第122話 もう・・・何で君は小学生なの?
まあ、今日はデートだからな~
そう思って、駐車場に車が止まったと同時に、素早く助手席から出て、運転席側に回り。
扉を開けて、遥ちゃんへ手を差し伸べると・・・
「えっ?」
目を丸くして、キョトンとする遥ちゃん。
なんか、バグったロボットみたいに、稼働を停止しちゃったんだが?
「ハイ、雪降ってきたから、気を付けて」
「えっ!? ああ・・・ありがとう・・・」
そう言って、恥ずかしそうに、差し出した俺の手を握って、車から降りてくる。
そのまま、運転席のドアを閉めて、後部座席に置いある、遥ちゃんのカバンを取って、彼女へ手渡すと・・・
「えっ? なに? 私・・・お姫様みたいじゃない?」
はぁ? どういうこと?
「私・・・男の子にこんなエスコートされたこと初めてなんだけど・・・」
なんだ、そういうことか・・・
「そりゃ~ 今までの男が最悪だっただけじゃない? 遥ちゃんは、常にお姫様扱いされてもおかしくないくらい良い女なんだから、もっと自分に自信持ってよ」
「もう! だから~ なんで君は・・・そういうことをサラっと言うかな~」
「ん? なにが?」
「もう・・・何で君は小学生なの?」
またそれか・・・
遥ちゃん、たまにそれ言うよな~
まあ、それを言ったら、俺だって一瞬大人になって。
ちゃんと、遥ちゃんとお付き合いしてみたいけどさ~
「ほら、寒いし雪降ってきたら、お店に入ろ? 遥?」
「えっ!? うっうん・・・」
そう言って、手を繋いでお店に入って行く。
やっぱり、日曜日のお昼だから、分かりずらい場所にあるお店といえど、客席はそこそこ埋まってて。
一番出入り口に近い、窓際に席に案内されると・・・
「遥ちゃんは、そっちの席に座ると良いよ」
そう言って、窓側の奥の席に進めると・・・
「どうして? そっちの席寒そうだよ」
「だから、奥の方が寒くないだろ?」
そういうと、何故かまたうっとりとした顔を浮かべる遥ちゃん。
なんか、いちいち感動というか、そんなうっとりされてもやりずらいんだけどな~
「ねえ、どこでそんな女の子扱い覚えてたの?」
「えっ? えっと・・・いとこ?」
「また、いとこからって。 ねえ、そのいとこ、今度紹介してよ。 めっちゃ良い男なんじゃないの?」
「えっ? えっと・・・」
えっと・・・あの人は、ただの車好きの、気の良いお兄さんなんだよな~
女の子にモテて、カッコ良いのは、東京に行っちゃった上のお兄ちゃんの方の従妹なんだよね。
「もう、なに? 私には紹介出来ないの?」
「だって、お兄ちゃんは、普段東京だし。 モテるから、きっと彼女とかいると思うし~」
「そっか~ そうだよね~ 君にそんな女の子の扱いを伝授しちゃうお兄さんなら、さぞモテそうよね?」
まあ、ひいちゃんと遥ちゃんが結婚したら、それはそれで、良いかもだけど。
でも、ひいちゃん、モテるしな~
就職で東京行く時、千歳まで見送りに行った時なんて、彼女も見送りに来て。
目の前で、キスされた時は、美姫にガバって抱きしめられて、目隠しされたの覚えてるしな~
「えっと・・・車好きで、ちょっとカッコ良さが3割減の弟なら、ワンチャン紹介できるかもだけど」
「なに? その従妹って、兄弟なの? でお兄ちゃんがモテてカッコよくて東京で? 弟さんは札幌なの?」
「うん、弟の方は今札幌で。 今大学1年生だから~ 少し待ったら結婚もできるかもよ?」
えっと・・・弟の方には、あんまり興味無さそうだな~
まあ、あの兄弟・・・カッコ良さは、全て兄貴に取られた感じだもんな。
たあちゃんもな~ めっちゃ優しいし、気の良い兄ちゃんだけど・・・
男同士でワイワイするのが好きなタイプだし。
遥ちゃんと趣味が合うかどうかだよな?
たあちゃんとご飯行く時は、ラーメンとか中華だしな~
えっと・・・話題変えるか・・・
「えっと・・・遥ちゃん。 ここのお店のパンは自家製で、ここで焼いてるんだって~」
「へ~ そうなんだ~ 楽しみ~♪」
「えっと、それとね。 やっぱり、ここは生パスタがおすすめかな~ モッチモチでスッゴイ美味しいよ。 ちなみに、僕はゴルゴン嫌いだから・・・」
「ぷっ! もう・・・なによ、ゴルゴンダメって、子供ね。 でも、生パスタが美味しいんだ~ よし、じゃあせっかくだから、この3000円のコースにしてみようか?」
そう言って、店員を呼ぶと、コースを二つ注文する。
「今日はここは、私がご馳走するわね♪」
「えっ? でも・・・せっかくのデートなのに・・・」
「もう、なにカッコつけてるのよ。 コンサートチケットを用意してくれただけで、私スッゴク感激してるんだから」
まあ、チケットの話した途端に、デートしようなんて言ってきたからな~
でも、3000円のコースを女の子におごらせるのって、なんか気まずい・・・
「ごめんね。 僕が、大人になったらもう一回デートしようね? その時は、もっと素敵な思いさせてあげれると思うから」
「ふふふっ、そんなこと言われたら、わたししばらく結婚も彼氏もつくれないかも」
「なんでさ?」
「だって、その間に間違って結婚なんてしちゃったら、デート出来なくなっちゃうじゃない」
う~ん・・・別に結婚してたって、デートくらい良いと思うけどな~
旦那さんにバレなきゃ良いだけだし。
別に不倫しようってわけじゃないんだから・・・
「そんな待つとかダメだよ~ 遥ちゃんには幸せになって貰わないとだし」
「もう、お前は私の親かよ?」
「てか、先生さ~ 変装道具を用意するって言ってたけど、どうしたの?」
「あっ!? そうだ忘れてた! ちょっと、こっちこっち」
こっちこっちと言われて、席を立って遥ちゃんの隣に行って見ると・・・
えっ? ・・・・・・なに? ん?
