけど・・・


 曲がチャイコの、くるみ割り人形だなんて。

 だからか?


 こんなに、学校の連中がいるのは・・・

 まあ、今日の遥ちゃんはかなり盛れてるし。

 眼鏡もかけてるから、ちょっと分かりずらいとは思うけど。


 俺はどうなんだ?

 ちゃんと、このメガネ。

 変装出来てるのか?


 あ~めっちゃ不安・・・

 てか、遥ちゃんは不安じゃないのか?

 俺と一緒なんて、バレたら結構問題になると思うなけど・・・


 う~ なんか気が散って、全然コンサートどころじゃないよ~

 前半のチャイコの、くるみ割り人形が終り・・・


 休憩を挟んで、後半はショパンのプログラムか・・・


「後半、ショパンだって~ ねえ? そういえば、この間のショパンコンクールのテレビ見た?」

「えっ? ショパンコンクール? イヤ・・・見て無いっす」

「もう・・・なんで見て無いのよ~ ユンディー君の有志を~」


 ユンディー?

 ああ・・・あの人か・・・


 昔、東京でコンサート行ったことあったな~

 銀座の楽器店のサロンでやってた無料のコンサート。


 あんな狭いサロンで、フルコンサートピアノ、ガンガン鳴らしまくって。

 プロのピアニストって、あんなに音圧ヤバいのかって、圧倒されたんだよな・・・


「てか、お姉ちゃん? あんまりはしゃぎ過ぎないでね? 周りに気を付けてよね」

「なによ~ 新一・・・ 良いじゃない、こんな楽しいの久しぶりなんだから~」


「イヤ・・・そやかてハルちゃん? 周りには、うちの学校の子らが、ぎょ~さんおるで~?」 

「・・・? なんで、西の高校生探偵が出て来るのよ? なによ、自分だって遊んでるじゃない」


 その後も、休憩時間に自分達の座ってる席の真横の通路を、学校の女の子が通って行って。

 もうハラハラしかしないんだが・・・


 それでも、遥ちゃんは、そんなの関係ないみたいに、楽しそうにしてるし。

 後半のショパンも、なんか気が散ってしまって。


 コンサートを楽しむ余裕が全然なかったワケで・・・

 遥ちゃんは、音に感動したのか、涙を流して拍手しているし。


 まあ、この間の落ち込みっぷりを見て、あまりに不憫だと思って誘ったけど。

 これだけ、喜んでくれたんなら、誘って良かったと思うけど・・・


 でも、問題はこれからだぞ。

 帰りどうするよ?


 皆、いなくなってから、コソコソ帰るか?


「ねえ? 新一!?」

「なに? 姉ちゃん?」


「これから、サイン会やるんだって~ 私、サイン貰っちゃおうかしら~♪」

「イヤ、なにをそんなわざわざ目立つ場所に・・・」

「え~ 良いじゃん・・・ CD買って~ ササっとサイン書いてもらうだけだって~」


 はぁ~ もう・・・知らないぞ・・・

 帰っても、コンサートの余韻に浸りたいとか言って、ノリノリでCD買って、サインの列に並ぶじゃん遥ちゃん・・・


 もう、俺はバレるんじゃないかとドキドキなんだけど・・・

 そう思い、遥ちゃんの、腕にギュッと抱き着いて、顔を遥ちゃんの体に埋めて隠れるように列に並んでいると。


「もう・・・エッチ」

「エッチ?」


「どさくさまぎれて、おっぱい触ってるでしょ?」

「違うよ~ バレない様に、隠れてるんでしょ?」

「ふ~ん・・・まあ良いけどさ~」


 てか、このフワフワしてるの・・・

 おっぱいだったんだ。


 どうりで、ふわっふわしていると思ったよ。

 はぁ~ 遥ちゃんのおっぱい柔かい・・・


「もう・・・スリスリしないでよ~ エッチ~」

「だって・・・デートでしょ?」

「もう、調子よいな~ ん? ちょっと、サイン貰うから、待ってて」


 そう言って、嬉しそうにさっきにピアニストの人と握手してサインを貰ってご満悦な遥ちゃん・・・


「ヤッタ~ うふふふ、デートの記念が出来た~♪」

「それはよかったね? じゃあ、もう今日は帰ろうか?」


 そう言うと、ちょっと不満そうにする彼女・・・


「もう・・・なんで、小学生なんだよ・・・」


 そう言って、また俺が小学生であることに、不満を漏らすのだが。

 そんな事言われてもな~


 俺だって、一瞬でも大人になれるなら、なって上げたいよ。


「もう、夕方に帰るなんて、健全な高校生かよ・・・」

「イヤ・・・俺は小学生だから・・・」

「そうだけどさ~ もう・・・せっかく楽しくなって来たのにな~」

「楽しく終わった方が、次が待ち遠しいって思えるから、そっちの方が良いかもよ?」

「なんだよそれ・・・ そんなしょっちゅう会ってくれないクセしてさ~」


 まあ・・・そうだけど・・・

 来年、6年生になったら、時間なんてたっぷり出来るけどね・・・


 アッコちゃん・・・転校しちゃうから。


 そしたら、寂しくって。

 俺から、遥ちゃん誘っちゃうかもだよ?


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