「キャハ! 可愛い~♪」
えっと・・・先生? これって?
「も~う、コナンくんみた~い♪」
「やっぱり、それかよ・・・」
「じゃあ、先生の変装って?」
「うん! 私はコレ~」
・・・あっそう・・・変装ってメガネかけるだけじゃないか。
しかも、度無しどころか・・・フレームだけだし。
「もう、これでパッと見、私達ってすぐには分からないわよ!」
「そうかな~ なんか、知ってる人ならすぐバレちゃいそうだけどな~」
「ねえ?」
「なに?」
「そのメガネあげるから~」
「うん」
「また、二人でデートしようね?」
「えっ? 良いの? 生徒とだよ?」
「だって~ この間のカフェと良い、今日のレストランと良い。 君と一緒に居ると、色々美味しくって、おしゃれなお店に行けそうなんだもん♪」
「まっ、先生が良いなら良いけどさ~」
なんか、先生楽しそうだな~
まっ、先週末の最悪デートの後だもんね。
これで、少しは元気出てくれたら良いな~
「てか、その後。 あの・・・ヤツから連絡は?」
「えっ? ヤツ? あ~ 林先生か・・・金曜日も電話来たよ」
林先生も懲りないな~
嫌われてるの分からないのかな?
「めっちゃメンタル強いね? あの人」
「なんか酔っぱらって電話して来てたから、他の先生と飲んで、また連絡しちゃえとか言われて電話してきたんじゃないかな?」
「で? 遥ちゃん・・・」
「もう、断ったわよ。 他の人とデートの約束があるからって言ってやったわよ」
なるほど・・・まあ、ウソでは無いもんな。
「あ~ でも」
「なに?」
「美味しい中華なら、俺より林先生の方が詳しいかもだけど・・・」
「はぁ!? 良いわよ! 中華なんて知らなくたって! 君はずっと、このままでイテ!」
「はぁ・・・」
先生・・・そうとう中華がトラウマになっちゃってる感じかな~
中華に罪は無いんだけどな~
「えっと~ こんど中華一緒に行く?」
「だから~ なんで中華なのよ?」
「えっと・・・中華には罪はないかなって。 ほらホテルで食べ放題とかあるじゃん?」
「そうだけど・・・でも、ホテルでって、なんであなたそんなに食に詳しいのよ?」
「えっ? だから、さっき言ってたお兄ちゃんに、色々カフェとかレストランに連れてってもらってたし。 何気に親父も美味しいもの好きで良くお店に食べに行くし」
ひいちゃんの、影響で高校生の時から、色々食べ歩きに行ってお店を色々開拓してたし。
親父は親父で、美味しい中華とか色々知ってるからな~
まあ、お陰で、大学時代には、女の子とのデートには役にたったというか~
アキラ君は良くお店を知ってるからって言われて、そこそこ女の子とデート行けたりしてたし。
「ふ~ん。 良いな~」
「えっと・・・弟の方で良ければ、合コン的なことセッティングしようか? 先生他に女の友達とかいないの?」
「大学生相手か~ う~ん・・・」
やっぱり、あんまり気乗りしないんだな。
大学生相手か~っていうわりに、俺は待ってくれるのか?
なんか、この人も良くわからないな~
「あっ、でも。 友達と言えば、この間お隣の琴似小の先生と少し仲良くなったよ」
「へ~ 歳は同じくらいなの?」
「うん、私の1個上で・・・なんか、同じ悩み抱えてて、意気投合しちゃって。 今度飲みに行きましょうって約束したんだ~」
「ふ~ん、その人って札幌の人?」
「うん、そうみたい」
ふ~ん・・・じゃあ、その琴似小の先生のお友達紹介してもらえると良いのにな。
「じゃあ、そこから、友達が増えたら良いね?」
「うん、だから、いまちょっと楽しみなんだ~」
でも、こうやって、話聞いていると、先生って本当に出会い少ないんだな・・・
ん? でも、前世のIT社畜時代・・・俺も別に出会いらしい出会いなんてなかったよな?
新入社員の社外研修で仲良くなったアイツと、早々に結婚しちゃったからっていうのもあるけどさ・・・ まあ、そう考えると、業種関係無しに、積極的に外に出かけないと出会いなんて無いってことだよな~
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